
■印象に残っている仕事は?
2016年の1月末に、初めて機体の引き渡しを経験した時ですね。それまでOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)でお世話になった先輩とのボーイング787-8(ダッシュエイト)の受領でした。契約済の機体ですが、購入金額や機体の状況など間際に決定する事項や通関の準備などもあって1カ月に渡り準備しました。現地での受領後は、新品の機体に運航乗務員と領収検査員、調達部員と合わせて10名くらいが搭乗し帰国しますが、無事に成田に着陸した時の安堵感が印象に残っています。もし不手際によって機体が1日でも運航スケジュールに間に合わなければ、どれだけの損失が出るか聞かされていますし責任が大きかったので、出張中も心配で眠れませんでした。
自分は最後の引き渡しのタイミングだけに携わりますが、事務担当や整備部門の検査員、多くの力によって受領した機体なので、思いもひとしおでした。就活の時にも「チームでする仕事をしたい」という希望がありましたから、この時はまさにチームで何かを成し遂げた、という気がしました。目に見えて形に残るというか、飛行機が自分の子どものような気持ちになるんですよね。飛行機には機番がついているのですが、その時の機番は忘れません。今はどこの便で飛んでいるのかも意識しています。
■機体を受け取ったのは米国のシアトルですか?
通常はシアトルですが、その時はボーイングのもう一つの工場、サウスキャロライナ州のチャールストンに引き取りに行きました。塗装や内装や席も終わり、就航前の最終改修のみを残して、日本へ運びます。着陸した成田空港は、以前働いていた現場だったので、各部門の仕事が繋がっているようで、感慨深かったです。