
■店舗での仕事
──入社されて1年9カ月ぐらいは店舗でお仕事をされたそうですが、大変だったことは。
私が所属していた店舗は60~80人ぐらい在籍していて、アルバイトは高校1年生からできるので、15歳から80歳ぐらいの人がいます。すごく幅広いバックグラウンド、属性の人が働いていて、その人々を社員として、店舗のマネージャーとしてリードしていかなければいけないのが最初につまずいた部分でした。
──クルー(スタッフ)の年齢制限がないのですよね。
そうですね。私が学生時代アルバイトをしていたところは学生主体で、自分と近しい年代とか属性の人としか働いたことがなかったんですが、いろんな属性、いろんな年齢の人と働く、ましてやその人たちをリードしなければいけない。しかも自分はマクドナルドでアルバイトをしていたわけではないので、会社の中の経験は全然なくて。でも、主婦のマネージャーの人は「10年、20年、マクドナルドで働いています」という人もいます。そういう人をリードしなくてはいけないのが、最初は難しかったです。
──プレッシャーもあったのでは。
最初はどうリードしたらいいんだろうと悩みました。でも、日本マクドナルドの「ピープルビジネス」は社員だけではなく、アルバイトの一人ひとりまでそういう価値観を持って働いていると感じる部分がありました。私自身が遠慮したり勘ぐったりせず、自分が思っていることを敬意を持って真摯に伝えると、ちゃんと答えてくれるんです。そういったコミュニケーションを重ねていくうちに信頼関係が構築され、「入社して1年」とかは関係なく「赤松慎太郎という人間がそう言っている」という捉え方をしてもらえるようになりました。
──どういった話しかけをされたのですか。
最初は「リードする」というと指示を出すとか、ヒントを与えるみたいなイメージを持っていたのですが、「一緒にベストな解決策を見つけていく」コミュニケーションだと考えるようになりました。「こうした方がいいと思う」「こうしてください」ではなく、「こういう課題を解決したいんですけど、どうしたらいいと思いますか」「一緒に考えていきませんか」といったコミュニケーションを取りました。
敬意を持つのが、すごく大事です。挨拶は絶対する、それも明るく元気に、目を見て、名前を呼んで。そこからコミュニケーションは始まります。
──どういった課題がありましたか。
店舗によっても違いますが、品不足、作り間違い、クルーがオペレーションを自己流でやってしまうなどですね。例えば、品不足を解決するために一番簡単なアクションは「品不足をやめてください」と言うことです。でも、そうではなく、クルーやマネージャーに「品不足を少なくするために、どういうアクションが考えられますか?」とコミュニケーションを取りました。
──アルバイトの人にも声かけをするのですか。
店舗全体を見ているマネージャーとしては、クルーの表情を見ると、そのクルーの精神状態や、「そろそろミスをしそうだ」と感じ取ることがあります。日頃のコミュニケーション以外にも余裕がなさそうだと思ったらすかさず声をかけます。
──一番キツかったなということは。
配属の2店舗目でGO(グランドオープン)を担当し、店長と2人でお店を開ける準備から始めたことです。約2カ月で60人ぐらい集めて、オープンしないといけない。そこは結構チャレンジングでしたね。
──バイト採用の面接もしましたか。
しました。もう1日に何件もしました。質問に対する受け答えがしっかりできるのはもちろん、自分の中の軸がある人がいいなと思いました。学生だと「今、何か頑張っていることはありますか」という質問に対して、「自分はこう思うから、こういうことを頑張っている」と言える人です。あとは表情ですね。やっぱり笑顔が素敵でポジティブであることは重視していました。
──どうやって乗り越えたのですか。
これもピープルビジネスの話になるんですけれども、人間関係、周りの方に恵まれたと思います。店長とは率直にコミュニケーションし合える関係だったので、お互いがしんどいときはお互いを支え合いました。そういう価値を持った人が働いているので、一つひとつの困難を乗り越えられたと思います。