SDGsに貢献する仕事

ダイキン工業株式会社

  • すべての人に健康と福祉を
  • エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 住み続けられるまちづくりを
  • つくる責任 つかう責任
  • 気候変動に具体的な対策を

ダイキン工業〈前編〉環境貢献が事業そのもの ソリューション営業で困りごと解決【SDGsに貢献する仕事】

2023年01月25日

 SDGs(持続可能な開発目標)関連の業務に携わっている若手・中堅社員に直撃インタビューする「SDGsに貢献する仕事」の第5回は、世界ナンバーワンの空調メーカー・ダイキン工業です。地球温暖化で空調は世界中でなくてはならないインフラとなりましたが、電力の消費量も増える一方。カギを握るのは省エネです。業界のリーダーにとって、安心・安全な空気の提供と環境への貢献は「事業そのもの」であり社会的使命だと言います。若手社員もSDGsへの貢献を日々実感していました。(編集長・木之本敬介)

(冒頭のSDGsアイコンは、ダイキン工業がとくに重視するゴール)

【お話をうかがった社員のプロフィル】
●田上葉子(たのうえ・ようこ)さん(写真左)=サービス本部 東日本サービス部 ソリューション営業担当課長
2009年、フェリス女学院大学文学部卒、同年入社。サービス本部 東日本コンタクトセンター、サービス本部 東日本サービス部 アカウントビジネスグループ(ソリューション営業担当)、同部 事業推進グループのグループリーダーなどを経て現職
●高岸佑季(たかぎし・ゆき)さん(写真右)=サービス本部 東日本サービス部 ソリューション営業グループ
2020年、広島大学生物生産学部卒、同年入社。東日本サービス部 大手法人担当グループを経て現職

安心・安全な空気と環境を提供 温暖化への影響減らす使命

■自己紹介
 ──自己紹介をお願いします。
 田上さん 入社14年目で、2022年10月に管理職に就きました。高岸さんら営業メンバーと現場の工事やエネルギー診断をする技術担当メンバー、計約20人が在籍するソリューション営業グループの課長をしています。もう一つ、営業の進捗管理や事業拡大に向けて市場の情報収集・発信をする事業推進グループの仕事も兼任しています。
 高岸さん 入社3年目で、法人のお客様に空調機のメンテナンスを提案する仕事をしています。

■SDGsへの取り組み
 ──ダイキン工業がSDGsに取り組む姿勢を教えてください。
 田上 主力事業の空調は、電気・水道といったインフラと同じぐらい生活に浸透し、なくてはならないものになっています。熱中症の予防や空気の質の改善を通してみなさんの健康に役立っていると思います。赤道直下など気温が高くて人が住めなかったところや、快適には暮らせなかったところに空調機が普及することで経済発展にも貢献できています。
 ただ、世界的に空調の需要が2050年には今の3倍に膨れ上がると予想されています。電力需要がその分増えるという課題にも取り組まなければいけません。コロナ対策で空気の質が注目され、安心で安全な空気の需要が増えています。今は安心、快適に過ごせる空気と環境を提供できていますが、今後も長く提供し続けられるよう事業を継続することが大切です。温暖化への影響を限りなく減らしていくのがダイキンの社会的な使命だと思っています。

 ──「環境ビジョン2050」を掲げていますね。
 田上 2050年に温室効果ガス排出実質ゼロを目指す目標です。空調の世界トップメーカーなので、リーダーとしての使命感、責任感も非常に感じています。全世界の総消費電力のうち1割がエアコンといわれていて、省エネ性の高いものを世の中に送り出すことが、電力不足、カーボンニュートラルという意味でも大事です。環境貢献を事業のかたわらでするのではなく、事業そのものに直結している点が他のビジネスとは違うところで、やりがいも大きいですね。

 ──具体的な取り組みを教えてください。
 田上 当社は、独自の環境技術を多く持っていて、それらをグローバルに普及させることで、世界の二酸化炭素(CO₂)排出量の削減に貢献したいと考えています。
 最近ヨーロッパでは、日本の一般的なエアコンにも用いられているヒートポンプ技術を使った暖房機の需要が高まっています。これまではガスやオイルを使う燃焼式暖房が主流でしたが、環境意識の高まりや近年の情勢不安による資源価格の高騰などにより、少ない電力で暖めることができるヒートポンプが注目されています。
 温暖化への影響が少ない冷媒(フロンガス)の普及も重要です。現在のエアコンに使われる冷媒には、CO₂の数百倍から数千倍の温室効果があります。当社は、温暖化に与える影響が従来の3分の1以下の冷媒R32を採用した空調機を普及させることでCO₂排出量の削減に貢献しています。R32の関連特許を全世界に無償で開放するようなこともしています。

