
■求める人材
――ESについては2年前の前部長のインタビュー(
「記者だけじゃない『職種のデパート』 多様さ尊重する自由な会社」)でも詳しく聞いていますが、改めて学生に伝えたいことは?
自分のことが伝わるように書いてください。たとえば志望動機。「朝日新聞はデジタルに力を入れており……」などと書く人もいますが、そんなことは就活生に教えてもらわなくていい(笑)。肩に力が入り、抽象概念や記者になりたい思いを難しい言葉で書いてくる学生もとても多いです。そんなESでは、その本人の姿は見えてこない。「こんなきっかけで記者を目指すようになった」という話を、具体的なエピソードを交えて素直に書いてほしい。
志望動機に「小学1年生のとき……」などとかなり昔のことを書く人も多くいます。でも、ESには、この職業選択の時期になぜジャーナリストになろうと思ったのか、直近のことを書いてください。面接では掘り下げるので、子どものときのことも話せます。
――どんな人が記者に向いていますか。
「新聞記者=文章を書く仕事」と思っている人が多いようです。説明会などでは、「ジャーナリストとは『事実(何が起きているか)』を掘り起こす仕事、権力を監視する役割」だと伝えています。だから「『人』に興味がある人」「社会の仕組みに興味がある人(疑問が持てる人)」「自分で動き、考えたい人」を求めていると説明しています。
――私は入社前、作文が嫌いで苦手でした。それでも記者になった日から記事を書き続け、直され、教わりながら自然と書けるようになり、好きになりました。
文章力は記者になってからでも十分アップできます。記者が書いた原稿がそのまま新聞に載ることはなく、デスク(現場の記者の取材を指揮し、原稿をまとめるリーダー役)とキャッチボールしながら、「伝える」「伝わる」文章の書き方を学んでいく。文章力よりも、「何を伝えるか」のほうが大事です。
「思い」も大切です。現場に行って五感を働かせて「これは面白いな、おかしいな、何でだろう」と気持ちが動くこと自体が、「伝えたい」ということの原動力になります。どういうときにあなたの気持ちが動いたのかをESに書いてほしいし、面接で聞かせてほしい。
■面接と小論文
――面接の日程は?
2019年卒の春の記者部門の選考では、1次面接は3月23~25日、通過者に小論文を書いてもらい、複数回の面接を経て、4月中旬までに内々定を出しました。
――あれっ、グループディスカッションは?
やめました。多人数の中でどうかより、しっかり一人ひとりを見極める体制に変えました。最終面接の前に、「人事部面談」も実施しました。30分ほど面談し、たくさんフィードバックをしました。
――小論文は続けているんですね。
もちろん続けています。紙からデジタルへ移行はしていますが、文章力はどちらでも必要です。60分で800字。2019年卒の第1回のテーマは「多様性」、第2回は「平成」でした。
――どんな練習をしておけばいいですか。
ある程度慣れていないと時間内に書けないと思います。友人同士でテーマを決めて書いて回し読みするなど、60分で800字を書くトレーニングはしておいたほうがいい。文章力より論理的思考力が大事です。採点はしませんが、2次面接以降で小論文は大きな判断材料になります。
――時事問題やニュースへの関心は面接で確認しますか。
筆記試験をなくした分、面接で時事的なテーマを聞くように1次や2次の面接委員にはお願いしましたが、面接委員たちは「人に興味がある」記者なので、時事問題よりもむしろESの内容を深掘りしていましたね。
現役の記者だって世の中のあらゆるトピックスに詳しいわけじゃない。たとえば「外国人労働者問題に興味がある」のなら、そこをきちんと語れるかどうか。一つのことに思考を深められる学生なら、記者として現場で壁にぶち当たったときにもしっかり考えていけるのではないでしょうか。
ただ、時事問題は最終面接でも聞かれることがありますから、油断は禁物です。
――夏には第2回採用試験をしていますね。
第2回採用試験は、2019年卒は8~9月に実施しました。2020年卒は5~6月に実施する予定です。
(
後編に続く)
(写真・山本友来)