
■面接
――その先は面接ですが、2015新卒採用では何回面接をしましたか。
職種によってバラバラですが、必ず複数回面接します。多い場合で5~6回。きちんと人物を見るのが一番大切だと思っているので、基本的には1対1で話を聞きます。これも職種によりますが、最初の面接官は、中堅クラスの入社5~6年以上の社員のこともあります。徐々に課長や部長クラスに上がっていきます。最終面接も、事務系は人事部長、技術系は責任者の部長が1対1で面接します。
30分は話さないとその人のことがわからないので、最低でもそれくらいは時間をかけています。ESをもとに話を聞く感じですね。
――面接の段階ごとに見るポイントはありますか。
特にありません。ただ1次面接では鉄道業のことを知って志望度を高めてもらうことも大切なので、志望度が不十分な学生に対しては、面接時間の中で私どもから業務紹介をすることもあります。
――小峰さんご自身が面接に入る際、見るポイントはどこですか。
一般常識を全然知らないのでは困りますが、ゼミの専攻や鉄道に関する難しい知識を持っているかどうかはあまり気にしません。それよりも、普通のコミュニケーションがとれるかどうか。こちらから質問した趣旨を理解して端的に答える――という言葉のキャッチボールが円滑にできることが一番大事だし、それが仕事の基本だと思います。
――コミュニケーションがとれない学生は多いのですか。
中にはいます。言葉のキャッチボールができなかったり、質問の趣旨とまったく違う答えが返ってきたり、一つの話を延々5分10分話し続けてしまったり。逆に何を聞いても答えが一問一答で返ってくる学生もいます。能力が高くても、まずは自然なコミュニケーションがとれることが一番ですね。あとは、安全・安定輸送と挑戦・成長という当社が大事にしている価値観にどれだけ共感できるかがすごく大切です。
■求める資質
――JR東海の社員に絶対に必要な資質ってありますか。
鉄道業には一人でできる仕事は一つもないので、チームワークと協調性が非常に重要です。東海道新幹線を例にあげると、車掌や運転士は花形で人気職種ですが、それだけではなく車両を整備する人、駅で切符を売る人、夜勤で線路の補修をする土木の人、電気関係の人、本当にいろいろな人の協力がないと新幹線は走りません。
さらに長い時間をかけてやる仕事も多い。超電導リニアによる中央新幹線も、国鉄時代から計画していたものがようやく着工して、これから様々な社員が協力をしながら推進して、2027年に東京から名古屋まで、2045年に大阪まで開業の予定です。みんなそれが肌に染みてわかっている会社なので、チームワークの大切さを感じられるかどうかはとても大事です。
――チームワークと協調性はどう判断するのですか。
学生時代に集団生活みたいなことはしていたほうがいい。一人でバックパッカーをしていたとか、とてつもない大きなことをやってきたという人と、地味だけれどアルバイトやサークルなどのグループで活動していた人がいたとします。一見派手な経験をしてきた人が良さそうですが、仮に地味だったとしても、何かグループの中でチームワークの大切さを知ったという学生にも魅力を感じます。
――面接でそこを確認するのですね。
私が面接をする時は、大学に限らず中学・高校でもいいんですが、一匹狼でやってきたことよりグループで何をやってきたのかを聞くことが多いですね。大きなことをやってきたとアピールする学生もいますし、もちろんそういう行動力、瞬発力も大切ですが、それだけで友だちの話が一切聞こえてこなかったりすると「大丈夫かな?」とやや心配になります。鉄道業をみんなで支えているという使命感や誇りに共感できる学生は、どこかでチームワークを大切にする生活をしてきたと思うので。
――逆に、向かない学生は?
中央新幹線や海外事業展開、京都キャンペーンなど華やかなところだけに注目していて、「地道で愚直な仕事もあるよ」という話をすると少し抵抗感を持つような学生は難しいと思います。
一人だけの力で、短期間で成果を出し、それをすぐに報酬にも反映させてほしいというような希望をもっている人には、少し面白くない会社かもしれません。逆に、一人でできることは限られているけれど、長い時間をかけてみんなで仕事をして、達成の喜びをみんなで分かち合えたらうれしいというような価値観を大切だと思える人にとっては、こんなにいい会社はないと思います。
――「安全・安心」は、チームワークと協調性に支えられているのですね。加えて、挑戦する気持ちも必要だと?
口には出さなくても「安定的な会社に入りたい」という学生もいます。前例踏襲とか、積極的に自分の道を切り開くようなところが感じられない人は、これもまた心配です。難しいんですが、どちらかだけでは困ります。
――職種によって求める資質が異なる点はありますか。
総合職は、将来の幹部候補として短い期間でジョブローテーションをして経験を積んでいきます。だからチームワークに加え、課題を見つけて解決する力や、主体的に自分でリーダーシップをとって周りを巻き込んで組織をけん引していく力強さも必要です。
一方でプロフェッショナル職は、鉄道の現場の最前線で安全・安定を守っていく面が強い職種なので、決められたことをきちんと愚直に守るプロ意識を持っているかどうかが重要、といった違いはあります。
また、アソシエイト職は、オフィス部門を中心に専門性を高めながら実務の柱となる存在なので、基本となるチームワークや協調性はとても大切ですし、前向きに目の前の仕事に取り組み、また自分のスキルや能力を磨く意欲なども必要ですね。
――JR東海を受ける学生に、事前に考えてきてほしいこと、やってきてほしいことはありますか。
ありきたりですが、いろいろな経験をして広い視野を持つことが大事。勉強でもサークルでも部活動でも何でもいいので、いろいろな経験をし、その中で具体的にどんなことを考えて、どう行動して、そこから何を身につけたかを意識してほしい。常に誰かに言われて流されるのではなく、自分自身で物事を考えてきちんと行動すること。つまり、いろいろな経験をして自分でしっかりものを考える癖をつけることが大事です。
■大学名と2016採用スケジュール
――採用時に大学名は意識しますか。
オープンエントリーですべての大学を受け付けているので、大学名は特に関係ありません。
――内定者の結果をみるとやはり有名、一流大学出身者が多いイメージですが。
コミュニケーション力や基礎的な能力も含めて面接すると、やはりそういった大学の方々が結果的に多く内定をとるという傾向はあるかも知れません。ですが、この大学からしか採らないということは決してありません。採用実績のある大学にはキャリアセンターなどから話があって学内セミナーに呼ばれることもありますが、それ以外の説明会は広く門戸を開いています。
――理系の学生には、研究室推薦などがあるのでしょうか。
研究室から推薦を受けてというルートはなくて、技術系もESを提出し面接を受けてもらいます。採用実績校であれば、出身の研究室から呼んでいただいてOB社員が話をさせていただくような機会はありますが、最終的にはESも面接も他の学生と同じように受けてもらいます。
――東海地区出身の大学や学生を優先することは?
一切ありません。東海地区出身者は少なくありませんが、特別多いというイメージはないですね。東京や大阪の方も結構いますし、北海道出身など全然縁もゆかりもない方もいます。東京、名古屋、大阪が同数くらいのイメージですね。
――2016新卒採用のスケジュールについて教えてください。
基本的には経団連指針を遵守します。3月1日の採用広報オープン以降にプレエントリーや選考にかかわるセミナーをやっていきます。具体的な選考については未定ですが、6~7月初旬ぐらいにESを締め切り、8月からの選考に入る書類選考をするという流れになると思います。