ミズノ株式会社
2020シーズン【第5回 ミズノ】(前編)
手書きESと写真で個性見る 「3つのF」持つ人来て!
人事総務部 人事課 課長 田中肖吾(たなか・しょうご)さん
2018年10月30日
■2019採用の特徴
――2019年卒採用はいかがでしたか。
多くの企業がそうだと思いますが、「超売り手市場」でエントリー数が減る一方、内定辞退者が増えました。ただ、当社の求める学生は採用できたので、良かったと思います。
──学生と接して感じたことは?
当社は6月1日から面接を開始しています。それまでに面接を経験した学生も多くいるため、「面接慣れ」している学生がほとんどです。みなさん受け答えが上手で感心してしまいます。
──「面接慣れ」した学生はミズノにとって良い? それとも良くない?
良いような気もしますが、初々しさが感じられず、「慣れているなあ」と思ってしまいます。場慣れもあるでしょうが、大学で面接やグループディスカッション(GD)のトレーニングを積んでいるんでしょうね。「ミズノが初めての面接です」という人がいるとなんだかホッとします。
■採用実績
──内定者数を教えてください。
2019年卒採用の内定者は36人です。事務系25人、開発・技術系8人、デザイン職3人です。
男女比は男性6割、女性4割です。開発職はもともと少ない理系女子を各社取り合うため少なくなってしまいます。開発職8人のうち2人が女性で、デザインは女性2人、男性1人です。開発職でもっと採用できれば、女性の比率も上がってくると思います。
──事務系は総合職ですから学部指定はないと思いますが、開発とデザインに学部の指定はありますか。
特に指定はありません。機械、化学、電気、バイオメカニクスなどの学部出身者がいます。デザインは美術大や芸術工科大などの出身が多いですね。
――技術系もスポーツ経験者が多いのでしょうか。
「将来、シューズの開発をやりたくて、2年間研究室で研究しました」という学生がいました。人間工学のほか、スポーツシューズの底はゴムなのでゴムなどの材料の研究をしてきた学生もいます。
ただ、何かしらスポーツをやっていた人がほとんどで、まったく未経験で純粋に「素材に関心があって」という人はあまりいませんね。そういう人にも来てほしいのですが……。
――2020年卒採用の予定は?
2018年卒採用は28人と少なく、2019年卒は増えましたが、毎年30~40人を目安にしています。来年も同じです。
入社してやりたいこと、大きくとらえて
――インターンシップについて教えてください。
実は、事務系は今年初めてインターンシップを実施しました。事務系は30人×3回、技術系は30人×2回で計5回、東京と大阪で開きました。1回30人×5回なので計150人。いずれもワンデーです。
――どんな内容ですか。
会社の説明をして、技術系は「新しいスポーツ用品を考えよう」という課題でグループワークをし、事務系は新規開拓営業のロールプレーをしてもらいました。基本的に社内で行われている業務の体験です。
各班に先輩社員がついているので、考えてもらっている間にも「ここはもう少し考えたほうがいいよ」「この点を考えないと、本当の会議ではダメ出しをくらうよ」といったアドバイスをしました。
──初めてインターンをやってみてどうでしたか。
良かったですね。学生と深く交われて、採用したい人に何人か出会えました。結果的にその中から採用に至った人もいました。
受講後のアンケートでは「実際の商品開発のことが分かった」「営業職の内容が分かった」と好評でした。ミズノのことをよく分かってもらえたようです。
──インターン参加者150人のうち選考に進んだ人数は?
ほぼ全員ですね。ただ、インターンで良いと思ったけど他社に行ってしまった人もいました。
内定者36人のうちインターン参加者は6人です。
──応募者数は?
約2000名の応募がありました。
──多いですねえ。インターンではどんな選考を?
選考はエントリーシート(ES)で、「インターンに期待すること」「どんなことを学びたいか」といった基本的な質問に答えてもらい判断しました。面接はしていません。振り返ると課題も多く見えてきているので、もっと研究が必要です。
──夏のインターンはやらないのですか。
今のところ予定はないですね。冬のインターンは、次年度に向けて準備を進めており、開催時期は昨年同様ですが、内容を充実させたり、回数を増やしたりできるのではないかと思います。
■エントリーシート
──本採用について教えてください。
まず、12月~2月ごろに業界研究セミナーに参加したり、大学で説明会をしたりしています。採用に直結する話はできませんが、首都圏、関西、地方の大学に出向いています。3月からは自社でセミナーを行い、名古屋、九州、北海道など当社の支社に学生を呼ぶこともあります。
──ESについて教えてください。「あなた自身を象徴する写真を1枚貼りつけ、その理由を記入してください」とありますね。
ESは手書きで、しかも写真を貼らなければいけないので、学生にはハードルが高いと思います。手書きと写真で個性が出ます。
「あなた自身を象徴する」としていますが、本人の写真に限っているわけではないので、プロ野球選手や研究室の機械など、本当にいろんな写真があります。
――手書きにこだわる理由は?
