SDGsに貢献する仕事

オリエンタルランド株式会社

オリエンタルランド〈後編〉レジャー業界のリーディングカンパニーとして積極的に取り組む【SDGsに貢献する仕事】

2025年06月18日

 SDGs(持続可能な開発目標)関連の業務に携わっている若手・中堅社員に直撃インタビューする「SDGsに貢献する仕事」の第23回。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの後編です。レジャー業界のリーディングカンパニーとして、サステナビリティに対しても積極的に取り組むフェーズに入ってきているオリエンタルランド。自分たちの取り組みがすぐにゲスト(お客様)の反応になってそれを体感できるところに、大きなやりがいを感じているといいます。今回登場いただいた社員2人がオリエンタルランドに就職する過程についても聞きました。(編集長・福井洋平)
(前編はこちらから

【お話をうかがった方のプロフィル】
経営戦略本部サステナビリティ推進部シニアリーディングスタッフ 山口貴大さん(やまぐち・たかひろ 写真右)
2019年に大学の経済学部卒、2019年4月入社、アトラクション運営部を経て2022年より現職。
フード本部フード開発調達部フード開発グループチーフリーディングスタッフ 川﨑豊さん(かわさき・ゆたか 写真左)
2010年に大学の経営学部卒、商業施設運営会社を経て2020年に入社、現職。

サステナビリティで世の中に価値生み出す

■山口さんのレギュラー業務
 ──山口さんは普段は、サステナビリティ推進部でどういった仕事をメインにされていますか。
 山口 担当業務としては、年間を通して環境の負荷を把握するため、データの集計、取りまとめをしています。たとえばCO₂や廃棄物をどれぐらい出しているのか、オリエンタルランドグループ全体でどのような影響を与えているのかを計測しています。それを用いて、外部の評価機関による結果や社内の状況を確認して、「ここはもうちょっと進めていかなければ」などの振り返りをして、次の方針に反映するようにしています。
 また、サステナビリティの分野は日に日に世の中から求められることが変わるので、つど対応することも大事です。例えば、「サステナビリティに関する情報開示基準が変わる」となれば、私たちとしては今どの程度まで把握できているか、社会で求められることへの対応方針を決めたり、社内へ周知したりします。

 ――今、次のステップとして考えていることはありますか。
 山口 今は会社全体でサステナビリティに関して過渡期だと思っています。3年前にマテリアリティを定め、取り組んできましたが、この4月にマテリアリティを更新しました。最初の制定から3年経過したことで改めて社会からの要請を反映するとともに、この4月に発表したオリエンタルランドグループ「2035長期経営戦略」の内容を踏まえて、今後10年間の取り組みの方向性を明示しました。
 担当である私としては、どのように取り組むことが企業にとっても社会にとっても良いのか、より自分たちで考えていこうというところが最近は大きなテーマになっています。「世の中にこういう情報がある」「当社はこういう事情だ」ということをいろいろな部署や経営層ともディスカッションを交わし、「それなら、こういう方向性に行くのが会社としていいんじゃないか」と方針を立て、立案するのが現在の大きな業務ですね。

■脱・受け身の取り組み
 ── より自分たちで考えるというのは、これまでは「これをやらなければいけない」という部分が多かったということでしょうか。
 山口 そうですね。今まではリスクを考え、マストで求められていることに対応することで精いっぱいだったのですが、今は「自分たちが社会に価値を出せることは何か」という一歩踏み込んだ考え方が社会から求められていますし、私たちの中でもそういう議論ができるようになってきたと思います。マテリアリティとして掲げている「従業員の幸福」と「子どものハピネス」以外にも、「当社ならではの要素が考えられるのではないか」という議論ができるようになってきました。

 ──面白そうな取り組みはありますか。
 山口 環境関連の取り組みでは、川﨑が進めているような、ゲストとのタッチポイントの活用です。もちろん、サプライチェーンの管理も重要ですが、ゲストとのタッチポイントが多いということが私たちの企業としての強みであり、特長です。循環型社会についてゲストと一緒に取り組むことで、より付加価値を高められるというところは、私たちとしても今後伸びしろがある分野であり、より一層取り組む余地があると考えています。

