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森永製菓株式会社
森永製菓〈前編〉「1チョコ for 1スマイル」でカカオ産地を支援【SDGsに貢献する仕事】
2024年12月26日
SDGs(持続可能な開発目標)関連の業務に携わっている若手・中堅社員に直撃インタビューする「SDGsに貢献する仕事」。第20回は、お菓子をはじめとする食品メーカーで、さらにウェルネスカンパニーへの生まれ変わりをめざす森永製菓が登場します。森永製菓は2008年から、年間を通して⾏う寄付に加えて、特別期間では森永チョコレートなどの対象商品1個につき1円を寄付する「1チョコ for 1スマイル」という取り組みを16年にわたり続けています。情報発信を担う広報担当者として、2023年に主要産地のガーナを訪問した渡辺啓太さんにお話を聞きました。(編集長・福井洋平)
【お話をうかがった方のプロフィル】
コーポレートコミュニケーション部 広報グループ 渡辺啓太(わたなべ・けいた)さん
2009年中央大学経済学部卒。営業、新規事業担当を得て2023年から現職。
【お話をうかがった方のプロフィル】
コーポレートコミュニケーション部 広報グループ 渡辺啓太(わたなべ・けいた)さん
2009年中央大学経済学部卒。営業、新規事業担当を得て2023年から現職。
未来を担う子どもたちのために売り上げ寄付
■「1チョコ for 1スマイル」について
──森永製菓さんでは、森永チョコレートなどの対象商品1個につき1円を「カカオの国の子どもたち」に寄付する「1チョコ for 1スマイル」という取り組みを2008年から続けています。この取り組みについて詳しく教えて下さい。
私たちの主力商品であるチョコレートの原料、カカオがつくられているのは赤道近くの国々です。そこでは十分な教育環境が整っていないことや、経済的な自立が難しいために子どもたちが働かざるを得ない家庭があることなどの問題があります。
「1チョコ for 1スマイル」は、西アフリカの国ガーナなどカカオ産地の、未来を担う子どもたちの教育環境の改善や児童労働問題に対し、商品の売り上げの一部を使って支援する活動です。年間を通して行う寄付に加え、森永チョコレートなどの対象商品1個につき1円を寄付する特別期間もあります。国際NGOのプラン・インターナショナル、日本生まれのNGOであるACEが活動支援のパートナーとなっています。
──森永製菓さんでは、森永チョコレートなどの対象商品1個につき1円を「カカオの国の子どもたち」に寄付する「1チョコ for 1スマイル」という取り組みを2008年から続けています。この取り組みについて詳しく教えて下さい。
私たちの主力商品であるチョコレートの原料、カカオがつくられているのは赤道近くの国々です。そこでは十分な教育環境が整っていないことや、経済的な自立が難しいために子どもたちが働かざるを得ない家庭があることなどの問題があります。
「1チョコ for 1スマイル」は、西アフリカの国ガーナなどカカオ産地の、未来を担う子どもたちの教育環境の改善や児童労働問題に対し、商品の売り上げの一部を使って支援する活動です。年間を通して行う寄付に加え、森永チョコレートなどの対象商品1個につき1円を寄付する特別期間もあります。国際NGOのプラン・インターナショナル、日本生まれのNGOであるACEが活動支援のパートナーとなっています。
──活動支援パートナーが現地とつないでくれるのですか。
はい。弊社社員がガーナ、グァテマラ、エクアドルなどに駐在して支援することは難しいので、現地活動はパートナーの団体にお願いをしています。
――SDGsにすごく結びついている取り組みですね。
「1チョコ for 1スマイル」はSDGsの8番目の目標「働きがいも経済成長も」の達成に貢献していると考えています。8番目の6は「2030年までに、就労、就学および職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす」、8番目の7は「強制労働を根絶し、現在の奴隷制、人身売買を終わらすための緊急かつ効果的な措置の実施。最悪な形態の児童労働の禁止および撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する」とあり、そこから4番目の目標「質の高い教育をみんなに」に、さらに1番目の目標「貧困をなくそう」にもつながります。
■先駆的な取り組み
――「1チョコ for 1スマイル」が始まったきっかけについて教えて下さい。
