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日本航空の先輩にインタビュー
第3回 実際の仕事について教えてください
2018シーズン 【日本航空】
日本航空調達本部調達第二部航空機グループ 大出めぐみ(おおで・めぐみ)さん
2016年12月28日
■入社してからの仕事内容を教えてください。
2014年に入社してまず1カ月は、JALグループ研修・業務企画職研修を受けます。私は、5月から旅客ハンドリングサービスを行うJALスカイに出向しまし、初めは成田空港のカウンターでチェックイン業務を担当しました。
■接客の最前線はクレームもありそうですね?
お客様からのリクエストや機内でのトラブルなど様々な対応がありました。その後、2014年9月から、成田空港のトラフィック業務、お客様が出国後や入国前のエリアでのハンドリングを担当しました。そこで、2015年10月まで、約1年勤務しました。そして11月から本社調達本部の航空機グループに着任しました。
2014年に入社してまず1カ月は、JALグループ研修・業務企画職研修を受けます。私は、5月から旅客ハンドリングサービスを行うJALスカイに出向しまし、初めは成田空港のカウンターでチェックイン業務を担当しました。
■接客の最前線はクレームもありそうですね?
お客様からのリクエストや機内でのトラブルなど様々な対応がありました。その後、2014年9月から、成田空港のトラフィック業務、お客様が出国後や入国前のエリアでのハンドリングを担当しました。そこで、2015年10月まで、約1年勤務しました。そして11月から本社調達本部の航空機グループに着任しました。
億単位の飛行機を調達
■調達本部では、どんな仕事を?
調達本部は、オフィスで使用する文房具から、空港施設の備品、飛行機の座席や燃油まで、ありとあらゆるものを調達しています。その中で、私が所属するグループでは「航空機」を扱っています。いま自社が保有する航空機の退役時期や自社の財務状況を考えながら、航空機メーカーと価格や納品時期などを交渉し、機体を調達しています。相手先は米国のボーイングや、欧州のエアバス社、ブラジルのエンブラエル社などです。
■高価な買い物ですから責任重大ですね。
はい。カタログ価格では200億円くらいするものがあり、大きなお金が動くと同時に、多くの部署が購入後までのプロセスに関わります。海外メーカーの工場まで機体を受領するまで、社内調整は慎重に行っています。もともと飛行機マニアということもなく、機種の名前や仕様にも詳しくなく、「飛行機ってどうやって買うの?」というくらい知識がありませんでした。社内にこういう部署があったことすら知りませんでした。
いつの時期にどんな座席数の機体を何機ほしいといった事業計画は、他部署が担当しており、調達本部で全て決定はしていませんが。
■できれば安く買いたいですよね?
もちろん、できれば安く買いたいですが、お客さまの安全面や快適性、購入後の整備費や収益性など、様々な要素を考慮し、最適の条件が引き出せるよう交渉します。航空機にも十数年という寿命があり、「そろそろあの航空機は退役するはずだから」と、相手のメーカーに情報を知られてしまうと、足元を見られてしまうので、企業秘密も多く、戦略が必要です。あとは、エアライン同士で機体の更新時期が重なり、機体の受領時期で競争になってしまうこともあります。
■調達本部で大出さんはお若い方ですか?
以前は年齢層の高い部署でしたが、現在では私のように入社年次が若い社員の配属も増えています。航空機グループでは6人のうち私が最年少です。
■辞令が出た時は、どう思いましたか?
業務内容について詳しく把握しておらず、英語でのメールのやり取りや翻訳など事務作業を中心に担当することを想像していました。実際に着任してみると、グループメンバーは英語に困っておらず、自分には何ができるのだろう、と焦りましたが、即戦力になれないのであれば、とにかく多くのことを吸収し学んでいこうと思いました。
■かつてはベテランが行く部署だった?
航空機グループには経営破たん後に3年目で配属された先輩がいましたが、その方は7年間機材調達に携わっていました。着任当初はその方から直々に指導を受け、大変影響を受けました。調達本部自体はかつては年齢層が高い部署だったようです。
■本社勤務とお客様と接する現場、どちらがいいですか?
