星野リゾート
2025シーズン 星野リゾート〈前編〉
選考ではなく「マッチング」 内定してからも相互理解深める機会【人事のホンネ】
人事グループキャリアデザインユニットディレクター 鈴木麻里江(すずき・まりえ)さん
2023年11月22日
人気企業の採用担当者に編集長が直撃インタビューする「人事のホンネ」の2025シーズン第1弾は、「星のや」「界」など、国内外に約70の施設を運営するホテル運営会社である星野リゾートです。星野リゾートでは、お客様のチェックインからチェックアウトまで 施設の運営に関わるすべての業務を一貫して担当するサービスチームという働き方を基本とし、お客様の「滞在の演出」をすることが仕事の根幹といいます。チームで働くことから、戦略的に重視しているのが「Flat&Matureな組織文化 (フラットなコミュニケーションと成熟した大人としての判断)」。採用活動においても「選考」ではなく、会社と学生がお互いのことを深く理解した上で入社してもらう「マッチング」ができるよう、採用段階から内定後まで様々な工夫を凝らしています。
(編集部・福井洋平)
(編集部・福井洋平)
ホテル運営に特化し、世界と戦う
■星野リゾートについて
──1914年に創業し、2023年で創業109年目を迎えました。主な事業について教えてください。
大きく分けて宿泊運営、ブライダル、スノーリゾートの3事業です。軽井沢の長倉で星野温泉旅館という旅館を運営していたのがスタートで、先代がブライダル事業をはじめました。現代表の星野佳路に代わってから、「運営特化」という大きな戦略のシフトチェンジをしました。「地方の小さな温泉旅館が世界から来る外資系の運営会社に勝っていくためには、何が必要か」と考えたときに、運営 に特化して拠点を増やしてスケールメリットを活かした経営ができるようになること、そして運営会社としてブランドを確立することが、グローバル市場において競争力を持つうえでは欠かせないと判断し、運営と所有を分離しました。運営会社として最初に着手した施設が、「リゾナーレ小淵沢(現 リゾナーレ八ヶ岳)」、次いで、「アルツ磐梯リゾート(現 磐梯山温泉ホテルならびにネコマ マウンテン)」、「アルファリゾート・トマム(現 星野リゾート・トマム)」です。運営会社としてこの3施設の再生を成功させたことは、その後の星野リゾートの展開に大きな意義をもたらしたと捉えています。
──運営特化型はメリットが大きいのでしょうか。
運営特化型は土地や建物といった大きな固定資産を持たないので、施設を展開するスピードが速いことが特徴です。各施設にオーナーがいらっしゃるので利益が上がったときに、利益を再分配する仕組みになっています。所有と運営が一致している会社だと自社で展開するため、固定資産を持つ必要があり、展開のスピードは持ちづらいですが、利益が出たときは全てが自社の利益となります。どちらにもメリット・デメリットがあり、どちらを取るかという話になると思います。
── なぜ、世界と戦うためにスケールが必要なのですか。
世界のホテル運営会社は、円でいうと兆単位の資本事業規模です。それはスケールが一定を超えることによって、効率的に売上と利益を増やしていける構造があるからです。星野リゾートも約70施設中22施設ある「界」というブランドでは、スケールを活かした効率的な運営をしています。共通のオペレーションを装備しているということもそうですが、各施設で様々なトライアンドエラーを繰り返し、それを星野リゾート全体のナレッジとして共有するということも行っているのです。
サービス業である宿泊業は、事業の機械化が難しく人件費がかかる「労働集約型」のビジネスなので、収益コントロールが難しいです。欧米の宿泊運営会社はスケールメリットを活かしてできるだけコストを下げることで 運営会社としての評価を得ているので、そこと競争するためには欠かせない要素だと捉えています。
──仕組みの共通化が、コストダウンにつながるわけですね。
はい。またスケールを持つことは、ブランドを強くするという効果もあります。例えば3年前は九州に「界」ブランドの施設は一つしかなかったのですが、2023年現在は5施設運営をしています 。施設が増えるとそのブランドを知ってくださる方が増えます 。ブランドを構成する要素は様々ありますが、まずは認知率の向上が第一で、次にお客様にどう認知されているかという知覚品質ですので、やはり知っていただく機会を増やすということは重要だと考えています。
