株式会社ジェイティービー
2015シーズン【第11回 JTB】
旅のチカラでお客様の課題解決 基準は「自律創造型社員」
ジェイティービーグループ本社 人事部 人事チーム 木村希(きむら・のぞむ)さん
2014年01月28日
――2014年度入社の実績を教えてください。
JTBグループ27社で合同募集して、その合計が690名。95%が文系、院卒は6名です。全173社のJTBグループの中でグループ求人に参画しているのが、2014年卒だと27社、2015年卒は29社になります。グループ求人参画外でも個別に採用している会社もあります。
JTBグループは、お客様の価値観の多様化やマーケットにより合った体制を組むために、地域や機能ごとに2006年に大きく分社化してしおり、現在は全世界で173社です。個別の採用人数は公表していません。
――合同募集では、どうやって会社を決めていくんですか。
最初に「グループ総合型コース」「事業推進型コース」のどちらかを考えてもらいます。まずは、将来どういうフィールドで活躍したいかを選ぶ。「グループ総合型」は将来的に全事業、全世界を舞台に活躍する。こちらもそれを期待し学生にもそういう気持ちで入ってもらいたい。「事業推進型」はある特定の事業、ある地域でプロフェッショナルになることを期待しています。その将来の活躍フィールドを考えながら、具体的な会社を考えてもらう流れとなります。
――「グループ総合型」と「事業推進型」の人数は?
比率としては半々くらいですね。応募者数も同じ傾向です。店頭業務を希望する方は「事業推進型」を多く希望されますので、全体的には事業推進型の応募者数が多いと思います。
――プレエントリー、本エントリーはどのくらいですか。
プレエントリーが6万2000名で、エントリーシート(ES)提出が1万7000名。前年に比べてプレエントリーが106%、ES提出が120%に増えました。
■採用選考の流れ
――2015年新卒採用選考の大まかな流れを教えてください。
「グループ総合型」は、入社して基軸を置きたいと思う会社を第3希望まで書くことができ、「事業推進型」は数の限定なく応募したい会社を選んでもらいます。それぞれの希望により、「グループ総合型」と「事業推進型」の併願ができますし、「事業推進型」の中で併願もでき、いくつでも選べます。実際多い方は7~8社応募する方もいます。
――その後は?
12月1日からプレエントリーを開始していて、エントリー受付は2月1日から。「グループ総合型」は手書きのESを送ってもらいます。ES1枚に第3希望まで書けます。「事業推進型」は希望する会社すべてに出すことができます。ESの記載方法(手書きかWEBか)は、会社によって違います。
2月下旬の1次締切と、3月上旬の2次締切の2段階に分けて受け付けます。その後、筆記試験があるので、ESを送っていただいた方に筆記試験のご案内をしていきます。
■筆記試験
――筆記試験はどんな内容ですか。
全国10会場で実施します。今年の内容は検討中ですが、昨年の内容は、観光地理、英語、一般常識問題、計算問題などです。SPIではなく独自で作っています。2014年卒から全国グループ求人参画会社全てで実施するようになりました。その理由は、WEBの世界だけで書類選考をするのではなく、JTBグループに応募していただける方全てにお会いしたいという思いからです。リアルにお会いすることによって、お互いを感じる機会にしたいと考えています。
――時事問題はニュースに関することですか。
はい、新聞を読んでいれば分かる内容でした。みなさん時事問題は点数は悪くないですね。ただ観光地理の問題にはてこずる人が多い。例えば、有名な観光地を4択から選んでもらったりしたのですが、前回は点数の幅がかなり広かったです。
――筆記試験とESで選考をして、面接ですね。
4月の頭からスタートします。筆記試験同様、極力多くの方にお会いしたいので、グループ総合型コースの共通一次面接については、全国8会場でご自身の行きやすい場所で面接をして頂けます。
「旅行が好き」では埋もれてしまう 見ただけで感動したESも
――1万7000通のESは誰が見るのですか。
「事業推進型」に関しては、ESが各社にダイレクトに届くので、それぞれの求人担当が見ます。「グループ総合型」はグループ本社の求人担当や、全国各地の求人担当が見ています。
数名で1万通以上を見ます。空欄が多かったり、明らかに雑だったり、良くないESというのは目に付きます。
――木村さんが大事にしている項目は?
