
■どんな会社? どんな人材?
――バンダイはどんな会社ですか。
ポジティブで、前向きな会社だと思います。チャレンジすることを良しとするし、チャレンジしたくなる会社です。
おもちゃって、生活必需品ではない。世の中になくても困らない。そんな中でエンターテイメントを提案していくためには、常に前向きで、常に誰かに提案できるような姿勢が必要です。本当は必要ないものだとしても、前向きに提案されたらお客様だってほしがるでしょう? ダメだったとしても、もう1回新しいものを提案できるようなポジティブな人がいい。キャラクターもアニメも悪い結果が出ることがありますが、そういう時にいちいちネガティブになっていたらいいものはつくれないと思います。
――どんな社員が多いのでしょう?
私たちはメーカーですし、各部で商品の企画を考えて商品化していく事業部制を敷いています。常に各部署が新しいことを考えて提案してくことが必要なんです。だからエンターテインメントに敏感だったり、情報の感度をよくするために何をするかを考えたりしている社員が多いと思います。
バンダイ社員が働く様子を他社の方が見て、「社員がみんな笑顔ですね」と言われることがよくあります。自分たちが笑顔じゃないとユーザーの方に夢を与えられないので、相手が笑顔になれるように自分も笑顔で仕事をしようという意識はあると思います。
――学生にも「チャレンジ」や「ポジティブ」な姿勢を求めるんですか。
はい。基本的には学生にも求めています。ただ声が大きければいいということではなく、おとなしそうだけど内心に燃えるポジティブさを持っているなど様々なタイプがほしいですね。
――基本的には「おもちゃ好き」な学生が受けに来るんでしょうね?
嫌いな人はいませんが、違うところに関心のある方も結構います。バンダイはキャラクターを軸にいろんな事業展開をしているので、その事業展開の幅広さにひかれてくる、自分でビジネスをやりたいと言って入社する学生も結構います。
――バンダイの商品がすごく好き、キャラクターが大好きという学生も多いと思いますが、そういう学生はどう思いますか。
忙しい会社でもあるので、「自分の好きな物がある」というだけならユーザーのままでいてもらったほうがお互いのためになる。社員になるためには、「誰かに何かをしてあげたい」という気持ちがセットにないとダメなのかなと思いますね。
それと「ユーザー視点」が必要だと思います。自分が好きなものを好きなようにしたいということではなく、自分の隣にいるユーザーがどう思うのかを考えられるなら、好きなことは別にいいと思いますよ。
――いわゆるオタク系の社員は多いんですか。
「Aも好きだけどBも好き、Cも好き、Dも好き」という、一つだけじゃなくたくさん好きなものがある社員が多いですね。そこがいいところです。バンダイは趣味の幅が広い人のほうが合いますね。
――「好きなことを仕事にしたほうがいい」「しないほうがいい」両方の言い方がありますが、どちらが正しいと思われますか。
自分じゃなくて、周囲の人の「好き」を追求できるかどうかだと思います。自分が好きなものがあるからこそ、他人の好きなものもわかってあげられるという風になると一番いいと思います。そこは面接でもすごく質問しますね。
――バンダイのいいところってどんなところでしょう?
商品を提供するメインの対象が子どもっていうのは、すごくわかりやすくていいですね。
子どもにとってオンリーワンの価値を提供できる可能性があるので、何かあっても、仕事がきつくても立ち返れる。子どもの笑顔のために頑張っているって真剣に思える瞬間が、年に何回か本当にあるんですよ。そういう意味で、社員は「おもちゃ好き」より「子どもの笑顔を見るのが好き」が大前提だという気はします。
あと、人を喜ばせようとする社員が多い。学生にはよく、「サプライズパーティーをやりたがるタイプの学生がほしい」と言います。相手の予想を裏切って、相手が喜ぶ姿を想像していろいろできる人。その延長線上に私たちの仕事があると思います。
――内定が競合するのはどんな会社ですか。
同業他社よりも、ゲーム、出版社、広告代理店といったあたりです。海外在住経験があって、日本発のキャラクターが広がっていく課程を見てきた学生の中には、「ライツ(権利)ビジネスがやりたい」という希望を持ってくる人もいます。海外展開はまだこれからなので、そこにやりがいを見いだす学生もいますね。
■バンダイの仕事
――バンダイの仕事について教えてください。
基本的には「キャラクターマーチャンダイジング」なんだ、という説明は学生に必ずします。自社で生み出したキャラクターもありますが、基本的には映画会社や出版社などの版権元からキャラクターの権利をお借りして商売させてもらっている、ということです。そうしないと、弊社がキャラクターを作っていると勘違いしてくる学生も出てくるので。
――営業関係の仕事が多いのですか。
そんなことはありません。事業部は流通経路ごとに分かれています。トイ・おもちゃ流通、ホビー流通、お菓子の流通、トイレタリー、日用品流通、アパレル流通などに分かれて事業部制を敷いています。それぞれの部門に、営業、企画開発、広告宣伝、仕入などの仕事があります。
――2005年にテーマパーク運営などを手がけている「ナムコ」と経営統合し「バンダイナムコホールディングス」の傘下になりましたが、採用なども一緒に行っているのですか。
広報活動を一緒にやっています。
――合併前と後で変わったことはありますか。
事業の幅は広がりましたが、働き方はそれぞれの会社を踏襲しているのでほぼ変わりません。
――おもちゃ会社というと楽しいイメージですが、内実は大変なことも多いのでしょうね?
サプライズパーティーも年に1回ならできますが、365日やれと言われると大変ですよね。同じものではサプライズにならないし、お客様の期待を毎日越えていかないといけない。そこが厳しいところです。一つキャラクターがブレークしても、同じようなものを出して売れ続けるということはない、「昨日見たよそれ」となってしまう。だから手を変え品を変え、周りから情報を集め、失敗することも多いのでポジティブに発想していかないといけない……。仕事の難易度が上がっていくのを乗り越えるのが大変だと思います。
――かなり忙しい?
企画という仕事には際限がないんですよね。何か考えはじめると「もっと、もっと」となってしまって、午後5時半で仕事を終わらせるのが難しい、自分で忙しくしてしまうということはあります。
それでも、「仕事は限度をもってやろう」という意識がだんだん浸透はしてきています。また、忙しさは季節によってもかなり変わります。
――みなさん、情報はどうやって集めるんですか。
各自それぞれですが、街に出かけたり、マスメディアから情報を得たりしていると思います。人が好きで、取引先やグループの人の衆知を集めるのがうまい社員も多いと思います。
――新聞を読んでいるかどうかは大事ですか。
新聞を読んでいるか、面接で直接聞くことはありません。ただ、世の中の動向はもちろん、仕事に使えそうな新しい情報や、世間ではやっている面白いものを見つけたりするために、新聞などを使ってアンテナを張ってほしいですね。