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サントリーホールディングス株式会社
サントリーホールディングス〈後編〉水づくり説明できる営業は信頼される 環境技術とビジネスを両立【SDGsに貢献する仕事】
2022年07月20日
「SDGsに貢献する仕事」をしている若手・中堅社員に聞く新シリーズの第1弾、サントリーホールディングスの後編です。飲み物をつくる会社ですが、世界中で使うペットボトルの100%サステナブル化を目指しているそう。そのサプライチェーン(供給網)づくりを担う仕事を入社3年目の社員が担っています。(編集長・木之本敬介)
(前編はこちら)
(冒頭のSDGsアイコンはサントリーホールディングスがとくに重視するゴール)
【お話をうかがった社員のプロフィル】
●香川法子(かがわ・のりこ)さん(写真右)/サステナビリティ経営推進本部
2007年東京農工大学農学部地域生態システム学科卒、2009年東京大学大学院新領域創成科学研究科修了。同年サントリー入社、サントリー水科学研究所、サステナビリティ推進部などを経て現職。産休・育休2回。
●伊澤樹(いざわ・いつき)さん(写真左)/サステナビリティ経営推進本部サステナブルPET実行プロジェクトチーム
2020年首都大学東京大学院(現東京都立大学大学院)理学研究科修了(研究内容:高機能プラスチックの重合触媒の開発・評価=プラスチックを環境にやさしく作るために必要な触媒を作る研究)、同年入社
(前編はこちら)
(冒頭のSDGsアイコンはサントリーホールディングスがとくに重視するゴール)
【お話をうかがった社員のプロフィル】
●香川法子(かがわ・のりこ)さん(写真右)/サステナビリティ経営推進本部
2007年東京農工大学農学部地域生態システム学科卒、2009年東京大学大学院新領域創成科学研究科修了。同年サントリー入社、サントリー水科学研究所、サステナビリティ推進部などを経て現職。産休・育休2回。
●伊澤樹(いざわ・いつき)さん(写真左)/サステナビリティ経営推進本部サステナブルPET実行プロジェクトチーム
2020年首都大学東京大学院(現東京都立大学大学院)理学研究科修了(研究内容:高機能プラスチックの重合触媒の開発・評価=プラスチックを環境にやさしく作るために必要な触媒を作る研究)、同年入社
世界のペットボトル、100%サステナブル化目指す
■伊澤さんの仕事
──伊澤さんはペットボトルの担当なのですか。
伊澤 「脱プラ」という言葉があるように、ペットボトルを含めプラスチックには環境に悪いイメージがありますが、軽いので輸送時のCO₂排出量が少ないなど多くのメリットもあります。
サントリーグループでは2019年に「プラスチック基本方針」を定めました。2030年までに世界中で使うペットボトルの100%サステナブル化を目指し、地球環境にネガティブな影響を与えないよう適切に使用する方針です。リデュース、リユースはもちろん、使ったものは回収してリサイクルします。
ただ、再利用できないペットボトルが一部あるので、新しい材料を投入しないといけません。サントリーではもともとウッドチップからペットボトルの基礎原料をつくる研究をしていました。簡単に言うと、木材からプラスチックをつくる研究です。アメリカのアネロテック社との共同開発で、昨年、植物由来原料100%のペットボトルの開発に成功しました。使用済みプラスチックが社会問題として大きく取り上げられた2020年には、プラスチック問題に関わる皆で一緒に解決しようと「アールプラスジャパン」という会社を立ち上げ、現在40社が参加しています。
──ライバル社も一緒に?
伊澤 はい。プラスチックのバリューチェーン全体に関わるので、飲料メーカーだけでなく、原料、容器包装メーカー、消費財メーカー、小売り、廃棄物処理業者、化学メーカーも参加しています。年間20万トン規模のプラスチックの再生を目指して、アメリカで開発中の技術を生かし、日本にサプライチェーンをつくるのが私の仕事です。
──研究そのものより環境づくりですか。
伊澤 どちらもです。海外の技術を日本にそのまま導入することはできません。使用済みプラの汚れ具合は日本と海外で違うし、樹脂の成分も違います。理系の知識を生かしてデータ分析してアメリカ側に伝え、サプライチェーンを組むビジネス系の仕事もしています。商社の仕事に近いのかもしれません。自分のバックグラウンドを生かしながら仕事ができています。
──仕事の面白さは?
