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東京ガス株式会社
東京ガス〈前編〉eメタンから日常業務まで ガス会社だからこそ「脱炭素」めざす【SDGsに貢献する仕事】
2024年08月28日
SDGs(持続可能な開発目標)関連の業務に携わっている若手・中堅社員に直撃インタビューする「SDGsに貢献する仕事」の第17回は、首都圏を中心に都市ガスや電力などのエネルギーソリューションを提供している日本最大手のガス会社、東京ガスです。エネルギーインフラを下支えする存在として、脱炭素への取り組みはきわめて重要です。東京ガスは、CO₂排出量を実質ゼロにする「CO₂ネット・ゼロ」を実現するため、e-methane(eメタン、合成メタン) の普及拡大に取り組んでいます。国内外で活躍する技術者2人に話を聞きました。(編集長・福井洋平)
【お話をうかがった方のプロフィル】
グリーントランスフォーメーションカンパニー e-methane推進部 エンジニアリンググループ 石井洋平(いしい・ようへい)さん
2007年早稲田大学大学院機械工学研究科卒業、同年東京ガス入社。2013年まで袖ケ浦工場施設部、2017年まで海外LNG液化基地PJ出向、2020年まで袖ケ浦LNG基地施設部と子会社兼務、2024年まで原料部海事・技術グループと子会社兼務、2024年4月から現職。
根岸LNG基地施設部 機械グループ 本吉麻佑(もとよし・まゆ)さん
2022年東京工業大学大学院機械系修了。同年入社し、現職。
【お話をうかがった方のプロフィル】
グリーントランスフォーメーションカンパニー e-methane推進部 エンジニアリンググループ 石井洋平(いしい・ようへい)さん
2007年早稲田大学大学院機械工学研究科卒業、同年東京ガス入社。2013年まで袖ケ浦工場施設部、2017年まで海外LNG液化基地PJ出向、2020年まで袖ケ浦LNG基地施設部と子会社兼務、2024年まで原料部海事・技術グループと子会社兼務、2024年4月から現職。
根岸LNG基地施設部 機械グループ 本吉麻佑(もとよし・まゆ)さん
2022年東京工業大学大学院機械系修了。同年入社し、現職。
脱炭素のためにeメタンを推進
■東京ガスとSDGs
──まず、東京ガスのSDGsに対する取り組みについて概要を教えて下さい。
石井 私たちのグループ経営理念である「人によりそい、社会をささえ、未来をつむぐエネルギーになる。」を体現していくため、サステナビリティー上の重要課題を7つ「マテリアリティ」として特定し、さまざまな事業活動を通して取り組んでいます。
その中でも大きなトピックは、マテリアリティの1番目に掲げている「脱炭素社会への責任あるトランジション」です。私たちは東京「ガス」という社名の通り、都市ガスを中心としたエネルギーをお届けしていますが、昨今の環境に対応するため、我々が変わっていかなければと考えています。そのため、石炭や石油より炭素含有量が少ない天然ガスの高度利用や再生可能エネルギー電源の拡大、私がかかわっていますe-methane(eメタン、合成メタン)の普及拡大などを通し、脱炭素への取り組みをすすめているところです。
──こちらの本社ビルは「コージェネレーションシステム」を採用しているそうですね。
石井 はい。コージェネレーションシステムではガスを燃料として必要な電気をつくり、同時に発生する熱を冷房、暖房、給湯といろいろな用途で使うシステムです。夏場は冷房の需要が非常に高いため、冷房へ転換しています。
■eメタンとは
──石井さんがいま携わっている、eメタンについて教えて下さい。
石井 私は2024年4月にグリーントランスフォーメーションカンパニーe-methane推進部に異動しました。その前は東京ガスの原料部と、LNGを輸送するLNG船の運用や維持管理をする子会社の東京エルエヌジータンカーを兼務していました。
いまの職場ではエンジニアリンググループという部署に所属し、プラントの設計や、どういうプラントをつくるべきかという検討、議論を行っています。eメタンは原料としてCO₂と水素、再エネ電気が必要ですが、それらが豊富にある国で製造し、輸送して日本に持ってきます。CO₂ネット・ゼロの燃料として持ってくるために今は各国でプロジェクトを検討している段階ですが、その中でも私は特にアメリカの案件を担当しています。eメタンが注目されたのはここ2~3年ですが、弊社はかなり力を入れて取り組んでいます。
──eメタンが注目されるようになったのは何かきっかけがあったのですか。
石井 日本をはじめ世界中で燃料として化石燃料を使わず、水素を活用することでクリーンな社会を作る取り組みが進んでいますが、その際「どうやって水素を運ぶか」が大きな問題になります。液化水素にして持ってきて気化するという使い方もありますし、アンモニア(NH₃)の形で運ぶのも1つの方法です。eメタンのメリットは水素を都市ガスの主成分であるメタンの形にして持ってくることで、既存の都市ガスのLNG基地やパイプライン、みなさんの家庭のガス機器がそのまま使えるというところです。
