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ダイキン工業株式会社
ダイキン工業〈後編〉担当するサービスの普及がSDGsにつながる 等身大で話せた面談【SDGsに貢献する仕事】
2023年02月01日
(前編はこちら)
(冒頭のSDGsアイコンは、ダイキン工業がとくに重視するゴール)
【お話をうかがった社員のプロフィル】
●田上葉子(たのうえ・ようこ)さん(写真左)=サービス本部 東日本サービス部 ソリューション営業担当課長
2009年、フェリス女学院大学文学部卒、同年入社。サービス本部 東日本コンタクトセンター、サービス本部 東日本サービス部 アカウントビジネスグループ(ソリューション営業担当)、同部 事業推進グループのグループリーダーなどを経て現職
●高岸佑季(たかぎし・ゆき)さん(写真右)=サービス本部 東日本サービス部 ソリューション営業グループ
2020年、広島大学生物生産学部卒、同年入社。東日本サービス部 大手法人担当グループを経て現職
営業にも機械・熱など総合的な知識必要 勉強は大変!
──ソリューション営業の大変なところを教えてください。
高岸 いろんな分野の知識が必要なので、勉強が大変です!私は大学で生物を学んだのですが、空調は熱の移動なので物理分野です。化学の知識も必要ですし、機械の故障原因、IoTや通信……あらゆる知識を吸収しなきゃいけません。
──どんな勉強をしているのですか。
高岸 当社は研修制度が充実していて、空調機を修理するエンジニアと一緒に研修を受けています。「サービス大学」という研修プログラムがあり、エンジニアと同じ作業服を着て、実際に工具を持って修理もします。先日もIoT機器のセッティング方法の研修を受けました。入社後2年間は研修が多かったのですが、今は2カ月に1回くらいで、仕事8対研修2の割合です。
田上 新入社員や若手の営業担当もエンジニアと一緒に空調機を設置するような研修を受けます。営業に必要な知識を付けるために資格の勉強もしていて、高岸さんは電気工事士の資格試験を年末に受けました。
──ほかにも必要な資格は?
高岸 営業に資格が必要なわけではありませんが、空調の知識を深めるために、第一種冷凍機械責任者の資格試験を受け、結果待ちです。さらに建物の環境認証の資格やエネルギー管理士にも挑戦しようと考えています。
田上 1~3年目くらいの若手社員を中心にこうした勉強をします。技術営業の新入社員研修では、空調営業本部とサービス本部が同じ研修を一緒に受けます。どちらの知識も付けて、幅広い提案ができる営業担当になってほしいからです。
──ソリューション営業は「技術営業」の面が強いのですか。
田上 強いですね。数年前に技術営業職の採用を始め、その初年度に入ったのが高岸さんです。ソリューション営業には、機械、建物、熱などの知識が必要です。総合的な知識を持って活躍できる営業がますます必要になるので、「技術営業」という職種を設けて採用も変えました。
──ほかに大変なところは?
高岸 全部大変です(笑)。知識が足りず、会社の先輩やグループ会社の人に教えてもらったり、助けてもらったりしています。電気や設備を熟知しているお客様だと、最初は話を取り逃がさないことで精一杯。持ち帰って先輩に聞いて「これのことだったんだ」というように、OJT(オンザジョブトレーニング)で学ぶことが多いです。全部メモするんですが、それでも分からないことがあって、帰ってから何回もお客様に電話して「これってこうですか」とか……。
──日々の仕事でSDGsへの貢献を感じるのは?
