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2022年03月09日

国際

今さら聞けない!ロシアって「大国」なの? プーチンの頭の中は?【時事まとめ】

ロシアのこと知ってますか?

 ロシアによるウクライナ侵略で、がれきの山と化した街や子どもを含む市民が泣き叫ぶ映像が連日報じられています。ロシアのプーチン大統領は国連総会で141カ国が賛成した非難決議も無視して、市民が暮らす都市への攻撃をエスカレートさせ、犠牲者、避難民が増え続けています。21世紀のヨーロッパで起きていることとは信じられません。ところで、まれに見る非道な戦争を始めたロシアのこと、どのくらい知っていますか? 米国と対峙する「大国」のイメージがありますよね。実際、「資源大国」ではありますが、経済力では韓国より下の11位に過ぎず、経済大国とは言えません。そんなロシアがなぜ、世界中を敵に回すような戦争を始めたのか。誰も逆らえないといわれるプーチン大統領とはどんな人物で、いったい何を目指しているのか。今回は、ロシアとプーチン氏の謎に迫ります。(編集長・木之本敬介)

(写真は、プーチン大統領=2021年6月、スイス・ジュネーブ)

経済力は日本の3分の1

 ロシアは、ヨーロッパからアジアにまたがる世界一の国土を持つ国だというのは知っていますよね。その広さは群を抜いていて、米国の2倍近く、日本の45倍もあります。人口は1億4500万人強なので、日本より2000万人ほど多くの人が暮らしています。主な産業は、広大な国土から産出される豊かな資源で、原油の生産は世界3位、天然ガスの輸出量は世界一。穀物大国でもあり、小麦、大麦、トウモロコシの輸出は世界有数です。宇宙開発においてはトップ級の技術を持ち、日本人宇宙飛行士の多くを国際宇宙ステーション(ISS)に運んだのはロシアのロケットです。ただし、経済規模を表す国内総生産(GDP)は170兆円ほどで、米国の10分の1以下、日本の3分の1以下。G7(主要7カ国)各国だけでなく韓国も下回る11位です。

 そんなロシアが、世界トップとみられるのが核兵器の数です。地図にあるように、米国を上回る核弾頭を保有しています。プーチン大統領は今回、核兵器の使用もちらつかせながら世界を脅しています。ロシアにとっては核兵器が「力の源泉」ともいえます。

ロシアの源流は「キエフ・ルーシ」

 ロシアの歴史をざっと振り返ってみましょう。
今さら聞けない! 「ウクライナ危機」って?ロシアが侵攻?なぜ?【時事まとめ】
 でも書きましたが、ロシアの源流は今回侵攻したウクライナにあります。9~10世紀ごろに今のウクライナの首都キエフを中心に栄えた「キエフ大公国」(キエフ・ルーシ)です。この時代にキリスト教が入り、のちにロシア正教になりました。13世紀にモンゴルに滅ぼされると、ロシア人の国は北に移り、「モスクワ大公国」や、今のサンクトペテルブルクを中心とする「ロシア帝国」(帝政ロシア)が栄え、ウクライナを支配下に置きます。この歴史から、プーチン氏はウクライナを「属国」とみているようです。1917年のロシア革命を経て「ソビエト連邦」(ソ連)が誕生。第2次世界大戦後、自由主義の米国や西欧諸国に対し、社会主義の東欧諸国を組み込んだ東側陣営を築いて東西冷戦時代が続きました。

ソ連崩壊の大混乱後、表向きは民主主義だが…

 しかし、国が管理する社会主義の「計画経済」は行き詰まり、ゴルバチョフ大統領がペレストロイカ(改革)を進めた1991年、ソ連は崩壊。ウクライナを含む15の国が独立し冷戦も終結しました。もっとも大きいのはソ連の人口の半分を占めるロシアですが、1990年代は市場経済への移行に伴う大混乱に。1998年には国の借金を返せなくなる債務不履行(デフォルト)に陥り、多くの国民が苦難を味わいました。2000年代に入ると、一転して原油などの資源の価格が上がったため急成長。成長著しい「新興国」の一つに数えられるようになり、ブラジル、インド、中国、南アフリカとともに頭文字をとって「BRICS」(ブリックス)と呼ばれました。ただ、その後も資源依存の経済体質は変わらず、2009年や2015年にマイナス成長に陥るなど、国際的な原油価格に左右される状態が続いています。