──まず、東京ガスのSDGsに対する取り組みについて概要を教えて下さい。
石井 私たちのグループ経営理念である「人によりそい、社会をささえ、未来をつむぐエネルギーになる。」を体現していくため、サステナビリティー上の重要課題を7つ「マテリアリティ」として特定し、さまざまな事業活動を通して取り組んでいます。
その中でも大きなトピックは、マテリアリティの1番目に掲げている「脱炭素社会への責任あるトランジション」です。私たちは東京「ガス」という社名の通り、都市ガスを中心としたエネルギーをお届けしていますが、昨今の環境に対応するため、我々が変わっていかなければと考えています。そのため、石炭や石油より炭素含有量が少ない天然ガスの高度利用や再生可能エネルギー電源の拡大、私がかかわっていますe-methane(eメタン、合成メタン)の普及拡大などを通し、脱炭素への取り組みをすすめているところです。
──こちらの本社ビルは「コージェネレーションシステム」を採用しているそうですね。
石井 はい。コージェネレーションシステムではガスを燃料として必要な電気をつくり、同時に発生する熱を冷房、暖房、給湯といろいろな用途で使うシステムです。夏場は冷房の需要が非常に高いため、冷房へ転換しています。
■eメタンとは
──石井さんがいま携わっている、eメタンについて教えて下さい。
石井 私は2024年4月にグリーントランスフォーメーションカンパニーe-methane推進部に異動しました。その前は東京ガスの原料部と、LNGを輸送するLNG船の運用や維持管理をする子会社の東京エルエヌジータンカーを兼務していました。
いまの職場ではエンジニアリンググループという部署に所属し、プラントの設計や、どういうプラントをつくるべきかという検討、議論を行っています。eメタンは原料としてCO₂と水素、再エネ電気が必要ですが、それらが豊富にある国で製造し、輸送して日本に持ってきます。CO₂ネット・ゼロの燃料として持ってくるために今は各国でプロジェクトを検討している段階ですが、その中でも私は特にアメリカの案件を担当しています。eメタンが注目されたのはここ2~3年ですが、弊社はかなり力を入れて取り組んでいます。
──eメタンが注目されるようになったのは何かきっかけがあったのですか。
石井 日本をはじめ世界中で燃料として化石燃料を使わず、水素を活用することでクリーンな社会を作る取り組みが進んでいますが、その際「どうやって水素を運ぶか」が大きな問題になります。液化水素にして持ってきて気化するという使い方もありますし、アンモニア(NH₃)の形で運ぶのも1つの方法です。eメタンのメリットは水素を都市ガスの主成分であるメタンの形にして持ってくることで、既存の都市ガスのLNG基地やパイプライン、みなさんの家庭のガス機器がそのまま使えるというところです。
(イラストはeメタンの製造から利用の流れ/東京ガス提供)
──何か技術的なブレークスルーがあったのですか。
石井 もともと原料のCO₂と水素を合成してメタンにする技術(メタネーション)があり、それを脱炭素のために適用できそうだというのが1つです。また、世界的に水素が注目されており、水を電気分解して水素と酸素に分けることで水素を発生させることができる水素製造装置の大型化が進み、大規模な水素製造が可能となってきています。
──今後の普及に向けての課題は何ですか。
石井 現時点では、製造コストが課題です。各国が政策として資金補助をするなどいろいろな取り組みをしていますが、さらに普及させるためにさらなるコストダウンが必要です。さらなる効率向上のため、当社では革新的メタネーションの技術開発にも取り組んでいます。
グリーントランスフォーメーションは、東京ガスが中期経営計画で掲げている3本柱(グリーントランスフォーメーション・デジタルトランスフォーメーション・お客さまとのコミュニケーション変革)のうちの1本です。eメタンに関しては、2030年までに当社の都市ガス供給量のうち1%をeメタンに置き換えることを目標にしています。
──何か技術的なブレークスルーがあったのですか。
石井 もともと原料のCO₂と水素を合成してメタンにする技術(メタネーション)があり、それを脱炭素のために適用できそうだというのが1つです。また、世界的に水素が注目されており、水を電気分解して水素と酸素に分けることで水素を発生させることができる水素製造装置の大型化が進み、大規模な水素製造が可能となってきています。
──今後の普及に向けての課題は何ですか。
石井 現時点では、製造コストが課題です。各国が政策として資金補助をするなどいろいろな取り組みをしていますが、さらに普及させるためにさらなるコストダウンが必要です。さらなる効率向上のため、当社では革新的メタネーションの技術開発にも取り組んでいます。
