
(写真は本社での打ち合わせ風景=ヤクルト本社提供)
■トレーサビリティ
――「トレーサビリティ」の確立にも取り組んでいるのですか。
はい、原材料の生産地までさかのぼれるようにするトレーサビリティの確立をすすめています。脱脂粉乳といった乳製品でのトレーサビリティを重視していますが、ほかに紙、パーム油、大豆なども森林破壊リスクのある原材料として注目されていますので、それらを中心に第三者から認められた認証品に切り替えるなどの取り組みを進めています。
──乳製品のトレーサビリティを確立するのは難しいのですか。
そうですね。課題は多いです。例えば「ヤクルト」は、牛乳の脂肪分を抜いた脱脂粉乳が主原料で、当社とは別のメーカーが牧場の牛乳からつくっています。牧場から原材料メーカーに届くまでの間には集積場などがあり、いろいろな牧場から牛乳が入ってきているので、そこから前にさかのぼるのが難しいのが現状です。
──原料はどこから調達していますか。
基本的には国内が多いですね。ただ、当社は世界40の国と地域に展開していて、基本的には現地調達、現地生産を行っていますので、海外で原料を調達しているケースもあります。昨年度からトレーサビリティ調査を始め、第三者から認められた認証品に切り替えられるところは、順次切り替えを進めています。
──この課題を乗り越えるには何が必要だと思われますか。
コミュニケーションが大事だと思います。サプライヤーである原材料メーカーと直接対話をしたり、集積場の前工程を確認するためには直接現地にお話を聞きに行ったりするのが非常に有効と考えています。
──最終的にはトレーサビリティが確立されて、認証品で製品をつくるのがゴールということですね。現段階はどこまでできているとみていますか。
指標の1つとして、CDPという評価機関の評価があります。2023年に当社は「フォレスト」質問書において「B」を取得しましたが、これは国内の中でも比較的高い水準だと感じています。
──ヤクルト商品は消費者からの知名度もすごく高いです。人々に届けるにあたって、意識されていることはありますか。
安全性や衛生面には非常に配慮して生産し、届けています。品質基本方針を定め、しっかりと厳しい基準を設けて生産をしています。当社は乳酸菌などのプロバイオティクス(十分な量を摂取したときに有益な効果を与える生きた微生物)を核とした商品を展開していますので、有効性であったり、健康情報を正しくお客さまに伝えたりするということも意識しています。