■採用実績
――2014年の新入社員と2015年春入社予定の内定者数を教えてください。
2015年4月入社は男女含めて計595人です。男性は525人、女性は70人。職種別ですと、「総合職」(大学・大学院卒)が71人(男性64、女性7)、「アソシエイト職」(大学卒)が27人(男性3、女性24)、「プロフェッショナル職」が497人(男性458、女性39)です。
ちなみに2014年度の採用実績は694人(男性620、女性74)で、「総合職」は80人(男性74、女性6)でした。
――2015年入社は前年比で100人近く減ったんですね。なぜですか。
主な理由としては、数年前まで定年退職者の数が多かったことから、1000人程度の採用が必要でしたが、そのピークを越えて退職者数が減少していることによります。今後の採用数は、中長期的には2015年入社とほぼ同程度の水準で推移すると思います。
――大量退職は、旧国鉄時代に入った方々が定年を迎えたからですか。
そうですね。定年退職は2009年がピークで、採用のピークは2010年。そのころは1,000人以上採用していました。今は数は減っていますが、必要な人材は安定的に採用してきています。
――一般的にはこの1~2年は業績が上向いて採用数を増やす会社が多いのですが、JR東海はあまり景気に左右されないのですか。
基本的には鉄道を運営するのに必要な人員を逆算して採用するので、景気が良くなったから採用数を一気に増やすという性質のものではありません。
■女性社員
――鉄道好きの女性が増えている印象がありますが、女性の採用はあまり多くないですね?
2015年度入社だと595人中70人ですから約12%ですね。女性の採用を絞っているわけではないのですが、鉄道業界は一般的には女性が働くことをイメージしづらいのかも知れません。男女問わず鉄道に興味ある方はいますが、それでもまだ女性は応募者自体が少ない。男女問わず優秀な人材を採用するために、より多くの方に、当社で働くことの魅力を知っていただくことが必要だと思っています。
――安倍政権下で女性の活用を推進する流れが生まれていますが。
今後説明会やセミナーで女性の先輩社員に登場してもらって、女性も活躍する職場がある、働きやすい会社だと目に見える形でアピールすることで、女性の応募もより増やしたいと思っています。
―一最近は車内のアナウンスで女性車掌の声をよく聞くようになりました。
平成ひと桁の時代は法律もあって、原則として女性は夜勤ができなかったので鉄道業の現場では仕事ができない状況でした。平成ふた桁時代以降は少しずつ労働条件が緩和され、夜勤も可能になったので、安定的に採用してきています。
東海旅客鉄道株式会社
ESはあえて手書きに 自分の言葉で熱い思いを
■職種とエントリー数
――職種がいろいろありますね。教えていただけますか。
職種は、「総合職」「プロフェッショナル職」「アソシエイト職」の3種類。専門分野は、「事務」「運輸」「車両・機械」「施設」「電気・システム」の5系統あり、職種との組合せで、全部で10の採用区分があります。
――文系・理系や学部学科ごとに応募できるところは決まっているんですか。
応募の時点で、総合職、プロフェッショナル職などの職種と系統も選んでもらいます。事務は総合職だけで、主な採用実績としては文系の学生です。その他の運輸、車両・機械、施設、電気・システムの総合職は理系の仕事です。プロフェッショナル職では、運輸系だけは特別な専攻は必要なく文理問わずいろいろな学部から採用していますが、車両・機械、施設、電気・システムの各系統は、大学で関係する分野を専攻していた理系の学生が採用される場合が多いです。
――複雑ですが、採用ホームページの一覧表を見ると分かりやすいですね。プロフェッショナル職とは?
主に、鉄道の現場に軸足を置いて、高い技術力や専門性を発揮しながら働く人たちです。運輸系統には駅員、車掌、運転士といった職種が含まれます。その他もそれぞれの系統で鉄道の第一線で活躍する仕事です。
――アソシエイト職は地域限定ということですか。
はい、地域限定で、主にオフィス部門で専門性を高めて、実務の中心として活躍する社員です。配属当初は主にサポート業務を行いますが、能力や意欲に応じて企画・計画業務等にも幅広く携わります。
――応募の状況を教えてください。
2015新卒採用では、大卒生トータルで、エントリーシート(ES)を出していただいたのが1万5000人くらいでした。この数年大きくは変わりませんが、採用数が一時期より減っているので、相当たくさんの方が応募してくれているという認識です。
――いわゆる鉄道好きの方の応募は多いんですか。
よく「鉄道マニアは入社できないんじゃないか」と言われますが、鉄道好きだから不合格ということは全くありません。ただ、「鉄道のことしかわかりません」という方は困る。鉄道が嫌いではできない仕事なので鉄道好きを隠す必要はありませんが、それ以外のことにも関心をもつ幅広い視野は必要です。鉄道以外の事業もやっていますし、鉄道業も広い視野をもって進めていく力がないと運営自体難しいですから。
――職場にも、鉄道マニアはいらっしゃるんでしょうね。
いることはいますが、鉄道好きだけでなく人間的にも非常に魅力的な幅広い視野を持った人が多いですよ。
■会社説明会
――2015新卒採用がどんなスケジュールだったかを教えてください。
2013年12月にサイトをオープンしてプレエントリーを始めました。それから説明会やセミナー、先輩社員が学生の質疑応答を受けたり少人数でディスカッションしたりできる社員懇談会を開き、当社の魅力を理解してもらいました。その後は職種・系統によってバラバラなので一概には言えませんが、2月の終わりから3月の上旬にかけ順次、職種・系統ごとにESを集めました。4月以降は面接などを複数回行い、4月の中旬から下旬にかけて内々定を出しました。
――人気企業ですから、説明会はすぐ満員になるのでしょうね?