「学生時代に得たこと」「JTBグループで何をやりたいか」が2本柱。「学生時代に得たこと」は、そこで得たものをどれだけ簡潔に書いているか。今までの自分を作り上げた信念だとか、やってきた実績から得たものを自分の言葉で書いているか。そこがよければぜひ会いたいと思います。
JTBでやりたいことが「旅を売りたいです」だけではあたりまえすぎます。JTBグループ全体で、何がしたいか明確に書けているかどうか。しっかり企業研究しているなとか、適性があるな、というところを見ています。ただ企業研究もそうですが適性を見たい。仮に企業研究ができていなかったとしても、適性がありそうな人には会ってみたいと思いますね。
――JTB志望者にありがちなESは?
「旅行が大好きで」がまず多い。「私は旅行でこういったことを得ました。ですので、御社でもその思いを多くの方に伝えたい」というものですね。それはそれで構わないですが、それだけでは埋もれてしまうので、いかに自分の言葉で表現できるか。「日本と世界の架け橋になりたい」というものも多い。それももちろん悪くはないけど、それだけではあまりインパクトはありません。
――印象に残るのはどんなESですか。
多くはありませんが、うちに対する思いがあふれ出すようなESはあります。たとえば実際にJTBの人間と関わった話、修学旅行のときの添乗員の話などを、「私はこれまでJTBのいろんな人とお会いしてこんな話を伺いました。そこで私はこう感じて、それに対してこういう思いを持って受けます」と具体的に書いてある。見ただけで感動する内容もあります。そういう意味では企業研究や、志望度の強さは印象に残りますよね。
――社員に会っているかどうかは大きいんですね。
それはとても大事だと思います。採用で有利になることはありませんが、学生にとっては、話の説得力を増したり、後のミスマッチをなくしたりすることも含めて多くの社員に会った方がいいと思います。先輩社員を動員した説明会も多く実施しているので、是非そういった場に直接足を運んでいただいて、コミュニケーションを図ってもらいたいと思います。
■面接
――4月からの面接は何回ですか。
会社によって違いますが、おおむね3回。中には4~5回やるところもあります。「グループ総合型」は最終的には各社で採用しますが、将来的にJTBグループの全事業に関わり全世界での活躍を期待しています。面接も1次面接までは共通で行い、「グループ総合型」参画会社の様々な社員を集めてJTBグループにマッチしているかどうかを見ます。2次面接以降はそれぞれ希望する会社ごとの面接を受けます。育成期間も含めてその会社に基軸を置くことになりますので、ミスマッチがないように見ていきます。
――1次面接はどんな形式ですか。
去年はグループ面接でした。学生が6~7名で面接官2名。面接官はグループリーダークラス、営業の第一線でバリバリ活躍している人たちが中心です。時間は40~50分。
グループディスカッションもこの50分の中で行います。まずは個別に志望動機などを話してもらって、後半はグループディスカッションでした。
――グループディスカッションのテーマは旅行に関することですか。
そうとは限らないですね。いい結論を見いだしていただくというよりは、その時のコミュニケーションのとり方や所作を見ています。テーマ例は人事から示しますが、面接官が聞きたいテーマにしてもよいことにしていました。
――2次面接以降は会社別に行うとのことですが、どんな傾向がありますか。
2次面接で役職者が出てきて、3次面接では役員という感じですかね。学生1人に対して面接官2人が基本ですが、プレゼン面接、グループ面接などさまざまですね。求めているものが違うので、各社オリジナルなものをやっています。
――内々定はいつごろですか。
第1クールの早い方で4月後半からゴールデンウイーク前後ですね。第2クールは5月から筆記試験、面接なので、5月後半から6月の頭くらいに内々定です。
■学生の特徴
――応募者は男子と女子で何か違いはありますか。
総じて女子学生の方がいろいろインプットして準備してくる方が多い印象です。気合もあるし、プレゼンで目立つ子が多い。そんな中で負けずにやっている男子学生はより目立ちます。
――最近の学生の傾向、変化は?
