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不二製油株式会社
不二製油〈前編〉SDGsにまっすぐ走れば大丈夫な会社 60年以上前から大豆ミート開発【SDGsに貢献する仕事】
2022年11月02日
SDGs(持続可能な開発目標)関連の業務に携わっている若手・中堅社員に直撃インタビューする新企画「SDGsに貢献する仕事」の第4回は、食品素材メーカー・不二製油です。パーム油やカカオなど人権や環境問題に直結する素材を大量に扱っているため、サステナブルな対応をしないと事業が続けられないとか。事業そのものがSDGsなんですね。ブームの「大豆ミート」の開発にも60年以上前から取り組んでいます。(編集長・木之本敬介)
(冒頭のSDGsアイコンは、不二製油がとくに重視するゴール)
【お話をうかがった社員のプロフィル】
●加藤友貴子(かとう・ゆきこ)さん=営業部門 営業第二部 第三課
2017年、東京海洋大学海洋科学部卒、同年入社。営業部門大阪営業部第一課配属。2020年4月から現職(外食産業向けの営業担当)
(冒頭のSDGsアイコンは、不二製油がとくに重視するゴール)
【お話をうかがった社員のプロフィル】
●加藤友貴子(かとう・ゆきこ)さん=営業部門 営業第二部 第三課
2017年、東京海洋大学海洋科学部卒、同年入社。営業部門大阪営業部第一課配属。2020年4月から現職(外食産業向けの営業担当)
植物性食品通じ新しい食の選択肢提案 人権・環境問題に貢献
■不二製油のSDGs
──自己紹介をお願いします。
出身は静岡県で、東京海洋大学の食品生産科学部卒です。入社以来6年間、大阪と東京でずっと営業職です。1年目は大手製菓メーカー、2年目以降は関西の外食産業、製菓・製パンメーカーをメインで担当しました。東京では主に外食産業を担当する課で、今はもともと大好きなカフェチェーンを担当しています。
──不二製油の主な事業内容を教えてください。
弊社は植物由来の食素材(プラントベースフード)を活用し、新しい価値を提案する原材料メーカーです。植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材の四つの事業領域で、「食」の素材を開発・製造し、食品メーカー、外食チェーンなどに販売しています。
──不二製油にとってのSDGsとは?
弊社は「食」の流れの川上にあたる原料を大量に取り扱っていて、原料調達の段階から人権や環境の問題に関わってくるので、常にSDGsに重きを置いています。今年5月、不二製油グループの2030年ビジョンで「植物性素材でおいしさと健康を追求し、サステナブルな食の未来を共創します」と掲げました。
弊社のグループは世界14カ国で事業を展開していて、主要な原料としてパーム油やカカオ、大豆を大量に使用しています。パーム油の生産地では熱帯雨林の伐採や労働環境に課題があります。チョコレートではカカオ農園をつくるための森林伐採のほか、低賃金や児童労働が問題になっています。サステナブルな対応をしないと弊社の事業も続けていけません。
一方で人口増加に伴う食糧、環境の課題もあります。現在約80億人の人口が2050年代には約100億人になると予測されており、現在と同じ食生活は難しいと言われています。牧畜を増やすにもエサや水、土地が必要で、このままでは今後増える20億人分の食糧需要を賄うのは難しいそうです。世界でさまざまな代替策が検討されている中、弊社は植物性食品(プラントベースフード)の事業を通じて新しい食の選択肢を提案し、これらの問題に貢献したいと考えています。
──いつごろから取り組んだのでしょう。
SDGsができる前からです。60年以上も前から、将来の食糧不足を見据えて、食肉の代替になる「大豆ミート」を含む大豆事業に取り組み、研究開発を重ねてきました。パーム油生産地の課題については、2004年に国際的なNPO「RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)」に加入し、2016年には「責任あるパーム油調達方針」を策定しサステナブル調達に本格的に取り組んできました。RSPO認証油は、持続可能性に配慮して生産された油です。
不二製油だけでなく調達先も含めたバリューチェーン全体で環境負荷を減らして、そこに関わる人たちの人権も尊重していく。RSPO認証油のようなプレミアムのついたパーム油をお客様に買っていただけたら、それが現地の支援につながります。そんな良い循環でサステナビリティな社会をつくっていくのが2030年ビジョンです。
──ビジネスとSDGsが相反する場合もあるのでは?