実は今までESはWEB入力でしたが、2年前から時代に逆行して手書きにしました。WEB形式だと判断がつきにくかったのが、一番大きな理由です。個性が出ず、ステレオタイプな内容が多い、正直なところコピペもありました。
──学生の反応はどうでしたか。
みなさん「大変でした」と言っています。
――ESを見るポイントは?
当社には、ミズノ社員に求められる基本的な資質として「フェアプレー」「フレンドシップ」「ファイティング・スピリット」という「3つのF」があります。この要素を持つ人を探します。「3つのF」については説明会でも求める人物像の中で説明しています。
――ちゃんと聞いていればアピールできると?
はい。それを踏まえてアピールしてくる学生もいますね。
──一般的な志望動機ではなく、「ミズノに入社して挑戦したいこと」と聞く狙いは?
やりたいことを大きくとらえてほしいからです。「スポーツ店向けの営業がやりたい」という話より、「営業という仕事を通してどんなことを成し遂げたいか」を聞きたい。あまり具体的な仕事内容になると話が小さくなってしまい、広がりがないので。
──エントリー数はどのくらいですか。
プレエントリーが1万人くらい、本エントリーが数千人です。
WEB入力のときからは減少しましたが、「とりあえず出す」という人が減り、志望度の高い人だけが出してくれるようになりました。
GD、グループ面接での話は簡潔かつ明確に
――面接はどんな形式ですか。
面接は6月1日からで、そこからは短期決戦。2週間ほどで採用選考を終えました。最初はグループ面接で、筆記試験、2次面接、最終面接と進みます。
──グループ面接は何人?
学生3人から4人で一組です。面接官は人事の担当者で25分ほど。その中で10分くらいグループディスカッション(GD)をしてもらいます。
──GDはどんなテーマですか。
時事問題や話題のニュースについてどう思うか聞いています。たとえば「女性専用車両をどう思いますか」「リクルートスーツをどう思いますか」といったカジュアルな内容です。テーマに重きを置くよりもコミュニケーション力を見ています。
──10分間のGDだと、1人1~2回しか発言できませんね。
深い話はできないので、そこだけで判断はできません。発言内容に関してはそれほど差が出ないと思います。
──それでもGDを面接の前段に組み込んでいる理由は?
GDは昔からしています。集団で話すと、1人だけしゃべってしまう、議論が収束しかけたのに何か別のことを言い出してまとまらなくなってしまう、といったことが10分間の中でも起こる。そこを見ていますね。
──その後のグループ面接ではどんな質問を?
志望動機や学生時代に頑張ったことなどです。あまり変なことは聞きません。
──グループ面接も短時間ですね。
短い面接の中でも、簡潔かつ明確に話がまとまっている人はすぐに分かります。そういう人はやはり合格となります。反対に、グループ面接で自分1人だけずっとしゃべってしまったり、話は長いが質問にはちゃんと答えられなかったりする人は難しいですね。
(後編に続く)
(写真・MIKIKO)
みなさんに一言!
就活生は21~22歳ですよね。今考えている「やりたいこと」「これしかやりたくないこと」にとらわれ過ぎないでください。やりたいことは年齢とともに変わっていくこともありますし、「これしかやりたくない」と思っていると、できなかった時のショックも大きいですし、自らの可能性を狭めることにもなります。目先のことにこだわらず、視野を広く持ってほしいですね。「この仕事がやりたい」だけではなく、「社会でどんなふうに働いていきたいか」「どんな人たちと働きたいか」も考えてみるといいですね。
企業を決めるのは難しいと思いますが、そこで実際に働いている人で決めるのは精度が高いと思います。インターンシップやOB・OG訪問で社員と接する機会も積極的につくってください。
ミズノ株式会社
【スポーツ用品】
ミズノ株式会社は1906年の創業以来、「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」を経営理念に、スポーツ品の製造及び販売、スポーツ施設の運営、各種スクール事業を展開しています。スポーツの価値を活用した商品やサービスを開発し、日常生活にもその価値を積極的に広め、スポーツの力で世界中の人々を幸せにすることに貢献していきます。
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