グリーントランスフォーメーションは、東京ガスが中期経営計画で掲げている3本柱(グリーントランスフォーメーション・デジタルトランスフォーメーション・お客さまとのコミュニケーション変革)のうちの1本です。eメタンに関しては、2030年までに当社の都市ガス供給量のうち1%をeメタンに置き換えることを目標にしています。
(写真は水素とCO₂からメタンをつくるメタネーションの実証装置/東京ガス提供)
■eメタン普及にむけて
──コストダウンをするための一番の壁は何ですか。
石井 初めてのプロジェクトですので、「こうすれば安くできる」という型がありません。原料を買ってきて、どういう装置でどのぐらいの効率でメタンにして、どのぐらいで運んで……ということを検討していく過程で、サプライチェーンに関わる人もたくさんでてきますし、必要となる資金も多額になります。より良い装置を作ることとコストダウンのバランスを取るのが難しいのです。
──eメタンにする際の「効率」とは何ですか。
石井 電気をかなり使うプロジェクトになりますので、どのくらいの電気を使ってどれぐらいの水素・eメタンがつくれるのかということです。
──eメタンをつくるのに電気を使うのでしたら、本当にCO₂ネット・ゼロになるのでしょうか。
石井 電気は風力や太陽光といった自然エネルギーでつくった電気を使い、それで水を分解して水素にしますので、CO₂ネット・ゼロと考えられます。一方で効率的で安定的な製造の視点では自然エネルギーは生産量が一定ではないので、その変動にどうやってプラントを合わせたらいいのかという課題があります。設備側にできること、できないことがあり、どうやって対応したらいいのかを日々、議論しています。
■eメタン普及にむけて
──コストダウンをするための一番の壁は何ですか。
石井 初めてのプロジェクトですので、「こうすれば安くできる」という型がありません。原料を買ってきて、どういう装置でどのぐらいの効率でメタンにして、どのぐらいで運んで……ということを検討していく過程で、サプライチェーンに関わる人もたくさんでてきますし、必要となる資金も多額になります。より良い装置を作ることとコストダウンのバランスを取るのが難しいのです。
──eメタンにする際の「効率」とは何ですか。
石井 電気をかなり使うプロジェクトになりますので、どのくらいの電気を使ってどれぐらいの水素・eメタンがつくれるのかということです。
──eメタンをつくるのに電気を使うのでしたら、本当にCO₂ネット・ゼロになるのでしょうか。
石井 電気は風力や太陽光といった自然エネルギーでつくった電気を使い、それで水を分解して水素にしますので、CO₂ネット・ゼロと考えられます。一方で効率的で安定的な製造の視点では自然エネルギーは生産量が一定ではないので、その変動にどうやってプラントを合わせたらいいのかという課題があります。設備側にできること、できないことがあり、どうやって対応したらいいのかを日々、議論しています。
アメリカでのeメタン製造をめざす
■eメタンと海外事業
──今は世界各国が製造プラントをつくろうと競争しているのですか。
石井 現在、様々な会社が、eメタンプロジェクトの実現可能性を調査しています。もちろんかかるコストが低い方がいいので、そういう意味では競争といえるかもしれません。今はアメリカ、オーストラリア、中東、マレーシアなど、資源と再生可能エネルギーがある国で検討されています。
──アメリカやオーストラリアは、eメタン製造に向いているのですか。
石井 例えばオーストラリアやマレーシアといった国の再生可能エネルギーは水力発電、太陽光、風力が豊富にあります。原料のCO₂については、CO₂を排出しているところから回収したり、LNGを井戸から取り出して液化するまでの過程ででてくるCO₂を利用したりします。そうすると、LNGの液化基地があるところなどは原料調達の面で有利になります。いまオーストラリア、マレーシアと2つ国をあげましたが、ほかにも候補地はあります。
――東京ガスはどこを候補地として考えていますか。
アメリカ、オーストラリア、マレーシア、中東等で検討をしておりますが、アメリカに注力しています。再生可能エネルギー電力が豊富に調達できそうなことにくわえ、LNG液化基地があるなど既存インフラを活用して早期にサプライチェーンが確立できそうというアドバンテージもあります。
──CO₂は気体の形で取り出して使うのですか。
石井 基本的には気体で取り出し、圧縮して輸送します。アメリカには既にCO₂のパイプラインがあります。もともとアメリカは石油やガスが採れる国です。それらに付随するCO₂も様々な用途に用いるために売買されています。またCO₂を輸送するパイプラインもあります。我々はそのパイプラインで運ばれているCO₂を原料として購入する予定です。
このプロジェクトで使うCO₂は、通常であればそのままアメリカで大気に排出されていたものです。それを我々が回収して再利用する分には、大気中のCO₂が増加するわけではありません。
