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株式会社INPEX
INPEX〈前編〉五島で浮体式洋上風力に参画 初めての事業の苦労とやりがい【SDGsに貢献する仕事】
2023年05月17日
SDGs(持続可能な開発目標)関連の業務に携わっている若手・中堅社員に直撃インタビューする「SDGsに貢献する仕事」の第8回は、エネルギー・資源開発大手のINPEXです。インドネシアでの地熱発電、長崎県五島列島や欧州での洋上風力発電と、再生可能エネルギープロジェクトを次々と担当してきた若手社員は、初めての事業に苦労を重ねながらも、大きなやりがいと手応えを感じています。再エネには、従来の石油・天然ガス開発の技術が生かされています。(編集長・木之本敬介)
(冒頭のSDGsアイコンは、INPEXがとくに重視するゴール)
【お話をうかがった社員のプロフィル】
●日中亮太(ひなか・りょうた)さん=INPEX 再生可能エネルギー・新分野事業本部 技術ユニット 風力事業グループ
2012年、筑波大学大学院修了(システム情報工学研究科 構造エネルギー工学専攻)、同年、施設エンジニア(電気)として入社。直江津LNG基地での建設・試運転業務を経て現職。風力事業のプロジェクトマネジャーとして国内外の洋上風力発電事業の開発・管理を担当。
(冒頭のSDGsアイコンは、INPEXがとくに重視するゴール)
【お話をうかがった社員のプロフィル】
●日中亮太(ひなか・りょうた)さん=INPEX 再生可能エネルギー・新分野事業本部 技術ユニット 風力事業グループ
2012年、筑波大学大学院修了(システム情報工学研究科 構造エネルギー工学専攻)、同年、施設エンジニア(電気)として入社。直江津LNG基地での建設・試運転業務を経て現職。風力事業のプロジェクトマネジャーとして国内外の洋上風力発電事業の開発・管理を担当。
インドネシアで地熱発電 石油・天然ガス開発の技術生かす
■INPEXにとってのSDGs
──自己紹介をお願いします。
もともとは電気のエンジニアですが、現在は再生可能エネルギー・新分野事業本部で国内外の洋上風力プロジェクトの事業開発やプロジェクト管理を担当しています。今の本部に異動したのは2014年、洋上風力の担当になったのは2019年からです。
──まずは、エネルギー企業であるINPEXのSDGsへの取り組みを教えてください。
我々の経営理念は、エネルギーの開発・生産・供給を持続可能な形で実現して豊かな社会に貢献することです。SDGsゴール7番目の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」が我々の目標だと理解しています。一方で石油・天然ガスの開発は、環境や生態系、地域社会に影響を及ぼすリスクもあるので、環境・社会に十分配慮しながら推し進めることで社会が良くなったと思われるような取り組みを目指しています。
──「2050年ネットゼロカーボン社会」の実現を掲げていますね。
二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスの自社排出量を実質ゼロに抑え、2050年のネットゼロカーボン社会実現に貢献するための目標です。水素事業の展開、石油・天然ガス分野のCO₂削減、再生可能エネルギー(再エネ)の強化、カーボンリサイクル・新分野事業、森林保全推進など各分野で具体的な目標数値を設けて取り組んでいます。
「カーボンニュートラルを目指す」といっても、いきなり明日から実現できるわけではなく、時間が必要です。よりクリーンな石油・天然ガスを供給して徐々にCO₂を削減しつつ、今後メインのエネルギー源となる水素や再エネの技術を同時並行で開発する両輪でやっていきます。
──自己紹介をお願いします。
もともとは電気のエンジニアですが、現在は再生可能エネルギー・新分野事業本部で国内外の洋上風力プロジェクトの事業開発やプロジェクト管理を担当しています。今の本部に異動したのは2014年、洋上風力の担当になったのは2019年からです。
──まずは、エネルギー企業であるINPEXのSDGsへの取り組みを教えてください。
我々の経営理念は、エネルギーの開発・生産・供給を持続可能な形で実現して豊かな社会に貢献することです。SDGsゴール7番目の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」が我々の目標だと理解しています。一方で石油・天然ガスの開発は、環境や生態系、地域社会に影響を及ぼすリスクもあるので、環境・社会に十分配慮しながら推し進めることで社会が良くなったと思われるような取り組みを目指しています。
──「2050年ネットゼロカーボン社会」の実現を掲げていますね。
二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスの自社排出量を実質ゼロに抑え、2050年のネットゼロカーボン社会実現に貢献するための目標です。水素事業の展開、石油・天然ガス分野のCO₂削減、再生可能エネルギー(再エネ)の強化、カーボンリサイクル・新分野事業、森林保全推進など各分野で具体的な目標数値を設けて取り組んでいます。