高岸 エネルギーマネジメントでは、消費電力の削減で貢献していると思います。IoT機器を用いた保守契約では、年2回現地に行って点検していたところをIoT機器をつなぐことで年1回に減らせます。移動量が減る分、CO₂排出量も削減できます。担当しているサービスを普及させることがSDGsにつながると感じます。
空調機にはいろんな部品があって、納入後7~8年目に経年による故障が増えてきます。ご利用年数や運転時間・運転データに応じて、故障する前に定期的な部品交換を提案します。これもSDGsの「つくる責任、使う責任」を果たしているかなと。
──故障してから部品を変えるのと、故障前の交換では何が違うのですか。
高岸 故障すると空調機の寿命が縮むといわれていますし、機器を使えないダウンタイムも長くなります。大きな故障になる前に、運転データから分かる運転時間や部品の状態をもとに新しい部品に交換すれば、ダウンタイムも短くなり、長く安心して使えます。
田上 空調機の心臓部である圧縮機や、頭脳である制御基板を最新の部品に入れ替える「レトロフィットメンテナンスプラン」は、2016年度の省エネ大賞で経済産業大臣賞を受賞しました。空調機を全て更新するのではなく部品だけを交換することで費用も時間も抑えることができ、快適性と省エネ性も上がります。
「環境問題を解決できる仕事」を軸に就活
──高岸さんは入社前からSDGsに興味があったのですか。
高岸 もともとすごく興味があり、中学生のころから環境問題を解決できる仕事がしたいと思っていました。エアコンのフロンガスが地球のオゾン層を破壊しているという記事を読んで怖くなって、地球が破壊されていくんだ、エアコンって悪いんだ、と思ったんです。そこから環境に興味を持ち、高校も京都の自然科学科を選びました。大学では農業、漁業、畜産業など自然に関わるビジネスを学び、海洋生態系の研究室でサンゴ礁と地球温暖化の関わりを卒業研究にしました。
──就活ではどんな業界を?
高岸 環境に関わる会社を軸に、ダイキンも含め、下水道のポンプや水門をつくるメーカー、環境アセスメントの会社などを見ていました。数社の内定をいただきましたが、フロンガスから地球環境に興味を持った私にとっては、空調機メーカーで働くのがいいのかなと。空調機は私たちのくらしに必要不可欠ですが、かつての自分のように地球に悪いという印象を持っている人もいるかもしれません。逆に環境を良くする形で使えるようにする仕事はすごく面白そうだなと思って、それが一番大きかったです。あと、採用面談で等身大で話せたうえで内定をもらえたことです。
──他社とは何が違ったのですか。
高岸 他社の最終面接では役員7~8人からいろいろ質問される会社もあって、怖いというか緊張しました。でも、ダイキンは役員3人で、温かいお茶をいただきながら受けました。話もフランクに聞いてくれて、あまり緊張せずに面談を終えることができました。話の流れで「私の前世は何だったか」というような話も挟んだぐらいです(笑)。それで内定をもらえたので、無理せず自分らしく働けるのかなと思ったのも入社の決め手の一つです。
──技術営業の1期生でしたね。募集要項を見て「これだ」と?
高岸 そうですね。もともと営業職と技術職で迷っていて、技術営業ならどっちもできるじゃないかと。技術営業で入ると、空調営業本部かサービス本部のどちらかに配属が決まっています。私は、サービス本部でエネルギーマネジメントの提案営業をしたいと思いサービス本部を希望しました。
──田上さんはなぜこの業界に?
田上 業界や職種を絞らず、いろいろな会社の説明会に行きました。「この会社、好きかもしれない」「この会社が言ってることは納得できる」と、感覚でいいなと思った会社に応募しました。当時ダイキンは日本では一番で、次はグローバルナンバーワンを目指している時期でした。まだSDGsという言葉はありませんでしたが、環境に配慮した製品の開発を進めているという説明はしていました。
ダイキンに決めた理由は高岸さんと似ていて、採用面談が面接というよりお話ししている感覚で、就活生としてではなく私自身を見てくれていると感じたことです。「何でも質問していいよ」と言われたので、「私のどこを評価してくれたのですか」と聞いたら、かなり詳細に「こういうところが良い」とその場でフィードバックをしてくれて、こんな会社があるんだと。役員に何でも聞ける説明会もありました。就活生十数名に対し役員が1人来て、みんなが好きに質問をする会で身近に感じました。「せっかく来てくれたのだから、何かプラスになるものを持って帰ってもらいたい」という気持ちが伝わってきて、この会社なら長く働けると思いました。
■普段の生活とSDGs
──普段の生活でSDGsを意識していることは?
高岸 フードロスの削減です。一人暮らしなので、食べきれる量の買い物をするとか、エコバッグを持っていくよう意識しています。会社に入ってからはエアコンのフィルターをちゃんと掃除するようになりました。消費電力を削減できますし、空気がきれいになるので。
田上 室外機の前に物を置かないことと、買いだめをしないことを心がけています。食べ物もそうですが、洋服や身の回りの物を増やしすぎると管理しきれないし、余計な物まで買ってしまいます。バッグや洋服は再生資源を再利用したものを選ぶときもありますね。
女性活躍推進に力 新人研修で人との関わりを体感
──SDGsには、働き方やジェンダーもあります。就活生にアピールしたいことは。
田上 ダイバーシティマネジメントの取組みの一つとして、女性活躍推進に力を入れています。女性には上に立つことに自分自身で無意識に歯止めをかけてしまう傾向がありますが、研修を経てリーダーには女性も男性も関係なく、私自身が会社の発展を担っていくんだというマインドセットができました。視野を広く・視座を高く持つことや、部署内はもちろん他部署とも縦横斜めの関係を築き連携することなど、研修があったからこその気付きを大切にしながら、管理職としてスタートしたところです。
高岸さんも「等身大で話せた」と言いましたが、ダイキンはその人自身の強みや個性を見て、適材適所で活躍できるようなマネジメントを大切にしています。ときには厳しい仕事を与えたり、若手にチャレンジングな案件を任せたりもしますが、成長のためです。そういう風土の会社です。
──高岸さんの同期の女性比率は?
