社長さんの人柄、考え方をチェックして
ということは、逆に、中小企業に就職する場合、その社長さんの人柄、考え方をチェックしなくては大変なことになる、ということです。
わたしは日々、気合がはいっている中小企業の社長さんに話を聞いています。こんな人が経営している会社なら、この世の中に貢献しつづけてくれるだろう、と思う会社ばかりです。新卒採用をしている会社もあります。ここなら学生のみなさんは安心して、楽しくはたらけるだろうな、と思う会社ばかりです。
では、わたしは、どんな社長さんに会っているかをお話します。
まずは、どん底を経験したことがある人です。どん底は、経営危機であったり、倒産であったりします。中には、自死をしようと木にぶら下がったけれど、枝が折れて助かった、というような人もいます。
なぜ、こんな人がいいのかですって? 苦しい時代のことを話してくださるということは、それはすでに過去のこととして区切りをつけている、ということです。いまは社業が堅調だから、昔話を話してくれるのです。そして、そんな経営者ほど、こんどこそ社員をぜったい守る、という決意が強いのです。
つぎに、若いころの苦労話、失敗談を、笑って話してくれる人です。両親の都合などで一家離散した、高校のころヤンキーだった、とか。子どものころから苦労している社長さんの会社は、おおくの場合、就活しているみなさんに優しいまなざしを送ってくれます。年齢、国籍、学歴不問はもちろん、中には、「採用は先着順」なんて会社さえあります。病気で休んでいても給料は満額はらう、なんて会社もあります。
また、2008年のリーマン・ショックのとき、従業員の雇用を守り抜いたかどうか、というのもポイントです。おそらく、あのとき、みなさんは高校生だったでしょう。アメリカの証券会社、リーマン・ブラザーズが経営はたんしたのをきっかけに、世界経済が大ピンチにおちいりました。売り上げの3割、4割減はあたりまえ、へたすりゃ9割減、いやいや売り上げゼロ、なんていう会社もありました。
そんな大ピンチでも、従業員をリストラしなかった、という会社なら、あなたが入社しても、あなたが仕事にまじめに取り組んでいれば、何があっても雇用を守ってくれるはずです。
そんな社長をどうやって探せばいいのですかって。
あなたにはネットという武器があります。それを使うのです。たとえば、朝日学情ナビで、または新聞やテレビで興味をもった会社があったとしますね。その会社と社長さんの名をメモしておきます。
そして、パソコンで、社名と社長さんの名をキーワードに検索するのです。いろいろ出てきます。その社長さんのブログ、インタビュー記事などが出てくる場合があります。それをプリントアウトします。何社か集めて、読みくらべて、研究をするのです。
さまざまな就職関連のイベントがありますね。そこに出向き、資料をたくさん集めて、パソコンで検索してみるのです。
そして、「この社長は」、と思ったら、その会社の会社説明会に行きましょう。社長さんが来ていることがあります。または、電話して約束をとって会社に足を運びましょう。自分の目と耳で確かめるのです。
わたしも、そうやって会社へ足を運んでいます。もちろん、おもしろいコラムを描くのが目的です。訪ねた会社すべてを取り上げているわけではありません。
みなさんだって、そうです。しっかり吟味して、候補をしぼっていけばいいのです。読んで、見て、聞いて、そして感じてください。
中小企業のみなさんは、あなたを待っていると思います。