植物原料を扱う弊社の事業活動はSDGsの課題に直結するので、会社として存続するために真摯に取り組まなければなりません。一方で、人権や環境に配慮した認証油とそうではない油は価格が違います。そのような取り組みが価格に転嫁されることを、お客様に理解してもらうのが営業の仕事のひとつです。
弊社は「SDGsの目標に向かってまっすぐ走れば大丈夫な会社」、自社製品を販売することで貢献ができる、幸せな会社だと思います。
──自己紹介をお願いします。
出身は静岡県で、東京海洋大学の食品生産科学部卒です。入社以来6年間、大阪と東京でずっと営業職です。1年目は大手製菓メーカー、2年目以降は関西の外食産業、製菓・製パンメーカーをメインで担当しました。東京では主に外食産業を担当する課で、今はもともと大好きなカフェチェーンを担当しています。
──不二製油の主な事業内容を教えてください。
弊社は植物由来の食素材(プラントベースフード)を活用し、新しい価値を提案する原材料メーカーです。植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材の四つの事業領域で、「食」の素材を開発・製造し、食品メーカー、外食チェーンなどに販売しています。
──不二製油にとってのSDGsとは?
弊社は「食」の流れの川上にあたる原料を大量に取り扱っていて、原料調達の段階から人権や環境の問題に関わってくるので、常にSDGsに重きを置いています。今年5月、不二製油グループの2030年ビジョンで「植物性素材でおいしさと健康を追求し、サステナブルな食の未来を共創します」と掲げました。
弊社のグループは世界14カ国で事業を展開していて、主要な原料としてパーム油やカカオ、大豆を大量に使用しています。パーム油の生産地では熱帯雨林の伐採や労働環境に課題があります。チョコレートではカカオ農園をつくるための森林伐採のほか、低賃金や児童労働が問題になっています。サステナブルな対応をしないと弊社の事業も続けていけません。
一方で人口増加に伴う食糧、環境の課題もあります。現在約80億人の人口が2050年代には約100億人になると予測されており、現在と同じ食生活は難しいと言われています。牧畜を増やすにもエサや水、土地が必要で、このままでは今後増える20億人分の食糧需要を賄うのは難しいそうです。世界でさまざまな代替策が検討されている中、弊社は植物性食品(プラントベースフード)の事業を通じて新しい食の選択肢を提案し、これらの問題に貢献したいと考えています。
──いつごろから取り組んだのでしょう。
SDGsができる前からです。60年以上も前から、将来の食糧不足を見据えて、食肉の代替になる「大豆ミート」を含む大豆事業に取り組み、研究開発を重ねてきました。パーム油生産地の課題については、2004年に国際的なNPO「RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)」に加入し、2016年には「責任あるパーム油調達方針」を策定しサステナブル調達に本格的に取り組んできました。RSPO認証油は、持続可能性に配慮して生産された油です。
不二製油だけでなく調達先も含めたバリューチェーン全体で環境負荷を減らして、そこに関わる人たちの人権も尊重していく。RSPO認証油のようなプレミアムのついたパーム油をお客様に買っていただけたら、それが現地の支援につながります。そんな良い循環でサステナビリティな社会をつくっていくのが2030年ビジョンです。
──ビジネスとSDGsが相反する場合もあるのでは?
