SDGsに貢献する仕事

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NTTデータ〈前編〉ファッション業界のグリーントランスフォーメーション実現へ【SDGsに貢献する仕事】

2025年01月29日

 SDGs(持続可能な開発目標)関連の業務に携わっている若手・中堅社員に直撃インタビューする「SDGsに貢献する仕事」。第21回は、日本のSI(システムインテグレーション)業界を牽引するNTTデータが登場します。あらゆる業界の課題を、ITをつかって解決することに取り組んでいるNTTデータ。そのなかでもSDGsに深く結びついている取り組みが、ファッション業界のグリーントランスフォーメーションを推進する「FEDI®」です。なぜファッション業界? 具体的に何が変わるのか? 中核で働く2人の若手社員に話を聞きました。(編集部・福井洋平)

【お話をうかがった方のプロフィル】
金融イノベーション本部 グローバルカスタマーサクセス室 ビジネス創発担当 岩垣紗苗(いわがき・さなえ)さん(写真左)
2020年早稲田大学社会科学部卒業、NTT東日本入社。2024年4月にNTTデータに転籍し、同職。

金融イノベーション本部 グローバルカスタマーサクセス室 ビジネス創発担当 山口翼(やまぐち・つばさ)さん(写真右)
2023年神戸大学経済学部卒業。同年にNTTデータに入社し、現職。

アナログでのやりとりを整理して無駄を減らす

■FEDIとは
 ──まず、お2人がかかわっているプロジェクトである「FEDI」について教えて下さい。

 山口 FEDIとは「Fashion Electronic Data Interchange」の略称で、根幹は電子取引のシステムです。ファッション業界で、今までアナログでやり取りをしていた一連の業務(受発注、輸出入通関業務、請求・決済など)に関して、データ連携を実現するサービスです。これによりサプライチェーン(原料~消費者に届くまでの一連のつながり)の透明化をすすめ、無駄を減らしてグリーントランスフォーメーション(GX、脱炭素社会に向けた取り組み)を実現し、ファッション業界のSDGsを達成することが目的です。

 岩垣 システムの全体像が幅広いので、FEDIの機能は一部ずつリリースして、どんどん拡大していく予定です。

■FEDIが始まるきっかけ
 ――FEDIのプロジェクトはいつごろから、どういう課題意識で始まったのですか。
 岩垣 プロジェクトが始まったのは2~3年前です。もともと我々がいる金融イノベーション本部は金融業界・金融商材を扱う部署なのですが、他の業種のお客様をつなぐビジネスも創発しています。「金融以外の社会課題にも目を向けていこう」という動きの中で、社会課題が大きく、かつあまりデジタル化が進んでいない業界として、ファッションロスや労働問題といった課題があるファッション業界に着目。FEDIのプロジェクトがはじまったと聞いています。

 ──今お2人がされているお仕事は、金融とはあまり関係のないお仕事ですか。
 山口 最終的には決済や請求で金融にも関わってくると思います。今はまだ直接的に関係ありませんが、関連アセットを創出している部署とは連携を始めています。

 岩垣 我々の隣のチームもメタバースやCO2排出量削減サービスを提供しています。ファッションに限らず、いろいろな分野を担当している人がいる部署です。

■ファッション業界とデジタル化
 ──なぜ、ファッション業界はデジタル化が進んでいないのでしょうか。
 山口 もともとファッション業界はなかなかDX(デジタルトランスフォーメーション、デジタル技術による業務改善)が進んでいませんでした。ファッションは実際に経験したり、体験したり、触ってみたりしないと消費者が買わない「経験財」とされ、経験財は一般的にEC化が進まない傾向にあります。そのため、DXも遅れていました。
 また、ファッション業界はステークホルダーが多いので、DXという観点で見るとそれぞれの会社でシステム化は進んでいてもその間をつないで全体的に統一していこう、標準化していこうという取り組みがされていなかったのだと思います。

 岩垣 システムが属人化されていて、すべて電話対応する人もいれば、メールでやり取りする人もいます。本当にアナログなやり取りでも何とか業務が回っているのが現状です。そこを大々的に変えていこうという動きがなかなかなかったのも、DX化がされていない原因かと思います。

 山口 今回、ファッション業界の課題が大きく見えたのでファーストスコープにしていますが、最終的にはこのシステムを製造業界、サプライチェーン全体に広げていきたいという構想があります。

具体的な工数削減の提案を

■山口さんのFEDIへのかかわり
――山口さんは、FEDIではどういう仕事を担当していますか。
 山口 私は主にサプライヤ向け、繊維商社、生地、付属・副資材(生地以外の資材)商社といった方々に対応しています。

 ──サプライヤの方々と、具体的にはどんなお話をしていますか。
 山口 基本的には現状業務やニーズのヒアリングです。アナログ業務が中心のなか、お客様がどこに課題を持っているかをヒアリングしつつ、FEDIでどういう解決策が見いだせるかを日々議論しています。現在、十数社を担当しています。弊社からサプライヤ様に提案を持っていくこともありますし、先方から課題解決の依頼をいただくこともあります。

