話題のニュースを総ざらい!面接で聞かれる!就活生のための時事まとめ

2024年12月28日

社会

2024のニュースを振り返る 先行き不透明な時代、先を見通す力を身につけよう【時事まとめ】

先行きを読むことが難しくなった時代

 2024年も残すところ、あと1週間です。振り返ると2024年は正月から石川県能登半島で大きな地震が起き、翌日には羽田空港で日本航空(JAL)機と海上保安庁の航空機が衝突するという大変なスタートでした。大手製薬メーカーの小林製薬が紅麴(こうじ)サプリで健康被害を起こしたり、三菱UFJ銀行の元行員が勤務時に貸金庫から十数億円を盗んでいた事件が発覚したり、誰もが知る大きな企業で信頼が大きく揺らぐような事件が相次いだ年でもありました。先行きを読むことがどんどん難しくなる時代、日々のニュースをしっかりチェックして今後の動きを考える習慣をつけることがますます重要になってくると感じます。(編集部・福井洋平)
(写真はiStock)

有名企業舞台の事故や不祥事相次ぐ

 2024年は、ビッグモーターの保険金不正問題やダイハツ工業の認証試験不正問題などが明らかになった2023年に引き続き、有名企業を舞台にした事故や不祥事が相次ぎました。

・1月 日本テレビが2023年に放送したドラマ「セクシー田中さん」の原作者で漫画家の女性が急死。女性は生前SNSで、原作の内容とドラマの脚本の内容に差があるという悩みや、自分自身が最終2話の脚本を書くことになった経緯を投稿していた。日本テレビと原作漫画を出版した小学館は、それぞれ調査報告書を公開している。

・3月 小林製薬が紅麴(こうじ)の成分を含んだサプリメント「紅麴コレステヘルプ」などを摂取した人から健康被害の報告があったとして、5製品を自主回収すると発表。厚生労働省は9月に、製品に混入した青カビ由来の「プベルル酸」が腎障害を引き起こしたとする調査結果を公表した。

・11月 損害保険会社の大手4社が企業向け共同保険の保険料を不当に引き上げるカルテルを結んだなどとして、公正取引委員会が計約20億7千万円の課徴金納付命令を出して発表した。

・12月 三菱UFJ銀行が、支店管理職の行員を懲戒解雇した。都内2支店の貸金庫から顧客の金品を盗んでいたとしており、半沢淳一頭取が記者会見を開いて、謝罪した。被害者は約60人に及び、十数億円相当が盗まれたと説明している。
(写真・立ち入り検査のため、小林製薬大阪工場に入る厚生労働省の職員ら=2024年3月30日/以下の写真は朝日新聞社)

衝撃的だった三菱UFJ銀行の貸金庫窃盗事件

 なかでも衝撃的なニュースだったのは、メガバンク一角の三菱UFJ銀行で貸金庫から十数億円が盗まれていた事件です。今週の「週間ニュースまとめ」でも触れていますが、銀行業で一番大切なのは「信用」です。今回盗みを働いた40代の女性行員は都内3支店で貸金庫の管理を任され、銀行側が保管する予備鍵の管理を1人で担い、顧客への対応もほぼ独占していたそうです。今年に入り、顧客から「貸金庫の中身がない」などの訴えが数件ありましたが、その対応も元行員が自ら行っており、口実をつくって金品を返すことで発覚を遅らせていたとのことです。

 よほど巧妙な手口で盗みを働いていたのかと思いきや、単純に貸金庫の管理者が1人しかおらずチェックが働かなかったという構図がわかり、銀行の生命線である「信用」そのものにも大きくかかわる事件になってきました。再発防止策を徹底しなければ、三菱UFJだけでなく銀行全体の信用が失われることにつながるでしょう。今後の三菱UFJ銀行の動きに注目です。
(写真・記者会見で頭を下げる三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取=2024年12月)

なぜ企業は不祥事を起こしたのか、ニュースでチェックを

 金融業界ではこのほか、証券最大手の野村証券の元社員が顧客に対する強盗殺人未遂などの罪で起訴される事件も起きています。昨年認証試験不正問題に揺れた自動車業界や高い安全性が求められる製薬業界、いまもコンテンツ産業の主流を占めるテレビ業界など、さまざまな業界で信頼をゆるがすような不祥事が続いています。大企業だから安心、モラルも高いということはもうない、と考えてもよさそうです。

 会社で不祥事が起こる理由はさまざまです。厳しい経営環境に置かれたため不正に手を出してしまった、厳しくなるコンプライアンスに対応しようとしなかった、厳しいノルマで社員が不祥事を起こしてしまった、チェック機能の甘さを放置してしまった…… いろいろな理由がありますが、明日は我が身、自分の会社に何かが起こるかもと考えることはとても重要です。ニュースをチェックし、どんなときに企業は、ビジネスパーソンは不正や不祥事を起こしてしまうのか、折にふれて考える習慣を身につけましょう。

国内政治も国際政治も激動の1年

 今年は国内政治、国際政治とも大きな動きが続いた1年でした。

 国内政治では、 10月に石破茂氏が新たな首相となりましたが、そのもとで行われた総選挙で与党の自民党公明党は大きく議席数を減らして過半数割れし、少数与党政権となりました。昨年末に発覚した自民党の政治資金パーティーにからむ「裏金」問題が大きく影響したとみられます。与党が少数となった影響で、予算や重要法案を通す際には野党と協議をかさねて合意することが不可欠となりました。現在は103万円以上働くと所得税を納める必要がありますが、これが働き控えなどを誘発しているとして国民民主党が引き上げを強く求めている「年収の壁」問題などは、与党が過半数割れしたからこそ議論がスタートしたわけです。投票結果が政治を動かし、私たちの生活や未来にも大きく影響してくると実感できた1年でした。

 国際政治ではなんといっても、アメリカ共和党候補のトランプ前大統領が民主党候補のハリス氏を破り、大統領に返り咲いたことが最大のニュースです。「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ氏は、自由貿易や気候変動対策に後ろ向きで、ウクライナ支援にも否定的とされるなど、アメリカの動きはこれまでと大きく変わることが予想されます。混迷が続く中東情勢やロシア・ウクライナ情勢はもちろん、日本にも影響は及ぶわけで、2025年以降は国際ニュースの動きにもより注意を払う必要がありそうです。
(写真・米大統領選で当選を確実にしたトランプ前大統領との電話会談後、取材に応じる石破茂首相=2024年11月7日)

変化の先を読むためにニュースに関心持とう

 12月には、自動車大手のホンダ日産自動車が経営統合協議に入るというニュースも飛び込んできました。日産傘下の三菱自動車も今後合流を検討するそうです。3社が統合すれば、販売台数で世界3位の規模を誇る巨大グループが誕生することになりそうです。

 社会が変わるスピードは年々増しています。そのなかで社会人として活躍するためには、変化の先を読む力を養うことは欠かせません。そのためには、日々のニュースをチェックし、何が時代を動かしているのか、考えるくせをつけることが大切だと痛感しています。「就活ニュースペーパー」では2025年も、ニュースをわかりやすく解説し、社会人として成長する力を身につけるお手伝いをしたいと思っております。就活生も、就活が終わった方も、ぜひ来年も就活ニュースペーパーをよろしくお願いいたします。
(写真・記者会見後、写真撮影に応じる(左から)日産の内田誠社長、ホンダの三部敏宏社長、三菱自動車の加藤隆雄社長=2024年12月23日)

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