 ──特許を開放したらもうからないのでは?
 田上 特許を開放するなんて普通は考えられないと思いますが、無償で誰でも使えるようにすると、R32を採用した製品が市場に多く出回り、その結果、当社の製品も受け入れてもらいやすい市場を作れるという考えです。技術を自社だけで囲い込むのではなく、他の空調メーカーにも広く使ってもらえるように活動し、空調業界全体の脱炭素化に取り組んでいます。
 冷媒は大気放出されると温暖化が進んでしまいますので、まず漏れないようにしたり、空調機を廃棄するときはきちんと回収したりすることも大切です。世の中で循環している冷媒をしっかり把握して漏れないようにし、回収・再生率を高めていくためのプラットフォームの実証実験を進めているところです。

 ──「空気を“はぐくむ森”プロジェクト」もあるそうですね。
 田上 「森は地球のエアコン」をキャッチフレーズに取り組んでいる森林保全プロジェクトです。日本、インドネシア、ブラジルなど世界7カ所で国際NGOと協力しながら進めている活動です。世界自然遺産に登録されている知床では、植樹だけでなく、その価値を次の世代に伝えるために子どもや学生の環境教育のサポートもしています。
 社員もボランティアとして参加しています。参加した人からは「環境問題をより自分事として考えるきっかけになった」「ダイキンとして取り組んでいることが実感できた」と聞きました。

IoTで空調機データを24時間365日監視 フロンの管理も

■高岸さんの仕事
 ──高岸さんの仕事について教えてください。ソリューション営業って何ですか。
 高岸 お客様が空調機を使ううえでの困りごとに対して解決策を提案する仕事です。私は、空調機を所有している不動産会社や建物の管理会社をメインに担当しています。お客様は空調機が故障したら修理依頼をしないといけないし、買い替えるなら計画を立て予算を取らないといけません。ほかにも電気やエレベーターなどの設備を管理しているので、気に掛けなければならないことがたくさんあります。そこで、空調機の管理にかかる手間を減らしたり、故障して使えなくなってしまうダウンタイムを短くしたりするサービスを提案するのがソリューション営業です。空調機使用時のエネルギーを削減するエネルギーマネジメントの提案もします。

 ──空調機の利用者は、どう便利になるのですか。
 高岸 たとえば、空調機にIoT(モノのインターネット)機器を取り付け、遠隔で監視できるようにします。空調機のデータを当社で24時間365日 監視して、故障したら出動して修理します。もし夜間や休日のオフィスに誰もいない時に、重要なサーバーを冷やしている空調機が故障したとしても、すぐに気付くことができます。
 田上 法令への対応もサポートします。2015年にフロン排出抑制法が施行され、空調機を所有しているお客様自身がフロンが漏れていないかを管理しなければならなくなりました。そこでIoT機器による監視や管理ができる仕組みをつくりました。

 ──現場に行かなくてもデータで点検できる?
 高岸 はい。これまでは法令により3カ月に1回、現地での目視点検が必要でしたが、2022年の法改正でIoT機器による常時監視システムが目視点検と並ぶ点検手法の一つとして位置づけられました。現場にいなくても、フロンの漏洩をすぐに把握し対応できるので、フロンの漏洩や目視点検にかかる工数を削減できるというサービスです。

 ──ほかにはどんな困りごとがありますか。
 高岸 省エネのほか、最近だとウイルス対策や空気質の改善に関する困りごとが多いですね。室内機の水漏れ対策もあります。

 ──エネルギーマネジメントとは?
 高岸 エネルギーマネジメントも、高機能なIoT機器のコントローラーを空調機に接続して行います。空調機を使っていると、切り忘れたり、必要以上の温度設定のまま過ごしたりしてしまうことがあります。そうしたチリツモで消費電力がどんどん増えてしまうので、18時以降は自動的に運転を切る、冷房の使用時には暑さがピークになる12時から15時は26度に設定しそれ以降は28度に戻す、といった細かい設定を組み込みます。自動的に省エネ運用ができるサービスです。お客様のご利用状況から、ここに電力削減の余地があるのではといった運用改善のアドバイスもしています。

