Sky
2021シーズン⑩ Sky株式会社《後編》
「仕事・仲間・会社」好き? 新しもの好きな人は親和性あり【人事のホンネ】
リクルーティンググループ次長 南出致聖(みなみで・ちさと)さん、リクルーティンググループ主幹補 潟岡雅士(かたおか・まさし)さん
2020年01月29日
(前編はこちら)
■ES
──ESのポイントを教えてください。
南出 いろいろありますが、WEBエントリーで、「学生時代に一番力を入れたこと(ガクチカ)/自己PR」(300字)をしっかり書いているかは見ます。ここを見ると「人となり」が分かります。みっちり書く学生も、あっさりした学生もいますが、やはり「みっちり」のほうが読みたくなります。熱意が表れますから。
あとは、「希望職種とその理由」が300字、「志望理由」300字、「趣味・特技」100字などです。
■面接
──面接は、採用チーム面接、現場社員面接、役員面接の3回ですね。
南出 採用チーム面接はグループ(集団)面接です。学生3~5人に対し採用担当者1人で、学生が3人だと1時間、5人になると1時間半ほどかかったりします。
──長いですね。「一人でも多くの学生に会うため、効率がいい集団面接にしている」という会社はたくさんありますが、3人で1時間だと効率的ではありませんね。個人面接20分ではなく集団面接にしている理由は?
南出 長いですか? 人柄を知るにはある程度時間がかかると思っています。あとはスケジュール調整がしやすいからです。いくつか枠を作っておき、学生本人に面接の予約をしてもらっています。面接の定員を3~5人としておけば、多少キャンセルが出てもその時間帯に「0人」ということにはならないですし。
──なるほど。他に集団面接のメリットは?
南出 メンバーにもよりますが、動機形成がしやすいと思います。Aさん、Bさん、Cさんの3人で面接したとします。AさんはSkyの志望度が高く、Cさんはそうでもなかった。ところが、面接でAさんの答えを聞くうちにCさんの志望度が高まるということがあります。面接の間に学生同士が刺激を受け合うんです。志望動機も人それぞれなので、「そう答えるのか」と参考になると思います。
──その後の面接は?
南出 個人面接です。現場社員面接は学生1人対社員2人で、30分くらい。学生が志望する職種の社員が担当します。役員面接は学生1人対役員2~3人で、20~30分です。
──各面接で見るポイントは?
南出 大きな違いはなく、すべての面接で、「仕事が好きか」「仲間が好きか」「会社が好きか」を見ます。当社の採用のキーワードは「好働力」です。「好きなことを仕事にしよう」ではなく、「働くのを好きになろう」という意味です。自分に与えられたミッションに熱意を持って取り組んでくれる人に来てほしいんです。
──どうやって見極めるのですか。
南出 本人の言葉です。「なぜSkyなのか、なぜその仕事をしたいのか」という質問に答える言葉に力があるか、実際に何か行動しているかを見ます。「未経験ですがプログラマー、SEを目ざしています」と言う学生に「何か本を読んだ?」と聞く。実際に行動している学生なら「〇〇を読みました」「〇〇しています」といった答えが当然返ってくるはずです。
「ガクチカ」は、それを惰性でやっていたのか、自ら動いていたのかが見えると思っています。
──志望動機は大事ですか。
南出 「本人がやりたいことを当社でできるか」のギャップをなくすためにも大事です。BtoBの会社なので、「SkyでBtoC(一般消費者向け)の商品開発をしたいです」という志望動機だと「それは現状、Skyでは難しいよ」となります。
──理系学生の研究内容は重要ですか。
南出 未経験の学生も専門的に学んだ人も採用したいので、研究内容で判断することはありません。研究内容より「どれだけ学んだか」です。たとえば「自動運転のゼミに入っていた」と言うなら、「自分は〇〇を追究していました」というところまで見ています。
──面接で「気になるニュース」について聞きますか。
南出 聞かないですねえ。
潟岡 IT系の人材は、「iPhoneの新製品にこんな機能があるらしい」「こういう新しい技術がサイトに紹介されている」とった業界ニュースに敏感な一方、世間で一般的な時事問題には興味がないかもしれません。そうしたガジェットに興味がある学生、家電量販店に行くとテンションが上がる学生のほうが「好働力」の「好き」にも通じますし、親和性が高いですね。
──採用で競合するのはIT企業ですか。
南出 ITとメーカーが多いですね。「モノづくり」が軸なので家電メーカーもあります。家電製品をつくるのは家電メーカーですが、家電製品を動かすソフトをつくっているのは当社なので、重なる部分があります。
IT業界のブラックなイメージ払拭したい
──どんな社風ですか。
潟岡 本当に働くのが好きなメンバーが集まっています。採用キーワードである「好働力」という言葉を見て、ネガティブに受け取る学生は受けに来ないでしょうから、真面目で、素直で、誠実な社員が多いと思います。あと、チームで課題に取り組んで成果を出すというスタイルなので、一匹狼タイプよりも「協調性」が求められます。
──「好働力」はどんなところに表れるのでしょう?