──東京ガスはどういった関わり方をしていますか。
石井 コンソーシアムをつくっていて、日本は三菱商事、ガス会社である大阪ガス、東邦ガス、弊社の4社。それからアメリカのセンプラ・インフラストラクチャーという会社5社で組んでプロジェクトを進めています。各社の担当者、エンジニアが毎週、議論しています。会議は英語が多いですね。
──今は世界各国が製造プラントをつくろうと競争しているのですか。
石井 現在、様々な会社が、eメタンプロジェクトの実現可能性を調査しています。もちろんかかるコストが低い方がいいので、そういう意味では競争といえるかもしれません。今はアメリカ、オーストラリア、中東、マレーシアなど、資源と再生可能エネルギーがある国で検討されています。
──アメリカやオーストラリアは、eメタン製造に向いているのですか。
石井 例えばオーストラリアやマレーシアといった国の再生可能エネルギーは水力発電、太陽光、風力が豊富にあります。原料のCO₂については、CO₂を排出しているところから回収したり、LNGを井戸から取り出して液化するまでの過程ででてくるCO₂を利用したりします。そうすると、LNGの液化基地があるところなどは原料調達の面で有利になります。いまオーストラリア、マレーシアと2つ国をあげましたが、ほかにも候補地はあります。
――東京ガスはどこを候補地として考えていますか。
アメリカ、オーストラリア、マレーシア、中東等で検討をしておりますが、アメリカに注力しています。再生可能エネルギー電力が豊富に調達できそうなことにくわえ、LNG液化基地があるなど既存インフラを活用して早期にサプライチェーンが確立できそうというアドバンテージもあります。
──CO₂は気体の形で取り出して使うのですか。
石井 基本的には気体で取り出し、圧縮して輸送します。アメリカには既にCO₂のパイプラインがあります。もともとアメリカは石油やガスが採れる国です。それらに付随するCO₂も様々な用途に用いるために売買されています。またCO₂を輸送するパイプラインもあります。我々はそのパイプラインで運ばれているCO₂を原料として購入する予定です。
このプロジェクトで使うCO₂は、通常であればそのままアメリカで大気に排出されていたものです。それを我々が回収して再利用する分には、大気中のCO₂が増加するわけではありません。
──東京ガスはどういった関わり方をしていますか。
石井 コンソーシアムをつくっていて、日本は三菱商事、ガス会社である大阪ガス、東邦ガス、弊社の4社。それからアメリカのセンプラ・インフラストラクチャーという会社5社で組んでプロジェクトを進めています。各社の担当者、エンジニアが毎週、議論しています。会議は英語が多いですね。
■石井さんの日常業務
─―石井さんは実際にアメリカにも行きましたか。
石井 実は私は現地にはまだ行っていません。一度、水素をつくるプラントの工場を見るためにアメリカには行きましたが。他のメンバーは頻繁に現地でも打ち合わせで行っています。
──日頃のお仕事はミーティングがメインですか。
石井 ミーティングと図面のレビューです。例えば水素とCO₂を混ぜてメタンをつくる装置を設計する会社から提出された図面を確認して、我々のプラントに必要なものになっているか、改善点はないか、そういったチェックをして協議しながら、いいものにしていくという作業です。
水を分解して水素をつくる装置と、水素とCO₂を混ぜてメタンにする装置は違う会社で設計しているので、両社の装置をうまく繋ぐ必要もあります。本当にそのメーカーや専門会社の設計の中身まで見るのは難しいところもありますが、LNG基地での知識と経験を使いながら対応しています。現場で経験を積み重ねてきたことが非常に大きいですね。
──LNGもCO₂メタネーションも、装置の基本的な考え方は一緒ですか。
石井 そうですね。容器があって、配管があって、回転設備のポンプ、圧縮機があるという構成は基本的には大きく変わりません。
─―石井さんは実際にアメリカにも行きましたか。
石井 実は私は現地にはまだ行っていません。一度、水素をつくるプラントの工場を見るためにアメリカには行きましたが。他のメンバーは頻繁に現地でも打ち合わせで行っています。
──日頃のお仕事はミーティングがメインですか。
石井 ミーティングと図面のレビューです。例えば水素とCO₂を混ぜてメタンをつくる装置を設計する会社から提出された図面を確認して、我々のプラントに必要なものになっているか、改善点はないか、そういったチェックをして協議しながら、いいものにしていくという作業です。
水を分解して水素をつくる装置と、水素とCO₂を混ぜてメタンにする装置は違う会社で設計しているので、両社の装置をうまく繋ぐ必要もあります。本当にそのメーカーや専門会社の設計の中身まで見るのは難しいところもありますが、LNG基地での知識と経験を使いながら対応しています。現場で経験を積み重ねてきたことが非常に大きいですね。