女子はちょっと強くなっている印象です。男子は、昔は見た目も雰囲気も中身もいかにも体育会系という人が多かったのですが、最近は、内定者も新入社員も「ミスター体育会」より闘志を内に秘めた人が多い気がします。見た目はいわゆる草食系でも、出るところに出ればしっかりやって気持ちも出せる人。印象とだいぶ違う。
――その男子学生の変化について、木村さんはどう思いますか。
悪くはないと思います。一方で「ミスター体育会」みたいな人も必要なのに、JTBという会社に彼らの目が向かなくなってきているのかなとも思います。特に法人営業職には、体力があって、礼儀もしっかりして、根性もある人は、かなり適性も高いと思いますので、もっとそういう方にもお目にかかりたい。
自分の世代は体育会系のアメフト部とかラグビー部のような人が多かったですが、傾向として比率としては減少していると思います。
――体育会の学生を集めた説明会や、OB・OG訪問はやっていますか。
体育会の学生を集めたイベントなどには参加し、積極的にお会いしたいと思っていますが、特に体育会枠を設けて採用するというような事はしていません。
――エントリーする学生の傾向と求める人物像に落差はありますか。
人物像の落差というよりは、やはり会社イメージのまま来る方が多いと思います。
良くも悪くもすごく認知度の高い会社だとは思いますので、JTBというと赤い看板のもとでパンフレットで旅行を売っているというイメージで来る学生が多い。店頭販売を目標とする方はもちろん構わないのですが、他の事業や法人営業も大事。知らないから来ない人もいると思うので、知って目を向けてもらいたい。志望する人も、なんとなく「旅行売っているんですよね……」という人が多い。私たちの幅広い事業や営業スタイルを知ってほしいと思いますし、そこが求人活動における課題だと感じています。
――たとえばどんな事業について知ってほしいのですか。
わかりやすい例でいうと、JTBグループに入って何をやりたいか聞くと、「企画をつくりたい」という人が圧倒的に多い。学生の皆さんがイメージしているのは旅行のパンフレットです。でも私が担当していた法人営業にとっての「企画」は、お客様それぞれに合わせた企画、オーダーメードの課題を解決するための企画です。こういう話をちょっと学生にすると「そんなこともやっているんですね」と、びっくりした反応が返ってきます。そういった魅力も知ってもらいたい。
――基本的には旅行の企画ですよね。
お客様の課題を解決するため、目的を達成するための旅行の企画を作る。すると、中には旅行だけではなくて、交流の機会を生み出すイベントなど旅行ではない場面もあります。
――企業研究が浅い学生が多いということでしょうか。
新聞やテレビが伝えるJTBは、パッケージ旅行、カウンター、旅行パンフレットばかりです。実は企業さんへの営業や修学旅行なども大きな仕事ですが、そういうイメージが学生の皆様にはあまりないと思います。
モノを売るよりコトを売る ホスピタリティーも必要
――会社説明会はどんな形式ですか。
企業広報が解禁される12月からイベントや学内説明会にたくさん出て、私や各会社の求人担当が基本的にはJTBグループの話をします。さらに、自社セミナーで幅広くJTBグループとして広報活動をしますが、事業ごとの話もしていきます。1回200人弱で1日3コマを2週間開くので、数千人規模の学生が参加します。
他には、大きな自社イベント「JTB Summit」を2月に東京、大阪で開きます。ここからは各社ごとの説明もしていくので、東京ではグループ求人に参加している29社がブースを出して個別の説明をします。全体講演をしたりパネルディスカッションをしたり。グループ全体、各事業、各社の順で見てもらう流れですね。
――併願した学生が両方受かった場合は、奪い合いになることもありますか。
最終的には学生が決めることです。複数の会社が内定を出すことはあるので、取り合うというより学生の意志を尊重して、会社を選んでもらいます。
――人気企業ですから、説明会の予約はすぐ満席になってしまうんでしょうね。
12月の自社セミナーは、JTBグループを第1希望で考えている方は複数回申し込んで頂いたりするので、すぐに埋ってしまう会もあります。ただ、JTB Summitは東京ビッグサイトなどの大きい会場で、東京、大阪合わせて1万2000~3000名参加できるので、予約で満席ということはないですね。その中のパネルディスカッションなどは予約制なので埋ってしまいますが。
――OB・OGの紹介はしていますか。