もともと2008年に、当時のマーケティング部に所属していた担当者が「カカオの産地にはさまざまな課題がある」と気づき、カカオを取り扱うメーカーとして何かできることはないのか」と考えたことがきっかけでした。ちょうど森永チョコレートが90周年だったこともあり、取り組みが始まりました。
――商品を販売している立場だからこそ、原料生産といった課題にも取り組まなければいけないと考えられたのですね。
そうですね。2008年はちょうど、商品やサービスの購入が社会貢献につながるということをアピールして販促する「コーズリレーテッドマーケティング」がはじまったころで、ボルヴィック社の水1ℓを出荷するごとにアフリカで10ℓの水を供給することをめざす「1ℓ for 10ℓ」などの取り組みもありました。当時はSDGsという言葉はなく、そうした視点をマーケティングに生かそうとしたのだと思います。
はい。弊社社員がガーナ、グァテマラ、エクアドルなどに駐在して支援することは難しいので、現地活動はパートナーの団体にお願いをしています。
――SDGsにすごく結びついている取り組みですね。
「1チョコ for 1スマイル」はSDGsの8番目の目標「働きがいも経済成長も」の達成に貢献していると考えています。8番目の6は「2030年までに、就労、就学および職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす」、8番目の7は「強制労働を根絶し、現在の奴隷制、人身売買を終わらすための緊急かつ効果的な措置の実施。最悪な形態の児童労働の禁止および撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する」とあり、そこから4番目の目標「質の高い教育をみんなに」に、さらに1番目の目標「貧困をなくそう」にもつながります。
■先駆的な取り組み
――「1チョコ for 1スマイル」が始まったきっかけについて教えて下さい。
もともと2008年に、当時のマーケティング部に所属していた担当者が「カカオの産地にはさまざまな課題がある」と気づき、カカオを取り扱うメーカーとして何かできることはないのか」と考えたことがきっかけでした。ちょうど森永チョコレートが90周年だったこともあり、取り組みが始まりました。
――商品を販売している立場だからこそ、原料生産といった課題にも取り組まなければいけないと考えられたのですね。
そうですね。2008年はちょうど、商品やサービスの購入が社会貢献につながるということをアピールして販促する「コーズリレーテッドマーケティング」がはじまったころで、ボルヴィック社の水1ℓを出荷するごとにアフリカで10ℓの水を供給することをめざす「1ℓ for 10ℓ」などの取り組みもありました。当時はSDGsという言葉はなく、そうした視点をマーケティングに生かそうとしたのだと思います。
創業以来の「利他の精神」で取り組み継続
■継続的な取り組み
──「1チョコ for 1スマイル」の取り組みは、同種の取り組みと比べてどういった特色があると思いますか。
先ほどお話ししたように、2008年というSDGsが提唱される前からはじまり、そこから16年継続しているということが特徴だと思います。この16年間で約3億2000万円を寄付して6カ国182村・集落、90の学校、約2万人の子どもたちを支援し、児童労働から解放された子どもは622人と、実際に数字として活動の成果があらわれています。
私が昨年の11月に訪問したカカオ産地の一つであるガーナのカカオ農家は構造的に、3階層に分かれています。まずは土地持ちの農家、そしてシェアクロッパーといって売り上げの半分は土地持ちの農家に取られて残り半分しか自分の取り分のない農家、最後はケアテイカーといって売り上げの3分の1しか取り分がない農家です。シェアクロッパーやケアテイカーといった階層の低い人たちは収入が低く、児童労働のリスクも高くなります。そこに直接的に支援をしているのが、我々の強みです。
また、もう1つ特徴的なことは我々が実際に使っているカカオ豆の産地だけではなく、将来的に調達する可能性のある産地も支援していることです。いま取引している産地だけに限定せず、カカオ産地全体の未来を見据えて支援しています。
──継続的な支援ができる理由は何ですか。
森永製菓はパーパスに「森永製菓グループは世代を超えて愛されるすこやかな食を創造し続け、世界の人々の笑顔を未来につなぎます」と掲げています。「笑顔を未来につなぐ」は、チョコレートを食べる人とカカオ産地の子どもたちの笑顔を未来につなぐということにもつながります。ほかにも森永製菓は企業理念の中で「持続可能な社会に貢献」「利他の精神」を挙げており、人との繋がりを大切にする、企業と社会の課題を一致させることなどを大事にしています。だからこそ、今もなお支援が続いているのだと思います。
