人事のホンネ

メルカリ

2025シーズン メルカリ〈前編〉
外国籍も積極採用 インターンシップ参加も選考フローに【人事のホンネ】

新卒採用チームマネージャー 村上将教(むらかみ・まさのり)さん

2023年12月20日

 人気企業の採用担当者に編集長が直撃インタビューする「人事のホンネ」の2025シーズン第2弾は、フリマアプリ「メルカリ」を中心に決済サービス「メルペイ」などさまざまなサービスを手がけているメルカリです。2013年の創業から10年で従業員数約2000人という企業に成長したメルカリは、新卒採用にも積極的に取り組んでいます。エンジニアリング組織で外国籍を積極採用し、グローバルな環境で働くことができる企業です。選考プロセスでは入社後の会社とのミスマッチを防ぐため、2~3カ月のインターンシップに参加してもらうのが特徴。特に、何かにチャレンジした経験があるかを重視しているといいます。前後編でじっくりインタビューしました。(編集長・福井洋平)


■メルカリについて
 ──メルカリという会社について教えてください。
 2013年に創業し、フリマアプリの「メルカリ」をスタートさせました。現在はメルカリなどCtoC、つまり個人と個人がやり取りするサービスが事業のメインですが、事業者がメルカリを使って販売する「メルカリShops」、フィンテック領域で決済や与信、クレジットカード機能もある「メルペイ」、暗号資産領域の「メルコイン」といったサービスも手がけています。アメリカでも事業展開をしているほか、昨年からはインドに開発拠点を設立したり、鹿島アントラーズのクラブチーム運営もしています。

──採用は一括採用ですか。
 はい。基本的にメルカリは日本で採用を行いますが、アメリカとインドの拠点で働く社員は別で採用します。2016年から新卒採用をはじめ、一時期減らしましたが近年また人数を増やしています。

■2024年卒採用
 ──2023年卒、2024年卒の新卒採用状況を教えてください。
 当社は通年採用をしているので、常に募集、選考を続けており、概ねスケジュール通りに採用が進捗しております。

 ──外国籍はどういう国の人が多いですか。
 さまざまな国から入社をしていますが、インターネットなどでプロモーションをしていることもあり、なかでもインド在住の方が多いです。日本の学生にとっては、海外の人もライバルになります。

 ──文系・理系の比率は。
 2024年卒まで採用の大半を占めているエンジニアの場合、コンピュータサイエンス系の学生が多いですね。

──職種別採用をされていますが、何職種ぐらいありますか。
 全部で9職種あります。

 ──文系の方は、どういう職種を目指すんですか。
 24年卒採用の新しい取り組みとして、リーガル系、ファイナンス系のポジションを採用したのですが、それがいわゆる文系の人たちです。ただ、リーガル系は司法修習生になるので、司法試験合格が条件となります。

入社後すぐに活躍するトップタレントを採用したい

■選考フロー
 ──選考フローを教えてください。最初に履歴書を提出するのですか。
 そうですね。その段階で職種希望を聞き、応募要件とマッチングしたらエンジニアの場合は「技術テスト」という形でコーディングのテストをします。それに合格した人は面接2回、それからインターンシップに来てもらいます。

 ──面接2回の後にインターンがあるのですか。
 はい。このインターンが2~3カ月ぐらいありまして、お互いにマッチングをした場合はその後2回の面接を行い、内定が出るというプロセスです。
 インターンはお互いの理解を促進するのが一つの狙いですね。実際に働いてもらうことで学生さんの会社への理解も深まりますし、メルカリとしてもマッチングを図れます。入社後、基本的にはインターンの受け入れチームに配属されるので、すぐに即戦力として早い段階から働いてもらえるのも狙いです。

 ──インターン先に配属されることが多いのですね。
 インターン先に配属される場合が多いので、業務内容をしっかり把握されてから入社いただくことが可能です。

 ──どの部署でインターンをするかは希望できますか。
 はい、希望を聞きます。例えば、「メルカリとメルペイのどちらで働きたいか」というサービスの興味、「どういうポジションを希望しているか」というポジションの興味を聞いて受け入れるので、そんなに大きく期待値が変わることはないかなとは思います。

