中島隆の輝く中小企業を探して 略歴

2014年05月27日

会計事務所だって「フォーチュンクッキー」踊ります (第16回)

お客の笑顔が社員の笑顔

 AKB48の握手会で、たいへんなことが起こってしまいました。事件の全面解決、そして、被害にあったメンバーふたり、スタッフさんのケガと心の回復を祈ります。
 遠いむかしの話ですが、わたしはピンクレディーの大ファンでした。新曲がでるたびに、振り付けを覚えました。ゆっくりテンポの「UFO」だったら、いまでもかろうじて踊れます。
 すっかり中年のおっさんになったわたしですが、AKBの曲の中でも、もしかしたら踊れるかも、と希望を感じさせてくれる名曲があります。「恋するフォーチュンクッキー」。自治体、企業、いろんなところが、この曲を踊っている風景が、ユーチューブで見られます。
 さて、東京の江戸川区に、「古田土(こだと)会計」という税理士法人があります。創業30年で、正社員130人、パートさん20人。この会社も、踊っています。代表社員、つまり社長の古田土満さん(61)をはじめ、全員が、身体を右、左に動かしています。右手をあげて、まわっています。
 税理士は、企業の財務をみる仕事です。ここのお客さんは、全国の中小企業です。現在、お客は1900社ですが、毎年、100社あまりのペースで増えています。営業活動をしているわけではありません。口コミで増えていっているのです。
 ここの経営ビジョンは、きわめて分かりやすいものです。
 「日本中の中小企業を元気にする」
 ここの夢も、分かりやすい。
 「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い会計事務所になること」
 いちばんもうける会計事務所になりたい、というのではありません。ただただ、お客に喜ばれる商品、サービスを提供することに専心する、というのです。
(写真:代表社員の古田土満さん。公認会計士であり税理士である彼も、フォーチュンクッキー、おどってます)

 会計の世界って、どうしても生産性だとか利益率だとか、理屈に走ってしまいます。会計事務所ではたらく社員も、お客も、しかめっ面になりがちです。
 だから、この事務所は、社員はいつも笑顔、ということを徹底しようとしています。
 会計事務所の社員が笑顔でいられる。どうすれば、それが実現できるでしょうか。

 まず、お客である中小企業の業績が改善してお客さんが喜んでくれる、ということでしょう。お客の笑顔が、社員の笑顔です。
 原理・原則にのっとった正しい経営をすれば、お客は笑顔になるのだそうです。その方法をここで詳しく書くと、わたしがボロを出しそうなので、やめときます。ただ、先ほど書きましたように、口コミで毎年100社を超えるペースでお客が増えていることを考えても、この事務所が、どれだけのお客を笑顔にしているかが分かります。

 つぎに、社長の古田土さん、そして、事務所全体が、社員の幸せを追求しているのです。「一生あなたと家族を守ります」と宣言しているのですから。何人かの社員さんの収入のデータを見せていただきました。毎年、確実に増えています。
 そして、「バカ」になる、ということです。
 この事務所は朝、あいさつを義務づけています。まずオフィスに入ったとき、大きなこえで、おはようございます。そして、すべての社員同士でも、おはようございます、を交わします。
 朝礼では、じゃんけんタイムがあります。勝者は「勝ったー」と両手をあげて喜ぶ。敗者は(なぜか)「ありがとー」と両手をあげて喜ぶ。「本気のじゃんけん」と呼んでいます。

(写真:朝礼で毎日している「本気じゃんけん」です)
(写真:勝負に関係なく、両手をあげます。そして、勝ったー、ありがとうー)
 全社員で「フォーチュンクッキー」を収録し、ユーチューブにアップしたのも、その一貫です。歌って踊れる公認会計士や税理士たちって、魅力を感じませんか?

 会計の世界は、理屈の世界。だからこそ行動しよう、ということなのだそうです。
 毎年、大卒、高卒を採用しています。ことしの春は、高卒3人、大卒9人が入社しました。会計に詳しくなくても、大丈夫。仕事をしているうちに、知識は身につくものなのですから。
 採用の基準は、本気で中小企業を元気にしたいと思ってくれるかどうか、です。「ここで技術を学んで、資格をとって……」といった自己中心の人は、だめです。
 わたしは地味で、おとなしくて……。そんなあなたでも大丈夫。ここに入社すれば、人間、変わると思います。ぜったい、いつも前向きに、そして笑顔の日々を過ごせると思います。

 恋するフォーチュンクッキーを聞きたくなりました。それでは、みなさん、失礼します。あなたのことが好きなのに~