──「利他の精神」は、創業以来の精神と聞いています。
はい、森永製菓創業者の森永太一郎が掲げたのが「利他の精神」です。太一郎は「日本の人々においしく、栄養価の高いお菓子を食べてもらいたい」という想いを持って創業し、西洋菓子を日本で広めました。関東大震災のときに被災者にお菓子を配ったり、従業員のために日本で初めて8時間労働制を導入したりしました。
ちなみに、森永製菓はパイオニアスピリットも創業以来の精神として受け継いでいます。国産初のペニシリンを開発したのも森永製菓です。1998年には、日本の菓子業界で初めてISO14001(環境マネジメントシステム国際規格)を取得しました。「inゼリー」のようなパウチゼリー飲料も森永製菓が市場をつくりました。ほかにも女性活躍の指標となる「プラチナくるみん」を取得したり、ダイバーシティ担当も2012年から設置したりしています。チョコレートといえば原料であるカカオ豆からのチョコレートの一貫製造をしたのも国内では当社が初めてです。先駆的な取り組みを許容する風土が、森永製菓には息づいているのです。
──「1チョコ for 1スマイル」の取り組みは、同種の取り組みと比べてどういった特色があると思いますか。
先ほどお話ししたように、2008年というSDGsが提唱される前からはじまり、そこから16年継続しているということが特徴だと思います。この16年間で約3億2000万円を寄付して6カ国182村・集落、90の学校、約2万人の子どもたちを支援し、児童労働から解放された子どもは622人と、実際に数字として活動の成果があらわれています。
私が昨年の11月に訪問したカカオ産地の一つであるガーナのカカオ農家は構造的に、3階層に分かれています。まずは土地持ちの農家、そしてシェアクロッパーといって売り上げの半分は土地持ちの農家に取られて残り半分しか自分の取り分のない農家、最後はケアテイカーといって売り上げの3分の1しか取り分がない農家です。シェアクロッパーやケアテイカーといった階層の低い人たちは収入が低く、児童労働のリスクも高くなります。そこに直接的に支援をしているのが、我々の強みです。
また、もう1つ特徴的なことは我々が実際に使っているカカオ豆の産地だけではなく、将来的に調達する可能性のある産地も支援していることです。いま取引している産地だけに限定せず、カカオ産地全体の未来を見据えて支援しています。
──継続的な支援ができる理由は何ですか。
森永製菓はパーパスに「森永製菓グループは世代を超えて愛されるすこやかな食を創造し続け、世界の人々の笑顔を未来につなぎます」と掲げています。「笑顔を未来につなぐ」は、チョコレートを食べる人とカカオ産地の子どもたちの笑顔を未来につなぐということにもつながります。ほかにも森永製菓は企業理念の中で「持続可能な社会に貢献」「利他の精神」を挙げており、人との繋がりを大切にする、企業と社会の課題を一致させることなどを大事にしています。だからこそ、今もなお支援が続いているのだと思います。
──「利他の精神」は、創業以来の精神と聞いています。
はい、森永製菓創業者の森永太一郎が掲げたのが「利他の精神」です。太一郎は「日本の人々においしく、栄養価の高いお菓子を食べてもらいたい」という想いを持って創業し、西洋菓子を日本で広めました。関東大震災のときに被災者にお菓子を配ったり、従業員のために日本で初めて8時間労働制を導入したりしました。
ちなみに、森永製菓はパイオニアスピリットも創業以来の精神として受け継いでいます。国産初のペニシリンを開発したのも森永製菓です。1998年には、日本の菓子業界で初めてISO14001(環境マネジメントシステム国際規格)を取得しました。「inゼリー」のようなパウチゼリー飲料も森永製菓が市場をつくりました。ほかにも女性活躍の指標となる「プラチナくるみん」を取得したり、ダイバーシティ担当も2012年から設置したりしています。チョコレートといえば原料であるカカオ豆からのチョコレートの一貫製造をしたのも国内では当社が初めてです。先駆的な取り組みを許容する風土が、森永製菓には息づいているのです。
マーケティングに仕組みを組み込んで継続
■取り組みが社内に浸透するまで
──「1チョコ for 1スマイル」が社内を巻き込む動きになるまでは数々のステップがあったと思うのですが、どんなご苦労をされたと聞いていますか。
取り組みが始まった当時、私は現場で営業をしていたのですが、最初の担当者が菓子事業を行う上でのマーケティング戦略に仕組みをしっかり組み込んでいたので、当初から小売・流通大手などの取引先を巻き込むことができて大きく展開していたと記憶しています。
