人事のホンネ

第一生命保険株式会社

2019シーズン【第7回 第一生命】
生保のイノベーションInsTech推進 未知の領域に飛び込む勇気を

人事部 採用グループ 課長 小坂晋平(こさか・しんぺい)さん

2018年02月20日

 企業の採用担当者に直撃インタビューする人気企画「人事のホンネ」。2019シーズン第7回は、皇居に面してそびえる第一生命保険の日比谷本社にお邪魔しました。終戦直後、連合国軍総司令部(GHQ)がおかれ、マッカーサー元帥も執務した重厚な建物に圧倒される一方、お話では「挑戦」「変革」など、大手金融のイメージとはちょっと違うキーワードが飛び出しました。(編集長・木之本敬介)

■採用実績
 ──採用実績を教えてください。
 2018年入社予定は790人(男性154人、女性636人)です。
 2017年入社は例年よりも多めでしたが、このところ、800人前後の採用数です。。

 ──職種が「基幹職」「機関経営職」「総合営業職」とはっきり分かれていますね。
 第一生命グループには、「リーテイル分野(個人向け)」「ホールセール分野(法人向け)」「資産運用分野」「海外事業分野」「企画・管理分野」「アンダーライティング分野」「IT・システム分野」「窓販・代理店分野」の八つのビジネスフィールドがあります。
 「基幹職」はその全ての分野で働く可能性があります。いろんな分野で多様な職務を経験しながら、保険のプロフェッショナルを目指していきます。「基幹職」にはさらに、国内外の転勤がある「グローバルコース」と、地域を限定して働く「エリアコース」があります。

 ──将来の幹部候補は「グローバルコース」の社員ですか。
 いえ、分け隔てはありません。「エリアコース」の幹部も当然います。第一生命は女性の活躍推進に取り組んでいます。「エリアコース」はライフイベントが多い女性が続けやすい職種だと思います。

 ──「機関経営職」はどんな仕事でしょう?
 先ほどの8分野で言うと、「リーテイル分野」に属する仕事で、生命保険販売を担う生涯設計デザイナーのマネジメント・育成に携わりながら、営業オフィス経営のプロフェッショナルを目指していく職種です。営業だけでなく、マネジメント・人財育成・マーケティングなどに携わりながら成長できるのが特徴です。営業オフィスは全都道府県に約1300拠点ありますので、転勤がある職種です。

 ──「総合営業職」は?
 こちらも「リーテイル分野」に属する仕事なのですが、「総合営業職」は、主に企業や官公庁で働くお客さまを対象に、お客さま一人ひとりのライフステージの変化や多様なニーズに応じて最適な「生涯設計」のご提案を行うプロフェッショナル職種です。地域を限定して働く職種のため、転勤はありません。こちらは営業オフィスとは別で、首都圏など全国24都市にある組織に所属しています。

 ――790人の内訳は?
 だいたい「基幹職」が240人、「機関経営職」が50人、「総合営業職」が500人くらいです。

 ──理系対象の「アクチュアリー」「クオンツ」「建築・設計」という職種もありますね。
 これらは基幹職の一つですが、大学の研究や専攻で習熟した知識を活かして、専門性の高い特定の業務を希望する学生を対象とした職種です。
 2018年入社ではグローバルコースの中に、スペシャリティコース(アクチュアリー、クオンツ、建築・設計)とオープンコースを用意しました。オープンコースは、分野問わずさまざまな業務を経験しながら多様なキャリアを積んでいくことになります。

 ──学部の指定はありますか。
 ありません。学部ではなく資質や能力をトータルに評価します。結果的に学部の偏りが生じることはありますが、受けるのに制限はありません。

 ──採用人数は?
 2018年入社の採用では、スペシャリティコースとして15人くらいです。全体の理系の割合は10~15%ですね。

 ──一般的に生保は「文系の会社」というイメージがあると思いますが、理数系の学生はこうした職種があることを知っているのでしょうか。
 もともと、アクチュアリー志望の学生は少なくないですし、こういった職種の内容や魅力を広く知っていただくために、アクチュアリー・クオンツに特化したインターンシップも開催しています。
 