「カーボンニュートラルを目指す」といっても、いきなり明日から実現できるわけではなく、時間が必要です。よりクリーンな石油・天然ガスを供給して徐々にCO₂を削減しつつ、今後メインのエネルギー源となる水素や再エネの技術を同時並行で開発する両輪でやっていきます。
■インドネシア
──日中さんの入社後の経歴を教えてください。
約1年間の新入社員研修を経て、新潟県上越市のLNG(液化天然ガス)受入基地の建設現場に配属されました。オーストラリアで生産しているLNGを日本に船で輸送し、パイプラインを通じて需要家に供給していますが、LNG受入基地は液化して日本に運んできたLNGをガスに戻す施設です。当時は基地を建設中で、建設工事や試運転、運転開始後のトラブル対応を担当しました。現場の事務所で、ずっと作業服でしたね。
LNG受入基地の操業が一段落したこともあり、2014年にもともと関心があった再エネ事業を実施している再生可能エネルギー・新分野事業本部に異動しました。
──何のプロジェクトを担当したのですか。
最初に担当したのはインドネシア・スマトラ島のサルーラ地熱発電事業です。地熱発電事業は地下を調査、掘削し、蒸気を生産するため、我々の石油・天然ガスで培った技術を生かすことができます。また、インドネシアは当社が以前から石油・天然ガスを開発してきた国でもあり、2015年から同プロジェクトに参画しています。
──どんな事業だったのでしょう。
このプロジェクトの出資者は、九州電力、伊藤忠商事、インドネシアのPT Medco Power Indonesia、イスラエルのOrmat Technologies, Inc.という地熱発電設備のメーカー、そしてINPEXの5社です。プロジェクトの実施主体は、5社それぞれの子会社を通じて出資する事業会社・サルーラオペレーションズ社で、出力約 330メガワットの地熱発電所を建設した後、発電する電力をインドネシア国営電力公社に 30 年間にわたって売電する事業です。
──日中さんの具体的な仕事は?
私は出資者の立場であるINPEXの担当者としてこの事業に関わりました。地熱井の掘削や発電所の建設工事は、事業会社であるサルーラオペレーションズ社が担当します。一方、INPEXは事業会社に人材や技術、資金を提供してプロジェクトをサポートするとともに、出資者として事業会社の事業運営方針の意思決定を行います。たとえば、事業会社から毎年、作業計画予算の承認依頼が出資者に来るので、INPEX内部で決裁を取る必要があります。私は計画の内容を確認したうえで、社内決裁を取るための説明資料作成や決裁取得後の事務手続きを担当していました。
出資者の立場でのINPEXのチームは数名です。基本的には東京での仕事ですが、ジャカルタで開かれる事業会社の取締役会に定期的にオブザーバー参加していましたし、建設工事現場にも何回か行く機会がありました。
──エンジニアとはかけ離れた仕事ですね。
INPEXとしても初めての海外での再エネプロジェクトで、最初は本当に分からないことだらけでしたが、上司や関係者のサポートも得ながら、もがきながらやっていくうちに、ひと通りは分かるようになりました。心がけたのは、分からないことをそのまま放置しないということです。
──貴重な経験だったのでしょうね。
若かったこともあり、とにかくがむしゃらに取り組みました。さまざまなトラブルに直面し、その都度対応を迫られましたが、最終的に商業運転を開始したときの達成感は今でも忘れられません。
(写真・インドネシアのサルーラ地熱発電事業の工事現場を訪ねた日中さん=INPEX提供)
──日中さんの入社後の経歴を教えてください。
約1年間の新入社員研修を経て、新潟県上越市のLNG(液化天然ガス)受入基地の建設現場に配属されました。オーストラリアで生産しているLNGを日本に船で輸送し、パイプラインを通じて需要家に供給していますが、LNG受入基地は液化して日本に運んできたLNGをガスに戻す施設です。当時は基地を建設中で、建設工事や試運転、運転開始後のトラブル対応を担当しました。現場の事務所で、ずっと作業服でしたね。
LNG受入基地の操業が一段落したこともあり、2014年にもともと関心があった再エネ事業を実施している再生可能エネルギー・新分野事業本部に異動しました。
──何のプロジェクトを担当したのですか。
最初に担当したのはインドネシア・スマトラ島のサルーラ地熱発電事業です。地熱発電事業は地下を調査、掘削し、蒸気を生産するため、我々の石油・天然ガスで培った技術を生かすことができます。また、インドネシアは当社が以前から石油・天然ガスを開発してきた国でもあり、2015年から同プロジェクトに参画しています。
──どんな事業だったのでしょう。
このプロジェクトの出資者は、九州電力、伊藤忠商事、インドネシアのPT Medco Power Indonesia、イスラエルのOrmat Technologies, Inc.という地熱発電設備のメーカー、そしてINPEXの5社です。プロジェクトの実施主体は、5社それぞれの子会社を通じて出資する事業会社・サルーラオペレーションズ社で、出力約 330メガワットの地熱発電所を建設した後、発電する電力をインドネシア国営電力公社に 30 年間にわたって売電する事業です。
──日中さんの具体的な仕事は?