 ──実際にヒアリングしてみて、課題の大きさはどれぐらいだと考えていますか。
 山口 非常に大きいと感じます。仕事のやり方が属人的でそれぞれの担当者がやりやすい方法を持っているため、標準化をすすめると現場の方のやり方を変えることになるので、今のやり方が変わったとしてもどれだけメリットのほうが大きいか、そこをいかに提示するかが重要だと思います。今は「アナログ業務でこれぐらいの工数がかかっているのが、具体的にこれぐらい楽になりますよ」といった工数削減の提案をしていきたいと思っています。

 ──実際には、どれぐらい楽になるのですか。
 山口 いまでも発注をFAXやメールでしている会社様もいますし、パソコンを使っていてもメールにPDFを添付したり、Excelで一つひとつ発注内容を打ち込んで送付したり、アナログなやりとりが中心です。そこで、実際にFEDIを中心にシステムの導入を進めていこうという話を何社かとしています。現場の皆様だけでなく経営層ともお話しをして、トップダウンでもアプローチを実施しています。

■岩垣さんのFEDIとのかかわり
 ――岩垣さんはFEDIでどういう仕事を担当していますか。
 岩垣 私はバイヤー側の対応をしています。基本的にはアパレル企業の課題を聞きながら、FEDIの提案をするのが今の業務内容です。

 ──具体的にはどういうお話をしているのですか。
 岩垣 私の担当するお客様はアパレルです。多くのアパレルメーカーは洋服をつくるとき、例えば予算を立てる際も全部エクセルで管理したり、製品のデザインもデザイナーがスカートのデザインを手書きしたものをそのままPDF管理したりと、いろいろなことをアナログで管理している企業が多数あります。基本的にシステム管理をしておらず、今後のシーズンについての企画会議も手書きの情報を参加者で見ながら「ここは今回ちょっと微妙だからなくそう」といったやり取りをすべて手書きで行ったりして、すごく時間がかかることが当たり前になっていると聞いています。そこをシステム化することでいかに効率よく業務ができるようになるかや、それによって浮いた時間をもっとデザインや資材の検討に回していただくことも大事だと思うので、そういった観点でお客様と話をしています。

 ──今はアパレルメーカーとのやり取りの途中だと思いますが、ハードルは高いのですか。
 岩垣 ハードルはけっこう高いです。基本的にアパレルから発注が来てサプライヤ、商社や専門商社、付属商社にデータが流れていきます。アパレルがシステムを導入すれば、そこから発注がデータとして流れてきてサプライヤも助かるので、アパレルがシステムを導入することが大事です。
 ただ、アパレル目線で見ると、やはり最初に導入するのはハードルが高いので、そこを超えるのがすごく難しいですね。

「次に何をするか」が毎日違う

■仕事の大変さ
 ──山口さんの日々の仕事の中で、特に大変だと思うことはありますか。
 山口 新規事業なので、当初想定していた仮説とお客様が違う場合は日々やることも変わります。そういったところは、すごく難しいと思います。

 ──NTTデータの実績や、知見があっても難しいことなのですか。
 山口 システムという観点では弊社が蓄積してきた知見はあると思いますが、ファッション業界という観点では比較的新しい取り組みです。決済などのシステムでは既にやり取りをしていて、お客様が重なっているところもあるのですが、ファッション業界のサプライチェーンをDX化するという全体標準の検討はまだ出てきていなかったと思います。

 ──岩垣さんは日々の仕事で大変だと思うことはありますか。
 岩垣 「次に何をしなければいけないか」が本当に毎日違います。お客様の状況によって「今こういう課題がある」「こういう提案をする」「その提案がうまくいったら、事務処理をする」となるので、そこをどう進めていったらいいか、出てきた課題をチームにどう相談してステータスを次に進めていくか、本当にやり方が決まっていません。その分、毎日自分で考えて、上にも相談しなければいけないので、そこがすごく大変だと思います。

 ──どういった課題が多いですか。
 岩垣 例えば、もともと自分たちが「きっとこういう課題があるだろう」と思って提案書をつくっていったら、そこではなく全く違うところから要望が出てきたということが日常的に起こります。我々としても出てきた課題をお助けするためにサービス化したいのですが、いきなりサービス化はできません。どういう機能が必要で、開発するにはどうしたらいいのか、社内で段取りを踏まないといけませんが、そこも決まったルートがありません。社内外の調整をして進めなくてはいけないので、優先順位をつけるのが本当に難しいですね。