──LNGもCO₂メタネーションも、装置の基本的な考え方は一緒ですか。
石井 そうですね。容器があって、配管があって、回転設備のポンプ、圧縮機があるという構成は基本的には大きく変わりません。
ガス提供をとめないように日々データ確認し点検
■本吉さんのお仕事
──本吉さんのお仕事について教えてください。2022年入社ということで、コロナ禍の就活で大変でしたか。
本吉 そうですね。基本的に全てオンラインで面接、最終面接のみ対面というケースが多かったですね。ただ、移動時間がなく、研究生活と両立できたという面ではよかったです。
──今の部署が根岸LNG基地施設部機械グループ。つまり基地で働いているのですか。
本吉 普段は基地で勤務しており、設備の運転状態や工事の進捗を直接把握できるところが良いところです。 基地では製造のオペレーション業務から設備の維持管理業務までありますが、私はタンク、回転設備といった機械設備の維持管理や、古い設備の除却・更新や新たな設備の建設をするとき、また、設備改造やトラブル発生時の対応等の技術検討業務を担当する職場に所属しています。 設備の維持管理や更新の際に必ず工事が発生するので、工事予算の取得、発注、社内承認の取得、実際に現場が始まったときの品質や安全管理を行っています。
──LNG基地はいくつあるのですか。
本吉 根岸、袖ケ浦、扇島、日立 の4カ所に基地があります。基地内の主要設備の都市ガス製造に関わる構成はだいたい同じです。
──機械設備の維持管理とは具体的に何をするのですか。
本吉 法律で定められた定期点検に加え、設備ごとに不具合が起きないよう日常的な簡易点検や整備を行っています。
──本吉さんのお仕事について教えてください。2022年入社ということで、コロナ禍の就活で大変でしたか。
本吉 そうですね。基本的に全てオンラインで面接、最終面接のみ対面というケースが多かったですね。ただ、移動時間がなく、研究生活と両立できたという面ではよかったです。
──今の部署が根岸LNG基地施設部機械グループ。つまり基地で働いているのですか。
本吉 普段は基地で勤務しており、設備の運転状態や工事の進捗を直接把握できるところが良いところです。 基地では製造のオペレーション業務から設備の維持管理業務までありますが、私はタンク、回転設備といった機械設備の維持管理や、古い設備の除却・更新や新たな設備の建設をするとき、また、設備改造やトラブル発生時の対応等の技術検討業務を担当する職場に所属しています。 設備の維持管理や更新の際に必ず工事が発生するので、工事予算の取得、発注、社内承認の取得、実際に現場が始まったときの品質や安全管理を行っています。
──LNG基地はいくつあるのですか。
本吉 根岸、袖ケ浦、扇島、日立 の4カ所に基地があります。基地内の主要設備の都市ガス製造に関わる構成はだいたい同じです。
──機械設備の維持管理とは具体的に何をするのですか。
本吉 法律で定められた定期点検に加え、設備ごとに不具合が起きないよう日常的な簡易点検や整備を行っています。
(本吉さんの仕事の様子/東京ガス提供)
■LNG基地での設備維持管理の仕事
──整備というのは、具体的にどういうことをするのですか。
本吉 設備を構成する部品の損傷や不具合がないかを確認し、故障箇所があった場合は修理・交換をします。 定期点検の内容は法令に則った上で、過去の経験から検査内容や頻度を設備ごとに決めていて、それを毎年工事会社に発注しています。圧縮機やポンプなどの部品の点検は購入したメーカーに委託しています。設備構成は化学系の製造プラントと比較するとシンプルですが、容量や台数が多くあります。ポンプ設備で言うと20台以上ありますし、その他にもガス製造で係わる設備は多数ありますので、1年の限られた期間内で効率的に整備を進めていく必要があります。
──それから工事の発注もすると。
本吉 そうですね。お客さま向けのガス製造を止める事は出来ないので、設備が急に不具合で動けなくなってしまった場合も想定しながら工事の内容を精査し、計画的に発注等の対応をしています。発注業務では、業者の選定、仕様書の作成等を行います。
──オフィスワークが多いのでしょうか。
石井 オフィスにいる時間もけっこう長いです。現場の設備は「この設備は何万時間運転すると、どこかでメンテナンスしなくてはいけない」など、それぞれ特徴があります。東京ガスの長い歴史の中で知見が積み上げられていますが、定期的な実施には費用が必要ですので、コストをしっかり管理する必要があります。今まで1万時間で点検していたものを1万5000時間にしたらコストが少し安くなります。でももしかしたら、壊れてしまうかもしれません。壊れてしまうと修理にもっとお金がかかりますので、メンテナンスのタイミングをずらすべきかどうかということを検討するのです。
──どうやって検討するのですか?