私は出資者の立場であるINPEXの担当者としてこの事業に関わりました。地熱井の掘削や発電所の建設工事は、事業会社であるサルーラオペレーションズ社が担当します。一方、INPEXは事業会社に人材や技術、資金を提供してプロジェクトをサポートするとともに、出資者として事業会社の事業運営方針の意思決定を行います。たとえば、事業会社から毎年、作業計画予算の承認依頼が出資者に来るので、INPEX内部で決裁を取る必要があります。私は計画の内容を確認したうえで、社内決裁を取るための説明資料作成や決裁取得後の事務手続きを担当していました。
出資者の立場でのINPEXのチームは数名です。基本的には東京での仕事ですが、ジャカルタで開かれる事業会社の取締役会に定期的にオブザーバー参加していましたし、建設工事現場にも何回か行く機会がありました。
──エンジニアとはかけ離れた仕事ですね。
INPEXとしても初めての海外での再エネプロジェクトで、最初は本当に分からないことだらけでしたが、上司や関係者のサポートも得ながら、もがきながらやっていくうちに、ひと通りは分かるようになりました。心がけたのは、分からないことをそのまま放置しないということです。
──貴重な経験だったのでしょうね。
若かったこともあり、とにかくがむしゃらに取り組みました。さまざまなトラブルに直面し、その都度対応を迫られましたが、最終的に商業運転を開始したときの達成感は今でも忘れられません。
(写真・インドネシアのサルーラ地熱発電事業の工事現場を訪ねた日中さん=INPEX提供)
「洋上風力に強みあり」と判断
■洋上風力
──次の仕事は洋上風力ですか。
脱炭素化の流れが強まっていく中で地熱以外の再エネに取り組むこととなり、我々の強みをいかせる分野を検討した結果、洋上風力には可能性があるだろうと判断しました。洋上風力は海の上に風車を設置しますが、我々は海洋構造物を建造・設置し、石油・天然ガスを生産してきましたから。近年では海外の石油メジャーも積極的に洋上風力事業に進出しています。
──どんなプロジェクトですか。
私がいま担当しているのは、「長崎県五島市沖浮体式洋上風力発電プロジェクト」です。長崎県の五島列島の沖に風車を8基設置し、発電した電力を20年間にわたり売電する事業です。この事業は商用では国内で初めて浮体式による洋上ウィンドファーム(集合型風力発電所)を建設・運営するもので、再エネ海域利用法に基づいて建設する洋上風力発電所としても国内初となります。戸田建設を中心に大阪ガス、ENEOS、関西電力、中部電力、INPEXの計6社が出資する事業会社を通じて事業を推進しています。2024年の商業運転開始を目指して、今まさに現場で工事が進んでいます。8基で計1万6800キロワットの発電量となる予定です。
──日中さんの仕事内容は?
インドネシアの地熱と同じように出資者の立場でプロジェクトの管理、運営会社のサポートをしています。出資者としての業務に加えて、事業会社の業務をサポートすることも増えてきていて、インドネシアの地熱を担当していたときよりも成長できていると感じています。
──何人で担当しているのですか。
五島沖の洋上風力発電プロジェクトは私を含めて数名で担当しています。組織という意味では、当本部に加えて財務、経理、法務、技術などの担当者がさまざまな面から関わってプロジェクトを支えています。
──洋上風力の課題は?