 ──社内の開発チームと調整する大変さもありますか。
 岩垣 私は特に開発経験もなく、IT知識も乏しいなかで営業をしているので、お客様の要望を開発チームの方にそのまま言ってしまうと、開発目線で見たときに「実現できる」ことも「実現できない」こともあり、話が進みません。開発目線が分かるかと言われると難しいのですが、なるべく開発側に寄り添ったときに、なぜその機能が必要なのか、それでどのくらいの効果が見込めるか、開発サイドがほしい情報が何なのかをちゃんと理解して話す必要があります。口ではそう言いつつも難しくて、知識も足りなくて分からないことも多いので、そこをうまく寄り添うのが難しいと感じています。

知識をしっかりつけたうえでヒアリング

■仕事で気をつけていること
 ──仕事を進めていく上で、特に気をつけていることはありますか。
 山口 まずは私たち側が、知識をしっかりとつけたうえでヒアリングすることが重要だと思います。何も分からない状態で聞いても先方も答えにくいですし、なかなか答えてくれないと思います。また、1人だけではなく、いろいろな方が課題を持っているので生産系の部署の方にも聞けば営業系の部署の方にも聞いて、総合的に各社の状況を把握するのが重要だと思います。

 岩垣 勉強するという観点だと、ファッション業界は業界特有の用語が多く、業務フローも各社ごとに異なるので、最初にきちんとおうかがいして、間違いなく理解します。かといってそれを聞いているだけでは提案ができないので、どこが課題かあらかじめ予想をつけていくのですが、それがうまく当たらなくて違うところから課題が出てくるというのがほとんどです。今はそれを繰り返していくことで、何とか課題を見つけていくということをやっています。

■現段階での進捗状況
 ──山口さんは目標に向けて進捗はどれぐらいまで来ていますか。
 山口 本当に最初の頃と比べると、お客様とも「FEDIを中心にやっていきましょう」という話が進んでいると思います。
私が入ったときはまだお客様へのヒアリングが中心でした。今はヒアリングに加えて「FEDIでこういうことをやっていきましょう」という詳細な提案ができていて、お客様ともFEDIを中心にやっていきましょうという話が進み始めていると思います。時代の流れ的にもどんどんGXは進んでいくと思いますし、弊社も提案を重ねているので、先方の意識も変わってきているかなと思います。

 ――手応えを感じたときはありましたか。
 山口 なかなか導入に対するステージが進まなかった企業が、トップダウンアプローチを実施すると、急に流れが変わったことはあります。まずは現場の方にご理解いただくのが大事だと思うので、基本的にはボトムアップでアプローチしつつ、難しい場合はトップダウンを検討していく形です。

最終的にはファッションロスをなくす

 岩垣 アパレル側も、FEDIを導入いただく手前ぐらいまで来ています。サプライヤ側と同じく最初は情報システム部や生産部などカウンターの方々とやりとりし、ステージを上げて上の方との商談も進められるように提案を深めているという状況です。今までは我々が提案して、何となく良さは理解してもらいながらも具体的な話に進むのが難しかったところが、徐々に使う機能やシステム、料金やいつからの契約にするかといった話に変わってきているので、フェーズが変わったと感じています。

 山口 これまでは机上での議論も多かったのですが、具体的な画面イメージや業務フローなど、皆様の目に見える形で、分かりやすいものを使って議論ができるようになってきたのも、成約に近づいている要因だと思います。

■FEDIの目標
 ──FEDIの最終的な目標は。
 岩垣 最終的にはGX(グリーントランスフォーメーション)です。今はサプライチェーンのGX化ですが、そこが進んで企業での需要予測などをデータ化できるようになれば生産数もコントロールできるようになります。今はファッション業界だと大量生産、大量廃棄が当たり前だと思いますが、そういった廃棄、ファッションロスをなくしていく方向につなげていきたいと考えています。そういうSDGsや環境面に貢献できるようなサービスを展開していくのが最終的な目標です。

 ──SDGs対策は、ファッション業界でも大きな課題になっていたのですか。
 岩垣 なっていると思います。我々の隣にCO2排出量の削減サービスを担当しているチームがあるのですが、そのサービスの話をアパレル企業にすると「社内でもCO₂を削減するように言われていて、管理しなくてはいけないが全然できていない」という声をよく聞きます。環境面を気にしているアパレルは多いと思います。

(2月5日掲載の後編に続く)

(写真・大嶋千尋)

SDGsでメッセージ!

 弊社は新規事業や社会課題起点の取り組みが非常に多く存在します。新規企画でチャレンジングな取り組みをしたい方、SDGs関連で社会課題解決の取り組みをしたい方は、ぜひ弊社に興味を持っていただければと思います。お待ちしております。(山口さん)

 就職活動のときは本当にいろんな悩みがみなさんあると思うのですけど、自分がやりたいこととか働き方とか、いろんな軸で判断して最終的には決めてもらえればなと思います。NTTデータは働きやすさも、やりたいことも実現できる会社だと思いますので、ぜひ一緒に働けたら嬉しいです。お待ちしております。(岩垣さん)

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