業界研究ニュース 略歴

2017年05月19日

三菱ふそう、日野、いすゞから新型トラック続々

運輸

背景はドライバー不足

 日本を代表するトラックメーカーが、相次いで自動ブレーキなど安全面を重視し、快適なドライビングをうたった新型の大型トラックを投入します。背景には、運輸業界のドライバー不足があります。さらに、それらの新技術は自動運転の実現にもつながるといいます。
(2017年5月15日朝日新聞デジタル)
(写真は、三菱ふそう「スーパーグレード」の新型モデル)

快適なドライブと安全性で人手不足に対応

 三菱ふそうは、大型トラック「スーパーグレード」を21年ぶりにフルモデルチェンジします。同社のマーク・リストセーヤ社長は新車発表会で「人手不足に対応するには運転を快適にし、安全性を高めなければならない」と述べています。このトラックは、オートマチック車のような運転ができる新開発の12段式自動変速機(ATM)や、歩行者検知機能も付いた衝突被害軽減ブレーキ(プレクラッシュブレーキ)、日本初の左折時の死角に隠れた危険を察知するアクティブ・サイドガードアシスト、ドライバーの脇見運転や居眠りを感知して警告する運転注意力モニターなどを装備しているとのことです。

日野もいすゞも安全性アップを強調

 日野自動車は、主力大型トラック「日野プロフィア」を一新、停止車両や歩行者を検知するプレクラッシュブレーキを標準装備し、<「ドライバーが誇りを持って安心して乗れるトラック」、そして「稼げるトラック」になりました>と、うたっています。いすゞ自動車も、大型トラック「ギガ」を改良し、性能アップしたプレクラッシュブレーキで「常に先行く安全性」をアピール。さらに自動変速機搭載車については、地図情報とGPSによって道路の勾配を予想し、適切なギヤを自動選択するオートクルーズ機能を持たせています。

モデルチェンジの先に自動運転車

 トラック運転手の人手不足と安全性向上の技術競争の先にあるのは自動運転車です。政府の「未来投資会議」(議長・安倍晋三首相)がまとめた自動運転車の一部を2020年に実現するための実行計画。この中で計画の柱のひとつとして位置づけられているのが、高速道路でのトラックの「隊列輸送」です(図参照)。(「トラック、高速道で隊列組み自動走行 政府が実験へ」朝日新聞デジタル2017年2月17日)隊列走行とは、先頭車両だけドライバーが運転し、後続車は無人で先頭車両を追尾する仕組みです。2018年1月に実証実験を開始し、2022年度以降に東京―大阪間での商業化を目指すとしています。
 目先のモデルチェンジだけでなく、その先にメーカーが何を見すえているのか、さらに深掘りした業界研究をしてみてください。

アーカイブ

業界別

月別