──1914年に創業し、2023年で創業109年目を迎えました。主な事業について教えてください。
大きく分けて宿泊運営、ブライダル、スノーリゾートの3事業です。軽井沢の長倉で星野温泉旅館という旅館を運営していたのがスタートで、先代がブライダル事業をはじめました。現代表の星野佳路に代わってから、「運営特化」という大きな戦略のシフトチェンジをしました。「地方の小さな温泉旅館が世界から来る外資系の運営会社に勝っていくためには、何が必要か」と考えたときに、運営 に特化して拠点を増やしてスケールメリットを活かした経営ができるようになること、そして運営会社としてブランドを確立することが、グローバル市場において競争力を持つうえでは欠かせないと判断し、運営と所有を分離しました。運営会社として最初に着手した施設が、「リゾナーレ小淵沢(現 リゾナーレ八ヶ岳)」、次いで、「アルツ磐梯リゾート(現 磐梯山温泉ホテルならびにネコマ マウンテン)」、「アルファリゾート・トマム(現 星野リゾート・トマム)」です。運営会社としてこの3施設の再生を成功させたことは、その後の星野リゾートの展開に大きな意義をもたらしたと捉えています。
──運営特化型はメリットが大きいのでしょうか。
運営特化型は土地や建物といった大きな固定資産を持たないので、施設を展開するスピードが速いことが特徴です。各施設にオーナーがいらっしゃるので利益が上がったときに、利益を再分配する仕組みになっています。所有と運営が一致している会社だと自社で展開するため、固定資産を持つ必要があり、展開のスピードは持ちづらいですが、利益が出たときは全てが自社の利益となります。どちらにもメリット・デメリットがあり、どちらを取るかという話になると思います。
── なぜ、世界と戦うためにスケールが必要なのですか。
世界のホテル運営会社は、円でいうと兆単位の資本事業規模です。それはスケールが一定を超えることによって、効率的に売上と利益を増やしていける構造があるからです。星野リゾートも約70施設中22施設ある「界」というブランドでは、スケールを活かした効率的な運営をしています。共通のオペレーションを装備しているということもそうですが、各施設で様々なトライアンドエラーを繰り返し、それを星野リゾート全体のナレッジとして共有するということも行っているのです。
サービス業である宿泊業は、事業の機械化が難しく人件費がかかる「労働集約型」のビジネスなので、収益コントロールが難しいです。欧米の宿泊運営会社はスケールメリットを活かしてできるだけコストを下げることで 運営会社としての評価を得ているので、そこと競争するためには欠かせない要素だと捉えています。
──仕組みの共通化が、コストダウンにつながるわけですね。
はい。またスケールを持つことは、ブランドを強くするという効果もあります。例えば3年前は九州に「界」ブランドの施設は一つしかなかったのですが、2023年現在は5施設運営をしています 。施設が増えるとそのブランドを知ってくださる方が増えます 。ブランドを構成する要素は様々ありますが、まずは認知率の向上が第一で、次にお客様にどう認知されているかという知覚品質ですので、やはり知っていただく機会を増やすということは重要だと考えています。
社員に会社の戦略を広く情報公開
■星野リゾートというブランド
──「星野リゾート」はどのようにして、旅館の名称からブランドになっていったのでしょうか。
星野リゾートのブランディングは「マスターブランド戦略」、すなわち「星野リゾート」というマスターブランドの認知率を上げる という活動からスタートしました。最初期に誕生したブランドである「星のや」は、「もう一つの日本」という当時のコンセプトの元、日本が捨てなくても良い日本らしさを捨てずに近代化していたら、どんな日本になっていただろうということを考え、独自の体験を提供していました。このようなコンセプトのリゾートホテルは当時珍しく、「星のや」をきっかけに 星野リゾートを知っていただくことができたと捉えています。