 ロシアの政治体制はどうでしょうか。共産党独裁だったソ連とは異なり、大統領を国民の選挙で選ぶなど表向きは民主主義の形をとっていますが、2000年に就任したプーチン大統領は中央集権的な体制を整えてきました。とくに近年は政府に批判的な野党指導者を逮捕したり、反政府デモや報道を徹底的に弾圧するなど情報統制を強めたりと、とても民主主義国家とはいえません。2020年には、プーチン氏が2036年まで大統領を続けることもできるよう憲法を改正しました。米国のバイデン大統領は、中国やロシアを念頭に「民主主義国家対専制主義国家の戦い」を掲げています。

「強い国家」掲げるプーチン氏に高い支持

 柔道愛好家としても知られるプーチン氏は、旧ソ連のスパイ組織である国家保安委員会(KGB)出身で、サンクトペテルブルクの副市長を経て、モスクワで出世の階段を駆け上ります。1999年に首相に、2000年には「強い国家」を掲げて大統領選に圧勝しました。以来、首相だった時期も含め20年以上にわたって事実上トップであり続けています。大統領になったのが資源価格が上がった時期と重なったこともあり、ソ連崩壊の苦難を味わった国民の支持率はほぼ60%以上と一貫して高く、2014年にウクライナのクリミア半島を併合した際には9割近くに跳ね上がりました。しかし今回は、モスクワをはじめ、出身地のサンクトペテルブルクでも反戦デモが相次ぐなど様相が異なります。報道統制を強めて海外メディアを事実上締め出し、国営メディアが世界中が「ウソ」と指摘する情報を垂れ流している異常事態です。2024年の次期大統領選挙も意識して、国民が都合の悪い情報に触れないようにする狙いでしょう。

(写真は、モスクワ中心部の広場で開かれた抗議デモに参加し警察に拘束される男性=2022年2月24日、モスクワ)

「偉大なロシアの指導者として名を残す」

 非人道的な侵略に踏み切り、核兵器を脅しに使って一切譲ろうとしないプーチン氏については「精神的に追い詰められていて何をするか分からない」との声も上がっています。頭の中はうかがいしれませんが、以下、朝日新聞デジタルなどのインタビュー記事から専門家の見方を紹介します。

◆「彼はソ連の崩壊を20世紀最大の地政学的惨事と考え、それについて何かしたいと強く願っています。彼の長期的な目標は、ロシアにもたらされた歴史的過ちを是正した偉大なロシアの指導者として、歴史に名を残すことだと思います。だから彼は、国際的に信用されなくてもかまわないのです。彼は軍事力と技術力を持っていて、それを危険にさらすこともいとわない。西側諸国が使わないような方法でそれを使うこともいとわない。この行動の結果として経済的な代償を払うこともいとわないのです」(極となる超大国がいない「Gゼロ」世界を論じたイアン・ブレマー氏)

◆「プーチン氏は今年で70歳になります。20年以上も政権を握ってきて、長期政権のレガシーを残さないといけないという焦りがあるのではないでしょうか。ウクライナを所有して歴史に名をはせたいのだと思います」「プーチン氏は大統領になってから、歴史書を読むことが好きになりました。帝政ロシアの時代にウクライナ東部とクリミア半島をロシア領にしたエカテリーナ女帝を敬愛し、いびつで独特な歴史観を構築してきました。彼の狙いは北大西洋条約機構(NATO)の拡大阻止ではなく、ウクライナの支配だと思います」(ロシア研究が専門の名越健郎・拓殖大教授)

◆「プーチン氏の軍事的意図はウクライナを属国化することです。NATOの軍事介入を牽制(けんせい)し、侵攻を確実にするための『核の恫喝(どうかつ)』です。他方で、地域紛争において、小型の非戦略核戦術核)の使用など、あえて状況をエスカレートさせることで、西側に手を引かせるという戦略もとっているとみられます」(外務省で専門官を務めた長崎大の西田充教授)

◆「問題は、プーチン氏の頭の中で核をめぐる便益とリスクのバランスがどうなっているのかです。彼の世界観を一言で表せば『ロシアのない世界に存在理由はあるか』。欧米の経済制裁でロシアが債務不履行になって国家として破綻(はたん)したとき、破綻するくらいなら世界を吹き飛ばす覚悟で核兵器を使うかもしれない。そこが分かりません」(国際政治学・核軍縮が専門の秋山信将・一橋大学教授)

 どれも恐ろしい見方です。ウクライナ情勢はみなさんの就活をも直撃します。一刻も早い侵略停止を祈りつつ、報道を注視してください。

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