中島隆の輝く中小企業を探して 略歴

2016年06月08日

「自分の夢」託したニックネームで呼び合う 「アイデアの城」運営会社(第36回・後編)

(前編はこちら
 いまはITがメーン事業。タイにも現地法人があります。10年後、20年後、ジー・ブーン社はどんな事業をしているでしょう。夢を追いかけているのですから、まったく想像できません。不思議な会社です。

 ちなみに、後藤さんの名刺に書かれている夢は「世界一のテーマパークを作る」。ニックネームは「とし」なのですが、平凡なので改名を考えているとか。
 昨年春に入社した岩上志穂さん(25=写真)。ふだんの仕事は、この6月にオープンした「アイデアの城」という不思議な貸し会議室の運営です。

 貸し会議室は、ふたつあります。ひとつは、「王宮の魔法学校」。ドアをあければ、ハリーポッターのような世界がひろがります。もうひとつは、「アリスのホワイトルーム」。ドアをあければ、不思議な国のアリスの世界がひろがります。

 非日常的な空間で会議をすることで、ふだんなら考えつかないアイデアが生まれれば、という思いでつくられた会議室です。ここをつかう会社、そして社員のみなさんに夢を追いかけてもらいたい、という思いでつくられた会議室です。

 岩上さんの本業は、ここの運営なのですが、説明したように、「社会人式インターン」として広報、そして採用も担当しています。

 岩上さんは、早稲田大の卒業生。2年生のころから就職を意識しはじめるのですが、自分は何をしたいのか、答えがみつかりません。一年間休学し、フィリピンやアラスカなどで過ごしました。

 そして、何をするかではなく、どんな自分になりたいか、と生き方重視の考え方に変化。ジー・ブーンにインターンとして働きました。
(ジー・ブーンは、英語でかくと「Zeeboon」。ふたりに「Z」をつくってもらいました。こちらは、「アリスのホワイトルーム」です)

 就職活動も経験したくて、だれもが知っている有名電機メーカーからも内定をもらいました。ですが、ジー・ブーンへの入社を選びました。社長の後藤さんに、何度も何度も、「よく考えろよ」と言われましたが、岩上さんの結論は変わりませんでした。

 岩上さんのニックネームは、「ソラ」です。あの大空のように大きな人間になりたい、という夢をこめた名です。

 「通常業務でも、社会人式インターンでも、やるかやらないかは自分次第。すべてが新鮮で、難しく、ときに自分自身に腹が立つこともあります。でも、ライバルは自分だと思えた瞬間、ポジティブ人間になれました」

 「以前は、まわりに認めてもらいたい、と思っていました。いまは違います。とにかく、自分に負けたくない」

 ソラさん、就活しているみなさんへのメッセージをお願いします!

「たくさん会社を見て、たくさんの生き様に触れてください。自分の目で確かめてください。だれかに言われて選ぶ借り物の人生を選ばないでください。一回きりの、自分だけの人生なのですから、不安になるかもしれませんが、妥協だけはしないでください」

 新卒採用は5~10人。どこまでも夢にこだわり、夢をおいかける会社です。