SDGsに貢献する仕事

積水ハウス株式会社

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  • 陸の豊かさも守ろう

積水ハウス〈後編〉「男性育休1カ月以上」ほぼ100% すべての仕事がSDGs関連と実感【SDGsに貢献する仕事】

2022年08月10日

 「SDGsに貢献する仕事」をしている若手・中堅社員に聞く新シリーズの第2弾、積水ハウスの後編です。17ゴールのうち12に関わっているという同社。ハウスメーカーには「厳しい仕事」というイメージもありましたが、近年、働き方が劇的に変わったといいます。今では育児休業を1カ月以上取る男性社員がほぼ100%、仕事ができる人ほど早く帰るし、育児経験は仕事にもいきるそうですよ。(編集長・木之本敬介)
前編はこちら

(冒頭のSDGsアイコンは、積水ハウスがとくに重視するゴール)

【お話をうかがった社員のプロフィル】
●大家有喜(おおや・ゆうき)さん/ESG経営推進本部
 2014年、慶応義塾大学文学部卒(アメリカンフットボール部所属)、同年入社し東日本特建支店配属(RC造賃貸住宅新築営業、リノベーション営業)、兵庫シャーメゾン支店(鉄骨造賃貸住宅新築営業)を経て、2021年から現職

■プログラミング的思考を養う教育
 ──大家さんの仕事の三つ目は教育ですね。
 「プログラミング教育」といっていますが、最近、小学校でも始まったプログラミング教育とは違い、プログラミング的思考を養うもので、家づくりを学んでもらっています。積水ハウスには「Tomorrow’s Life Museum」(TLM)という、工場に隣接する住宅展示施設が全国に5か所(東北、関東、静岡、関西、山口)あります。その近隣の小学生を対象に、積水ハウスの家づくりを実際に見て、学んでもらう教育プログラムです。私はその授業準備や各部署との調整役を担っています。中学校の家庭科や総合的学習の時間に、「出前授業で住教育をしてほしい」という依頼もあります。

 ──どんな話をするのですか。
 積水ハウスの企業説明と、「5本の樹」計画、エネルギーや緑の豊かさを守る街づくりの話などをします。仙台の中学校では、2年生の半数以上が積水ハウスの分譲地に住んでくれていました。コロナ禍だったので、リモートで仙台の事業所と学校をつなぎ、「みなさんが住んでいる街はこうやってデザインされています」「道路は碁盤の目のようにはせず、意図的にカーブをつくって車のスピードが出過ぎないようにして事故が起きにくくしています」「生物多様性のために5本の樹のシンボルツリーを植えています」といった説明をしました。仙台の社員がカメラを持って現地からリポートしてくれました。
 授業前に会社の取り組みについて調べますが、生徒からの素朴な質問も勉強になりますね。たとえば「積水ハウスって、どんな会社ですか」「女の人が働きやすいって聞いたんですけど、実際どうなんですか」と突然聞かれて、即答できませんでした(笑)。今はバッチリ回答できます。

育児経験をプランに反映 成績良い社員ほど早く帰る

■働き方改革
 ──働き方改革、男性育休、ジェンダー平等もSDGsにつながりますね。
 男性の育休は「女性が働きやすくなる」ことでもあります。「男性社員1カ月以上の育児休業(育休)完全取得」は4年ほど前に始まり、今は取得率がほぼ100%です。私も2回取りました。以前は職場に対する気後れみたいなものがありましたが、今はみんなが取るので、そんなことはありません。
 家づくりを担う会社の営業が育児をすると、「家の中にこんな段差があると危険だ」と分かったり、家事の動線を意識してプランに反映できたりします。お客様にも「実際やってみてこうでした」という体験が一番響くし、それで契約に至った同期もいます。私自身も子どもの成長する姿を見て、「仕事を早く切り上げよう」「早く家に帰ろう」と思うようになりましたし、ダラダラ残業する時間が減りました。

 ――ハウスメーカーには、かつて、とても厳しい仕事というイメージもありましたね。
 働き方は近年、本当に変わりました。今は早く帰るほうが良いという雰囲気があります。業務効率が上がった結果、この10年間、業績は右肩上がりです。
 営業の現場では、成績が優秀な社員ほど早く帰るんです。優秀な社員のほうが業務は多いんですけどね。

 ──なぜそんなに変わったのでしょう。
 社会でも働き方改革などの大きな変化がありました。当社でも優秀な人材を採るためには働き方を変えて、従業員が幸せにならないといけないという空気になりました。

■SDGsとビジネス
 ──社員のみなさんは、どんな思いでSDGsに関わっているのでしょうか。
 部署によって違いますが、“「わが家」を世界一幸せな場所にする”というグローバルビジョンのもと、SDGsを目指すことが社会に役立つことにつながるんだという認識は全員が持っていると思います。
 工場勤務の社員と会話をしていても、どうやって安全な家をつくっていくか、リサイクルにどう気をつけているかという話が当たり前に出てきます。一つひとつの仕事がすべてSDGsと関係しているんだなと実感します。

 ──消費者の意識も変わりましたね。
 ただつくって、売る時代は終わりました。お客様にちゃんと納得してもらわないと選んでもらえません。お客様の要望もどんどん多様化し、人や社会、環境に配慮した「エシカル消費」という言葉もあります。営業も「利益を上げながら、自然環境にも良いことをしよう」と言うようになってきました。それがZEHであり、「5本の樹」計画です。社内では、営業がお客様に会う前に、SDGsについてどう話すのかも考えていますよ。