依頼があった場合は、各社の担当につないでいます。ただ、大学の出身者がいないこともありますし、社員の繁忙期もあるので、できる範囲での対応となります。
――インターンシップは実施していますか。
2013年の夏、8月末から9月初めに、JTBグループ求人事務局が主体となって初めて実施しました。公募した人数は30名。グループワーク中心で、極力ビジネスについて考える機会を多くし、あとは社会人との交流。選考はWEBでエントリーシートを受け付け、1回面談を行いました。700名を越える応募をいただきました。
――来年以降はどうですか。
来年以降は東京以外でも開きたいですね。来年から採用のスケジュールが変わるので、インターンができる期間が長くなる。基本的には拡大を考えています。というのは、今回参加頂いた学生の反応がとても良く、いろいろな事を考える契機になったというお礼の連絡をいただいた学生も多かったので、社会的な意義も大きいのかなと感じています。
――参加学生は企業理解が深まったと思いますが、採用の参考にもしますか。
インターンシップ参加の条件として、JTBグループに入りたいかは聞いていません。今回のインターンは、旅行を手段にしていかにビジネスにつなげいくかというビジネス色の強いテーマだったので、参加者は旅行会社志望者だけではありません。実際どれくらいの方が選考に来てくれるかわかりませんが、個人的には、ぜひ皆さんに応募してほしいです。
■ずばりホンネ
――面接でこういう学生は厳しい、落ちる学生のパターンはありますか。
お客様あっての仕事であり、第一印象はとても大切ですので、著しく清潔感に掛けていたり、態度が悪かったりという方は厳しいと思いますし、面接官は低い点をつけると思います。
――黒のリクルートスーツについてはどう思いますか。
違和感はありません。あえて奇抜な格好をしてきて、こういうありのままの私を見てほしいという学生もいないわけではない。でも面接官の中には違和感をもつ人もいるので、あえてチャレンジしなくてもいいと思いますね。
2016年卒から暑い夏の時期に選考になるので、社会全体として考えなければなりませんね。個人的に反省しているのは、昨年夏のインターンシップの面談のときに、軽装で構いませんよと事前連絡をしておきながら、きちんとお出迎えしたい気持ちから、自分自身がネクタイ締めて行ってしまって……。一緒に働いているメンバーからは、「ああ言ったんだからやらなきゃダメじゃないの」言われました。8月のリクルートスーツはあり得ないですもんね。
――内定者が競合する会社は?
店頭の仕事という面では、女性は航空会社、ブライダルが最近は多い。幸せを売るというところが共通しているのかなと思います。男性は運輸業や同業他社さんも含め幅広い業界です。
――他社との違いを教えてください。
私が法人営業の現場時代に感じていたJTBの強みは、営業マンの質、レベル、考え方、営業スタイルは絶対に負けていないということです。モノを売るというよりコトを売る。昔からナチュラルにはやっていたのですが、数年前から営業スタイルを変革しました。ありきたりな言い方ですが、「課題解決型営業」スタイルです。旅のチカラや交流が生み出す力を使ってお客様の課題を解決していきましょうと明確に打ち出しました。
「頼れるパートナーを目指して」と会社案内にも書いてありますが、もともとやってきたコーディネーターの役割を一歩進めて、お客様にとっての事業パートナーになりたいということでもあります。
――なぜ、そのような変革をしたのですか。
JTBグループは、数年前に「総合旅行業」から「交流文化事業」に事業ドメイン(事業領域)を転換しました。総合旅行業は旅行が「目的」でした。いま、旅行は目的ではなくて、別の目的を達成するための手段が旅行です。個人のお客様が旅行に行くときには何かしら目的がある。旅行は目的達成のための手段です。法人営業のお客様も同じで、団体旅行も社員旅行も旅行を使って何かを解決したいという思いがある。それをこちらがしっかりと把握したうえで解決していく提案をしていきます。
――時代の変化に対応したわけですね。
旅行の位置づけが変わりましたよね。高度経済成長のときはレジャーといえば旅行でしたが、今は行く人は行くが、行かない人は行かない。レジャーは多様化し、大学生の間に必ず旅行に行く、卒業旅行に行く、必ず車を買うということはなくなった。それよりスマホにお金をかける。旅行に行かなくてもネットで見られるからという人もいます。だから行かない人向けに、旅行を軸に新たなマーケットを生み出さないといけない。そういう意味で創造、クリエーションが必要なので、「自律創造型」の社員がほしいと言っています。