サステナビリティへの意識を反映したイベントも

■フードビジネスの今後のSDGs展開
 ──川﨑さんは今後、どういう形でサステナビリティについて進めたいという構想はありますか。
 川﨑 リサイクル可能な包材や資材は、まだ一部の店舗でしか取り扱っていないので、将来的にはより多くの店舗で導入して、フードからの廃棄物を削減し、パーク全体の廃棄物を少なくしていけるようにしたいと思っています。山口も申し上げましたが、循環型のリゾートとしての環境を整えていくのが目標です。

 ──コストなど、課題はありますか。
 川﨑 コストは従来のものに比べたらかかる部分もありますが、分別環境の整備も課題です。パーク内の分別環境を整えながら、包材や資材をつくっていくという二つの軸が必要になります。

 ──分別環境の整備というと、ゴミ箱が増えるということでしょうか。
 川﨑 ゴミ箱を増やすというより、何を分別して、何をリサイクルに回すか、議論しながら、進めていく必要があります。 
「東京ディズニーシー・フード&ワイン・フェスティバル」では、分別環境として「エコステーション」を初めてパーク内に設置しました(写真/オリエンタルランド提供)。4種類の分別用のトラッシュ缶を1つの場所に集合させて、きちんと分別できる環境づくりにチャレンジしています。そこでの実証結果を見ながら、分別環境をどうしていくかについてはあらためて検討していきます。

 ──御社で、ここまでサステナビリティを意識したイベントは初めてですか。
 川﨑 そうですね。「フード&ワイン・フェスティバル」はもともとアメリカのディズニーワールド内のエプコットで行われているイベントです。東京ディズニーシーでは2024年に初めて実施しましたが、サステナビリティを大々的に打ち出したのは今年からです。

分別も、エンターテインメント性も両立させる

■山口さんが仕事で大変だったこと
 ──今までの仕事で「これは大変だった」と感じることはありましたか?
 山口 「社内外の視点をふまえ、目標をどう設定するか」が難しいですね。私たちの部署は投資家の方々とも接するので、外部の専門家が求めている水準と、実務においてできる範囲のレベル感が異なることもあります。会社としてどのような目標を設定するのか、社内でどのように合意形成をするか、それぞれ意見もありますし、私たちのサステナビリティ推進部としても「こうしたいんだ」という思いを持っていないといけません。
 また、コスト意識を持つことも重要です。長期的な視点を持ち、投資と将来性のバランスを考えながら、社内のリソースや人材などを加味して、最適な目標を設定し、どのように進めるかという合意を得るのは難しいですね。

 ──サステナビリティに対する世代差、見方の違いもありますか。
 山口 世代差は感じませんが、考え方の違いはあるかもしれません。私たちの会社は「目の前のゲストにいかに楽しんでいただくか」という点に対して全力投球する方が多いです。サステナビリティは長期の時間軸で考える必要がありますから、目の前のゲストにとっては最適解ではない場合もあります。そこをどう考えるかに関しては、従業員の中でも違いがある部分かなという気がします。

 ──先ほどの廃棄物の分別のように、どんどん細かくすれば面倒くさいかもしれないけれど、どのような形で乗り越えるかということですか。
 山口 「0か100か」といった議論になってしまいがちですが、そうではありません。廃棄物の分別をネガティブに思う人がいるかもしれませんが、分別をすることにより実現できる明るい未来を伝えることでプラスに考えていただけるようになるかもしれません。分別とゲストの満足度の両立を考えていくことが必要です。その辺りをうまく社内で目線を合わせていくのが、重要なのかなと思います。