伊澤 ハイレベルな仕事なので、優秀な先輩に囲まれて成長できるのがやりがいですね。環境のためであり、日本のためにもなる。こういう仕事はなかなかないかなと思っています。
──サントリーでやりたかった仕事ですか。
伊澤 違います(笑)。配属されて「包材部って何?」って。サントリーでは中身をつくるのかなと思っていて、まさかもともとプラスチックをつくる側から分解する側に回るとは思いませんでした。でも、今はこの部署でよかったと思っています。自分にしかできないことですし、チャレンジングな環境で自分に合っていると思います。
──伊澤さんはペットボトルの担当なのですか。
伊澤 「脱プラ」という言葉があるように、ペットボトルを含めプラスチックには環境に悪いイメージがありますが、軽いので輸送時のCO₂排出量が少ないなど多くのメリットもあります。
サントリーグループでは2019年に「プラスチック基本方針」を定めました。2030年までに世界中で使うペットボトルの100%サステナブル化を目指し、地球環境にネガティブな影響を与えないよう適切に使用する方針です。リデュース、リユースはもちろん、使ったものは回収してリサイクルします。
ただ、再利用できないペットボトルが一部あるので、新しい材料を投入しないといけません。サントリーではもともとウッドチップからペットボトルの基礎原料をつくる研究をしていました。簡単に言うと、木材からプラスチックをつくる研究です。アメリカのアネロテック社との共同開発で、昨年、植物由来原料100%のペットボトルの開発に成功しました。使用済みプラスチックが社会問題として大きく取り上げられた2020年には、プラスチック問題に関わる皆で一緒に解決しようと「アールプラスジャパン」という会社を立ち上げ、現在40社が参加しています。
──ライバル社も一緒に?
伊澤 はい。プラスチックのバリューチェーン全体に関わるので、飲料メーカーだけでなく、原料、容器包装メーカー、消費財メーカー、小売り、廃棄物処理業者、化学メーカーも参加しています。年間20万トン規模のプラスチックの再生を目指して、アメリカで開発中の技術を生かし、日本にサプライチェーンをつくるのが私の仕事です。
──研究そのものより環境づくりですか。
伊澤 どちらもです。海外の技術を日本にそのまま導入することはできません。使用済みプラの汚れ具合は日本と海外で違うし、樹脂の成分も違います。理系の知識を生かしてデータ分析してアメリカ側に伝え、サプライチェーンを組むビジネス系の仕事もしています。商社の仕事に近いのかもしれません。自分のバックグラウンドを生かしながら仕事ができています。
──仕事の面白さは?
伊澤 ハイレベルな仕事なので、優秀な先輩に囲まれて成長できるのがやりがいですね。環境のためであり、日本のためにもなる。こういう仕事はなかなかないかなと思っています。
──サントリーでやりたかった仕事ですか。
伊澤 違います(笑)。配属されて「包材部って何?」って。サントリーでは中身をつくるのかなと思っていて、まさかもともとプラスチックをつくる側から分解する側に回るとは思いませんでした。でも、今はこの部署でよかったと思っています。自分にしかできないことですし、チャレンジングな環境で自分に合っていると思います。
社会課題を「自分なら」と考え、実行することが大事
■社員にとってのSDGs
──お二人はSDGsに直結する仕事ですが、他の社員にとってのSDGsは?
伊澤 営業担当が商品を売る際、お客様から「水ってどうやってつくられてるの?」と聞かれることも多く、しっかり説明できる営業担当は信頼されるし、サステナビリティの担当じゃなくてもアピールポイントになります。お客様に直接伝えられるのは魅力ですし、どの社員にも関係しています。
香川 「森林整備の活動を説明した分かりやすい資料はないですか」という問い合わせがすごく多いんです。CO₂削減の活動など「他社よりも優れているところは?」と営業担当から聞かれることもあります。「バックグラウンドを理解して自分で噛み砕いて説明したいから、セミナーをやってください」という人も多いです。
──伊澤さんはもともと「環境とビジネス」に関心があったのですか。
伊澤 はい。私の父はバングラデシュ出身で、父が住んでいたところの環境が破壊されたと聞いています。私は幼いころから自然豊かな場所が好きでしたし、環境を守っていきたいという思いから、環境に関する取り組みにアンテナを張っていました。
一方で、技術はあってもビジネスが成り立たず、広がっていかない現状を感じたことがあります。たとえば大学院で基礎研究をしているなかでも多くの素晴らしい技術に出会いましたが、お金やサプライチェーンの関係でなかなか世の中に広がっていかない問題があると感じていました。「そこを解決するのがビジネスの組み方なんだよ」と教えてくれたのが商社でのインターンシップでした。技術開発だけでなく、それをビジネスとしても成り立たせることが大事な観点だと。サントリーでは技術開発をしつつビジネスもできる。今まさにそこに携わっています。
■SDGsを自分事に
──日常生活でSDGsを意識することはありますか。
香川 子どもが2人いますが、「ペットボトルを捨てるときはキャップとラベルを外して、つぶしてね」と教えていたら、今では息子は「今日つぶしてないよ」とチェックしてきます。こういった小さな行動が未来につながっていく、子どもたちに伝える重要さを思い知らされます。
伊澤 プラスチックをどう分別するかを考えています。自分で分別するとリサイクルしづらい設計だなと分かります。ペットボトルって、キャップがついたまま捨てちゃうと大変なんですよ。ゴミ収集車で巻き込んだときに圧力が高くなって、パンッて飛び出てくるんです。作業員の安全が保てないので、必ずキャップを取ってください。ペットボトルを捨てる前に「はずす」「すすぐ」「つぶす」が大事です。
──学生が社会課題に気づいて自分事として捉えるにはどうしたらいいでしょうか。
伊澤 分別はきっかけになります。自分で分別すると、この後どうリサイクルされていくんだろうと興味を持てるようになります。自分事として生活の中に落とし込めると思います。
香川 社会課題はたくさんあります。「課題があるんだ」で終わらせず、どう解決できるか、自分ならこうすると考える癖をつけ、一つひとつ実行することですね。動いてさらに考えるのが大事だと思います。
──お二人はSDGsに直結する仕事ですが、他の社員にとってのSDGsは?