 ──理系に推薦での採用はありますか。
 いえ、推薦制度はありません。

3段階のキャリアセミナーで「会社」「人」「仕事」知って

■インターンシップ
 ──インターンシップについて教えてください。
 インターンシップには力を入れていて、8月~2月まで毎月のように開催しています。2018年入社向けのインターンはサマー、オータム、ウィンターの3シーズン開催し、「基幹職」だけで計約1200人の学生が参加しました。
 最近の学生ニーズは多様化していて、ワンパターンのインターンではニーズを満たせないため、複数コースを用意しています。加えて、「基幹職」にはいろんな分野があり、ものすごく業務の幅が広いので、いろんな部署の就業体験を用意しています。
 たとえば「リーテイル分野」というと「営業」しかないと思われがちですが、仕事内容はさまざまです。お客さま接点の業務もあれば、4万人いる生涯設計デザイナーを育成する仕事、商品開発もあります。インターンでは、できる限り多くの業務への理解を深めて仕事の魅力を感じてもらいたいと思っているので、複数分野の就業体験を準備し体感してもらっています。講義は短めにし、主体的に考えてもらうプログラムで、グループワークを毎日のように行います。

 ──インターンの期間は?
 昨年までは5日間のみでしたが、今年度から3日間とワンデーも加えました。「授業もあるし5日間は厳しい」という学生もいますし……。ワンデーは札幌、仙台、名古屋、福岡に限定して開催しています。弊社に興味はあるけれど、「東京まで行くのは負担」という学生に来てもらいたいと考えています。5日間と3日間は東京と大阪です。

 ――「機関経営職」「総合営業職」のインターンも?
 はい。営業がメインの職種なので、コンサルティングや保険設計など「お客さまのニーズを満たすにはどうしたらよいか」を中心とした内容です。機関経営職のインターンは、5年間の育成カリキュラムを疑似体験し、営業・マネジメントに必要な力とは何かをワークを通じて習得してもらいます。

■スケジュール
 ──2018年入社採用のスケジュールを振り返ってください。
 3月初めは合同企業説明会、弊社主催のセミナーなどを数多く行いました。セミナーは5月までに50回は開催したでしょうか。規模はさまざまで、1日に1000人入るホールを貸し切って、すべての分野の仕事内容や魅力を聞けるような大型イベントも行いました。3日間で約3000人の学生が参加しました。普通の規模のセミナーは1回あたり100人くらい。延べ約1万4000人が参加しました。

 ──エントリーシート(ES)の締め切りは?
 4月中旬ごろでした。

 ──書類選考に通った人が6月の面接に進むのだと思いますが、第一生命の内定者から、その間に「社員との座談会があった」と聞きました。
 キャリアセミナーをファースト、セカンド、サードの3段階に分けて行っていました。ファーストがいわゆる業界・会社研究で、生保業界と第一生命について理解してもらう、「会社を知る」段階ですね。3月ごろに行いました。
 セカンドでは、幅広い業務フィールドと第一生命の魅力である「人」について知ってもらいます。さまざまな分野で活躍している社員と直接話せます。分野ごとにテーブルを設け、好きな分野に行って話を聞くことができます。「仕事と人を知る」段階です。
 最後のサードは5月ごろで、1対1です。複数だと聞きづらいことがあったり、消極的な学生はあまり質問できなかったりするので、話しやすい環境をつくっています。そして、さらに「人の魅力を知る」段階です。
 内定者が言った「社員との座談会」は「キャリアセカンド・サード」のことだと思います。ただ、ここでは選考は一切行っていません。

 ──どんな社員が担当するのですか。
 若手から中堅までですね。キャリアサードは1人の学生あたり3回行いますが、質問内容が深まっていくので、入社2~3年の超若手、5年目くらいの若手、10年目くらいの中堅と担当者が変わります。5月はずっとキャリアサードを行っていました。
 キャリアサードは延べ200人ほどの社員に全面的に協力してもらっています。

 ──「座談会」は学生1人につき何分くらいですか。
 1人30分くらいですね。時間が短いので、回数を3回にしてフォローしています。