
■山口さんのレギュラー業務
──山口さんは普段は、サステナビリティ推進部でどういった仕事をメインにされていますか。
山口 担当業務としては、年間を通して環境の負荷を把握するため、データの集計、取りまとめをしています。たとえばCO₂や廃棄物をどれぐらい出しているのか、オリエンタルランドグループ全体でどのような影響を与えているのかを計測しています。それを用いて、外部の評価機関による結果や社内の状況を確認して、「ここはもうちょっと進めていかなければ」などの振り返りをして、次の方針に反映するようにしています。
また、サステナビリティの分野は日に日に世の中から求められることが変わるので、つど対応することも大事です。例えば、「サステナビリティに関する情報開示基準が変わる」となれば、私たちとしては今どの程度まで把握できているか、社会で求められることへの対応方針を決めたり、社内へ周知したりします。
――今、次のステップとして考えていることはありますか。
山口 今は会社全体でサステナビリティに関して過渡期だと思っています。3年前にマテリアリティを定め、取り組んできましたが、この4月にマテリアリティを更新しました。最初の制定から3年経過したことで改めて社会からの要請を反映するとともに、この4月に発表したオリエンタルランドグループ「2035長期経営戦略」の内容を踏まえて、今後10年間の取り組みの方向性を明示しました。
担当である私としては、どのように取り組むことが企業にとっても社会にとっても良いのか、より自分たちで考えていこうというところが最近は大きなテーマになっています。「世の中にこういう情報がある」「当社はこういう事情だ」ということをいろいろな部署や経営層ともディスカッションを交わし、「それなら、こういう方向性に行くのが会社としていいんじゃないか」と方針を立て、立案するのが現在の大きな業務ですね。
■脱・受け身の取り組み
── より自分たちで考えるというのは、これまでは「これをやらなければいけない」という部分が多かったということでしょうか。
山口 そうですね。今まではリスクを考え、マストで求められていることに対応することで精いっぱいだったのですが、今は「自分たちが社会に価値を出せることは何か」という一歩踏み込んだ考え方が社会から求められていますし、私たちの中でもそういう議論ができるようになってきたと思います。マテリアリティとして掲げている「従業員の幸福」と「子どものハピネス」以外にも、「当社ならではの要素が考えられるのではないか」という議論ができるようになってきました。
──面白そうな取り組みはありますか。
山口 環境関連の取り組みでは、川﨑が進めているような、ゲストとのタッチポイントの活用です。もちろん、サプライチェーンの管理も重要ですが、ゲストとのタッチポイントが多いということが私たちの企業としての強みであり、特長です。循環型社会についてゲストと一緒に取り組むことで、より付加価値を高められるというところは、私たちとしても今後伸びしろがある分野であり、より一層取り組む余地があると考えています。