南出 良いものをどんどんつくっていくところですね。採用チームでいうと、説明会のときに初めに作ったパワーポイントの資料をそのままずっと使うことはありません。採用という仕事が好きだからこそ、「この部分も入れたほうが学生に伝わりやすい」と提案し改善します。開発だったら何が顧客満足につながるか考えます。会社の中に「改善の文化」が根づいているんです。日々少しでもいいから改善しています。
■働き方
──「働き方改革」が話題です。Skyならではの取り組みは?
南出 今日のようなテレビ会議もそうですが、当社の開発・SEがつくった社内SNSには社員全員のブログ、社内ツイッター「Skyなう」があり、会社のことが随時共有されています。「Skyなう」でいつでも状況をチェックできるので、離れていても近くで仕事をしている感覚です。東京で起こったことを、すぐに大阪でも共有できます。社員全員が同じ情報を共有しながら仕事ができるのが大きいですね。
──少し前までSEというと激務で残業が多いイメージでしたが、採用ホームページには「サービス残業禁止の徹底」とありますね。
潟岡 私が新人だった20年前は、出社すると椅子を並べたり段ボールにくるまったりして寝ている社員がいました。今、当社は「IT業界のブラックなイメージを極力払拭したい」という思いで働き方改革に取り組んでいます。サービス残業もさせないし、もし残業したらその分の時間を申告し、ちゃんと残業代を払います。社長が社内SNSで働き方改革について意見を募ったところ、「水曜日は定時退社」という提案がすぐ取り入れられて、「はい、今週から」と急に決まりました。あのスピード感はすごかったですね。
──IT業界には離職率が高いイメージもあります。
潟岡 当社は定着率が95%と高く、離職率は業界でも低いほうですね。「好働力」に共感してくれる人を採用していることが定着している要因かと思います。
──仕事に資格は必要ですか。
潟岡 Skyでは「3年目までに〇〇を取得しなさい」といったノルマはありません。もちろん資格を持っていれば資格手当も出ますし、クライアントとの商談でも強みになりますが、資格がないからといって昇格できないというようなことはありません。
■やりがいと厳しさ
──仕事のやりがいは?
南出 やりがいは、年齢や入社年数にかかわらず「どんどんやらせてくれる会社」というところです。成果主義ですが、若いうちは成果がなくてもプロセスがしっかりしていれば昇格できてチャンスが与えられます。
潟岡 モノづくりの会社のように手に取って触れたり、目に見えたりはしない仕事ですが、エンジニアは「中身のソフトは自分がつくった」と分かっています。テレビのCMで自分がつくった製品が流れたり、家電ランキングで上位に入ったりすると「大変だったけど、やって良かったな」と思うそうです。
――厳しさは?
南出 「日々変化すること」ですね。変化に取り残されないよう日々変わらないといけません。それができれば面白い仕事です。
潟岡 新しい技術や言語はどんどん出てくるので、アンテナを張って、情報収集して、自分を磨いて勉強しないとダメですね。「エンジニアになれたからそれで終わり」ではありません。やはり「好働力」が大事です。好きだからこそ学びたい、技術を上げたい、知りたい、と積極的になれるし仕事が長続きします。会社が好きにさせるのではなく、本人の気持ちですね。
IT業界で働きたいなら、どんな仕事か知る努力を
──ご自身の就活を振り返ってください。
南出 2002年入社です。就活失敗組だと思っています(笑)。ずっとバスケットボールに打ち込んでいたので、スポーツに関わる仕事がしたいと思い、スポーツメーカーを受けたもののうまくいきませんでした。もう一度業界を見直す中でSkyを知り、多角的な「カメレオン経営」、俊敏さを競う「アジル経営」をしていることに興味を持ちました。体育会系で負けず嫌いなので、「どんどん変化して上にあがりたい。勝ちに行きたい」と共感しました。選考中にかかってきた電話の対応がすごく丁寧で、信頼感もありました。
──潟岡さんは?