洋上風力のライフサイクルは、調査に始まり、建設、操業、撤去までざっと30年間にわたりますが、これまでは海域を長期的に占用する法律が整備されていませんでした。その中で2019年に再エネ海域利用法(海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律)が施行されました。これは国が洋上風力の設置海域を決めるもので、当該海域を開発する事業者は入札で決め、選定された事業者には30年間の海域の占用権が付与されます。これによって今後、日本でも洋上風力の導入が広がると見込まれています。
また、事業の実施にあたっては漁業者の方々を含む地域の関係者の同意が不可欠です。そのため、国が設置する法定協議会を通じて関係者の方々の声を真摯に受け止め、対策を講じています。洋上風力はクリーンなエネルギーを供給する観点からはSDGsにつながりますが、だからといって、何をやってもいいというわけではありません。
──次の仕事は洋上風力ですか。
脱炭素化の流れが強まっていく中で地熱以外の再エネに取り組むこととなり、我々の強みをいかせる分野を検討した結果、洋上風力には可能性があるだろうと判断しました。洋上風力は海の上に風車を設置しますが、我々は海洋構造物を建造・設置し、石油・天然ガスを生産してきましたから。近年では海外の石油メジャーも積極的に洋上風力事業に進出しています。
──どんなプロジェクトですか。
私がいま担当しているのは、「長崎県五島市沖浮体式洋上風力発電プロジェクト」です。長崎県の五島列島の沖に風車を8基設置し、発電した電力を20年間にわたり売電する事業です。この事業は商用では国内で初めて浮体式による洋上ウィンドファーム(集合型風力発電所)を建設・運営するもので、再エネ海域利用法に基づいて建設する洋上風力発電所としても国内初となります。戸田建設を中心に大阪ガス、ENEOS、関西電力、中部電力、INPEXの計6社が出資する事業会社を通じて事業を推進しています。2024年の商業運転開始を目指して、今まさに現場で工事が進んでいます。8基で計1万6800キロワットの発電量となる予定です。
──日中さんの仕事内容は?
インドネシアの地熱と同じように出資者の立場でプロジェクトの管理、運営会社のサポートをしています。出資者としての業務に加えて、事業会社の業務をサポートすることも増えてきていて、インドネシアの地熱を担当していたときよりも成長できていると感じています。
──何人で担当しているのですか。
五島沖の洋上風力発電プロジェクトは私を含めて数名で担当しています。組織という意味では、当本部に加えて財務、経理、法務、技術などの担当者がさまざまな面から関わってプロジェクトを支えています。
──洋上風力の課題は?
洋上風力のライフサイクルは、調査に始まり、建設、操業、撤去までざっと30年間にわたりますが、これまでは海域を長期的に占用する法律が整備されていませんでした。その中で2019年に再エネ海域利用法(海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律)が施行されました。これは国が洋上風力の設置海域を決めるもので、当該海域を開発する事業者は入札で決め、選定された事業者には30年間の海域の占用権が付与されます。これによって今後、日本でも洋上風力の導入が広がると見込まれています。
また、事業の実施にあたっては漁業者の方々を含む地域の関係者の同意が不可欠です。そのため、国が設置する法定協議会を通じて関係者の方々の声を真摯に受け止め、対策を講じています。洋上風力はクリーンなエネルギーを供給する観点からはSDGsにつながりますが、だからといって、何をやってもいいというわけではありません。
欧州3カ所の洋上風力取得 ノウハウ生かし事業拡大へ
■欧州
──他にも担当プロジェクトがあるのですか。
昨年から今年にかけて欧州の稼働済みの洋上風力発電プロジェクトを3件取得し、欧州にそれを管理する子会社を設立しました。オランダで2カ所とスコットランドです。欧州は洋上風力の導入が世界で最も進んでいるエリアです。欧州の拠点を通じて、欧州での洋上風力事業の拡大を目指すとともに、そこで得た知見や経験を日本をはじめとする国での事業拡大に生かしていきたいと考えています。
──欧州事業での日中さんの役回りは?
洋上風力プロジェクトの取得にあたっては、プロジェクトチームを作り、財務、法務、技術など様々な側面からプロジェクト価値を評価する「デューデリジェンス」という作業があります。私はプロジェクトマネジャーの下でスケジュールや各チームの成果物の管理などをしていました。専門分野が多岐に渡るため、非常に多くの社員が関わりました。
(写真・INPEXが取得したオランダの洋上風力発電プロジェクト=同社提供)
■やりがい
──洋上風力事業のやりがいは?