──当時、取り組みについては渡辺さんはどう感じていましたか。
やっぱり会社として取り組まなくてはいけないことなので、一生懸命、小売・流通大手などの取引先を巻き込みながら店頭で展開してお客様に伝えようとした記憶はあります。2013年に私が仕事でアンテナショップに携わるようになり、そこでさらに「1チョコ for 1スマイル」に深く関わるようになりました。ちょうどその頃は「1チョコ for 1スマイル」で産地支援をしているカカオを使ったチョコレートを発売しており、より一層取り組みを伝えられたと思います。
──「1チョコ for 1スマイル」が社内を巻き込む動きになるまでは数々のステップがあったと思うのですが、どんなご苦労をされたと聞いていますか。
取り組みが始まった当時、私は現場で営業をしていたのですが、最初の担当者が菓子事業を行う上でのマーケティング戦略に仕組みをしっかり組み込んでいたので、当初から小売・流通大手などの取引先を巻き込むことができて大きく展開していたと記憶しています。
──当時、取り組みについては渡辺さんはどう感じていましたか。
やっぱり会社として取り組まなくてはいけないことなので、一生懸命、小売・流通大手などの取引先を巻き込みながら店頭で展開してお客様に伝えようとした記憶はあります。2013年に私が仕事でアンテナショップに携わるようになり、そこでさらに「1チョコ for 1スマイル」に深く関わるようになりました。ちょうどその頃は「1チョコ for 1スマイル」で産地支援をしているカカオを使ったチョコレートを発売しており、より一層取り組みを伝えられたと思います。
(写真は国内でのイベントの様子)
■渡辺さんの取り組み
──渡辺さんは2023年にコーポレートコミュニケーション部に異動して「1チョコ for 1スマイル」の担当になられました。現状での具体的な取り組み内容を教えてください。
まだまだ、「1チョコ for 1スマイル」の認知度は高くはありません。私が広報に異動してから取り組んでいるのは、おもに2つです。まずはファクトの整備・強化です。その一環として2023年11月末から12月頭まで、ほかの社員とともにカカオ産地の1つであるガーナに9日間行ってきました。ただの視察ではなく、「ラーニング・ジャーニー」というロードムービーとして編集しWEB上で発信することで、我々の活動の中身を伝えました。現在でもYouTubeで見ることができます。
旅のなかで、過去の支援地域の子ども、親、カカオ農家、教師、コミュニティ支援をしてくださっているボランティアグループのみなさま、さらにはガーナの政府関係者とも直接対話をして、我々の活動の意義を再確認しました。我々からの感謝の気持ちも伝えつつ、実際の現場はどうなっているのか、どういったところで子どもたちが暮らしていて、カカオ農家はどういう悩みがあるのかとういことを五感で体験できました。
社内向けにも発信の強化をしています。ロードムービーを全従業員に対して発信したり、支援パートナーのプラン・インターナショナル、ACEを招いたセミナーを3回開催したりしています。これまで延べ300人以上の従業員が参加し、「1チョコ for 1スマイル」の活動が自分事になるように意識してもらっています。社外向けの外部のセミナーに登壇することもあります。写真のTシャツはガーナを訪問した際に着ていた、私たちの想いを伝えるツールの一つです。
■渡辺さんの取り組み
──渡辺さんは2023年にコーポレートコミュニケーション部に異動して「1チョコ for 1スマイル」の担当になられました。現状での具体的な取り組み内容を教えてください。
まだまだ、「1チョコ for 1スマイル」の認知度は高くはありません。私が広報に異動してから取り組んでいるのは、おもに2つです。まずはファクトの整備・強化です。その一環として2023年11月末から12月頭まで、ほかの社員とともにカカオ産地の1つであるガーナに9日間行ってきました。ただの視察ではなく、「ラーニング・ジャーニー」というロードムービーとして編集しWEB上で発信することで、我々の活動の中身を伝えました。現在でもYouTubeで見ることができます。
旅のなかで、過去の支援地域の子ども、親、カカオ農家、教師、コミュニティ支援をしてくださっているボランティアグループのみなさま、さらにはガーナの政府関係者とも直接対話をして、我々の活動の意義を再確認しました。我々からの感謝の気持ちも伝えつつ、実際の現場はどうなっているのか、どういったところで子どもたちが暮らしていて、カカオ農家はどういう悩みがあるのかとういことを五感で体験できました。