再生事業への取り組みや、「星のや」というブランドの構築を通して、 企業としての戦略性、宿泊体験そのものの魅力の両面で取り上げていただく機会が増えたことで、 次第 に星野リゾートというマスターブランドに注目していただけるようになってきたのです。
マスターブランド戦略 が一定の成果に達してからは、「サブブランド戦略」に切り替えました。世界と戦うためにスケールを拡大するには、複数のサブブランドを持ち、幅広く顧客のニーズに応える ブランドポートフォリオを作る必要があります。最初期は「星のや」、そして「界」、「リゾナーレ」という順でブランドが増えそれらのサブブランドも知られることによってブランド全体を強化していきました。
──ブランドを維持向上させていく上で、社員が心がけていること、もしくは心がけるように言われていることはありますか。
星野リゾートの一つの大きな特徴は、社員に向けて 広く情報が公開されているという点です。 社員一人ひとりが戦略を理解し、自分で判断をして、組織にとって必要な行動を取るための情報です。グループの全体戦略は1年に一度、代表の星野が取りまとめ、動画を通して共有されます。それから月に一度「長倉会議」という全国の総支配人が参加する会議があり、最新の経営状況や戦略上のアップデートをしています。 また、今は呼び方が変わっていますが「戦況報告会」という戦略の遂行状況を確認する会が月に一度、各施設で行われています。「戦況報告会」はかなり白熱した議論になることもあり、先日、キャリア採用で入社したスタッフが初めて会議に参加し、「こんなに発言が活発な会議というのは驚きです」と言っていました。
──「 星野リゾート」というマスターブランドは今後、どういう存在でありたいと思っていますか?
星野リゾートは旅を楽しくする会社でありたいと思っています。今 、世界ではいろいろなことが起きていますが、旅は人と人とを繋げ、体験と感情を共有し、平和を紡いでいくようなものではないかと考えています。私たちは観光、旅という事業を通して、平和維持に少しでも寄与したい、そして「旅を楽しくするなら、星野リゾートだよね」と思っていただける存在になりたいと思っています。コロナ禍という難局を経た現在は、 国内で複数の開業を準備するとともに、北米で日本旅館を運営する準備も進めています。
──旅館ですか。ホテルではなく?
ホテルではありません。旅館は、日本食や温泉など、日本ならではの文化がちりばめられた日本文化のテーマパークであり、「日本旅館」として海外に進出することにこそ意味があると考えています。
旅館といっても、例えば単に畳があって障子があったら旅館なのかというと、そうではありません。ソフト面として「日本のおもてなし」が大切です。お客様のご要望に対してスタッフ が応えるという主従関係に基づく西洋型のサービスではなく、主客対等で、お客様のニーズを満たす提案を主人が持っているのが日本のおもてなしの真髄ではないかと思います。そうした部分も含めて、旅館を体現する必要があると考えています。
──要は顧客のニーズを汲み取って、こちらから提案をしていくと。
そのために大事なのがマルチタスクです。たとえば分業制でフロントだけを担当していると、フロントで接する時間帯のお客様の顔しか見ることができません 。星野リゾートではマルチタスク制を導入することで、お客様のチェックインからチェックアウトまでの流れに沿って、一貫したサービスを提供しています。そうしてお客様との接点を増やすことで、顧客のニーズを汲み取り、期待を超える「滞在の演出」をすることができると考えています。
(写真=星のや軽井沢、星野リゾート提供)
──「星野リゾート」はどのようにして、旅館の名称からブランドになっていったのでしょうか。
星野リゾートのブランディングは「マスターブランド戦略」、すなわち「星野リゾート」というマスターブランドの認知率を上げる という活動からスタートしました。最初期に誕生したブランドである「星のや」は、「もう一つの日本」という当時のコンセプトの元、日本が捨てなくても良い日本らしさを捨てずに近代化していたら、どんな日本になっていただろうということを考え、独自の体験を提供していました。このようなコンセプトのリゾートホテルは当時珍しく、「星のや」をきっかけに 星野リゾートを知っていただくことができたと捉えています。
