知名度は……、大企業がうえです。
資金力は……、これも大企業がうえです。
ここまでは、大企業に軍配をあげざるをえません。中小企業の応援団であるわたしとしても。でも、あげるのはここまでです。
人材の数……。ここは実は、中小企業でも勝てるんです。
みなさんの中には、うそだ、と思った方がいるでしょう。大企業のほうが社員がおおいのですから、人材の数だって大企業のほうが圧倒的におおいに決まっているじゃないか、と思うかもしれません。
それは、まちがっています。たしかに社員数は、大企業のほうがおおい。でも、同じタイプの人ばかりがあつまっていたとしたら、人材としては「ひとり」として考えるべきです。組織の歯車として動く人員がおおいだけです。
かりに1千人の社員がいても同じタイプの人間ばかりあつまっていたら、人材としては、ひとりです。かりに100人の社員の会社だとしても、いろんなタイプ、いろんな経歴をたどってきた人があつまっていたら、人材としては100人です。
だから、人材の数では、中小企業が勝つこともできるのです。
さらに、サービスについても考えてみましょう。これは、中小企業でもおおいに勝てる分野です。社員の知恵と勇気とそしてド根性があれば、ちいさなアリでも、巨大なゾウにかつことができます。
佐賀県の神埼(かんざき)市にある住宅メーカー「プレースホーム」。創業は21年まえ、社員は40人ほど、年商およそ21億円。いまのところ、佐賀、福岡、長崎で住宅づくりと販売、リフォームの仕事をしています。
ここの会社はこれまで20年間、全社員が手分けをして、毎月かならずお客さんのところをたずねています。毎月の第4土曜と日曜にひとり30~40軒をまわり、家の状況や会社への要望をきく、いわば御用聞きをするのです。
新築やリフォームはお客さんから何百万円、何千万円ものお金をいただく仕事です。だったら、とことんお客の立場にならなくては、と決意した会社なのです。
お客の立場にたつ「顧客第一主義」という考え方は、日本中、いたるところにあります。おそらく、あなたの会社は顧客第一主義ですか、と聞くとほどんどすべての会社が「はい」とこたえます。とくに名のある大企業は絶対「うちは顧客第一主義です」と答えます。
でも、その主義には、徹底度の差があるのです。