そうですね。おかげさまで結構人気が高く、いろいろな地区で数多く説明会などを開くようにはしていますが、早い時期にいっぱいになることも多いですね。ただ、少しでも多くの学生にお会いしたいと思っていますし、一旦満席となっても定員を増やす工夫をしたり、直前でキャンセルが出ることもあるので、こまめに予約状況をチェックしてほしいと思います。
――どういう都市で開くのですか。
主に、名古屋、東京・関東地区、関西地区では大阪や京都でやっています。当社の事業エリアである、東京から大阪の間での開催が多いですね。採用は全国からしているので、北海道や九州の大学のキャリアセンターからご連絡をいただいて、大学主催のセミナーに参加することはあります。
■ES
――ESは結構シンプルですね。手書きですか。
ウェブで出力して印刷した紙に手書きしてもらいます。字がうまい下手というより、丁寧か雑かで本人の熱意、志望度がよくわかるので、あえて手書きにしています。学生にとっては大変かもしれませんね。
――履歴的な項目のほかは、学んだ内容、志望理由、打ち込んだ内容、自己PR。典型的なESですね。
そうですね。これに尽きると思います。これ以上のことは面接で聞けばいいと思っているので。なぜ志望するのかと、本人の人となりを知るための学生時代に打ち込んだ内容が、二本柱だと思います。理系の学生については、研究内容は参考になる部分が当然あります。文系の学生も、面接ではゼミや研究のテーマについて聞くこともあります。知識を問うというより、どんなことに興味をもっているかを知るためです。
――書類選考のポイントは?
志望動機に関しては、会社の採用パンフレットに書いてあるキーワード、たとえば「日本の大動脈」や「社会への貢献」といった言葉をたくさん書いてあるものが多い。もちろん大切ですがそれだけではなく、自分の言葉でJR東海に対する熱い思いを書いてあるかが一番重要です。単に「日本の大動脈である新幹線を……」みたいな誰でも書ける、採用パンフを丸写ししているような文章だと、どこまで当社に入りたいのかわかりません。自分の経験を書いたり、自分の言葉で表現したりしているESがやはり魅力的です。
――どんなESが心に響きますか。
たとえば、自分の子ども時代からの経験を踏まえたものでしょうか。育った環境はすごく狭い世界だったので、広い世界で人と人を結びつける仕事がしたい、だから鉄道に興味があります……みたいな。自分が過去にどんなことを考え、何に一番価値を置いているのか、それらを踏まえたうえで「だから鉄道業に興味がある」ということがわかると、当社への真剣な思いを感じます。
内容はどのようなものでもいいですが、何よりも、自分の経験を踏まえて自分の言葉でどれだけ書いているかが重要です。
――「JR東日本や西日本ではなく、JR東海でなければいけない……」という点は重視しますか。
もちろんありますね。最後に気になるのは志望度。本当に当社に来るのかというところになるので、なぜ「JR東海」なのかは表現してほしいですね。ありきたりな言葉かもしれませんが、たとえば日本社会、経済全体を支えているスケールの大きさに触れるとか。超電導リニアによる中央新幹線についてはみなさん書きますが、日本経済に大きなインパクトを与えるのみならず、世界にも影響を与える大きなプロジェクトです。そのスケールの大きさを自分の言葉で書いてくれると、これは他社とは違うJR東海に対する志望動機だな、と感じると思います。
――JR東日本と併願する学生は多いのでしょうね。
多いと思いますが、最後の内定場面で当社とJR東日本で迷うケースはあまり多くないように感じます。むしろ「もともと鉄道業界に興味はなかったけれど、説明会を聞いてすごく夢がある企業だという思いが強まり、鉄道会社はJR東海だけ受けている」という学生もいます。鉄道会社との併願ばかりということは全くありません。
――鉄道以外だとどんな業種との併願が多いのでしょう?
