めっき技術の開発で高い評価
いま話題になっていることのひとつと言えば、理化学研究所などが、作製に成功したというこれでしょう。
「STAP細胞」
マウスの体の細胞を、弱酸性の液体で刺激するだけで、どんな細胞にもなれる「万能細胞」をつくった、というものです。筋肉や内臓や、脳など、すべての細胞に変化する細胞をつくることができるなんて、すごいです。
つくりかたはですね……。
その中身は、ずぶずぶの文系アタマのわたしが説明しても、間違えるだけです。なぜ、こんなことを描いているかというと、それは理系女子(リケジョ)が活躍している、ということです。発表した小保方晴子(おぼかたはるこ)さん、30歳は、ムーミン好きのリケジョだとか。
そんな記事を新聞で読んでいるうちに、思い出した会社があったのです。
それは2012年の夏におとずれた、ものづくりの街、東京都大田区にある「エビナ電化工業」です。1946年に創業し、めっき技術の開発で、高く評価されています。そして開発しているのがおよそ50人の技術集団。男女は、ほぼ半数です。そうです、リケジョが大活躍しているのです。
そもそも、めっきって何? と思う人がいるかもしれません。
たとえば、手術で使うメス。あの表面には、うすーい膜があります。その膜がなければ、さびてしまう。さびてしまうメスなんて、危なっかしくて使えません。その処理のことを、めっき処理といいます。
たとえば、あなたは金管楽器の演奏ができるとします。あの楽器の表面は、うすーい膜があります。その膜がなければ、さびてしまう。さびてしまったフルートなんて、不協和音を出すだけです。これも、めっき処理です。
世の中にある、そこらじゅうの金属は、めっきされていなければ、さびます。新幹線につかわれている金属がさびてしまったら、航空機につかわれている金属がさびてしまたったら……、想像するだけでおそろしいことになります。
エビナ電化が手がけているめっきの技術は、数え切れません。お客さんから、「こんなものにめっきできませんか?」という相談を受けます。すると、リケジョさんたちが、お客さんの要望に沿った技術を開発する、というわけです。実験好きには、たまらない会社なのです。
もちろん、会社の中は、とてもきれいです。会社の中を美しくしなくては、若い人たちが来ない、という亡くなった先代社長の思いがあり、それを3代目社長の海老名伸哉さんが引き継いでいます。
世の中には、リケジョが活躍している町工場が、たくさんあります。
町工場なんて、暗い、きつい、危険という3K職場だと、はなから思っていませんか。
おおくの町工場は、いまや3Sをつっぱしっています。整理、整頓、清掃です。床に寝っ転がってもぜんぜんOK、という会社だってあるんです。