社内向けにも発信の強化をしています。ロードムービーを全従業員に対して発信したり、支援パートナーのプラン・インターナショナル、ACEを招いたセミナーを3回開催したりしています。これまで延べ300人以上の従業員が参加し、「1チョコ for 1スマイル」の活動が自分事になるように意識してもらっています。社外向けの外部のセミナーに登壇することもあります。写真のTシャツはガーナを訪問した際に着ていた、私たちの想いを伝えるツールの一つです。
現地の大人たちが支える
──ガーナに行かれて、一番印象深かったことは何ですか。
本当にいろいろなところを見て、いろいろな感情が芽生えました。私が感動したのは、「1チョコ for 1スマイル」の取り組みが現地の大人のみなさんに支えられる仕組みになっている、ということです。児童労働がないか見回りをする大人は全員がボランティア(子ども保護委員会・CCPC)です。対価がないにもかかわらず、子どもたちが児童労働をしていないか、親が児童労働をさせていないかを自発的に見回りして、児童労働をしていたらその家族の大人に「児童労働させてはいけませんよ」と声掛けをする。そのコミュニティで、子どもたちに給食を提供できる仕組みづくりもしています。大人たちが心から子供たちを想うことで、この活動が支えられているんですね。我々の支援がなくなった後でもコミュニティが自立し、継続的にカカオを生産していける仕組みづくりをしておられる。その裏側に、子どもたちを想う大人たちの熱い気持ちがある。そこに、すごく感動しました。
──実際に現地の方と話してみて、印象に残った言葉はありますか。
ボランティア(CCPC)をされている方が「想像してみてください。畑仕事をしていた子どもたちが学校に通えるようになった、その先の彼らの将来を。私たちは子どもたちの将来を変えるために行動しないといけない。子どもたちが学校に通えるように努力していきます」とおっしゃっていました。この方の本業はカカオ農家ですが、自分は教育を受けられなかった、だからこそ今の子どもたちはそうなってはいけないという熱い想いに胸を打たれました。
──ガーナは政情不安もあるのですか。
内紛などはありませんが、財政が厳しく、デフォルト(債務不履行)の状態です。昨今、カカオ豆の収穫量が減少し、カカオ豆の価格が高騰しています。収穫量の減少は世界的な天候不順、病虫害などが要因なのですが、政府も財政難なので肥料や農薬を十分に提供できていません。農家はもっとお金がないので、自分たちで肥料や農薬が買えません。だからなかなか状況が好転しません。
本当にいろいろなところを見て、いろいろな感情が芽生えました。私が感動したのは、「1チョコ for 1スマイル」の取り組みが現地の大人のみなさんに支えられる仕組みになっている、ということです。児童労働がないか見回りをする大人は全員がボランティア(子ども保護委員会・CCPC)です。対価がないにもかかわらず、子どもたちが児童労働をしていないか、親が児童労働をさせていないかを自発的に見回りして、児童労働をしていたらその家族の大人に「児童労働させてはいけませんよ」と声掛けをする。そのコミュニティで、子どもたちに給食を提供できる仕組みづくりもしています。大人たちが心から子供たちを想うことで、この活動が支えられているんですね。我々の支援がなくなった後でもコミュニティが自立し、継続的にカカオを生産していける仕組みづくりをしておられる。その裏側に、子どもたちを想う大人たちの熱い気持ちがある。そこに、すごく感動しました。
──実際に現地の方と話してみて、印象に残った言葉はありますか。
ボランティア(CCPC)をされている方が「想像してみてください。畑仕事をしていた子どもたちが学校に通えるようになった、その先の彼らの将来を。私たちは子どもたちの将来を変えるために行動しないといけない。子どもたちが学校に通えるように努力していきます」とおっしゃっていました。この方の本業はカカオ農家ですが、自分は教育を受けられなかった、だからこそ今の子どもたちはそうなってはいけないという熱い想いに胸を打たれました。
──ガーナは政情不安もあるのですか。
内紛などはありませんが、財政が厳しく、デフォルト(債務不履行)の状態です。昨今、カカオ豆の収穫量が減少し、カカオ豆の価格が高騰しています。収穫量の減少は世界的な天候不順、病虫害などが要因なのですが、政府も財政難なので肥料や農薬を十分に提供できていません。農家はもっとお金がないので、自分たちで肥料や農薬が買えません。だからなかなか状況が好転しません。
改善まで長い道のりを一歩ずつ
■ガーナの児童労働