 ──ポジションというのはどういう選択肢があるんですか。
 得意な技術に対して希望を聞きます。メルカリのiOSのエンジニアとして入りたいとか、フロントエンドのエンジニアとして入りたいとか、そういう希望を聞きます。

 ──最初の履歴書は特にエントリーシート(ES)は指定していないそうですね。具体的にどういうものを求めていますか。
 エンジニア採用の場合だと開発経験を重視します。例えば、「該当ポジションのプログラミング言語を利用した開発経験があるか」「過去に自分でアプリを作った経験があるか」「チームで開発した経験があるか」「インターン参加の経験があるか」など、開発経験をヒアリングしています。新卒でも最近は開発経験がある人が多い印象です。インターンへの参加、リモートで働く選択肢も増えているので、全国的に経験している人が多いですね。

 ──何も作っていない人は、もう選考しようがないというか。
 現在は基本的には開発経験があるかたを対象として選考を行っております。一方機械学習系のエンジニアポジションだと、開発経験というよりは大学でどういった研究をしているのか、研究内容とメルカリが機械学習の領域でやっていきたいことのマッチ度を重視しています。

 ──一般的な就活のESだと「大学時代はアルバイトを頑張りました」みたいなパターンもあると思うんですけど、それは求めていない?
 そうですね。メルカリは職種別採用ですし、入社後すぐに活躍するトップタレントを採用したいという方針です。そこから逆算すると、学生時代から経験を持っている人々に会いたいですね。

 ──志望動機は聞きますか。
 エンジニア採用だと、志望動機はエントリー時点では聞いていません。面接で聞きます。

 ──履歴書でどれぐらい絞りますか。
 履歴書は厳しくはないと思います。どちらかというと技術テストのハードルが高いです。

 ──ファイナンス、リーガル系も同じフローですか。
 ファイナンスやリーガルは一般的な就活のフローに近いです。志望動機を書いたり、ESみたいなものも出したりしてもらいます。そこではガクチカも聞いていますね。メルカリのバリューという3つの行動指針(「Go Bold」「All for One」「Be a Pro」)に沿った学生時代の活動、頑張ったことを教えてくださいと聞いています。
 3つのバリューの中でも特に「Go Bold(大胆にやろう)」、自分で大きくチャレンジする経験をメルカリはすごく大事にしています。候補者ごとに殻を破って、チャレンジした取り組みだったかどうかを確認しています。

バリューにフィットしているかを見る メルカリ使用歴は必須

■面接
 ──エンジニア採用で、テスト通過後の面接2回は、誰とするのですか。
 最初は技術面接で、技術について確認します。会社で普通に働いているエンジニアに面接してもらいます。1対1で大体60分、基本的にオンラインです。

 ──ここでは何を見ますか。
 応募してきたポジションで利用している言語が、どれぐらい使えるか。スキルチェックですね。iOS、Android、機械学習など、エンジニアで使われている技術の種類がいろいろあるんですけど、技術言語に特化した面接をします。具体的なサンプルの問題を解いてもらうこともあり、それに対してお互いフィードバックしたり、質問したりします。

 ──もう1回はどんな面接ですか。
 次はマネージャーとの面接で、60分です。もう技術面接はクリアしているので、バリューにフィットしているかとか、ミッションに対して「なぜメルカリを受けているのか」を中心にヒアリングします。これも1対1です。面接に合格したら、そのマネージャーのチームで受け入れることになります。技術テストは全然違うチームの人が出てくる可能性がありますが、マネージャーに関してはインターンで一緒に働くマネージャーになります。

 
 ──バリューにフィットしているかどうは、どうやって見るんですか。
 エンジニアとして過去にどういうチャレンジをしたか。開発中でもいいですし、チームで何かやったとかでもいいですし、取り組んで頑張った事例とか、工夫したプロジェクトを挙げてもらい、それをヒアリングします。バリューの中でも「Go Bold」は一番体現するのが難しいと社内でも言われているバリューですので、そこにフィットしていればよりプラスに評価されやすいと思います。