――「自律創造型社員」ってどういう人なんですか。
求める人物像の指標の一つですが、われわれも社員も自律創造型社員であれと言われています。新しい情報やスキルを継続的に習得し自己成長の努力を惜しまない人、物事や組織の課題に対し自律的、主体的に考え行動できる人――という二つの定義をしています。必要な資質としては、主体性、コミュニケーション能力、これは当たり前だと思いますが、これに加えてホスピタリティー。これはこの会社ならではだと思います。
――面接もそこにポイントを置いて見ているんですね。
全社で統一されている求める人物像は「自律創造型社員」ですから、これが一番の判断基準になります。
上司の手配力、行動力に感動した九州の修学旅行
――旅行業界は入社3年以内の離職率が高い業界だと言われます。「旅行は離職率が高くて大変らしい」といううわさを心配している学生もいますが、JTBの場合はどうですか。
旅行業全体では長時間労働とか激務のイメージがあるのかもしれませんね。弊社においては、長時間労働や激務というよりは、仕事内容のミスマッチから生じる離職が多いと思います。ミスマッチを減らすために学生にうちの仕事を知ってもらおうと、しっかり説明する機会を設けています。
繁忙期と閑散期がある業界なので、どうしても忙しく働かなければいけないときはあります。また何が何でも勝負をしなくてはいけないときもありますが、その癖がつかないようにしたり、時間を工夫したりする意識の持ち方が大切です。社内でも、いわゆるワーク・ライフ・バランスや働き方の見直しに関する多くの取り組みをしてかなり変わってきました。今は会社全体で意識改革が進んでいます。
――入社後の研修制度について教えてください。
入社するとまず新入社員研修が2~3週間あります。その後はざまざまで、グループリーダーになるときや、マネジャーになるときなどフェーズごとマストで受ける研修があり、それぞれその時々に伸ばしたいスキルを高めるための研修なども多く設定しています。
――JTBでの仕事のやりがいはどんなところにありますか。
法人営業でいうと、旅行商品は形がないので、お客様と一緒にオンリーワンの商品を作り上げ、それがお客様にとってのソリューションになります。営業マンでも添乗員をやったり、現場にいってお手伝いしたり、現場のトータルプロデューサー的なこともやったりします。お客様の反応を現場でダイレクトに見ることができるのが特徴ですね。私も添乗して1週間お客様と一緒に過ごすこともありましたし、2年間かけてプログラミングしてきた商品に対するお客様の反応を見られます。最後に「木村さんでよかったです」と言ってもらえると一番嬉しい。自分がいなければ生まれなかった内容ですからね。
――仕事の厳しさはどんなところですか?
常にお客様の目にさらされているので、失敗しても逃げられません。たとえば、お客様にとって衣食住は必ず確保しないといけないことです。お弁当が1回何かの手違いで届かなかったというだけで、次の仕事はもうないと思ったほうがいい。300人の学生を連れて行き、何かの手違いでお弁当が届かず300人がご飯を食べられないというシチュエーション。自分には経験ないですが、そんなことを考えながらやらないといけない。慎重かつ丁寧な仕事が必要とされます。
――現場があって目の前にお客様がいるということは、わかりやすい半面、失敗すると大変ですね。
添乗中に道に迷ってしまった、なんてあってはならないこと。初めて行く場所には自己研鑽のために自ら下見をする、そういった努力は少なからずしていますね。
――勤務地は、コースや会社によってさまざまなんでしょうね。
「グループ総合型」は、最初に入った会社の勤務地でスタートします。たとえばJTBコーポレートセールスであれば東京か神奈川か千葉。その後は全世界です。転居を伴う出向、転勤もあります。
――海外勤務は、ある会社とない会社があるんですか。
「グループ総合型」はすべて可能性があります。「事業推進型」でも無くはない。在外社員の人数は現地の社員も含めて3500人。入社してすぐに海外勤務は基本ありません。
――海外勤務希望者は多いのですか。
昔に比べると減っていますが、ここ数年少し増えているようですね。2015年卒採用では「グローバルエントリー」という制度を設けました。グループ総合の中に入りますが、グローバルエントリーで応募し入社した方には、早い段階から海外に行くことを約束します。
――グローバルエントリーの採用枠があるんですね?