本吉 たとえばポンプですと異音の診断、振動値のデータ、運転データを蓄積しています。そのデータとあわせて実際に分解整備に出し、部品の損傷がなかったかを細かくチェックして、運転時間と照らし合わせて、どのくらいの運転時間で整備に出すのが妥当なのかを検討します。
──機械グループは何人ぐらいいるんですか。
本吉 根岸基地は20人弱です。人によって担当する設備や検討業務が分けられています。
石井 上司の立場からすると、いろんな設備を経験してもらった方がいいんですね。例えば、私も今こういう新しい仕事をするときに全部の設備について分かる方が総合的にいいものを考えられます。例えば、LNGを貯蔵しておくタンクなどですね。
──街中で見る丸いタンクのことですか。
石井 街中にある丸いタンクは都市ガス用のガスホルダーというもので、 LNGの場合、円筒形で、地上にあったり、地下にあったりします。
本吉 船でLNGを受け入れて貯蔵するため、LNG基地にもタンクがあります。ローディングアームと呼ばれる船と基地の配管を接続する設備を使ってLNGを受け入れますが、そのアームの整備も行います。LNGは液体の状態で来るんですけども、みなさまにガスとして供給するためにガス化する気化器という設備もあり、受入から供給に係る設備全てを機械グループで管理しています。
■LNG基地での設備維持管理の仕事
──整備というのは、具体的にどういうことをするのですか。
本吉 設備を構成する部品の損傷や不具合がないかを確認し、故障箇所があった場合は修理・交換をします。 定期点検の内容は法令に則った上で、過去の経験から検査内容や頻度を設備ごとに決めていて、それを毎年工事会社に発注しています。圧縮機やポンプなどの部品の点検は購入したメーカーに委託しています。設備構成は化学系の製造プラントと比較するとシンプルですが、容量や台数が多くあります。ポンプ設備で言うと20台以上ありますし、その他にもガス製造で係わる設備は多数ありますので、1年の限られた期間内で効率的に整備を進めていく必要があります。
──それから工事の発注もすると。
本吉 そうですね。お客さま向けのガス製造を止める事は出来ないので、設備が急に不具合で動けなくなってしまった場合も想定しながら工事の内容を精査し、計画的に発注等の対応をしています。発注業務では、業者の選定、仕様書の作成等を行います。
──オフィスワークが多いのでしょうか。
石井 オフィスにいる時間もけっこう長いです。現場の設備は「この設備は何万時間運転すると、どこかでメンテナンスしなくてはいけない」など、それぞれ特徴があります。東京ガスの長い歴史の中で知見が積み上げられていますが、定期的な実施には費用が必要ですので、コストをしっかり管理する必要があります。今まで1万時間で点検していたものを1万5000時間にしたらコストが少し安くなります。でももしかしたら、壊れてしまうかもしれません。壊れてしまうと修理にもっとお金がかかりますので、メンテナンスのタイミングをずらすべきかどうかということを検討するのです。
──どうやって検討するのですか?