ゲストに楽しんでもらえる仕組みづくり

■川﨑さんが仕事で大変だったこと
 ──川﨑さんは仕事の中で、大変なハードルと思われたことはあ りましたか?
 川﨑 前編で紹介した、フィルムを貼った包材を導入したことが、一番ハードルが高かったですね。食べ終わって、ソースなどがついているフィルムをゲストに剥がしてもらうのはどうなのかという議論がありました。そこについてはエンターテインメント性を持たせることで解決しようと考え、結果的にゲストには好意的に受け取っていただけました。
 当初はこのお皿には、フィルムをはがすところに目印がついていなかったんですね。ゲストがフィルムを剥がせると気づきにくかったので、目印シールをつけることにしました。ゲストに気づいていただき、分別にご協力いただく仕組みづくりが一番苦労したところです。

 ──サステナビリティ関連業務以外のお仕事で、大変なことはありますか。
 川﨑 パークには本当に数多くの店舗があり、様々な対応に追われることがあります。期間限定のイベントと連動したメニューは、ありがたいことにゲストからの期待感も強いので、その期待を上回るようなメニューをつくりたいと思うとプレッシャーも大きくなります。メニュー開発を担当するシェフたちに私たちのプランやアイデアを伝え、それを形にしてもらうためには日々のコミュニケーションが必要です。実際に試作に立ち会って一緒につくりあげており、多くの作り手の想いが込められたメニューをゲストが笑顔で召し上がっている姿を見ると、とても嬉しいです。

みんなで同じ方向に向かって進む会社

■山口さんの就活
 ──お二人の就活について教えてください。山口さんは就職活動ではどういった業界を見ていましたか。
 山口 就活の時は世の中で「良さそう」とされているものよりも、私が「面白そう」と興味を持ってできるものがいいなと考えていました。ちょうど就活の時期がトランプ第一次政権時だったのですが、「アメリカファースト」だけでいいのかなと。私としては自社を大切にしつつ、周囲も大切にして、世の中に発信できるような企業がいいなと思っていました。オリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾートには私も好きでよく来ていましたし、他人や他者を大切にする会社だとも感じたので、私もそういうマインドを人に伝えられたらいいなと思いました。

 ──どういった選考プロセスでしたか。
 山口 エントリーシートを提出して、最初は短時間のグループワークと短時間の面談。次が1次面接、その後は終日グループワークがあって、最終面接でした。

 ──ご自身が入社できた決め手は何だと思いますか。
 山口 私は大学の時にアメリカンフットボール部に入っていて、すごく熱中していたんですね。ポジションは、ランニングバックでした。さらにトレーニング長として、4年次は筋トレ、チーム全体のフィジカルを管理していました。チームは勝つことが大事です。勝つためには、土台のフィジカルも大事で、どういうトレーニングをするのがいいのかを試行錯誤していました。
 私にとってこの部活は大きな経験で、社会人になってもアメフトのように、全力でみんなが同じ方向を向いて働ける企業はどこだろうと考えました。その点、オリエンタルランドは明確で、「夢、感動、喜び、やすらぎを提供する」という企業理念がはっきりと伝えられていますし、いろいろな社員の方に会ってもその理念に対する強い思いを感じたのです。ゲストに向かい合う仕事ということに関してブレていないし、全員が善意を持っているし、「みんなで同じ方向に向かって進む」社風を体感して、自分も一緒になってやれると思いました。
 他社の話を聞くと、「こういうスキルが身につくよ」というようなメッセージを話す人が多かったんです。それも大事ですが、オリエンタルランドの人はスキルうんぬんよりも「こういう時に喜びを感じる」と話す人が多く、自分たちの事業に誇りを持っていました。自分の仕事を楽しく、熱く語れる人と働きたいなと思いました。

