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■面接
──面接は、個人面接と私服にこだわりがあるそうですね。
浅井 グループ面接で集団の中での面接となると、場合によっては自分らしさを発揮できないケースもあります。なので、もっとも自分らしさを自然に発揮できるであろう「1対1」にこだわっています。私服面接は、自然体のみなさんと話したいというコンセプトです。「スーツが自然体で話せます」という人はそれでいいし、「Tシャツにジーンズ」ならそれも「どうぞ」です。
──奇抜な格好で来る学生はいましたか。
浅井 「私服でいいと言うけどトラップだ」という噂もありましたが、そんなことありません。髪の毛をピンクに染めている人、全身白いスーツで来た人など、色々な人がいますが、内定しました。自分らしさをアピールするという意味で着たんだと思いますから。
──面接のポイントは?
吉田 職種によりますが、技術系2回、事務系3回が基本になります。技術系は研究内容をプレゼン形式で発表してもらうので1次面接が45分、事務系はだいたい30分、コースにより45分の面接もあります。技術系は発表を踏まえて、専門性を深堀りし、どのように専門性を生かしていきたいのかを聞きます。どんな商品・サービスに興味があるかもヒアリングします。最終面接は技術的な確認も行いますが、入社して活躍できる人材か人物面の見極めも行います。
浅井 コンピテンシー面接といって、どういう行動をとったのか細かく聞きます。ガクチカなら「部長でした」ではなく、「具体的に何をやったの」と行動を深く掘り下げます。どうしてこの人はこんなことをしたのか、次に同じ場面に遭遇したらどういう行動が取れるのだろうと、事務系では行動ベースの確認が中心です。面接が進むほど、人物面、カルチャーフィット、活躍できそうかの確認が増えてきます。
──ニュースや世の中への関心は重視しますか。
吉田 テクノロジーの会社なので、技術への興味・関心の高さは必要だと思います。たとえば「新しいガジェットが販売された」「サブスクサービスが始まった」というニュースが出たときに、内容や仕組みを調べたり、すぐに試していたり。直接そういう質問を面接でするわけではありませんが、最終的にはそういう人材が集まっているイメージはあります。
浅井 アンテナの高さとか、「こういうトレンドをこの人はこう解釈しているんだ」というものの見方は見ています。「この媒体にこんなことが書いてあった」という受け売りではなく、自分で消化してどんな目線で見ているか、自分の頭でどう考えているのか、どう表現しようとしているのかは大事ですね。
――そのほかに面接で意識していることはありますか?
吉田 学生のみなさんは多くの企業の面接で、自己PRや志望理由を伝えてきていますが、実際に面接をしている立場で思うのは、ESには書かれていなくて面接を通じて初めて個人の気質が伝わるケースも多くあるということです。その振り返りがないまま就活を続けるのはもったいないので、面接に進んだ人には、今後のよりよいコミュニケーションに生かせるようフィードバックすることを心がけています。
WILLコースの話もありましたが、学生自身で将来の仕事や自分自身の強みについてイメージを膨らませるのはとても大変なことで、こちらからも提案することで、より視野を広げて就職活動に臨めるきっかけになればと思っています。
■インターンシップ
──インターンシップについて教えてください。
吉田 学生の夏休みと春休みのタイミングに合わせて行っています。2~3週間コースが主で、実際の商品やサービスの新しい機能設計や改善検討を行うなど、業務に近いプログラムに取り組んでもらいます。実際に職場に配属して社員と同じような就業体験をしてもらいます。それくらいの負荷がないとマッチングを確認することは難しいと思います。
「オープンハウス」という1日型参加イベントも実施しています。社内ツアーや社員との座談会を用意していますが、それだとソニーを十分に知ってもらうのは難しいので、より現場を実感してもらえるインターンシップに注力しています。実際に仕事現場に入り込むことで関心を高める学生も多く、例年内定者の過半数がインターン経験者です。
■働き方
──働き方は変わりましたか。
吉田 職場や職種によってそれぞれですが、今はテレワークの上限回数もありません。時差出勤なども活用し、業務内容に応じて柔軟に働けます。ある程度裁量をもって働く場所・時間を決められるのはソニーらしいところです。
──NTTグループが原則自宅勤務を始めましたね。
浅井 ソニーも新しい働き方を構築しています。クリエイティビティを発揮するためには、会社に来てコラボレーションして……ということにも一定の意味があると考えています。コロナ禍以降、在宅勤務が定着しオンラインでのコミュニケーションに慣れた部分もありますが、逆に目的がない何気ないコミュニケーションはどうしても減ってしまいます。目的を持ってミーティングをして、目的が終わると退出ボタンを押すとミーティングは終わり。対面であれば、その後の会話で付属情報が入ってきたりする。それってけっこう大事だと思うんですよね。
吉田 偶発的な出会いも新しく何かを創造するうえでは重要だと考えています。また、オンボーディング(新入社員受け入れ)の観点だと、入社から日が浅い人からは「出社したい」という要望も聞きます。
──「ジョブグレード制」があるそうですが、どんな内容ですか。
吉田 欧米の「ジョブ型」とは少し違います。以前は職能資格制度で個人にひもづくスキルや経験がベースとなり格付けが設定されていましたが、今は「役割」に応じて格付けされます。役割が変われば上がることも下がることもあります。
浅井 すべての職種にジョブディスクリプション(仕事内容を細かく定める職務記述書)が設定されているわけではなく、今、話題になっているような「ジョブ型」とは少し違います。役割と給料が結びついていて、役割が変わればグレードや給料が変動します。以前は人にグレードがついていました。少し極端な例ですが、私は人事でやってきたので「経理課長をやって」と言われても難しいですが、経理に行っても同じ給料、というが昔の考え方です。今のジョブグレードでは、人事と同じレベルの役割を経理では担えないので、給料が変わることになります。また、昔の制度だと思い切った若手の抜擢人事はなかなかできませんでしたが、今は30代のマネジメントもかなり増えてきています。
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