人事のホンネ

KDDI

2022シーズン⑩ KDDI《後編》
「やり抜く力」「変革する力」見る 5G時代にアンテナ張って【人事のホンネ】

コーポレート統括本部 人事本部 人財開発部 採用グループ マネージャー 足立晶子(あだち・あきこ)さん

2021年02月03日

 人気企業の採用担当者インタビュー「人事のホンネ」2022シーズン第10弾、KDDIの後編です。5G時代を迎え、通信を軸に金融、エンタメ、教育、地方創生などあらゆる業界と新ビジネスを展開。ニュースに登場しない日はないくらい話題の多い会社です。日々のニュースチェックなど情報収集をしたうえで、「自分は何をしたいか」考えてほしいそうですよ。(編集長・木之本敬介)

(前編はこちら

■面接
 ──面接は3回ともWEBですか。
 2021年卒採用では、緊急事態宣言後の面接はすべてWEBで実施しました。個人面接で、時間は30分くらい。最終面接は40分になることもあります。

 ──基本情報登録とESはオーソドックスな内容ですが、そこを深掘りするのですか。変化球もあり?
 基本情報登録・ESに書いてあることを基本的に深掘りします。面接は「会話」ですので、その会話の中のやりとりで面接官は質問していきます。わざと意地悪な質問をするようなことはありません。
 ただ、口下手な学生がとても多く、ESに書いているのにアピールできない人がいます。「何で言わないんだろう?」と思います。

 ──アピール下手は採用されませんか。
 アピールの仕方も人それぞれで、流暢な人もいますし、緊張からES上に書かれていることを発言できなくなる人もいます。ただ、緊張していても自分の考えや思いを自分の言葉で表現できるようにしてほしいですね。

 ――面接で見るポイントは?
 いずれの面接でも、KDDIにマッチする人財であるかという点は見ています。「具体的な目標を持ち、やり抜く力があるか」「周囲と協力しながら変革していく力があるか」という部分を、各面接でいろいろな役職の社員が出てきて複眼的に見ています。

 ──ESの「KDDIで何をしたいか」は将来のことですから飾ることもできます。面接でどう見極めますか。
 どうしてそう思ったのか、どういう経験があったからそう思ったのかで判断します。面接で深掘りしていくと、飾って自分の言葉じゃなくなる人がいます。ささいなことでも「普段の生活でこう思っているから、KDDIに入ってこういうことができる」と自分の言葉で語ってもらうと、「この人はあのチームに入って仕事ができるな」と思い浮かぶことがあります。プレゼンテーションでどれだけ素敵なことを言われても、その後の質疑が続かないと残念ですね。本当に思っていることを言ってくれればいいので。

 ──多様な分野にビジネスを広げている会社です。世の中への関心も大事ですね?
 KDDIが新聞紙面やWEBに出ない日はないと思います。「KDDIを志望する=何らかの関連ニュースは見ている」のではないですかね。「2020年は5G元年」というニュースを見てKDDIに入りたいと思ったのなら、「自分は何をしたいか」を想像してほしいですね。ぜひ各所にアンテナを張って情報や知識を仕入れてほしいです。他業種の企業との技術提携や業務提携とかも気にはしてほしいと思います。

WEB面接で地方や海外学生の応募増 WEBイベントで就業体験も

■WEB面接
 ──WEB面接をやってみて、どうでしたか。
 挑戦でした。4月、5月ごろになると学生がどんどんオンライン選考に慣れてきました。ただ、最終面接を含めWEB面接に全面的に舵を切るのは挑戦で、勇気がいりました。コロナ禍で何を優先すべきかを何度も話し合いました。
 緊急事態宣言が解除された5月下旬、感染リスクがゼロになるわけではないため、学生の健康維持も考慮し、対面に切り替えずWEBにて面接を継続しました。すでにある程度の選考を終えていたので、それ以降の学生には対面で会うとなると公平性が保てないというのも要因です。

 ──WEB面接のメリットとデメリットは?
 メリットは、多くの学生に参加してもらえることと、お金も時間もかからないことですね。地方の学生や海外の留学生の面接もできました。海外の学生の応募は確実に増えました。
 それから、各面接でのキャンセルが減りました。気軽に受けられるからでしょうね。社員にとっても、いろいろな学生に出会えて良かったと思います。
 デメリットは、最終面接合格者の中で会社に1回も来たことがない、社員とも直接会ったこともないために、「KDDIへの入社」を決めかねる学生が多くいたことですかね。

 ──内定式は?
 オンラインで行いました。例年やってきた施設見学ツアーもバーチャルでやりました。先日、入社前健康診断をしたので、多くの内定者には対面できて嬉しかったです(笑)。

 ──画面越しと印象が違う人はいましたか。
 いえ、画面越しでも雰囲気は分かります。それほどギャップはありませんでした。押しの強い人は画面越しでもすごく強いし、控えめな人は控えめです。

 ──入社後のミスマッチの心配もあるのでは?
 「こんなはずじゃなかった」と思われることのないよう、入社前・入社後のフォローはしっかりしていきたいです。

 ──2022年卒採用もすべてWEB面接で行うのでしょうか?
 2022年卒採用もコロナ禍での選考活動となりそうです。感染状況を見つつ「対面」と「オンライン」のハイブリットで対応をしていく予定です。

■インターンと説明会
 ――「WILLコースとインターンはセット」との話がありました。インターンを増やしたのですか。
 インターンは、2021年卒採用向けから受け入れ数、受け入れコースともに増やしました。ワークショップを織り込んだ数日開催のインターンから、業務イメージを伝える説明会形式の単日開催のものまで幅広く用意して、KDDIの業務への理解を深めてもらおうとしています。夏の時点で、150名ほどが参加し、秋・冬にも継続的に学生との接点をつくってきました。オンラインへの切り替えにも対応し、就業型でWEBインターンを実施したコースもあります。

 ──オンラインで開きやすくなった面もありますか。
 多くの学生に出会う手段として有効でした。運営側はバタバタでしたが(笑)。

 ──1Dayでのオンラインの就業体験って、何をするのですか。
 たとえば「ソリューション(法人営業&ソリューションエンジニア)コース」のインターンは、実際の案件をモデルケースに課題を解決するプロセスを学んでもらいます。数名のグループワークで、アイデアとチーム力をいかして、クライアントの課題を解決していき、営業の楽しさを体感してもらいます。

 ──本採用のエントリー増につながりましたか。
 2021年卒のプレエントリーは約1万7000人、本エントリーは5300人ほどで、2020年より増えました。インターンやイベントを増やした効果だと考えています。2022年卒のエントリーはもっと増えると期待しています。