 ──そこを面接でもアピールしましたか?
 山口 はい。面接では部活の話をして、「チームで何かをやることに対して、喜びを感じる人間だと思います」とアピールしました。私たちは最初にパーク運営を担うオンステージの業務につくので、いきなりチームで何かをするという局面が多いんです。私が配属されたアトラクション「レイジングスピリッツ」はキャストの人数はそこまで多くはなかったのですが、施設によってはより多くのキャストと一緒に働きます。弊社はたくさんの人と関わり合いながら、何ができるかということを求めていると思います。
■川﨑さんの就活
 ──川﨑さんは商業施設から転職されていますが、最初の就職は何年入社だったのですか。
 川﨑 私は2010年入社ですね。もともと学生時代に仲間とネットビジネスをしていたため、いろいろな経営方式に興味を持っていました。商業施設は1つの施設の中にフード、アパレル、サービスといろいろな業態が入っていて、たくさんのビジネスを裏から見ながら一緒にやっていけると思い、いろんな商業、ビジネスが詰まった会社を中心に見ていました。

 ──転職のきっかけは何ですか。
 川﨑 前職で10年くらいいろいろな経営手法を見ましたが、商業施設はあくまでテナントを介してのビジネスです。実際に自社で何かを開発したり、サービスを企画したりして、それを直接お客様に届けたいという思いが強くなって、転職しました。

 ──オリエンタルランドは最終的にどういうところにひかれて入社を決められたのですか。
 川﨑 前職でエンターテインメント系のレストランを担当し、「エンターテインメントって面白いな」と思ったことと、引き続きいろいろな業種のビジネスをしてみたいと思ったことがきっかけです。オリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾートには1つの場所でグッズ、フード、エンターテインメントと、たくさんの業態を展開しているので、そこにひかれました。

自信を持って自社の事業を勧められる

■オリエンタルランドでの働きがい
 ──オリエンタルランドでの働きがいを教えてください。
 山口 今のサステナビリティ推進部では、今まで弊社があまり取り組んでこなかった領域なので、前例がないという部分でワクワクして、楽しんで仕事ができています。業務としては社内外の状況を把握して、提案、立案をしますが、私はリサーチするのが性に合っているので、面白いなあと感じています。
 逆に、先ほどの苦労のところでも言いましたが、リサーチ後に社内に提案としてアウトプットをするのが苦手なので、今はそこに四苦八苦しています。ですが、未知の部分を進んでいるというところはやりがいです。

 ──いま、未知の領域を切り開いているわけですね。
 山口 会社全体のやりがいで言うと、やっぱりこの事業が好きですし、自信を持っておすすめできます。また、オフィスからすぐ歩いていける距離でゲストの表情を見ることができますし、自分たちの業務がゲストにどう直結しているか、リアクションがすぐ目の前で分かるというところもモチベーション、やりがいにつながっていると思います。

 ──川﨑さんはいかがでしょうか。
 川﨑 多くのゲストに対して、自分が考えたプランを提案して、それがどういう反応だったか分かるのが、やりがいです。パーク内でゲストの反応を直接見ることができますし、SNSでもリアルタイムに反応が把握できます。ポジティブなことも、ネガティブなことも、率直な反応を参考にさせていただき次のプランに活かしていきたいと思っています。

(インタビュー写真・岸本絢)

SDGsでメッセージ!

 就活生の皆さん、こんにちは。 オリエンタルランドでは、夢、感動、喜び、やすらぎを提供するという企業理念のもと、日々目の前のゲスト顧客に向けてハピネスを創造しています。何か人を喜ばせるのが好きな方、チームのために貢献するのが好きな方、ぜひオリエンタルランドを志望していただけると嬉しいです。よろしくお願いします。(山口さん)

 オリエンタルランドではさまざまな職種や環境があります。事業を川上から川下まで一気通貫でできる、やりがいと楽しさもあります。ぜひ、一緒に働いていただける方、ご応募お待ちしております。(川﨑さん)

オリエンタルランド株式会社

【レジャー・アミューズメント】

 株式会社オリエンタルランドは、1983年の東京ディズニーランドのオープン以来、東京ディズニーシー、ディズニーホテル、複合型商業施設「イクスピアリ」、モノレールなどを運営し、「夢・感動・喜び・やすらぎ」を提供し続けています。  また、2024年には日本を拠点としたディズニークルーズを展開することを発表し、2028年度の就航を目指しています。