高岸 3割ほどだと思います。私の代の技術営業で、サービスに配属された8人のうち3人は女性でした。
──どんな社員が多いのでしょう。
田上 人に対して興味を持つ人が多いですね。社員、管理職、役員、みんなそうで、研修でも対話を重視します。その人のことを知って、何か言ってあげられることがないか、してあげられることはないかと常に考えているんです。創業当初から「人を基軸におく経営」という企業文化がある会社です。SDGsの考え方にもつながるところだと思います。
──新入社員研修からそういう話があるのですか。
田上 まさに「人と向き合って、自分を見つめ直して、人と対峙して、対話をして」と最初の研修で言われました。1週間、鳥取県の研修施設で、100人前後の新入社員を10グループほどに分けて、新入社員約10人につき先輩が2~3人ついて徹底的に対話をします。今の自分の強み弱みは何か、班の他のメンバーの強み弱み、一人ひとりの個性がどこにあるのかを見つめ直す研修です。入社直後に人と人との深いかかわりを体感することで、職場に配属されてからもやっていけそう、という自信を身に付けます。リーダー役の先輩社員にとっても、社員のモチベーションや意欲をどう引き出せばいいかを学ぶ研修です。
──売上高が3兆円を超えたそうですね。
田上 空調機の販売台数では、手ごろな価格の商品を大量に販売する海外メーカーのほうが多いのですが、機器やソリューションサービス含めた空調事業の売上高は当社が世界一です。業務用(ビル用マルチエアコン等)では大方の地域でナンバーワンですし、住宅向けは地場のメーカーが強い国もありますが、多くの国で上位シェアをとっています。
(写真・小暮誠)
SDGsでメッセージ!
ダイキン工業では、空調のエネルギー削減、CO₂の排出量削減などを通してSDGsに貢献できます。また、ダイキンはイノベーション人材を歓迎しています。実際のエントリーシートにもイノベーションを起こした経験を書くんですよ。私は書くのに1週間くらいかかりました。でも、それくらい新しいことをつくれる人を求めています。自分でやりたいことを見つけられる人だったら、新しいSDGsをダイキンで始めることもできるのかなと。そういう環境はすごく整っています。実際、私の職場でも有志が集まって月に1回、SDGsの会をやっています。勉強会も兼ねながら、それぞれがテーマを持って、実際の業務の中でSDGsができるところはないかと考えています。(高岸さん)
今SDGsを掲げ、取り組んでいる企業は多くあります。ただ、その企業に合わせて何かを研究するんじゃなくて、自分自身の興味関心が向くところを掘り下げ、なぜなのかを考えてみてほしいと思います。やりたいこと、関心があることがダイキンの事業とリンクしているのであれば、それをきっかけにダイキンのことをもっと知ったり、社員の話を聞く機会に参加したりしてもらえるとうれしいですね。当社では、あるテーマに対する強い気持ちや専門知識、実行力がある人に、役職や年齢に関係なく「このテーマのリーダーはこの人だね」と任せる風土があります。ぜひ、見つけた目標を大切にしてください。(田上さん)
ダイキン工業株式会社
【空調メーカー】
ダイキン工業は世界で唯一、冷媒から機器開発、製造・販売、アフターサービスまで自社で手掛ける総合空調メーカーです。1924年に大阪で創業し、1982年に日本初のビル用マルチエアコンを発売、1999年には世界初の無給水加湿技術を搭載した「うるるとさらら」を発売するなど、革新的な商品や技術で業界をリードしてきました。
現在も、独自の技術で環境配慮型の製品・サービスを開発し、世界170カ国以上で愛されています。
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※就活割に申し込むと、月額2000円(通常3800円)で朝日新聞デジタルが読めます。
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