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2022年02月18日

国際

今さら聞けない! 「ウクライナ危機」って?ロシアが侵攻?なぜ?【時事まとめ】

侵攻なら民間人死傷者5万人の予測

 ヨーロッパ東部のウクライナに隣国のロシアが軍事侵攻するのではないかと世界中が心配しています。ロシアがウクライナとの国境に十数万人もの軍を集めていて、米国は近く侵攻する可能性があると繰り返しています。ロシアは侵攻するつもりはないと否定していますが、米国と欧州諸国の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)はロシアに近い国に軍隊を送って警戒するなど緊張が高まっています。米国をはじめとするNATOの首脳はロシアのプーチン大統領との会談を重ね、侵攻を阻止しようと話し合いを続けています。もし侵攻したら民間人に最大5万人の死傷者が出るとの試算もあります。自分の思い通りにいかないからと他国に攻め入るなど、絶対にあってはならないことですが、いったいどうしてこんな危機的な状況になっているのでしょうか。そもそもウクライナってどんな国で、ロシアや欧米とはどんな関係にあるのか知っていますか? 遠い国の出来事と思っている人もいるかもしれませんが、日本とも無縁ではありませんよ。(編集長・木之本敬介)

ウクライナって?

 ウクライナは、東をロシア、西は欧州連合(EU)諸国に挟まれた位置にあり、ロシアを除く欧州で面積は一番広く日本の1.6倍、人口も4000万人超と第5位。農業が盛んな地域大国です。人口の8割はウクライナ人で、残りの大半を主に東部に住むロシア系住民が占めます。ウクライナ人はロシア人や北隣のベラルーシ人と同じ東スラブ民族で、10世紀ごろに今のウクライナの首都キエフにできた大国、キエフ公国が源流。そこでキリスト教が国教となったことが今のロシア正教につながるなどロシアとは歴史的に深い関係にあるのです。
 様々な大国に支配された後、17世紀には一部がロシア帝国に支配され、20世紀になってソビエト連邦(ソ連)ができると、その中でロシア共和国などに次ぐ3番目に大きな共和国となりました。1991年のソ連崩壊で独立。その後は親ロシア派と親欧米派が政権を競ってきました。

ロシアにとってのウクライナとは?

 ロシアにはウクライナ領を併合した過去があります。親ロシア政権が倒れた2014年、ロシア人が多数を占めるクリミア半島にロシア軍とみられる武装部隊が入り込み、空港や軍事拠点などを掌握。クリミア自治共和国の議会は住民投票で賛成が9割超だったとして一方的にウクライナからの独立を宣言し、ロシアはすぐにクリミアを併合しました。国連総会は住民投票に正当性はなく併合は無効だとする決議を採択。米国、EU、日本はロシアに対する制裁を実施しましたが、ロシアは今も実効支配したままです。これを機にウクライナ国民の反ロシア感情が高まり、2014年からは親欧米政権が続いています。ロシアはクリミア半島を無理やり奪ったことで、親ロ派の多くを失った形です。

 ロシアがウクライナにこだわるのはなぜでしょうか。プーチン大統領は2021年夏、「ロシア人とウクライナ人の歴史的な一体性について」と題する論文で「我々は一体」と強調しました。ウクライナを勝手に自国の勢力圏とみなしていることが分かります。さらに12月には「NATOの東方拡大とロシア領土近くへの兵器の展開をやめるよう求める」と演説。軍事圧力の目的がNATO拡大阻止にあることを鮮明にしました。その後もNATO諸国との首脳会談で、ウクライナのNATO加盟を認めないことを確約するよう繰り返し求めています。でも、ウクライナがどんな体制を選ぶのかは自由であって、他国が制約できることではありませんよね。NATO側は拡大停止を拒否する一方で、欧州でのミサイル配備制限などで協議を持ちかけましたが、ロシアは納得していません。

NATOの東方拡大

 背景にはロシアの強い危機感があります。NATOは、第2次世界大戦後の東西冷戦時代に旧ソ連と東欧諸国に対抗するためにできた軍事同盟です。ソ連が崩壊した時には16カ国だったNATO加盟国は、その後、東欧諸国が次々に加わって今は30カ国に増え、欧州の大半の国が参加しています。2008年のNATO首脳会議の宣言では、旧ソ連のウクライナやジョージアの将来的な加盟もうたいました。ウクライナのゼレンスキー大統領もNATO加盟を目指すと語っています。

 ロシアは長い国境を接するウクライナのNATO加盟を自国への脅威ととらえています。のど元に剣を突きつけられるような形に思えるのでしょう。NATOに「だまされた」(プーチン氏)という怒りもあります。ロシア側は1990年の東西ドイツ統合をめぐる交渉で当時のゴルバチョフ・ソ連書記長に「NATOは東方に拡大しないと約束した」と伝えられたと主張していますが、文書に残っておらず欧米側は否定しています。

EUのロシア依存と日本への影響

 ただ、欧州には米国とは異なる事情もあります。EUは天然ガス輸入の約4割をロシアに依存しているからです。中でもドイツは天然ガスの半分以上がロシアからの輸入です。ロシア産のガスを海底パイプラインでドイツに送る「ノルドストリーム2」(NS2)は操業待ちの段階ですが、米国のバイデン大統領は「ロシアが侵攻すれば、NS2はなくなる」と明言しました。

 日本にとってもひとごとではありません。EUは中東などとも連携して欧州への供給確保をはかるほか、日本にも液化天然ガス(LNG)の融通を依頼。日本政府は余剰分のLNGの一部を欧州に融通すると発表しました。日本のロシアからのLNG輸入は全体の1割弱ですが、他国から輸入する天然ガスの価格が高騰しかねません。三菱商事の増一行CFO(最高財務責任者)は「(事態が)悪化すれば、エネルギー価格が一層不安定になる可能性がある。対ロ制裁があれば投資家心理に悪影響があるかもしれない」と話します。すでに米国や日本の株価は、情勢を受けて乱高下しています。1970年代には中東戦争をきっかけにオイルショックが起きました。ウクライナ危機で世界のエネルギー情勢が一変する可能性もあるのです。

 日本企業はどうでしょう? 帝国データバンクが確認したところによると、2022年1月時点でウクライナには日本企業は製造業や卸売業など57社が進出しています。外務省が現地の危険情報を最も高い「レベル4(退避勧告)」に引き上げたことを受け、日本企業は駐在員の退避などを進めています。天然資源や小麦などの供給の行方次第では、進出企業以外のビジネスにまで影響が出るおそれもあります。ウクライナの情勢は、商社や金融はもちろん、みなさんが目指す様々な業界に影響します。日々の報道を注視してください。

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