伊澤 営業担当が商品を売る際、お客様から「水ってどうやってつくられてるの?」と聞かれることも多く、しっかり説明できる営業担当は信頼されるし、サステナビリティの担当じゃなくてもアピールポイントになります。お客様に直接伝えられるのは魅力ですし、どの社員にも関係しています。
香川 「森林整備の活動を説明した分かりやすい資料はないですか」という問い合わせがすごく多いんです。CO₂削減の活動など「他社よりも優れているところは?」と営業担当から聞かれることもあります。「バックグラウンドを理解して自分で噛み砕いて説明したいから、セミナーをやってください」という人も多いです。
──伊澤さんはもともと「環境とビジネス」に関心があったのですか。
伊澤 はい。私の父はバングラデシュ出身で、父が住んでいたところの環境が破壊されたと聞いています。私は幼いころから自然豊かな場所が好きでしたし、環境を守っていきたいという思いから、環境に関する取り組みにアンテナを張っていました。
一方で、技術はあってもビジネスが成り立たず、広がっていかない現状を感じたことがあります。たとえば大学院で基礎研究をしているなかでも多くの素晴らしい技術に出会いましたが、お金やサプライチェーンの関係でなかなか世の中に広がっていかない問題があると感じていました。「そこを解決するのがビジネスの組み方なんだよ」と教えてくれたのが商社でのインターンシップでした。技術開発だけでなく、それをビジネスとしても成り立たせることが大事な観点だと。サントリーでは技術開発をしつつビジネスもできる。今まさにそこに携わっています。
■SDGsを自分事に
──日常生活でSDGsを意識することはありますか。
香川 子どもが2人いますが、「ペットボトルを捨てるときはキャップとラベルを外して、つぶしてね」と教えていたら、今では息子は「今日つぶしてないよ」とチェックしてきます。こういった小さな行動が未来につながっていく、子どもたちに伝える重要さを思い知らされます。
伊澤 プラスチックをどう分別するかを考えています。自分で分別するとリサイクルしづらい設計だなと分かります。ペットボトルって、キャップがついたまま捨てちゃうと大変なんですよ。ゴミ収集車で巻き込んだときに圧力が高くなって、パンッて飛び出てくるんです。作業員の安全が保てないので、必ずキャップを取ってください。ペットボトルを捨てる前に「はずす」「すすぐ」「つぶす」が大事です。
──学生が社会課題に気づいて自分事として捉えるにはどうしたらいいでしょうか。
伊澤 分別はきっかけになります。自分で分別すると、この後どうリサイクルされていくんだろうと興味を持てるようになります。自分事として生活の中に落とし込めると思います。
香川 社会課題はたくさんあります。「課題があるんだ」で終わらせず、どう解決できるか、自分ならこうすると考える癖をつけ、一つひとつ実行することですね。動いてさらに考えるのが大事だと思います。
「グローバルにガツガツ、ストイックに働きたい」
■就活
──お二人の就活について教えてください。
香川 親が昔から「公務員がいい」と言っていたこともあり、最初は環境省の自然保護官(レンジャー)などを視野に入れていました。でも、大学院の教授が「官公庁はいつでも行けるし民間企業のほうが合っている」とアドバイスしてくれました。それがきっかけで、業界でちょっと面白いことをやっている企業を選んで受けました。
サントリーは最後に選考が始まったのにもかかわらず、最初に内定したこともあって、これは縁だなと即決しました。公務員試験は迷った末、受けませんでした。
──伊澤さんは?