植物原料を扱う弊社の事業活動はSDGsの課題に直結するので、会社として存続するために真摯に取り組まなければなりません。一方で、人権や環境に配慮した認証油とそうではない油は価格が違います。そのような取り組みが価格に転嫁されることを、お客様に理解してもらうのが営業の仕事のひとつです。
弊社は「SDGsの目標に向かってまっすぐ走れば大丈夫な会社」、自社製品を販売することで貢献ができる、幸せな会社だと思います。
食品メーカーとカフェチェーンではSDGsの説明の仕方を変える
■加藤さんの仕事
──これまでの仕事でのSDGsとの関わりについて教えてください。
1年目は「製品の勉強しなければ」と目の前のことに必死で、正直「SDGsって?」くらいの気持ちでしたが、いま振り返ってみるとSDGsに携る仕事ができていたのだと思います。
大手の食品メーカーはSDGsにとても強い関心を持っています。1年目に担当した菓子メーカーには「健康」に関わる研究部署があり、先輩社員のフォローを受けながら私はその部署だけを担当しました。先方としてもチャレンジングなテーマだったので「新入社員でもぜひ意見を」と言ってくれました。
──しっかり勉強しないと営業できませんね。
私の場合、最初の半年くらいは先輩の商談について行き、先輩の説明を聞いて「へえー、そうなんだ」と。帰ってから自分で調べて、「あっ、本当だ!」「そういう意味だったんだ!」というのを繰り返していました。半年後にようやく「ひとりで行ってみようか」と言われ、半年間詰め込んだことをお客様に一生懸命説明したら、思わぬ質問を受けて「もう1回勉強してきます!」ということもありました。
当時所属していた課では飛び込み営業はあまりなく、ほとんどはもとから取引があるお客様が相手でした。アポで苦労することはありませんが、新しい提案を持っていく必要があるので準備期間がいります。開発や生産部門の先輩は勉強会も開いてくれました。開発の人に電話すると何でもすぐ教えてくれるので、1年目は嫌がられるくらい電話しましたね(笑)。勉強する時間は会社から与えられていました。
──営業にとってSDGsは売り込みの武器ですか、それとも説明を求められるから勉強するのですか。
どちらもあります。SDGsは日々の業務では見えにくいこともあり、お客様の立場によって反応が違うことがあります。たとえば、お客様の社長との面談では、「(SDGsに関わる)こういう問題があると聞きましたが、御社はどんな取り組みをされていますか?」と聞かれ、説明をすることがあります。現場担当者間では日々の業務や課題のやり取りが多いのですが、「上層部から(SDGs関連の/プラントベースフードの)話をきいたけど」と相談され、「弊社ではこういう取り組みしていますので、御社のこの製品とマッチすると思います」と提案したこともあります。
──健康担当の後は?
2~3年目は大阪営業部の外食・カフェチェーンとパンメーカーを担当しました。製菓・製パンは約20社を持ちました。しかもチョコも大豆もパーム油も、すべての製品をひとりで売らなければなりません。種類が多いので大変でした。同じ油でもパンに使う場合と揚げ油に使う場合では説明の仕方が変わります。
──菓子メーカーとの違いはありましたか。