現場のほうが好きな方もいますし、管理に向く方もいると思いますが、サービス業である以上現場の経験は大切にされていると思います。私の場合、現場での経験はただ楽しいだけでなく、徹底してミスが許されないという点で苦労したことも多々ありました。
たとえば、チェックインスタッフの業務でいうと、お客様への適切な接し方やサービス面で気を遣うこともありますが、実は渡航書類や乗り継ぎがある場合の荷物の預かり条件等、多くの確認項目があり、短い時間のなかで確実に手続きを行う難しさもあります。チェック項目を一つでも忘れると、アナウンスでお客さまをお呼び出しご迷惑をおかけしてしまいます。時には搭乗口や機内まで走って確認を行うこともあり、ここまで厳密なオペレーションがあって初めてお客さまに無事に出発頂くことができることを実感しました。
調達本部は、オフィスで使用する文房具から、空港施設の備品、飛行機の座席や燃油まで、ありとあらゆるものを調達しています。その中で、私が所属するグループでは「航空機」を扱っています。いま自社が保有する航空機の退役時期や自社の財務状況を考えながら、航空機メーカーと価格や納品時期などを交渉し、機体を調達しています。相手先は米国のボーイングや、欧州のエアバス社、ブラジルのエンブラエル社などです。
■高価な買い物ですから責任重大ですね。
はい。カタログ価格では200億円くらいするものがあり、大きなお金が動くと同時に、多くの部署が購入後までのプロセスに関わります。海外メーカーの工場まで機体を受領するまで、社内調整は慎重に行っています。もともと飛行機マニアということもなく、機種の名前や仕様にも詳しくなく、「飛行機ってどうやって買うの?」というくらい知識がありませんでした。社内にこういう部署があったことすら知りませんでした。
いつの時期にどんな座席数の機体を何機ほしいといった事業計画は、他部署が担当しており、調達本部で全て決定はしていませんが。
■できれば安く買いたいですよね?
もちろん、できれば安く買いたいですが、お客さまの安全面や快適性、購入後の整備費や収益性など、様々な要素を考慮し、最適の条件が引き出せるよう交渉します。航空機にも十数年という寿命があり、「そろそろあの航空機は退役するはずだから」と、相手のメーカーに情報を知られてしまうと、足元を見られてしまうので、企業秘密も多く、戦略が必要です。あとは、エアライン同士で機体の更新時期が重なり、機体の受領時期で競争になってしまうこともあります。
■調達本部で大出さんはお若い方ですか?
以前は年齢層の高い部署でしたが、現在では私のように入社年次が若い社員の配属も増えています。航空機グループでは6人のうち私が最年少です。
■辞令が出た時は、どう思いましたか?
業務内容について詳しく把握しておらず、英語でのメールのやり取りや翻訳など事務作業を中心に担当することを想像していました。実際に着任してみると、グループメンバーは英語に困っておらず、自分には何ができるのだろう、と焦りましたが、即戦力になれないのであれば、とにかく多くのことを吸収し学んでいこうと思いました。
■かつてはベテランが行く部署だった?
航空機グループには経営破たん後に3年目で配属された先輩がいましたが、その方は7年間機材調達に携わっていました。着任当初はその方から直々に指導を受け、大変影響を受けました。調達本部自体はかつては年齢層が高い部署だったようです。
■本社勤務とお客様と接する現場、どちらがいいですか?
現場のほうが好きな方もいますし、管理に向く方もいると思いますが、サービス業である以上現場の経験は大切にされていると思います。私の場合、現場での経験はただ楽しいだけでなく、徹底してミスが許されないという点で苦労したことも多々ありました。
たとえば、チェックインスタッフの業務でいうと、お客様への適切な接し方やサービス面で気を遣うこともありますが、実は渡航書類や乗り継ぎがある場合の荷物の預かり条件等、多くの確認項目があり、短い時間のなかで確実に手続きを行う難しさもあります。チェック項目を一つでも忘れると、アナウンスでお客さまをお呼び出しご迷惑をおかけしてしまいます。時には搭乗口や機内まで走って確認を行うこともあり、ここまで厳密なオペレーションがあって初めてお客さまに無事に出発頂くことができることを実感しました。
飛行機が我が子のよう
■印象に残っている仕事は?