はい、若干名です。2年目くらいを目安に海外に行ってもらう。目安はTOEIC750点以上です。国内でも海外でも同じレベルで活躍できる人、英語力も国内でのコミュニケーション力も高いレベルの学生を採用したい。海外で働きたいと思っている学生にキャリアパスを明示する制度です。
■木村さんの仕事
――木村さんはどんな就活をしたのですか。
もともと営業志望で添乗にも興味があったので、営業、添乗がある旅行業界を受けました。OB訪問は大学の就職課で1人教えてもらい、その人に会って他の人を紹介してもらって……。JTBに決めたポイントとしては、OB訪問でいろんな話を聞いていく中で、何人かの先輩社員にいずれも「向いている」と言われたのが一番大きかった。その気になって受けました。
――木村さんの仕事の経歴、印象に残った仕事は?
入社以来、法人営業の中でも中学、高校がマーケットの部署に長くいました。九州への修学旅行から東京へ帰る日、台風が近づいてきて福岡からの飛行機が欠航。JTBの手配力を生かし、飛ぶかどうか分からないが熊本発の便を200名分押さえました。次に福岡のホテルを押さえた。学校の先生方に、今こういう手配をしていますと報告すると「さすがだね。そこまで用意してくれたんだ」と言ってくれました。
学校は熊本空港から乗ろうと判断し移動しました。熊本からの便は夜7時発。次に考えるのは夕飯をどうするか。熊本空港に行く間にお弁当200人分準備できるお店を探し見つけました。そんな中、たまたま福岡に来ていた上司が応援に駆けつけてくれるはずなのに、なかなか来ない。何をしているのかと思ったら、お弁当屋さんに行って「このままでは間に合わないから俺も一緒にお弁当を詰めてる!」と。本当のプロだと思いましたね。先を読む力というか、今おばちゃんたちとお弁当を詰めている、この行動力。「空港への到着がぎりぎりになるから、力のある男子を何人か残して他は飛行機に乗って」と言われ、野球部の10人に200個のお弁当を協力して運んでもらって配った。上司の行動力に感動しました。結果的に自分の中でもやりきった感があったし、お客様の満足度が高く、一番喜ばれた仕事です。
みなさんに一言!
みなさん生きてきて、自分のよりどころが必ずあると思います。私は剣道を十何年やってきて、全ての物事を考えるときに「剣道だったら……」と考えてやってきました。だから、自分が今の段階で身に付けているものを、よりどころ、武器にして、自分の考えを自分の言葉で話せるよう準備してください。今はさまざまな情報をネットで見ることができますが、自分の目で見ることが大事です。実際に自分で足を運び、OBに会い、多くの人と話し、いろんな人と交流することが、成長にもつながると思います。就職活動は自分を成長させる一番大きな機会だと思います。将来の自分のためにも、「就活のため」という観点じゃなく、幅広く自分の人生の中で役立つんだという観点で取り組んでほしいと思います。
株式会社ジェイティービー
【旅行・ホテル】
「地球を舞台に、人々の交流を創造し、平和で心豊かな社会の実現に貢献する」ことをグループ経営理念に掲げ、「交流文化事業」を事業ドメインとして活動しています。「交流文化事業」とは、「交流を創造し、促進する事業」のこと。活動を通し、新しい文化や動きが生まれ、そこには無限の可能性のフィールドが広がります。そのフィールドにおいて、人・文化あらゆる交流を生み出す変革を続けることこそが、JTBグループの使命です。アジア市場における圧倒的NO.1ポジションを目指す私たちは、アジア全体のツーリズム産業の発展に貢献していきたいと考えています。
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