──ガーナを実際に見られて、児童労働の実態についてはどう感じられましたか。
我々が支援しているところは児童労働があってはいけない地域です。ただ、ご両親は「児童労働ではない」と言っているけれど、我々プロジェクト側から見ると児童労働にあたるケースもあります。児童労働というとネガティブなワードに聞こえますが、「学校に行かずにちょっと家で手伝いをしている」という農家の子どももいます。
──児童労働に関しては、現状どのぐらいまで改善していますか。
劇的に児童労働の人数が減っているわけではありません。長い道のりを今、一歩ずつ進んでいます。カカオ産地の課題はカカオに関わるメーカー、流通のみなさん、ガーナ政府等カカオに関わるすべての人々が取り組んでいくべき課題だと思います。
──実際にガーナに行かれて、行く前と大きく変わったことはありますか。
カカオ産地への支援が、究極的に「自分ごと」になったなと思います。ガーナに行く前にもインターネットやACEのレポートを見たり、事前に勉強会を開いてもらったりしてガーナという国やカカオ産地で起こっている課題について学びましたが、現場を見ていないので、なかなか頭に入ってこないのが実態でした。ラーニング・ジャーニーで現場に身を浸し、当事者の方々と話をして、五感で感じるものがありました。だからこそ今は「1チョコ for 1スマイル」という取り組みをもっと社内や社外に対して発信を強化して伝えていかなきゃいけない、お客様も巻き込んでカカオ産地に対して取り組んでいかなければいけないという思いが強くなりました。
(後編はこちらから)
(インタビュー写真・大嶋千尋)
──ガーナを実際に見られて、児童労働の実態についてはどう感じられましたか。
我々が支援しているところは児童労働があってはいけない地域です。ただ、ご両親は「児童労働ではない」と言っているけれど、我々プロジェクト側から見ると児童労働にあたるケースもあります。児童労働というとネガティブなワードに聞こえますが、「学校に行かずにちょっと家で手伝いをしている」という農家の子どももいます。
──児童労働に関しては、現状どのぐらいまで改善していますか。
劇的に児童労働の人数が減っているわけではありません。長い道のりを今、一歩ずつ進んでいます。カカオ産地の課題はカカオに関わるメーカー、流通のみなさん、ガーナ政府等カカオに関わるすべての人々が取り組んでいくべき課題だと思います。
──実際にガーナに行かれて、行く前と大きく変わったことはありますか。
カカオ産地への支援が、究極的に「自分ごと」になったなと思います。ガーナに行く前にもインターネットやACEのレポートを見たり、事前に勉強会を開いてもらったりしてガーナという国やカカオ産地で起こっている課題について学びましたが、現場を見ていないので、なかなか頭に入ってこないのが実態でした。ラーニング・ジャーニーで現場に身を浸し、当事者の方々と話をして、五感で感じるものがありました。だからこそ今は「1チョコ for 1スマイル」という取り組みをもっと社内や社外に対して発信を強化して伝えていかなきゃいけない、お客様も巻き込んでカカオ産地に対して取り組んでいかなければいけないという思いが強くなりました。
(後編はこちらから)
(インタビュー写真・大嶋千尋)
SDGsでメッセージ!
森永製菓は「日本の人々にもおいしく栄養価の高いお菓子を食べてもらいたい」という想いのもと創業しました。そして現在、「森永製菓グループは、2030年にウェルネスカンパニーへ生まれ変わります」というビジョンのもと企業活動に取り組んでいます。当社には誕生から100年を超えるブランドや、長い間お客様に愛されてきたたくさんのブランドがございます。これからも我々はそのブランドを進化させ、たくさんのお客様に笑顔を届けたいと思っています。みなさんと一緒に働ける日を楽しみにしています。
森永製菓株式会社
【食品】
1899年創業。国内では、菓子食品事業・冷菓事業・i n 事業・通販事業、海外では米国事業を中心に、主に食料品製造事業を営む。 「森永製菓グループは、世代を超えて愛されるすこやかな食を創造し続け、世界の人々の笑顔を未来につなぎます」をパーパスに、心と体をすこやかにする食を創造し、誰もが笑顔で過ごせる持続可能な社会の実現に貢献することを目指している。
2025/01/31 更新
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※就活割に申し込むと、月額2000円(通常3800円)で朝日新聞デジタルが読めます。
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