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(前編はこちら)
■求める人材像とニュース
──求める人材像を教えてください。都庁職員に絶対に欠かせない資質とは?
望月 都民のために働くことが役割ですから、都民に信頼されるような人材であることが必須です。具体的には、たとえば、法令を遵守して正しくきちんと仕事をする人や、協力してチームワークで仕事ができる人。その他、公正・公平な対応ができることも前提で、人によって対応を変えてはいけません。当然ですが、仕事の成果も求められます。誇りを持って仕事の成果を上げようと愚直に働けるか。東京都に対する信頼とは、そういうことの積み重ねだと思います。
──学生にニュースへの関心を求めますか。
矢田 教養試験でも時事的な問題が出るので最新ニュースはしっかり知っていてほしいです。面接でなぜ志望したのか、都庁に入って何をしたいのか聞くこともありますが、都の事業は世の中の流れに関わるので押さえておいてほしいですね。
望月 都民のニーズを踏まえた施策をするには、世の中の流れを知ることは大前提です。職員の1人として知っていなければなりません。
■インターンシップ
──インターンシップは行っていますか。
望月 2020年、2021年は1dayの仕事体験をオンラインで行いました。それ以前は夏に1週間ほど、いろんな部署や職種で実際に学生を受け入れる「都庁インターンシップ」を実施していました。直近の2019年夏に実施したインターンシップでは、100以上の部署で200名以上の学生を受け入れました。この2年は五輪・パラリンピックやコロナで人流を抑えるため、実際の受け入れは実施していません。
──「都庁ナビゲーター制度」があるそうが、どんな制度ですか。
望月 若い職員を採用PRイベントのサポートスタッフとして登録し、インターンや座談会のイベントで先輩職員として語ってもらいます。率先してイベントに関与する職員で、ほぼ全職種の計150人ほどいます。
■働き方とICT職
──「働き方」は変わりましたか。
望月 テレワークがだいぶ進みました。都庁では、生活と仕事の両立のため、テレワーク、オフピーク通勤、フレックス制度といった柔軟な勤務形態が可能です。コロナ禍でテレワークがより柔軟にできるようになり、WEB会議も推奨するようになりました。都庁のDX(デジタルトランスフォーメーション)化も進み、ペーパーレス、ハンコレスなど出勤しなくても仕事ができる態勢が整ってきました。
──DXといえば、コロナ下で政府や自治体のデジタル化の遅れが批判されました。ICT職の採用は2年目だそうですが、学生の人気は?
望月 2021年9月に開催した都庁ICT職インターンシップには、多くの学生からの応募がありました。今までずっとICT分野に携わってきたIT企業に入るのも面白いでしょうが、都庁のICT職には、都民生活の質の向上のため、全く基盤がないところから創り上げていくという大きな魅力があります。都庁のICT職は非常にやりがいがあると思います。
■風土
──都の職員数は?
望月 教員、消防署、警察署を含めると16万~17万人で、都庁の職員に限ると3万~4万人です。この3万~4万人には、都税事務所や島しょ地域などの事業所で働いている人も含んでいます。
──大きな大企業クラスですね。どんな組織風土ですか。
矢田 私は入庁2年目ですが、意見を聞いてもらえることが多く風通しのよい雰囲気です。育児中の人は時短勤務制度を活用したり、それ以外の人もライフワークバランスを意識したりと、休むときは休む、働くときは働くといったようにメリハリをつけた働き方をしています。また、必要に応じてテレワークを行うこともできるので、働きやすい環境だと感じています。
望月 八丈島勤務2年、本庁2年です。職員数に違いはあれど、どちらの部署も若手の意見を聞いてくれて風通しもいいし何でも相談できます。入る前は「公務員は上下関係がしっかりしていて堅苦しい」印象でしたが、全くそんなことはなくて職場でフランクに話ができるし雑談もします。良い意味で縦のラインはしっかりしているけれど、フランクで楽しい環境です。
──お役所には堅苦しいイメージがありました。
望月 組織の仕事の仕方とか職員同士の接し方が特別に堅苦しいことはなく、民間企業と変わらないと思っています。法律とか条例を扱っているので締めるところ締め、都民の方に対して誠実にご対応しますが、オン・オフがはっきりしている感じですかね。
──どんな職員が多いのでしょう?
矢田 いろいろなバックグラウンドを持った人が多いですね。いろんな職種があることにも起因していると思いますが、理系・文系だけじゃなく、民間経験者も、国際交流員として外国人の方がいる職場もあります。本当に「同じ組織なの?」という印象ですね。…続きを読む