 ──1人で何社担当しているのですか。
 高岸 私は建物の管理会社、不動産会社、レジャー施設といったお客様を約10社担当しています。
 レジャー施設の会社は東日本だけで40弱の施設を管理運営しているので、全国のたくさんの空調機を当社で遠隔監視しています。ホテルのお客様も担当しています。故障するとホテルの部屋が使えなくなってしまうので遠隔監視と緊急出動サービスを採用していただいています。

 ──施設に直接行くこともある?
 高岸 IoT機器を取り付けるときには、空調機の場所や室内機と室外機の距離を下見しないといけないので、必ず行きます。技術員と一緒に現地に行って、屋上の室外機を一台一台すべてチェックすることもあります。

空調のエネルギーとCO₂の削減でSDGsに貢献

■営業の仕事
 ──高岸さんのような営業担当者は何人いるのですか。
 田上 ソリューション営業グループには10人くらいです。ほかにもディベロッパーを担当するグループ、ダイキンとユーザーの間に入る代理店や販売店に営業するグループがあります。

 ──空調機の営業というと、他社よりダイキンのエアコンがいいですよ、と売り込むイメージでした。
 田上 当社製の空調機を選んでいただくための営業は、空調営業本部という部署が担当しています。私たちサービス本部のソリューション営業は、アフターサービスとしてお客様の困りごとを解決したり、長く安心して利用していただけるようサポートしたりします。空調機・システムの導入から運用・管理まで、空調営業本部とサービス本部で連携してお客様に提案をしています。サービス本部のソリューション営業は、全国で約80人、私がいる東日本サービス部は40人くらいです。

 ──仕事のやりがいや意義を感じるところは?
 高岸 お客様の困りごとを解決できるのが面白いですね。空調機の修理を手ごろな価格で提供している業者はたくさんいますが、多少値段が張ってもメーカー(ダイキン)の正規のメンテナンスを選ばれる方もいます。たとえばオフィスビルの中でも「来客や役員が使う大切な部屋だからダイキンでアフターメンテナンスしてほしい」といった要望をいただくこともあります。信頼していただいている証拠だと思いますし、うれしいですね。
(後編に続く)

(写真・小暮誠)

SDGsでメッセージ!

 ダイキン工業では、空調のエネルギー削減、CO₂の排出量削減などを通してSDGsに貢献できます。また、ダイキンはイノベーション人材を歓迎しています。実際のエントリーシートにもイノベーションを起こした経験を書くんですよ。私は書くのに1週間くらいかかりました。でも、それくらい新しいことをつくれる人を求めています。自分でやりたいことを見つけられる人だったら、新しいSDGsをダイキンで始めることもできるのかなと。そういう環境はすごく整っています。実際、私の職場でも有志が集まって月に1回、SDGsの会をやっています。勉強会も兼ねながら、それぞれがテーマを持って、実際の業務の中でSDGsができるところはないかと考えています。(高岸さん)

 今SDGsを掲げ、取り組んでいる企業は多くあります。ただ、その企業に合わせて何かを研究するんじゃなくて、自分自身の興味関心が向くところを掘り下げ、なぜなのかを考えてみてほしいと思います。やりたいこと、関心があることがダイキンの事業とリンクしているのであれば、それをきっかけにダイキンのことをもっと知ったり、社員の話を聞く機会に参加したりしてもらえるとうれしいですね。当社では、あるテーマに対する強い気持ちや専門知識、実行力がある人に、役職や年齢に関係なく「このテーマのリーダーはこの人だね」と任せる風土があります。ぜひ、見つけた目標を大切にしてください。(田上さん)

ダイキン工業株式会社

【空調メーカー】

 ダイキン工業は世界で唯一、冷媒から機器開発、製造・販売、アフターサービスまで自社で手掛ける総合空調メーカーです。1924年に大阪で創業し、1982年に日本初のビル用マルチエアコンを発売、1999年には世界初の無給水加湿技術を搭載した「うるるとさらら」を発売するなど、革新的な商品や技術で業界をリードしてきました。  現在も、独自の技術で環境配慮型の製品・サービスを開発し、世界170カ国以上で愛されています。