当時はSDGsや大豆ミートという言葉が一般消費者に広まっていなかったため、丁寧な提案が必要でした。弊社はBtoB(企業間取引)の会社ですが、2019年から2年間限定で大阪の百貨店に「UPGRADE Plant based kitchen」というお店を出店し、一般消費者とのコミュニケーション、認知を上げる取り組みをしたことがあります。そこで得た情報を外食に持っていって「こういう形にすると売れました」「このPRで女性客がたくさん買ってくれました」とフィードバックしたのです。そのようなやりとりを続けながら、コロナ前ごろに大豆ミートに興味を持ってもらえるようになりました。
──業種によって取り組み姿勢が違うんですね。
たとえば外食産業では店舗で使いやすく、そのまますぐに使える製品が求められます。メーカーのように自社設備をもっていて加工できるとは限らず、店舗内でできる作業も限られているからです。そのため、同じ営業でも、メーカーと外食産業では加工度が違う製品を販売することになります。SDGsに関しても説明の仕方を変えます。営業も一人ひとりが「どうしたらお客様に提案が響くのだろう」「どうしたら弊社の想いが伝わるのだろう」と考えなくてはいけません。
ちなみに業界によってスピード感も全然違って、外食は圧倒的に採用までが速いです。たとえば、メーカーは1~2年後の製品の話をしますが、外食は3カ月後の話です。メーカーでは製品開発に1年かかることも珍しくないですが、外食産業ではたった1カ月で採用を決めてしまう会社もありました。
(写真は、加藤さんが販売している主な製品)
──これまでの仕事でのSDGsとの関わりについて教えてください。
1年目は「製品の勉強しなければ」と目の前のことに必死で、正直「SDGsって?」くらいの気持ちでしたが、いま振り返ってみるとSDGsに携る仕事ができていたのだと思います。
大手の食品メーカーはSDGsにとても強い関心を持っています。1年目に担当した菓子メーカーには「健康」に関わる研究部署があり、先輩社員のフォローを受けながら私はその部署だけを担当しました。先方としてもチャレンジングなテーマだったので「新入社員でもぜひ意見を」と言ってくれました。
──しっかり勉強しないと営業できませんね。
私の場合、最初の半年くらいは先輩の商談について行き、先輩の説明を聞いて「へえー、そうなんだ」と。帰ってから自分で調べて、「あっ、本当だ!」「そういう意味だったんだ!」というのを繰り返していました。半年後にようやく「ひとりで行ってみようか」と言われ、半年間詰め込んだことをお客様に一生懸命説明したら、思わぬ質問を受けて「もう1回勉強してきます!」ということもありました。
当時所属していた課では飛び込み営業はあまりなく、ほとんどはもとから取引があるお客様が相手でした。アポで苦労することはありませんが、新しい提案を持っていく必要があるので準備期間がいります。開発や生産部門の先輩は勉強会も開いてくれました。開発の人に電話すると何でもすぐ教えてくれるので、1年目は嫌がられるくらい電話しましたね(笑)。勉強する時間は会社から与えられていました。
──営業にとってSDGsは売り込みの武器ですか、それとも説明を求められるから勉強するのですか。
どちらもあります。SDGsは日々の業務では見えにくいこともあり、お客様の立場によって反応が違うことがあります。たとえば、お客様の社長との面談では、「(SDGsに関わる)こういう問題があると聞きましたが、御社はどんな取り組みをされていますか?」と聞かれ、説明をすることがあります。現場担当者間では日々の業務や課題のやり取りが多いのですが、「上層部から(SDGs関連の/プラントベースフードの)話をきいたけど」と相談され、「弊社ではこういう取り組みしていますので、御社のこの製品とマッチすると思います」と提案したこともあります。
──健康担当の後は?