五島のプロジェクトは建設工事中で、現場からの報告で日に日に発電設備がつくられていくのを直に感じられます。全8基が運転開始した暁には、国内初の洋上風力の入札1号案件でもあるので、日本の洋上風力推進のPRにもなります。運転開始を待ちわびています。
──欧州の買収案件はどうでしょう。
デューデリジェンスの後は、子会社の予算、資金計画、必要作業の洗い出しやマニュアル化など、現地子会社の立ち上げにかかわる業務を担当しました。私にとっては初めての経験だったので非常に大変でしたが、上司や関係者のサポートも得ながら一つひとつ作業をこなしていきました。インドネシアのプロジェクトの経験が生きましたね。
──新規事業ならではの苦労もあるのでしょうね。
プロジェクトは計画通りには進まず、大なり小なり計画とのギャップが生じます。技術面、資金、契約など、いろんな側面から生じるギャップに対処しつつプロジェクトを前に進めなければなりません。この課題解決のために社内外のサポートを得ながら進めていくのは大変ですが、非常にやりがいがあります。
(後編に続く)
(インタビュー写真・植田真紗美)
──他にも担当プロジェクトがあるのですか。
昨年から今年にかけて欧州の稼働済みの洋上風力発電プロジェクトを3件取得し、欧州にそれを管理する子会社を設立しました。オランダで2カ所とスコットランドです。欧州は洋上風力の導入が世界で最も進んでいるエリアです。欧州の拠点を通じて、欧州での洋上風力事業の拡大を目指すとともに、そこで得た知見や経験を日本をはじめとする国での事業拡大に生かしていきたいと考えています。
──欧州事業での日中さんの役回りは?
洋上風力プロジェクトの取得にあたっては、プロジェクトチームを作り、財務、法務、技術など様々な側面からプロジェクト価値を評価する「デューデリジェンス」という作業があります。私はプロジェクトマネジャーの下でスケジュールや各チームの成果物の管理などをしていました。専門分野が多岐に渡るため、非常に多くの社員が関わりました。
(写真・INPEXが取得したオランダの洋上風力発電プロジェクト=同社提供)
■やりがい
──洋上風力事業のやりがいは?
五島のプロジェクトは建設工事中で、現場からの報告で日に日に発電設備がつくられていくのを直に感じられます。全8基が運転開始した暁には、国内初の洋上風力の入札1号案件でもあるので、日本の洋上風力推進のPRにもなります。運転開始を待ちわびています。
──欧州の買収案件はどうでしょう。
デューデリジェンスの後は、子会社の予算、資金計画、必要作業の洗い出しやマニュアル化など、現地子会社の立ち上げにかかわる業務を担当しました。私にとっては初めての経験だったので非常に大変でしたが、上司や関係者のサポートも得ながら一つひとつ作業をこなしていきました。インドネシアのプロジェクトの経験が生きましたね。
──新規事業ならではの苦労もあるのでしょうね。
プロジェクトは計画通りには進まず、大なり小なり計画とのギャップが生じます。技術面、資金、契約など、いろんな側面から生じるギャップに対処しつつプロジェクトを前に進めなければなりません。この課題解決のために社内外のサポートを得ながら進めていくのは大変ですが、非常にやりがいがあります。
(後編に続く)
(インタビュー写真・植田真紗美)
SDGsでメッセージ!
INPEXはエネルギーの開発会社で、SDGsでは7番目のゴール「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」がメインで関わってくるところです。石油・天然ガスの開発が本業なので、将来的にどうなのかという目線で見る学生もいると思いますが、よく会社を見てもらうと、長期的な視野に立って次世代の再生可能エネルギー、水素、それらを支える技術へも積極的に投資しているので、いろんなエネルギーのいろんな分野に関与できる機会があります。石油・天然ガスも当面は必要なエネルギーで、求めている国も多くあります。それを供給できるやりがいもありますし、その次のエネルギーの開発に関与できるチャンスも十分あるのがINPEXの一番の魅力です。そうした切り口で見てもらうと、INPEXの魅力を分かってもらえると思います。
株式会社INPEX
【資源・エネルギー開発】
株式会社INPEXは、日本最大級の総合エネルギー開発企業です。日本のエネルギー消費量の約1割を、オーストラリアをはじめとする世界各地で開発生産しています。
Energy Transformation(EX)のパイオニアとして、石油・天然ガスから水素、再生可能エネルギーまで多様でクリーンなエネルギーの安定供給を目指しています。ネットゼロカーボン社会を理想から現実に。そのような思いで2022年に策定した「INPEX Vision@2022」の達成に向けて、エネルギーの安定供給とEXの二刀流で果敢に挑戦しています。
2024/12/04 更新
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※就活割に申し込むと、月額2000円(通常3800円)で朝日新聞デジタルが読めます。
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