潟岡 1997年の入社で「就職氷河期」でした。ぜいたくは言えないと思う一方、これから伸びる業界はどこかと考えました。Windows 95やWindows98が出た時代で、インターネットが各家庭に普及していくころでした。まだ「IT」という言葉がなく「マルチメディア」という言葉が一人歩きしていましたが、コンピューター、インターネット、ソフトメディアの業界は外せないなと。いくつか内定をもらった中で、Skyは一番小さくて、当時の社員は200人くらいでした。でも社長は30代後半、社員はもっと若くて、職場に一番活気がありました。大手の内定ももらいましたが、「将来大きくなる会社に行きたい」と思い、決めました。今は15倍規模の会社になり、あのときの選択は間違いではなかったなと。
■これまでの仕事
──印象的な仕事を教えてください。
南出 ずっと採用チームで新卒採用の担当です。うれしいのは、内定を出した学生が自分の後輩を連れてきてくれることです。「〇〇先輩から聞いてSkyに来ました」と言われると、採用の仕事はつながっているんだなと感じます。面接を通じて成長する学生もいます。集団面接で「自分の性格について周囲からどう見られている?」という質問をしたら、「オレっすか? オレは……」と話し始めた学生がいました。「君、面接は何回目?」と聞いたら「初めてです」というので、まあ仕方ないかと(笑)。「でも、面接の場で使う言葉じゃないよ」と注意をしたら、次の面接で「わたしは」になり、最終の役員面接では「わたくしは」になって、ものすごく丁寧な受け答えができるまでに成長したんです。あと、入社した新人が活躍しているところを見るとうれしくなりますね。
――潟岡さんは?
潟岡 私もずっと採用担当です。社員が200人から3000人に増え、年々成長しています。ところが、2008年のリーマン・ショックのとき「いったん採用活動はストップ」と言われたんです。採用しかしていない部署ですから、「明日から何をしよう」と頭が真っ白になりました。蛍光灯の交換から、呼ばれたらすぐに駆けつける下働き的なことまで何でもやりました。しばらくして、「翌年の採用もゼロというわけにはいかないから」と社長から採用活動にゴーが出たときは、うれしかったですね。今でもあのときのことを忘れないようにして、「採用させていただいて本当にありがたい」と日々かみしめています。
──希望して採用担当になったのですか。
潟岡 応募時には「採用」という職種はなく、営業希望でした。卒業前に呼び出されて会社に行ったら「今、社長が来るから」と言われたんです。山一証券が廃業した年なので、「ああ、これは内定取り消しだ」と覚悟しました。「これから人を増やしていきたいから採用チームを強化したい。世間に商品を売るのではなく、学生たちに会社を売っていってほしい」と言われて、すごくホッとしました(笑)。
(写真・岸本絢)
みなさんに一言!
本音で、嘘をつかないで、自分の言葉でしゃべってほしいですね。いくらカッコつけても話せば分かります。自分を取り繕って入社してもギャップが生まれるだけ。そのまま素の自分で受けに来てください。(南出)
就活はゴールではなく、就職してからのほうがずっと長い。長く働ける会社、仕事を選んでください。私は新卒採用のほかに退職者のヒアリングもしています。入社後3年未満の退職が増えていて、面談すると「プログラミングをやってみたけど、やっぱり合いませんでした」「ITが合わなかったんです」とあっさり辞めてしまう。就活の段階で自分のやりたいことを見定めてほしいし、入社後は自分から合わせる努力も必要です。せっかくの「新卒採用」というチャンスを失うのはもったいない。自分のやりたいことを決めて、先輩に聞いたり、自分で触ったりしてみてほしい。野球選手になりたければ練習するのと同じで、IT企業で働きたいなら、どんな仕事か具体的に知ろうとする努力をしてほしい。ネットで調べて分かった気になるのではなく、直接自分の足で先輩や現場の声を聞きに行くことが大事ですよ!(潟岡)
Sky
【ソフトウェア・情報処理】
業務系ビジネスシステム開発をはじめ、自動車やデジタル複合機などの製品に組み込まれるソフトウェアの開発や検証業務に従事。また、自治体や民間企業向けの情報漏洩対策ソフトウェア、医療機関向けのIT機器管理ソフトウェア、文教市場向けの学習支援ソフトウェアや、シンクライアントシステムなどの自社パッケージ商品の企画・開発・サポート・ICT環境整備などを行っており、幅広い分野でソフトウェア技術を提供しています。
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