伊澤 グローバルに「大きいこと」をしたいと思っていました。私はハーフですが、英語が話せなかったんです。まずいと思って、海外の観光客が来るユニクロの店舗で働いて英語を使うようになって、いろんな考え方の人と触れ合うのは楽しいな、チャレンジングで魅力のある仕事だなと思うように。グローバルでなおかつ若いうちからガツガツ、ストイックに働ける仕事がいいと思いました。
商社中心の座談会にたまたまサントリーが出展していたんです。冬なのに暑い日で喉が渇いていて、「水をもらえるかな」と思って参加しました(笑)。話を聞いて、自社製品を持っていて技術に根ざしたビジネスができるのは強みだと思いました。研究をしていた自分が活躍できる場なんじゃないかと腑に落ちたんです。サントリーの内定をもらった瞬間に他の就活はやめました。
──サントリーの選考の特徴は?
伊澤 エントリーシートの2枚目が白紙で、書きたいことを好きなだけ書くんです。情報量も多いので面接官は全てに目を通していないのではと思っていましたが、面接を受けてみて「ちゃんと読んでくれているんだ」と感じました。ただ、面接時間は短かったですね。言いたいことをちゃんと用意して、会話のキャッチボールの中で伝えなきゃいけないから大変でした。
(写真・大嶋千尋)
──お二人の就活について教えてください。
香川 親が昔から「公務員がいい」と言っていたこともあり、最初は環境省の自然保護官(レンジャー)などを視野に入れていました。でも、大学院の教授が「官公庁はいつでも行けるし民間企業のほうが合っている」とアドバイスしてくれました。それがきっかけで、業界でちょっと面白いことをやっている企業を選んで受けました。
サントリーは最後に選考が始まったのにもかかわらず、最初に内定したこともあって、これは縁だなと即決しました。公務員試験は迷った末、受けませんでした。
──伊澤さんは?
伊澤 グローバルに「大きいこと」をしたいと思っていました。私はハーフですが、英語が話せなかったんです。まずいと思って、海外の観光客が来るユニクロの店舗で働いて英語を使うようになって、いろんな考え方の人と触れ合うのは楽しいな、チャレンジングで魅力のある仕事だなと思うように。グローバルでなおかつ若いうちからガツガツ、ストイックに働ける仕事がいいと思いました。
商社中心の座談会にたまたまサントリーが出展していたんです。冬なのに暑い日で喉が渇いていて、「水をもらえるかな」と思って参加しました(笑)。話を聞いて、自社製品を持っていて技術に根ざしたビジネスができるのは強みだと思いました。研究をしていた自分が活躍できる場なんじゃないかと腑に落ちたんです。サントリーの内定をもらった瞬間に他の就活はやめました。
──サントリーの選考の特徴は?
伊澤 エントリーシートの2枚目が白紙で、書きたいことを好きなだけ書くんです。情報量も多いので面接官は全てに目を通していないのではと思っていましたが、面接を受けてみて「ちゃんと読んでくれているんだ」と感じました。ただ、面接時間は短かったですね。言いたいことをちゃんと用意して、会話のキャッチボールの中で伝えなきゃいけないから大変でした。
(写真・大嶋千尋)
SDGsでメッセージ!
企業と学生のSDGsの目線は違うので、自分の率直な意見や素朴な疑問を企業の人に伝えることが大事だと思います。企業はそれを待っていると私は思っています。SDGsで将来的に影響を受けるのは若い世代なので、自分たちが主役なんだという意識でぜひ臨んでください。面接や説明会で、身近な生活で感じたSDGsに関する考えを言ってみてください。しっかり考えてるんだなと伝わるし、企業にとってはすごく興味のあることです。(伊澤さん)
SDGsに取り組む企業は多くなっていますが、その本気度を見るためにも、具体的な進捗率の公表や本業に組み込まれているのか、見てみるのも一つの方法だと思います。とくに、本業に関連のある取り組みであれば、継続する可能性が高く、課題の解決に向けて関われるチャンスがあるからです。そういった視点で企業を見ていただいて、サントリーを選んでくれると嬉しいですね。(香川さん)
サントリーホールディングス株式会社
【酒類・食品・飲料】
サントリーグループは、「人と自然と響きあう」という企業理念のもと、持続可能な社会の実現を目指し、グローバルにサステナビリティ経営を推進しています。
あらゆる人々が生きる喜びや充実を感じながら、それぞれの能力を発揮し、人間としての生命を最大限に輝かせること。そのためにサントリーは、食品酒類総合企業として様々な商品やサービスを通じてお客様に新たな価値を提供し、生活文化を潤い豊かなものにしていきます。
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※就活割に申し込むと、月額2000円(通常3800円)で朝日新聞デジタルが読めます。
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