本吉 たとえばポンプですと異音の診断、振動値のデータ、運転データを蓄積しています。そのデータとあわせて実際に分解整備に出し、部品の損傷がなかったかを細かくチェックして、運転時間と照らし合わせて、どのくらいの運転時間で整備に出すのが妥当なのかを検討します。
──機械グループは何人ぐらいいるんですか。
本吉 根岸基地は20人弱です。人によって担当する設備や検討業務が分けられています。
石井 上司の立場からすると、いろんな設備を経験してもらった方がいいんですね。例えば、私も今こういう新しい仕事をするときに全部の設備について分かる方が総合的にいいものを考えられます。例えば、LNGを貯蔵しておくタンクなどですね。
──街中で見る丸いタンクのことですか。
石井 街中にある丸いタンクは都市ガス用のガスホルダーというもので、 LNGの場合、円筒形で、地上にあったり、地下にあったりします。
本吉 船でLNGを受け入れて貯蔵するため、LNG基地にもタンクがあります。ローディングアームと呼ばれる船と基地の配管を接続する設備を使ってLNGを受け入れますが、そのアームの整備も行います。LNGは液体の状態で来るんですけども、みなさまにガスとして供給するためにガス化する気化器という設備もあり、受入から供給に係る設備全てを機械グループで管理しています。
■本吉さんの最初の仕事
──最初のお仕事が「地下に埋設された温水配管の閉塞を解消」だったそうですね。(写真/東京ガス提供)
本吉 はい。流れの状況や温度異常などのデータを取っていて、閉塞の可能性がかなり高い状況だったので、実際に確認して洗浄しました。
──温水が流れているのに、何が堆積するのですか。
本吉 基本的に基地で使う水は工業用水で、浄水のようにきれいにフィルターをかけられた水ではありません。かなり不純物が含まれているので、経年とともに不純物と配管からできるさびが堆積します。それを正常に管理できる状態に戻す工事を担当していました。
石井 日々、圧力が落ちていないか、流量が小さくなってないか、とできるだけ事前に気づくのも我々の仕事です。
──堆積物はけっこう出てきましたか。
本吉 箇所によってですが、けっこう出ました。
石井 水を使う設備等は やはり設備も40年、50年と使っていると、どうしても腐食してきます。そうするとちょっと1日止めさせてもらい、腐食部分だけを切り離して新しいものを入れるという工事をやっています。
──最初のお仕事が「地下に埋設された温水配管の閉塞を解消」だったそうですね。(写真/東京ガス提供)
本吉 はい。流れの状況や温度異常などのデータを取っていて、閉塞の可能性がかなり高い状況だったので、実際に確認して洗浄しました。
──温水が流れているのに、何が堆積するのですか。
本吉 基本的に基地で使う水は工業用水で、浄水のようにきれいにフィルターをかけられた水ではありません。かなり不純物が含まれているので、経年とともに不純物と配管からできるさびが堆積します。それを正常に管理できる状態に戻す工事を担当していました。
石井 日々、圧力が落ちていないか、流量が小さくなってないか、とできるだけ事前に気づくのも我々の仕事です。
──堆積物はけっこう出てきましたか。
本吉 箇所によってですが、けっこう出ました。
石井 水を使う設備等は やはり設備も40年、50年と使っていると、どうしても腐食してきます。そうするとちょっと1日止めさせてもらい、腐食部分だけを切り離して新しいものを入れるという工事をやっています。
日常業務の積み重ねでエネルギーの安定供給支える
■お2人の仕事とSDGs
──ご自身の仕事とSDGsとの関わりはどのように見ていますか。
本吉 いまは、SDGsに関連する大がかりな業務は担当していません。完全な脱炭素化は今の段階では目標にとどまっています。その移行期間として弊社はクリーンなエネルギーであるLNGを推進していますので、まずLNG自体がクリーンなエネルギーだということをみなさまにご理解いただいて、その上でそちらを安定して届けられるようにするのが、現時点で私ができるSDGsに関連する業務だと考えています。
それから基地の中でも脱炭素の検討グループがあり、本当に小さなことですが、コストダウンも兼ねて基地内のCO₂排出を削減できるか、CO₂を排出する燃料使用量を抑えられるのではないかといった検討にも日々取り組んでいます。
──例えば、どういったことですか。
本吉 基地内に蒸気発生設備があるので、蒸気を供給するためのボイラー燃料を削減できないかという検討をしています。具体的には、燃料として都市ガスを利用していますが、LNGタンクに外部から熱が加わることでLNGが気化してしまい常時発生するガスを基地構内で活用できないかといったことを検討しています。また、LNGは約-160度という低温の液体で、その冷熱を利用した発電設備があるのですが、その発電効率を向上するための検討や、幅広い産地のLNG受入に対応できるよう低発熱量のLNGで運用できる設備構成の検討を行っています。