系統によってまちまちですが、文系だと商社やディベロッパーなど。鉄道は駅を中心に街の発展に寄与している面もあるので、ディベロッパーとの併願があるのだと思います。
鉄道業は「安定産業」と思われがちで、つぶれないだろうという理由で志望する方がいますが、それだけでは厳しい。日々愚直に鉄道輸送の安全・安定を守ることも大切ですが、それに満足せず、リニアや海外、そして新しい日本の未来をつくることに挑戦していく気持ちがどこかにないとダメ。そういう面で商社とも共通点があるのかなと思います。「安定」だけではなく、「挑戦」というキーワードに共感する学生に来てほしいですね。
――「安定」と「挑戦」はどちらがより大切ですか。
一番大事なのは安全・安定輸送であり、いくら挑戦しようが大きな事故を起こしてはいけません。愚直で地味な日々の仕事を繰り返して安全・安定輸送を守ることに共感できなければ全然ダメです。そのうえでプラスアルファとして、挑戦する気持ちもないと。もちろん、挑戦とか成長とか華やかな面だけに目がいっている人もNG。両方の目をもっているバランスのいい方に一番来てほしい。面接でも、当社が大事にしている両方の価値観にどれだけ共感してくれているかを見ます。
――職種がいろいろありますね。教えていただけますか。
職種は、「総合職」「プロフェッショナル職」「アソシエイト職」の3種類。専門分野は、「事務」「運輸」「車両・機械」「施設」「電気・システム」の5系統あり、職種との組合せで、全部で10の採用区分があります。
――文系・理系や学部学科ごとに応募できるところは決まっているんですか。
応募の時点で、総合職、プロフェッショナル職などの職種と系統も選んでもらいます。事務は総合職だけで、主な採用実績としては文系の学生です。その他の運輸、車両・機械、施設、電気・システムの総合職は理系の仕事です。プロフェッショナル職では、運輸系だけは特別な専攻は必要なく文理問わずいろいろな学部から採用していますが、車両・機械、施設、電気・システムの各系統は、大学で関係する分野を専攻していた理系の学生が採用される場合が多いです。
――複雑ですが、採用ホームページの一覧表を見ると分かりやすいですね。プロフェッショナル職とは?
主に、鉄道の現場に軸足を置いて、高い技術力や専門性を発揮しながら働く人たちです。運輸系統には駅員、車掌、運転士といった職種が含まれます。その他もそれぞれの系統で鉄道の第一線で活躍する仕事です。
――アソシエイト職は地域限定ということですか。
はい、地域限定で、主にオフィス部門で専門性を高めて、実務の中心として活躍する社員です。配属当初は主にサポート業務を行いますが、能力や意欲に応じて企画・計画業務等にも幅広く携わります。
――応募の状況を教えてください。
2015新卒採用では、大卒生トータルで、エントリーシート(ES)を出していただいたのが1万5000人くらいでした。この数年大きくは変わりませんが、採用数が一時期より減っているので、相当たくさんの方が応募してくれているという認識です。
――いわゆる鉄道好きの方の応募は多いんですか。
よく「鉄道マニアは入社できないんじゃないか」と言われますが、鉄道好きだから不合格ということは全くありません。ただ、「鉄道のことしかわかりません」という方は困る。鉄道が嫌いではできない仕事なので鉄道好きを隠す必要はありませんが、それ以外のことにも関心をもつ幅広い視野は必要です。鉄道以外の事業もやっていますし、鉄道業も広い視野をもって進めていく力がないと運営自体難しいですから。
――職場にも、鉄道マニアはいらっしゃるんでしょうね。
いることはいますが、鉄道好きだけでなく人間的にも非常に魅力的な幅広い視野を持った人が多いですよ。
■会社説明会
――2015新卒採用がどんなスケジュールだったかを教えてください。
2013年12月にサイトをオープンしてプレエントリーを始めました。それから説明会やセミナー、先輩社員が学生の質疑応答を受けたり少人数でディスカッションしたりできる社員懇談会を開き、当社の魅力を理解してもらいました。その後は職種・系統によってバラバラなので一概には言えませんが、2月の終わりから3月の上旬にかけ順次、職種・系統ごとにESを集めました。4月以降は面接などを複数回行い、4月の中旬から下旬にかけて内々定を出しました。
――人気企業ですから、説明会はすぐ満員になるのでしょうね?