2016年の1月末に、初めて機体の引き渡しを経験した時ですね。それまでOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)でお世話になった先輩とのボーイング787-8(ダッシュエイト)の受領でした。契約済の機体ですが、購入金額や機体の状況など間際に決定する事項や通関の準備などもあって1カ月に渡り準備しました。現地での受領後は、新品の機体に運航乗務員と領収検査員、調達部員と合わせて10名くらいが搭乗し帰国しますが、無事に成田に着陸した時の安堵感が印象に残っています。もし不手際によって機体が1日でも運航スケジュールに間に合わなければ、どれだけの損失が出るか聞かされていますし責任が大きかったので、出張中も心配で眠れませんでした。
自分は最後の引き渡しのタイミングだけに携わりますが、事務担当や整備部門の検査員、多くの力によって受領した機体なので、思いもひとしおでした。就活の時にも「チームでする仕事をしたい」という希望がありましたから、この時はまさにチームで何かを成し遂げた、という気がしました。目に見えて形に残るというか、飛行機が自分の子どものような気持ちになるんですよね。飛行機には機番がついているのですが、その時の機番は忘れません。今はどこの便で飛んでいるのかも意識しています。
■機体を受け取ったのは米国のシアトルですか?
通常はシアトルですが、その時はボーイングのもう一つの工場、サウスキャロライナ州のチャールストンに引き取りに行きました。塗装や内装や席も終わり、就航前の最終改修のみを残して、日本へ運びます。着陸した成田空港は、以前働いていた現場だったので、各部門の仕事が繋がっているようで、感慨深かったです。
2016年の1月末に、初めて機体の引き渡しを経験した時ですね。それまでOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)でお世話になった先輩とのボーイング787-8(ダッシュエイト)の受領でした。契約済の機体ですが、購入金額や機体の状況など間際に決定する事項や通関の準備などもあって1カ月に渡り準備しました。現地での受領後は、新品の機体に運航乗務員と領収検査員、調達部員と合わせて10名くらいが搭乗し帰国しますが、無事に成田に着陸した時の安堵感が印象に残っています。もし不手際によって機体が1日でも運航スケジュールに間に合わなければ、どれだけの損失が出るか聞かされていますし責任が大きかったので、出張中も心配で眠れませんでした。
自分は最後の引き渡しのタイミングだけに携わりますが、事務担当や整備部門の検査員、多くの力によって受領した機体なので、思いもひとしおでした。就活の時にも「チームでする仕事をしたい」という希望がありましたから、この時はまさにチームで何かを成し遂げた、という気がしました。目に見えて形に残るというか、飛行機が自分の子どものような気持ちになるんですよね。飛行機には機番がついているのですが、その時の機番は忘れません。今はどこの便で飛んでいるのかも意識しています。
■機体を受け取ったのは米国のシアトルですか?
通常はシアトルですが、その時はボーイングのもう一つの工場、サウスキャロライナ州のチャールストンに引き取りに行きました。塗装や内装や席も終わり、就航前の最終改修のみを残して、日本へ運びます。着陸した成田空港は、以前働いていた現場だったので、各部門の仕事が繋がっているようで、感慨深かったです。
日本航空
【航空】
日本を代表する航空会社の一つ。従業員数は約11,224人、連結従業員数は31,986人(いずれも2016年3月末現在)。英語表記は「Japan Airlines Co., Ltd.」で、その頭文字から「JAL」の略称で親しまれている。2010年1月に会社更生法の適用を申請。京セラ創業者・稲森和夫氏を会長に招き再建を図った。破綻後わずか2年8カ月後の2012年9月、東京証券取引所に再上場を果たした。
2024/10/11 更新
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