人事のホンネ

人事のホンネ

 毎日のように面接を受ける日々だと思います。でも、何度面接を受けても通らない人、いませんか。要因はいろいろですが、多くの人が陥りがちなのが「話がだらだら長い」です。採用担当者は「面接はキャッチボールですから」と口をそろえます。企業はなぜキャッチボールができるかどうかを重視するのでしょうか。(編集長・木之本敬介)

(写真は、「面接解禁日」に面接会場に向かう学生たち=2018年6月1日、東京都渋谷区)

キャッチボールは「仕事の基本」

JR東海】(面接のポイントは)普通のコミュニケーションがとれるかどうか。こちらから質問した趣旨を理解して端的に答える――という言葉のキャッチボールが円滑にできることが一番大事だし、それが仕事の基本だと思います。(コミュニケーションがとれない学生は多い?)中にはいます。言葉のキャッチボールができなかったり、質問の趣旨とまったく違う答えが返ってきたり、一つの話を延々5分10分話し続けてしまったり。逆に何を聞いても答えが一問一答で返ってくる学生もいます。能力が高くても、まずは自然なコミュニケーションがとれることが一番ですね。

丸紅】面接といえども会話のキャッチボールであることにかわりはないので、きちんとキャッチボールができるかどうかも重要です。質問の意図をきちんと理解してポイントをずらさずに回答をしながらも、自分自身のPRも含めて言いたいことをしっかりと伝えることができる人との面接は、会話が弾むものです。コミュニケーションと言うと、話す力に焦点が当たりがちですが、相手の立場に立って話ができるかどうか、つまり「聞く力」も大きなポイントです。商社の仕事で求められるコミュニケーションも同じなのではないでしょうか。

 経団連が加盟企業に行っている新卒採用に関するアンケート調査の「選考にあたって特に重視した点」で、毎年トップを続けているのが「コミュニケーション能力」です。2位以下の「主体性」「チャレンジ精神」「協調性」を挙げた企業が5~6割なのに対し、コミュ力は8割以上。どんな仕事も、コミュ力がないとできないということです。企業はその力を、言葉のキャッチボールができるかどうかで判断しているわけです。
 コミュ力は「話す力」だけではありません。質問を正確に理解できなければ、面接官の求めには応じられません。だから「聞く力」も大事なんですね。キャッチボールがうまくできて会話が弾む面接は、たいてい良い結果につながります。