そうですね。おかげさまで結構人気が高く、いろいろな地区で数多く説明会などを開くようにはしていますが、早い時期にいっぱいになることも多いですね。ただ、少しでも多くの学生にお会いしたいと思っていますし、一旦満席となっても定員を増やす工夫をしたり、直前でキャンセルが出ることもあるので、こまめに予約状況をチェックしてほしいと思います。
――どういう都市で開くのですか。
主に、名古屋、東京・関東地区、関西地区では大阪や京都でやっています。当社の事業エリアである、東京から大阪の間での開催が多いですね。採用は全国からしているので、北海道や九州の大学のキャリアセンターからご連絡をいただいて、大学主催のセミナーに参加することはあります。
■ES
――ESは結構シンプルですね。手書きですか。
ウェブで出力して印刷した紙に手書きしてもらいます。字がうまい下手というより、丁寧か雑かで本人の熱意、志望度がよくわかるので、あえて手書きにしています。学生にとっては大変かもしれませんね。
――履歴的な項目のほかは、学んだ内容、志望理由、打ち込んだ内容、自己PR。典型的なESですね。
そうですね。これに尽きると思います。これ以上のことは面接で聞けばいいと思っているので。なぜ志望するのかと、本人の人となりを知るための学生時代に打ち込んだ内容が、二本柱だと思います。理系の学生については、研究内容は参考になる部分が当然あります。文系の学生も、面接ではゼミや研究のテーマについて聞くこともあります。知識を問うというより、どんなことに興味をもっているかを知るためです。
――書類選考のポイントは?
志望動機に関しては、会社の採用パンフレットに書いてあるキーワード、たとえば「日本の大動脈」や「社会への貢献」といった言葉をたくさん書いてあるものが多い。もちろん大切ですがそれだけではなく、自分の言葉でJR東海に対する熱い思いを書いてあるかが一番重要です。単に「日本の大動脈である新幹線を……」みたいな誰でも書ける、採用パンフを丸写ししているような文章だと、どこまで当社に入りたいのかわかりません。自分の経験を書いたり、自分の言葉で表現したりしているESがやはり魅力的です。
――どんなESが心に響きますか。
たとえば、自分の子ども時代からの経験を踏まえたものでしょうか。育った環境はすごく狭い世界だったので、広い世界で人と人を結びつける仕事がしたい、だから鉄道に興味があります……みたいな。自分が過去にどんなことを考え、何に一番価値を置いているのか、それらを踏まえたうえで「だから鉄道業に興味がある」ということがわかると、当社への真剣な思いを感じます。
内容はどのようなものでもいいですが、何よりも、自分の経験を踏まえて自分の言葉でどれだけ書いているかが重要です。
――「JR東日本や西日本ではなく、JR東海でなければいけない……」という点は重視しますか。
もちろんありますね。最後に気になるのは志望度。本当に当社に来るのかというところになるので、なぜ「JR東海」なのかは表現してほしいですね。ありきたりな言葉かもしれませんが、たとえば日本社会、経済全体を支えているスケールの大きさに触れるとか。超電導リニアによる中央新幹線についてはみなさん書きますが、日本経済に大きなインパクトを与えるのみならず、世界にも影響を与える大きなプロジェクトです。そのスケールの大きさを自分の言葉で書いてくれると、これは他社とは違うJR東海に対する志望動機だな、と感じると思います。
――JR東日本と併願する学生は多いのでしょうね。
多いと思いますが、最後の内定場面で当社とJR東日本で迷うケースはあまり多くないように感じます。むしろ「もともと鉄道業界に興味はなかったけれど、説明会を聞いてすごく夢がある企業だという思いが強まり、鉄道会社はJR東海だけ受けている」という学生もいます。鉄道会社との併願ばかりということは全くありません。
――鉄道以外だとどんな業種との併願が多いのでしょう?
系統によってまちまちですが、文系だと商社やディベロッパーなど。鉄道は駅を中心に街の発展に寄与している面もあるので、ディベロッパーとの併願があるのだと思います。
鉄道業は「安定産業」と思われがちで、つぶれないだろうという理由で志望する方がいますが、それだけでは厳しい。日々愚直に鉄道輸送の安全・安定を守ることも大切ですが、それに満足せず、リニアや海外、そして新しい日本の未来をつくることに挑戦していく気持ちがどこかにないとダメ。そういう面で商社とも共通点があるのかなと思います。「安定」だけではなく、「挑戦」というキーワードに共感する学生に来てほしいですね。
――「安定」と「挑戦」はどちらがより大切ですか。
一番大事なのは安全・安定輸送であり、いくら挑戦しようが大きな事故を起こしてはいけません。愚直で地味な日々の仕事を繰り返して安全・安定輸送を守ることに共感できなければ全然ダメです。そのうえでプラスアルファとして、挑戦する気持ちもないと。もちろん、挑戦とか成長とか華やかな面だけに目がいっている人もNG。両方の目をもっているバランスのいい方に一番来てほしい。面接でも、当社が大事にしている両方の価値観にどれだけ共感してくれているかを見ます。
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2024/11/21 更新
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