人事のホンネ

オムロン

2022シーズン⑥ オムロン《後編》
多彩な事業に社会貢献の軸 コロナ時代の課題解決にも挑戦【人事のホンネ】

オムロン リクルーティングセンター担当課長 経営基幹職 宮崎ゆかりさん

2020年11月25日

 人気企業の採用担当者インタビュー「人事のホンネ」2022シーズン第6弾、オムロンの後編です。柱の事業は、工場の自動化、ヘルスケア、社会インフラ事業……と一見ばらばら。いったい何の会社ですか?と尋ねると、「事業を通じて社会的課題の解決し、よりよい社会づくりに貢献する会社」と即答でした。(編集長・木之本敬介)

(前編はこちら

■ES
 ──採用選考の流れを教えてください。
 WEBエントリーの後、エントリーシート(ES)提出と、WEBテスト、その後、2回の面接です。

 ──ESはどんな内容ですか。
 「技術職」と「営業・スタッフ職」でテーマが異なります。技術職は技術的な専門性を確認するために、今やっている研究テーマを聞きます。どんな技術分野なのか、我々の事業とマッチするのか、どう取り組んでいるかも書いてもらいます。営業・スタッフ職は困難を乗り越えた経験やエピソードなどを聞きます。
 グループ各社を併願する際は希望する各社ごとにESを出してもらっています。

 ──ヘルスケアとソリューションなら、それぞれ書くんですね。
 事業を通じて何を実現したいのか、本人が持つ強みをどのようにいかしたいのかが大切だと考えているので、それぞれ書いてもらっています。我々が大事にしている企業理念「事業を通じた社会的課題の解決=ソーシャルニーズの創造」に取り組んでくれる学生に来てもらい、利潤を追求するだけでなく、社会的課題にどう取り組んでいくかを考えてほしいと思っています。「誰でもいいから、とにかくオムロンが好きな人に来てほしい」ということではありません。

 ──研究内容がオムロンの仕事にぴったり合わないとダメ?
 完全に一致していなくても良いと思います。「やっている研究とは違いますが、こんなことをやってみたい」「専門外ですが、こんなことを勉強している」という人もいて、入社後に活躍している例もたくさんあります。選考では、本人の強みややりたいことを確認しています。ベースの素養として重視するのはオムロンの企業理念=社会的課題の解決を実践できるかどうかですね。

 ──「営業・スタッフ職」のESはエピソードがメインということですが。
 挫折経験と、困難をどう乗り越えたかを書いてもらいました。自分自身を客観視できているか、どう行動したかを教えてもらいたいです。場合によっては「乗り越えていないけれど、こういうことを学んだ」でもいいんです。それをどう捉えて、どう行動したかにこだわりたいですね。過去の経験をいかし、オムロンに入社したらどういうことをしていきたいかは、ESだけでなく面接でもしっかり聞かせてもらいます。

 ──世の中の動きにアンテナを張っているかどうかは大事ですか。
 一つの話題に対して「あなたはどう思う?」と聞いたときに自分の考えが言えるかどうかは大事ですね。そのためには、普段から好奇心を持ってアンテナを張り、インプットの量を増やしておくことが大事です。新聞、本、WEBや、幅広い交友関係など、幅広くさまざまなことに興味関心を持っていると情報量が違ってくると思います。

生き続ける創業時のベンチャー精神

■語学力
 ──グローバル企業ですから、語学力は重視する?
 TOEIC何点以上といった入社時の基準はありません。入ってから勉強する意欲があるか、今どんな努力をしているかが大事です。また、グローバルに活躍するには、多様性を尊重できることが重要です。語学はひとつの手段ですね。

■社風
 ──どんな会社ですか。
 1959年に創業者の立石一真が社憲「われわれの働きでわれわれの生活を向上し、よりよい社会をつくりましょう」を制定して以来、「事業を通じて、よりよい社会づくりに貢献する」という使命のもと、世に先駆けてイノベーションを生み出す「ソーシャルニーズの創造」へのチャレンジを続けている会社です。社憲に「われわれの生活を向上し」と入っているのがオムロンらしさです。この「われわれ」には社員も含まれます。社員が疲弊したり疲れきったりせず、いきいき働いていることが大事です。ですから、働き方、働きがいを大事にしています。
 私はいろんな会社で仕事をしてきましたが、オムロンは本当に風通しがいい会社です。出し惜しみせず、協力しようという意識があります。

 ──似た理念を掲げる会社はありますが、なぜオムロンでは実行できて、しかもうまく回っているのでしょう?
 企業理念の実践が風土として根付いているからだと思います。2012年度から、企業理念を実践する取り組みとして「TOGA(The OMRON Global Awards」をスタートしました。グローバル全社員が参加し、それぞれの企業理念実践の取り組みを共有、賞賛し、共鳴の輪を社内外に広げる活動です。毎年、企業理念に基づく多くのテーマが世界中で宣言され、チームで協力しながら1年間かけて実行します。このような取り組みを通じて、日々の業務の中でも、企業理念の実践を感じられるようにしています。またオムロンでは、少ない人数で取り組むプロジェクトが多く、創業時からあるベンチャー精神が生き続けています。判断に迷ったときには、必ず企業理念に立ち返って考えてみることが日々の業務で習慣化できていることも大きいと思います。

 ――やりがいと厳しさは?
 やりたいことに積極的に挑戦させてもらえることです。厳しさはその裏返しかもしれません。でも、「やりたいやりたい」と言うだけでは無理で、常に自己研鑽して準備ができていないといけません。だから、手上げ式の研修や自己啓発にも力を入れています。