
■内定者へのフォロー
──内定者に対しても、入社までに様々な機会を設けてマッチングをはかっていくというお話ですが、具体的にどういった機会を設けてらっしゃいますか。
一つは、星野リゾートの宿泊体験ができる特別優待プランです。入社後に自身が提供する商品を、顧客目線で体験することが大切であると考えています 。他にも、オンラインで全国各地、ときには海外で活躍している社員をゲストに呼び、働く魅力やキャリアについて、さまざまな視点で紹介をしていく座談会も開催しています。 質問会も含めると、この半年間で約70回以上開催しており、施設に直接来ていただくオフラインの機会も設けています。
──B to Cプロダクトに学生は影響されてしまうとおっしゃっていました。
そこはここ数年の大きな課題です。以前は、挑戦を続けている企業というイメージをお持ちいただく事も少なくなかったのですが、近年は「OMO(おも)」など都市部でも身近に感じていただける ブランドも展開しており 、学生がプロダクトと直接の接点を多く持てるようになってきています。宿泊施設としての華やかな イメージが私たちが採用上訴求したい「働く場としての星野リゾートのイメージ」とバッティングしているのではないかと思っています。
日本の様々な地域の魅力を伝え、観光を盛り上げるというのは魅力的で、やりがいもある仕事だと考えます。しかしその裏には、地道で、難易度の高い挑戦に向き合う必要がある。それが楽しさに繋がっているんだ、というのが星野リゾートの仕事です。そのイメージを理解いただくことにハードルの高さを感じていますね。
──キラキラしたところでホテルマンができる、と思っているとマッチングしないと。
そうですね。星野リゾートの仕事の本質的な面白さ、というのは、やはり、競合ホテルや他社とは異なる方法で、価値を提供しようとしているところにあると思います。 その点を理解していただくためには、私たちから適切な情報を発信する必要があるとも思っています 。今後は、うまくSNSを活用しながら、「働く場としての星野リゾート」のブランディングをしていかなければならないですね。
──しっかりとした志望動機が必要ですね。
そうですね。 とはいえ、選考中はどうしても得られる情報が限られてしまうため、内定後も「入社0年目」という位置付けで、さまざまな情報を提供しながら、入社に向けての準備を一緒にしていくことができればと思っています。
──星野リゾートで働くイメージをしっかりと持った状態で入社してもらいたい ということですね。
そうですね。また、内定者同士の繋がりを大切にしてほしいという思いから、内定者向けのLINEグループを作りました。内定者同士の繋がりを作るのも大事です。今は数百人が入っているLINEグループがあります。 同期というのは大事な存在で、私も127名の同期とはいまだにいろいろなところで繋がっています。仲間を得て、大変だなと思うことにも果敢に挑んでいただきたいですね。
最近、観光産業の中ではコンサルタント的な役割を果たす人は十分にいると言われています。しかし、地道に現場で汗をかいて観光の価値を高めていける人材が、特に地方の観光において圧倒的に足りていませんし、その方々が本当の価値を提供していると考えています。私たちは気持ちよく汗をかける環境を作り、一緒に観光の未来を創る仲間を増やしていきたいです。