みなさんは今回の衆院選挙、投票に行きましたか? 行かなかった方、もったいなかったですね。せっかく、政治や経済について考えるチャンスだったのに。ぜひ、次回の国政選挙では、考えて投票しましょう。
ところで、みなさんは、例のアベノミクスって知っていますか? 安倍政権がいま、「これしかない」と突き進んでいる経済政策のことですね。
では、その中身を知っていますか? 知っている方も多いとは思いますが、改めて簡単にご説明します。
わたしたちが使っているおカネの通貨は、日本の円。アメリカでは、米ドル。ヨーロッパではユーロですね。このような通貨は、外国為替市場というところで売り買いされています。
アベノミクスでは、円の価値を下げる「円安政策」をしています。すると、輸出をしていたり外国に工場をもって生産していたりする自動車産業、電機産業などの大企業が、大もうけすることになります。
たとえば、ここに100万円の車があり、日本から米国に輸出しているとします。もし1ドル=50円の「円高」だったら、米国での販売価格は100万÷50=2万で、2万ドルとなります。
ところが、「円安」になったらどうなるでしょう。たとえば1ドル=100円になったら,米国での販売価格はどうなりますか? 100万÷100=1万。つまり、1万ドルとなります。
アメリカの消費者は思います。2万ドルだったら高くて手が出せなくても、1万ドルだったら買えるぞ、と。アメリカで日本の車が売れるようになりますから、日本からの輸出が増え、そして、大企業が大もうけするのです。
また、海外に工場をもって生産、販売している場合についても考えてみましょう。たとえば、アメリカにある工場で自動車をつくり、100万ドル分を売り上げたとしましょう。1ドル=50円のとき、日本円での売上高は、100万×50=5千万、つまり5千万円です。ところが、1ドル=100円なら、100万×100=1億、1億円になります。円安になったら売上高が増える、ということなります。
こうしてアベノミクスは、大企業を豊かにしていきます。そして、大企業がもうけて、社員の給料を増やし、取引先への仕事を増やす。すると、いつかかならず、中堅、中小企業の業績も良くなりますから、いまは待っていて下さい…… これが、アベノミクスです。
つまり、大きな会社がますます大きくなるのがアベノミクスです。この世の中、悲しいけれど、おカネをもっている大きな会社が、ちいさな会社に勝つ。そうできている……。
どっこい、かならずしもそうならない、だから会社の世界はおもしろいのです。
大阪市に、「ファミリーイナダ」という会社があります。創業は半世紀あまりまえ、従業員およそ450人。
つくっているのは、マッサージチェアです。もんだり、たたいたりなどで体をほぐしてくれる、あのイスです。
社長は稲田二千武(にちむ)さん、74歳。鳥取県の大山で生まれました。だれですか、「おおやま」と読んだのは。「だいせん」です。高校を卒業して大阪の鉄工所で4年、そして独立、いまの会社をつくりました。