
■社員にとってのSDGs
──お二人はSDGsに直結する仕事ですが、他の社員にとってのSDGsは?
伊澤 営業担当が商品を売る際、お客様から「水ってどうやってつくられてるの?」と聞かれることも多く、しっかり説明できる営業担当は信頼されるし、サステナビリティの担当じゃなくてもアピールポイントになります。お客様に直接伝えられるのは魅力ですし、どの社員にも関係しています。
香川 「森林整備の活動を説明した分かりやすい資料はないですか」という問い合わせがすごく多いんです。CO₂削減の活動など「他社よりも優れているところは?」と営業担当から聞かれることもあります。「バックグラウンドを理解して自分で噛み砕いて説明したいから、セミナーをやってください」という人も多いです。
──伊澤さんはもともと「環境とビジネス」に関心があったのですか。
伊澤 はい。私の父はバングラデシュ出身で、父が住んでいたところの環境が破壊されたと聞いています。私は幼いころから自然豊かな場所が好きでしたし、環境を守っていきたいという思いから、環境に関する取り組みにアンテナを張っていました。
一方で、技術はあってもビジネスが成り立たず、広がっていかない現状を感じたことがあります。たとえば大学院で基礎研究をしているなかでも多くの素晴らしい技術に出会いましたが、お金やサプライチェーンの関係でなかなか世の中に広がっていかない問題があると感じていました。「そこを解決するのがビジネスの組み方なんだよ」と教えてくれたのが商社でのインターンシップでした。技術開発だけでなく、それをビジネスとしても成り立たせることが大事な観点だと。サントリーでは技術開発をしつつビジネスもできる。今まさにそこに携わっています。
■SDGsを自分事に
──日常生活でSDGsを意識することはありますか。
香川 子どもが2人いますが、「ペットボトルを捨てるときはキャップとラベルを外して、つぶしてね」と教えていたら、今では息子は「今日つぶしてないよ」とチェックしてきます。こういった小さな行動が未来につながっていく、子どもたちに伝える重要さを思い知らされます。
伊澤 プラスチックをどう分別するかを考えています。自分で分別するとリサイクルしづらい設計だなと分かります。ペットボトルって、キャップがついたまま捨てちゃうと大変なんですよ。ゴミ収集車で巻き込んだときに圧力が高くなって、パンッて飛び出てくるんです。作業員の安全が保てないので、必ずキャップを取ってください。ペットボトルを捨てる前に「はずす」「すすぐ」「つぶす」が大事です。
──学生が社会課題に気づいて自分事として捉えるにはどうしたらいいでしょうか。
伊澤 分別はきっかけになります。自分で分別すると、この後どうリサイクルされていくんだろうと興味を持てるようになります。自分事として生活の中に落とし込めると思います。
香川 社会課題はたくさんあります。「課題があるんだ」で終わらせず、どう解決できるか、自分ならこうすると考える癖をつけ、一つひとつ実行することですね。動いてさらに考えるのが大事だと思います。