2~3年目は大阪営業部の外食・カフェチェーンとパンメーカーを担当しました。製菓・製パンは約20社を持ちました。しかもチョコも大豆もパーム油も、すべての製品をひとりで売らなければなりません。種類が多いので大変でした。同じ油でもパンに使う場合と揚げ油に使う場合では説明の仕方が変わります。
──菓子メーカーとの違いはありましたか。
当時はSDGsや大豆ミートという言葉が一般消費者に広まっていなかったため、丁寧な提案が必要でした。弊社はBtoB(企業間取引)の会社ですが、2019年から2年間限定で大阪の百貨店に「UPGRADE Plant based kitchen」というお店を出店し、一般消費者とのコミュニケーション、認知を上げる取り組みをしたことがあります。そこで得た情報を外食に持っていって「こういう形にすると売れました」「このPRで女性客がたくさん買ってくれました」とフィードバックしたのです。そのようなやりとりを続けながら、コロナ前ごろに大豆ミートに興味を持ってもらえるようになりました。
──業種によって取り組み姿勢が違うんですね。
たとえば外食産業では店舗で使いやすく、そのまますぐに使える製品が求められます。メーカーのように自社設備をもっていて加工できるとは限らず、店舗内でできる作業も限られているからです。そのため、同じ営業でも、メーカーと外食産業では加工度が違う製品を販売することになります。SDGsに関しても説明の仕方を変えます。営業も一人ひとりが「どうしたらお客様に提案が響くのだろう」「どうしたら弊社の想いが伝わるのだろう」と考えなくてはいけません。
ちなみに業界によってスピード感も全然違って、外食は圧倒的に採用までが速いです。たとえば、メーカーは1~2年後の製品の話をしますが、外食は3カ月後の話です。メーカーでは製品開発に1年かかることも珍しくないですが、外食産業ではたった1カ月で採用を決めてしまう会社もありました。
(写真は、加藤さんが販売している主な製品)
自社の原材料使った製品食べて「すごい!」と感動
■東京へ
──東京への転勤後もカフェチェーン担当ですね。
外食産業の大手は基本的に本社を関東圏に構えています。弊社の取引先も大部分は東京です。外食は開発スピードが速く情報勝負なので、東京と大阪の2カ所に分けていると「東京ではこれをやっていますがどうですか」と言っている間にチャンスロスが出ているのでは、という懸念がありました。そこで外食担当を東京にまとめることになり、関西地方のお客様を持ったまま東京に来ました。カフェチェーン、ファストフード、ファミリーレストランなどを10社くらい担当していて、関西にも出張しています。
──カフェチェーンには何を売るのですか。
チョコレート、クリーム関係とドリンクをメインで販売しています。たとえば、カフェチェーンやファストフードには「季節限定のドリンク」がありますよね。弊社はさまざまなクリーム類を製造してきた経験を生かし、店舗のオペレーションを簡単にできるような、ご要望にあわせたドリンクを提供することが可能なのです。
ほかには、カスタードなどのフィリング、大豆ミート、フライ油などですね。
──外食の営業でSDGsを意識することはありますか。
最近、SDGs関連で話題なのは乳原料と畜肉です。乳牛を育て、牛乳を得るまでに、どれぐらい環境負荷がかかるのかが数値化されており、豆乳のほうが負荷が少ないというデータもあります。お客様にとっても持続可能な材料やメニューを考えるきっかけになっていると思います。
「大豆ミートで環境への負荷を下げ、おいしさは今まで通り提供したい。技術協力してほしい」というお話をいただくこともあります。「大豆がどのくらい環境負荷を下げるのか説明して」と相談されることも増えました。「牛乳の代わりは豆乳、オーツミルク、アーモンドミルク? その他には?」といった議論にもなります。この他にも豆乳クリーム、豆乳のチーズ、豆乳クリームバター等を取り揃えているので、いろいろなご相談を受けます。
──外食産業のSDGsへの関心度が変わったと?