 ──他にはどういうことを聞きますか。
 志望動機です。例えばメルカリはどのポジションの面接でも、メルカリのサービスに対する改善案といった質問が出ますので、メルカリを使っているかどうかは大事なポイントです。自社のサービスに興味を持ってくれたり、会社のやりたいことに共感してくれたりすることは、メルカリのカルチャーとして大事にしたいポイントです。「1回もサービスを使ったことないです」となると多分、「マーケターとしてどういう改善をしますか」「エンジニアとしてどういう機能を変えていけばいいですか」と聞いたときに答えられないと思うんです。使った経験がないと具体的なアイデアも出てこないですね。

 ──一方で有名なサービスですから、「サービス大好きです」という人も来ると思うのですが、それはプラスにはなるんですか。
 プラスですね。新卒でも「メルカリのヘビーユーザーです」という人は多いですし、そこはすごくプラスですね。好きでいると改善策も思い付きやすいですし。今は2025年卒が採用のメインですけど、エンジニアではない部署でもESの時点で「メルカリのプロダクトに対する改善を教えてください」と聞いています。使っている人ほどアイデアが出てきますね。

 ──学部卒ですと、いつぐらいに応募するのが一番多いんですか。
 オープンのタイミングで言うと、3年生の5月、6月が一番多いです。1年生からやっている人も一部いますが、9割ぐらいは3年生、あとは大学院1年生ですね。インターンは夏のタイミングでする人が多いです。メルカリは16歳以上から受けられるようになっているので、高専の人とかも受けています。高卒即入社も可能性としてあり得ます。「この大学だから受かる」こともないですし、しっかり求められている技術レベルをクリアしている人であれば、受かります。

インターン中にフィードバック 短期間で大きく変化する学生も

■インターンシップ
 ──インターンの期間は2~3カ月と長いですが、どういう形でインターンの機会を提供していますか。
 通年で受け入れていますが、夏と春休みが参加のボリュームとしては一番多くなります。海外の方も日本に来てもらいますが、その場合も海外の夏休み期間を使って、インターンに来てもらうパターンが一般的です。フルタイムで働く方も多いですし、普通に学校行きながらメルカリで働いてる人もいるので、週2、週3ぐらいのケースもあります。応募のときに目安としては大体週20時間前後働いてもらうことを推奨していますね。インターンではチームに入って2~3週間、オンボーディングをして、チームの中でのタスクをやってもらいます。本当に現場のみなさんがすごく協力的で、現場主導のインターンシップになっているかなと思います。

 ──インターン後に不採用になることもあるんですか。
 あります。例えばサポートを全て受けながらでないと開発が難しいというような場合は、本採用に進めない可能性もあります。また、僕らはBe a Pro、プロフェッショナルとして働こうというバリューをもっていますが、例えば勤務怠慢というか、チームのミーティングに来ないとか、「いつまでにやってね」といったことが終わってないとか。そこでBe a Proじゃないよね、っていう形で落ちることもあります。メルカリは社内のいろんなイベントもあり、インターン生でも「部活」に参加できるのですが、そっちは頑張っているけど、こっちの開発やってないとか。そういう人は「プロじゃないよね」ということで落ちます。

 ──インターン中に1回フィードバックするんですか。
 定期的にフィードバックしますし、フィードバックを通じて、短期間で大きく変化をする方もたくさんいます。そのように変化を感じることができるのは、インターン生ならではの面白さでもあります。

経験者より高いオファーを出す場合も

 ──インターン中に1回フィードバックするんですか。
 定期的にフィードバックしますし、フィードバックを通じて、短期間で大きく変化をする方もたくさんいます。そのように変化を感じることができるのは、インターン生ならではの面白さでもあります。

 ──部活とは?
 メルカリは社内で自分たちが部活動を作れます。ヨット部とか、中華料理を食べに行く部活とか、そこに会社から1人当たり最大で3000円/月の補助が出ます。メルカリはCulture Docにも記載がある通り、「インターンだから、新卒だから、中途だから」っていう考え方で特別扱いをせず、みんなフラットなので、インターン生も参加できます。
 映画を観る、この漫画だけを読む、将棋をやる部活とかもあります。僕はヤクルト部といって、ヤクルト1000をみんなでオンラインで飲む部活に入っています。普段は仕事でしか話さない人もいますし、役員レベルの人とかも入っているので、そういう人たちと話せる機会になっています。ランチもチームビルディングランチ、チームビルディングディナーには会社から補助が出ますし、遠方にいる人がチームビルディングランチで東京に来るときは交通費や宿泊費が出ます。社員が話せる機会を大事にするカルチャーです。