 ──ビジネスとSDGsの両立についてはどう考えますか。
 今は一致しないと売れないと思います。しかも、お客様は「SDGsに貢献している建物だから高くても買う」わけではなく、適正価格でないと受け入れてもらえません。一方で、サステナブルという視点では、まず会社が存続しないといけませんし、存続するためにもSDGsを意識した取り組みを続けなければなりません。SDGsについて社内で啓蒙していけば、もっと深くSDGsを知り、もっといい仕事ができるようになるのではないかと思います。それが私の仕事です。

 ──SDGsで、こんなことまでやっているということは何かありますか。
 本社の自動販売機にはペットボトルの商品がまったくありません。マイボトルを持参している社員も多くいます。

 ──仕事を離れてもSDGsに気を使っていますか。
 ペットボトル飲料は飲まない、電気・水の無駄使いはしない、それからゴミの分別です。

(写真は、積水ハウスの「5本の樹」の庭=同社提供)

「決めたのは面接が楽しかったから」

■就活
 ──大家さんはどんな就活をしたのですか。
 同期は商社と金融の志望者が多かったのですが、そこには全然興味がなく、「自分のやったことが、大きく形に残る仕事がしたい」と漠然と思っていました。ハウスメーカーや自動車、鉄鋼とか、「大きくて重い」会社を見ていました。ここを深掘りされると、当時の浅い業界分析がバレてしまいますが(笑)。部活中心の生活で限られた時間で就活していましたし、自分に子どもができたら「お父さんがこれをつくった」と言える仕事がしたいと思っていました。

 ──内定は?
 鉄鋼メーカーと積水ハウスの2社から内定をもらいました。積水ハウスに決めたのは、面接が楽しかったからです。人事部長の最終面接で盛り上がることなんて、ほかではありませんでした。もちろん緊張しましたけど、終わってから楽しかったなって思ったのは初めてでした。気さくに話せるおっちゃんで、「大きい会社だし、いろんな会社とつながれて面白いから、とりあえず入ってみな」と言われました。もともと積水ハウスのCMを見て、イメージが良かったし、正直早く部活に戻りたかったのもありました(笑)。

 ──部活の先輩からの会社紹介も多かったのでは?
 逆にないところにしました。先輩とのつながりは強かったですが、ずっとペコペコするのも嫌だなと思って(笑)。

「いいことをしている」が誇り サステナブルな会社か調べて

■社風
 ──実際に入社してみて、どんな会社ですか。
 会社を好きな社員が多いですし、みんな誇りを持っています。自分の仕事に対して「いいことをしている」と心底思っていて、真面目で熱心な人が多いです。言われたことをちゃんとやり切るグリット力も強いですね。「目の前の仕事、与えられたことだけではなく、自分の成長につながることをやり切りなさい」と、よく言われます。

 ──面接が楽しかったそうですが、実際の社内は?
 楽しいですよ。いろんな部署があって、就活のときは「家を建てる会社」くらいの認識だった自分が恥ずかしいです。工場で生産して、それを現場に持ってきて、営業が契約して、設計が図面を書いて、建築が工事して、引き渡してからカスタマーズセンターがサポートして……。技術部門が内装や外装を工夫して新商品を出したり、それをどう売るか企画を立てたり、対外的に渉外部が折衝したり……と本当にいろんな部署があります。本社に来るといろんな人と話せるので、「営業のときに説明していた製品はこの人が開発していたのか」と分かることもあります。今の上司から、内装の断熱材を開発した苦労話を聞いて、すごく面白かったです。

 ──以前、ハウスメーカーの方から「車の営業はひと月に1台も売れなければショックかも知れないけど、家は1年に1軒も売れないこともある大変な仕事」と聞きました。
 ほぼ毎日、大変です。とくに私は戸建ではなく、賃貸物件だったので、まず土地をお持ちの方を探すのが大変でした。その分、お客様と契約して建築いただいたときの達成感も大きいです。数カ月前まで何もない空き地だったところにおしゃれで、人・環境に配慮した建物が完成したときには、街づくりに貢献していることをいつも実感しました。

 ──SDGsへの意識が高い学生にアドバイスを。
 企業選びをするとき、創業からの業績は見ると思いますが、先のことを考えるのも大事です。私も今になって、「こういう会社が長く続いていく会社なんだ」と思っています。企業がサステナブルに伸び続けようとする姿勢は大事ですし、調べるにこしたことはないと思います。私は目先のことだけ見ていたので、自戒を込めてお伝えしたいですね。

(写真・MIKIKO)

SDGsでメッセージ!

 積水ハウスはSDGsの17のゴールのうち、14のゴールに携わっているので、おそらく興味のあるゴールのどこかには携われます。そこは魅力です。いろんな職場の人たちと関わりながら前に進む会社なので、興味がなくても自然とSDGsに触れられます。学びが多く、SDGsに興味ある学生は何かしらの貢献ができます。SDGsの達成は2030年が目標ですが、今の学生が社会の中心になっているのは2050年ごろですよね。また違う目標ができていると思いますし、17ゴールのその先も見たほうがいいかもしれません。

積水ハウス株式会社

【住宅メーカー】

 積水ハウスは、お客様がそれぞれに望まれる暮らしを、自由設計と、先進の技術による、快適で安全安心な住まいで実現します。そしてさまざまな研究開発から設計施工・アフターメンテナンス、リフォームまで、一貫して高い品質、サービスを自社グループで行い、お客様をサポートしています。こうして培った技術やノウハウを生かし、賃貸住宅やマンションをはじめ、街づくり、都市開発や国際事業など、よりよい住環境に貢献する事業を行っています。