──日常の仕事で一番大変なことは何ですか。
本吉 私たちは法律に適合して工事を進めたり、設備の構成を考えたりするので、法律から逸脱しないように法律と照らし合わせながら検討を進めていくのが一番大変です。
逸脱しないのはもちろんなのですが、設備ごとに特性や構成が異なるので、設備が変わるごとに知識がゼロからのスタートになります。工事ごとに一から過去の資料や図面を調べ、どういった工事方法が適切なのかを比較的短期間で判断しないといけないのが苦労している点です。
―─設備によって、そんなに変わるのですか。
本吉 そうですね。私がまだ若手で担当経験が少ないということもありますが、同じ設備、同じポンプ、同じタンクでもメーカーや建設時期、仕様によって構成、周囲の状況も全く違うので、それに合わせて適切で安全な工事を計画しないといけません。
──本当にそういう日常業務の積み重ねで、LNGが安定供給されているんですね。
(後編はこちらから)
(写真・植田真紗美)
──ご自身の仕事とSDGsとの関わりはどのように見ていますか。
本吉 いまは、SDGsに関連する大がかりな業務は担当していません。完全な脱炭素化は今の段階では目標にとどまっています。その移行期間として弊社はクリーンなエネルギーであるLNGを推進していますので、まずLNG自体がクリーンなエネルギーだということをみなさまにご理解いただいて、その上でそちらを安定して届けられるようにするのが、現時点で私ができるSDGsに関連する業務だと考えています。
それから基地の中でも脱炭素の検討グループがあり、本当に小さなことですが、コストダウンも兼ねて基地内のCO₂排出を削減できるか、CO₂を排出する燃料使用量を抑えられるのではないかといった検討にも日々取り組んでいます。
──例えば、どういったことですか。
本吉 基地内に蒸気発生設備があるので、蒸気を供給するためのボイラー燃料を削減できないかという検討をしています。具体的には、燃料として都市ガスを利用していますが、LNGタンクに外部から熱が加わることでLNGが気化してしまい常時発生するガスを基地構内で活用できないかといったことを検討しています。また、LNGは約-160度という低温の液体で、その冷熱を利用した発電設備があるのですが、その発電効率を向上するための検討や、幅広い産地のLNG受入に対応できるよう低発熱量のLNGで運用できる設備構成の検討を行っています。
──日常の仕事で一番大変なことは何ですか。
本吉 私たちは法律に適合して工事を進めたり、設備の構成を考えたりするので、法律から逸脱しないように法律と照らし合わせながら検討を進めていくのが一番大変です。
逸脱しないのはもちろんなのですが、設備ごとに特性や構成が異なるので、設備が変わるごとに知識がゼロからのスタートになります。工事ごとに一から過去の資料や図面を調べ、どういった工事方法が適切なのかを比較的短期間で判断しないといけないのが苦労している点です。
―─設備によって、そんなに変わるのですか。
本吉 そうですね。私がまだ若手で担当経験が少ないということもありますが、同じ設備、同じポンプ、同じタンクでもメーカーや建設時期、仕様によって構成、周囲の状況も全く違うので、それに合わせて適切で安全な工事を計画しないといけません。
──本当にそういう日常業務の積み重ねで、LNGが安定供給されているんですね。
(後編はこちらから)
(写真・植田真紗美)
SDGsでメッセージ!
私は説明会や採用の面接を受ける中で、東京ガスへの志望度が上がり、入社を決定しました。説明会や採用の面接を受ける中で、自分のやりたいこと、企業に合っているかなどが固まってくると思いますので、これからの面接や説明会を頑張ってください。(本吉さん)
私は今、e-methane推進プロジェクトで仕事をしています。しかし、入社したときは、まさかこのような仕事をするとは思っていませんでした。さらにキャリアの中でLNGの基地、発電所、船といろんな仕事をしてきて、今まさにe-methaneプロジェクトをしていますが、東京ガスはさまざまなチャレンジをしている会社です。ぜひ、そういった視点でも東京ガスを見ていただければと思います。(石井さん)
東京ガス株式会社
【エネルギー】
東京ガスグループは首都圏を中心に都市ガス、電力、熱等のエネルギーとソリューション・サービスを提供しているエネルギー会社です。国内4か所のLNG基地、6万km超のガスパイプライン、複数のLNG火力発電所や再生可能エネルギー電源を保有しています。エネルギー事業を軸とし、海外事業、不動産・都市開発なども展開。脱炭素化、デジタル化、エネルギー自由化の進展に対応し、持続可能な社会の実現を目指し、次世代のエネルギーシステムをリードします。
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