話題のニュースを総ざらい!面接で聞かれる!就活生のための時事まとめ

2023年05月26日

経済

今さら聞けない!「株」の話 バブル後最高3万円台、なぜ?どうなる?【時事まとめ】

「失われた30年」からの転換点になる?

 日本企業の株高が続いています。代表的な指標である日経平均株価は、5月17日に1年8カ月ぶりに3万円台に乗り、19日にはバブル経済のとき以来、実に約33年ぶりに3万1000円台に乗り、26日の終値は3万916円31銭でした。コロナ後の経済活動や消費の回復で企業の決算が好調なことや、海外の投資家が「日本買い」に出ているためです。この好調が続けば、「失われた30年」と言われたデフレ経済を脱する転換点になるかもしれません。「経済の鏡」とか「経済の先行指標」と呼ばれる株価についてなんとなくは知っていると思いますが、そもそも株式株式会社って何なのか説明できますか? みなさんが採用試験を受ける企業のほとんどは株式会社です。この機会に企業活動の根幹を支える株式の「基本のき」をおさらいしつつ、今の株高の理由や今後の見通しについて、わかりやすく解説します。企業の株価は、業績や成長性、業界の状況のほか、日本や世界の政治経済情勢など様々な要因の影響を受けます。志望企業の株価に注目するのも大切な企業研究ですよ。(編集長・木之本敬介)

(写真・バブル後最高値を更新した5月19日の日経平均株価終値を示すボード=東京都中央区)

そもそも株式会社とは

 まずは「株式会社」について。会社を立ち上げるには、オフィスや工場、パソコンなどの備品、社員の給料などに多額のお金が必要です。自分のお金で足りなければ、株式を発行して知り合いに出資してもらいます。これが株式会社ですね。事業が大きくなると知り合いだけでは限界があるので、大勢の人に買ってもらえるよう証券取引所で株式を取引できるように「上場」します。業績や経営基盤、将来の見通しなど取引所の基準を満たし、審査に合格しないと上場できないため、上場企業は社会から一定の信頼を得た会社とみなされ、多くの資金を集めることができます。もちろん銀行からお金を借りる手もありますが、出資金は融資と違って返す必要はありません。一方で、出資した株主は、会社の重要なことを決める株主総会に参加でき、会社の業績が良ければ配当金株主優待などを受けるメリットが。株価が上がったときに売れば、利益を得ることもできます。

(写真・東京証券取引所=東京・日本橋兜町)

東証プライムと日経平均

 一般的に、売り上げ増などで企業の業績が良くなったり将来性を評価されたりすれば、その企業の株を買いたい人が多くなって株価が上がり、逆なら下がります。多くの株式を取引する証券取引所全体の株価が上がるときは経済が活発になっていることが多く、株価は景気のよしあしを示すわけです。

 国内にある複数の株式市場のうち日本を代表するのが東京証券取引所(東証)です。中でも大企業が集まる最上位市場の「東証プライム」に上場する約1800社のうち主要な225社で算出する「日経平均株価」は日本の経済状況を示す指標になっています。日経平均が日々大きく報じられるのはこのためです。

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(写真・東証プライム市場への移行を祝うメルカリの役員たち=2022年6月、東証)

金利が下がると、円安になると…株価は?

 株価は様々な要因に左右されます。一般的に、金利と株価はシーソーのような関係にあるといわれ、金利が下がる(金融緩和)と株価は上がり、金利が上がる(金融引き締め)と株価は下がる傾向があります。日本銀行(日銀)は経済を活発にしたいときには金利を下げて、世の中にお金を多く流通させようとするからです。

 円相場も株価に影響します。たとえば、1ドル100円だったのが円高で80円になると、米国に自動車を輸出して1台1万ドルで販売している会社の収入は、日本円では1台100万円から80万円に減り、株価は下落。逆に1ドル120円の円安になると1台120万円で収入は20万円多くなり、株価が上がります。逆に、輸入している会社は、円高になれば製品や原料を安く輸入できてもうけが増え、円安になればもうけが減って株価は下がります。日本は、自動車メーカーなど商品を輸出して稼ぐ産業が強いため、円安になると株価が上がることが多いのです。

 金利と円安は影響し合います。あくまで傾向ですが、

「金利が下がる→円安になる→株価が上がる」
「金利が上がる→円高になる→株価が下がる」

ことを覚えておくと、ニュースを理解しやすくなります。政治や国際情勢も株価を大きく左右します。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻直後には、世界中で株が売られ株価は急落しました。

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(写真・インタビューに答える日銀の植田総裁=5月25日、東京都中央区)

脱コロナで業績好調、インバウンドにも期待

 日経平均がもっとも高かったのは、バブル経済最盛期、1989年末の3万8915円。バブルがはじけると株価は急落し、「失われた30年」と呼ばれる低迷期が続きました。バブル後の最安値はリーマン・ショック後の2009年3月に記録した7054円。徐々に盛り返し、新型コロナ下での各国の大規模な財政金融政策を受けて2021年2月に3万円台を回復しましたが、欧米が金融引き締めに転じると急落しました。

 今回はどうでしょう。円安や「脱コロナ」を追い風に企業業績が堅調で、日経平均は年初から5000円超上がっています。中でも客足が戻って業績を急回復させた鉄道、航空、百貨店など、非製造業の上昇が目立ちます。さらに、訪日外国人客(インバウンド)増による消費回復も期待されています。昨秋の歴史的な円安の後、円高に触れていた円相場は、日銀の植田和男・新総裁が大規模緩和の継続を決めたことで再び円安基調となり、電機や自動車など輸出企業の株も買われました。加えて東証が3月「株価を意識した経営」をするよう企業に要請。これを受けて「自社株買い」など株主還元策に積極的な企業が増えたことも好感されています。企業が自分の株式を買う自社株買いは、市場に出回る株式の量が減ることで株価が上がります。こうした複数の要因が重なっているのですが、とくに積極的なのが外国人投資家で、「日本買い」の様相です。

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志望企業の株価チェックを!

 それでも、日経平均3万円は史上最高値の8割弱の水準です。米ニューヨーク市場の主要指数であるダウ工業株平均はこの間、なんと12倍に膨張しました。日経平均が3万円超を維持して今後さらに上がっていくかは、企業の取り組みにかかっています。人材育成も含めた前向きな投資による成長と、さらなる賃上げです。「賃上げ→個人消費増→企業収益増→賃上げ」という好循環になれば、バブル期超えの日経平均4万円台も実現するかもしれません。

 採用の面接で、「今のうちの株価は?」と聞く会社もあります。ネットや新聞の株式欄などで気になる会社の株価をチェックする習慣をつけましょう。大きく上がったり下がったりした日には、要因を調べてみましょう。会社の業績はもちろん、業界の動向、日本や世界の政治経済の動きがどう関連しているのか関心を持つことが、企業研究につながります。

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