外食を担当して5年目ですが、コロナ禍で「世界はつながっている」と実感し、徐々にSDGsに興味を持つ方が増えてきたのではと感じています。弊社が扱う植物性食品の提案についても、反響を多くいただくようになってきました。競合する会社も増えていますが、市場として盛り上がり始めたと実感しています。
大豆ミートに対しても、製造販売をはじめた1969年当時からしばらくの間はあくまで増量材や機能材としての扱いがほとんどで、風味の違いを指摘されることも多かったのですが、品質や使用方法の改善を続けてきたことで、前向きに受け入れてもらえることが増えました。「こんな食感できますか?」など次の提案の機会も与えてもらえるようになり、楽しくなってきました。
──技術力の向上も大きいのでしょうね。
もちろん我々が納品する素材加工の技術も上がっていますが、最終的に製品をつくり上げるお客様側の工夫によって、ますますおいしくなっています。弊社の原材料が採用された製品を食べてみると、「すごい!」と感動します。
(後編に続く)
(写真・大嶋千尋)
──東京への転勤後もカフェチェーン担当ですね。
外食産業の大手は基本的に本社を関東圏に構えています。弊社の取引先も大部分は東京です。外食は開発スピードが速く情報勝負なので、東京と大阪の2カ所に分けていると「東京ではこれをやっていますがどうですか」と言っている間にチャンスロスが出ているのでは、という懸念がありました。そこで外食担当を東京にまとめることになり、関西地方のお客様を持ったまま東京に来ました。カフェチェーン、ファストフード、ファミリーレストランなどを10社くらい担当していて、関西にも出張しています。
──カフェチェーンには何を売るのですか。
チョコレート、クリーム関係とドリンクをメインで販売しています。たとえば、カフェチェーンやファストフードには「季節限定のドリンク」がありますよね。弊社はさまざまなクリーム類を製造してきた経験を生かし、店舗のオペレーションを簡単にできるような、ご要望にあわせたドリンクを提供することが可能なのです。
ほかには、カスタードなどのフィリング、大豆ミート、フライ油などですね。
──外食の営業でSDGsを意識することはありますか。
最近、SDGs関連で話題なのは乳原料と畜肉です。乳牛を育て、牛乳を得るまでに、どれぐらい環境負荷がかかるのかが数値化されており、豆乳のほうが負荷が少ないというデータもあります。お客様にとっても持続可能な材料やメニューを考えるきっかけになっていると思います。
「大豆ミートで環境への負荷を下げ、おいしさは今まで通り提供したい。技術協力してほしい」というお話をいただくこともあります。「大豆がどのくらい環境負荷を下げるのか説明して」と相談されることも増えました。「牛乳の代わりは豆乳、オーツミルク、アーモンドミルク? その他には?」といった議論にもなります。この他にも豆乳クリーム、豆乳のチーズ、豆乳クリームバター等を取り揃えているので、いろいろなご相談を受けます。
──外食産業のSDGsへの関心度が変わったと?
外食を担当して5年目ですが、コロナ禍で「世界はつながっている」と実感し、徐々にSDGsに興味を持つ方が増えてきたのではと感じています。弊社が扱う植物性食品の提案についても、反響を多くいただくようになってきました。競合する会社も増えていますが、市場として盛り上がり始めたと実感しています。
大豆ミートに対しても、製造販売をはじめた1969年当時からしばらくの間はあくまで増量材や機能材としての扱いがほとんどで、風味の違いを指摘されることも多かったのですが、品質や使用方法の改善を続けてきたことで、前向きに受け入れてもらえることが増えました。「こんな食感できますか?」など次の提案の機会も与えてもらえるようになり、楽しくなってきました。
──技術力の向上も大きいのでしょうね。
もちろん我々が納品する素材加工の技術も上がっていますが、最終的に製品をつくり上げるお客様側の工夫によって、ますますおいしくなっています。弊社の原材料が採用された製品を食べてみると、「すごい!」と感動します。
(後編に続く)
(写真・大嶋千尋)
SDGsでメッセージ!
SDGsは遠くの話ではなく、小さなことでもいいから、自分の身近にあるものとして感じてほしいと思います。自分もそうだったのでよく分かるのですが、就活では「大きいこと」を言いたくなります。でも、それよりも手元にある食品はどうやってできているのかなという興味からSDGsについて詳しく知っていってほしいですね。弊社はSDGsを進めていかないと成り立たないので、どの部署でも確実に関われます。興味のある人はぜひ受けてみてください。
不二製油株式会社
【食品素材メーカー】
不二製油株式会社は植物性食品素材を製造、販売する不二製油グループの日本エリア統括会社です。植物性食品素材は皆さまの身近な食品の原料であり、またおいしさを付与する機能を持っています。私たち不二製油株式会社は、これら植物性食品素材で「驚きのおいしさ」を発揮する製品開発を行い、食品市場や社会に貢献することを使命としており、それは1950年の創業からのゆるぎない思いでもあります。
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※就活割に申し込むと、月額2000円(通常3800円)で朝日新聞デジタルが読めます。
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