 ──インターンから次のステップに進むときはどれぐらいの方が残りますか?
 インターンまで来たら、結構通過する確率は高いと思います。ここから2回面接実施し、正社員のオファーを出します。

 ──この2回の面接は誰とするんですか。
 最初が別チームのマネージャー、その後は執行役員と1対1の60分間のオンライン面接をします。

 ──ここでは何を見ますか。
 インターンシップでどういう取り組みをしたか、その人の技術レベル、カルチャーフィットとか、そういうところをしっかり体現してもらえるかどうかの確認をします。

 ──ここまで来て内定辞退する人はいますか。
 割合としては少ないですね。辞退する人は海外の方だと外資のIT、AmazonとかGoogleとかに行くケースがあります。最近は外資金融系のエンジニアに行く人もいます。日本の方だと辞退はあんまりないですね。似たようなIT企業に行くパターンが多いかと思います。

グローバルに働ける環境が魅力

■内定
 ──内定はいつぐらいに出すんですか。
 早い人だったら、いつでも。3年生の12月とかに出しますし、内定を承諾している人も5~6人ぐらいいます。早い段階でインターンをして、2年生ぐらいで内定が出ている人もいます。でも、ちょうどこの9月~12月ぐらいが多いと思います。そこから内定者インターンとして働いてもらったりします。

■年俸
 ──年俸についても各個人ごとにオファーをするそうですが、どこを見て、どうオファーするんですか。
 インターンのパフォーマンスをもとに、この人がどれぐらいの社内グレードのレベルにいるのかをマネージャーが評価します。
 個人のパフォーマンスに合わせてオファーを出すので、それぞれにオファーが違います。新卒でも高パフォーマンスを出したら中途、経験者よりも高くなるケースも当然あり得ます。

 ──会社案内的なワンデー(オープンカンパニー)は実施されてますか。
 去年はファイナンスとリーガル系のポジションでワンデーをしました。逆にそこは就業型インターンができない例外的なケースだったので、ワンデーで選考しています。

 ──メルカリを「いっぱい使ってるから」だけだと厳しいとなると、逆にどういう学生が応募してくるのですか。
 エンジニアだったら、メルカリは日本とかも含めて、結構新しい技術とか技術者に対する支援を積極的にしているので、エンジニアとして成長できる環境にひかれて入ってくる方は多いですね。あとは社内のエンジニア組織とかだと半分ぐらいが海外の方なので、グローバルに働く経験も積めますし、そういうキャリアも見えてくるので、働き方にひかれているところもあると思います。新しいことにどんどんチャレンジしている会社ですし、そこに対する支援がしっかり制度としてある。メルカリはまだまだ成長していく会社なので、成長機会というか、会社が伸びていくところが面白いと思っている人が多いと思いますね。

(後編はこちらから。写真は東京のオフィス、メルカリ提供)

(インタビュー写真・大嶋千尋)

みなさんに一言!

 メルカリはこれまでたくさんのチャレンジをして、今グローバルにもたくさん仕掛けている会社です。特に今年はエンジニア中心の採用だけではなく、新しいポジションの採用も大きく拡大しています。若い世代のみなさんのアイデアや考え方がすごく生かされていくタイミングです。普段からメルカリ、メルペイを使っている人もたくさんいると思いますので。ぜひメルカリの一員となって、一緒に働けることを楽しみにしております。ご応募、たくさんお待ちしております。

メルカリ

【インターネット】

メルカリグループは「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」をミッションに掲げ、日本とUSを拠点に事業を展開する日本発の企業です。スマートフォンから誰でも簡単に売り買いが楽しめる日本最大のフリマアプリ「メルカリ」のほか、アプリ内で簡単に決済ができる「メルペイ」、暗号資産やブロックチェーン事業を手掛ける「メルコイン」、Eコマースプラットフォームを開発する「メルカリShops(ソウゾウ)」などを運営しています。