再生事業への取り組みや、「星のや」というブランドの構築を通して、 企業としての戦略性、宿泊体験そのものの魅力の両面で取り上げていただく機会が増えたことで、 次第 に星野リゾートというマスターブランドに注目していただけるようになってきたのです。
マスターブランド戦略 が一定の成果に達してからは、「サブブランド戦略」に切り替えました。世界と戦うためにスケールを拡大するには、複数のサブブランドを持ち、幅広く顧客のニーズに応える ブランドポートフォリオを作る必要があります。最初期は「星のや」、そして「界」、「リゾナーレ」という順でブランドが増えそれらのサブブランドも知られることによってブランド全体を強化していきました。
──ブランドを維持向上させていく上で、社員が心がけていること、もしくは心がけるように言われていることはありますか。
星野リゾートの一つの大きな特徴は、社員に向けて 広く情報が公開されているという点です。 社員一人ひとりが戦略を理解し、自分で判断をして、組織にとって必要な行動を取るための情報です。グループの全体戦略は1年に一度、代表の星野が取りまとめ、動画を通して共有されます。それから月に一度「長倉会議」という全国の総支配人が参加する会議があり、最新の経営状況や戦略上のアップデートをしています。 また、今は呼び方が変わっていますが「戦況報告会」という戦略の遂行状況を確認する会が月に一度、各施設で行われています。「戦況報告会」はかなり白熱した議論になることもあり、先日、キャリア採用で入社したスタッフが初めて会議に参加し、「こんなに発言が活発な会議というのは驚きです」と言っていました。
──「 星野リゾート」というマスターブランドは今後、どういう存在でありたいと思っていますか?
星野リゾートは旅を楽しくする会社でありたいと思っています。今 、世界ではいろいろなことが起きていますが、旅は人と人とを繋げ、体験と感情を共有し、平和を紡いでいくようなものではないかと考えています。私たちは観光、旅という事業を通して、平和維持に少しでも寄与したい、そして「旅を楽しくするなら、星野リゾートだよね」と思っていただける存在になりたいと思っています。コロナ禍という難局を経た現在は、 国内で複数の開業を準備するとともに、北米で日本旅館を運営する準備も進めています。
──旅館ですか。ホテルではなく?
ホテルではありません。旅館は、日本食や温泉など、日本ならではの文化がちりばめられた日本文化のテーマパークであり、「日本旅館」として海外に進出することにこそ意味があると考えています。
旅館といっても、例えば単に畳があって障子があったら旅館なのかというと、そうではありません。ソフト面として「日本のおもてなし」が大切です。お客様のご要望に対してスタッフ が応えるという主従関係に基づく西洋型のサービスではなく、主客対等で、お客様のニーズを満たす提案を主人が持っているのが日本のおもてなしの真髄ではないかと思います。そうした部分も含めて、旅館を体現する必要があると考えています。
──要は顧客のニーズを汲み取って、こちらから提案をしていくと。
そのために大事なのがマルチタスクです。たとえば分業制でフロントだけを担当していると、フロントで接する時間帯のお客様の顔しか見ることができません 。星野リゾートではマルチタスク制を導入することで、お客様のチェックインからチェックアウトまでの流れに沿って、一貫したサービスを提供しています。そうしてお客様との接点を増やすことで、顧客のニーズを汲み取り、期待を超える「滞在の演出」をすることができると考えています。
(写真=星のや軽井沢、星野リゾート提供)
フラットな組織構造
■2023年度の採用について
──2023年卒、2024年卒の採用を振り返ってください。
星野リゾートは通年採用を実施しているため、2024年卒の採用については2024年3月のギリギリまで採用活動をしています。また、入社月が年に4回(4月、6月、10月、2月)あり、2023年卒の方が最後に入社されるのは2024年2月となります。2023年卒の内定者数は282人です 。
──応募条件はありますか。
学卒、学部の条件や年齢、新卒既卒の区別などは特に設けておりません。学生時代の過ごし方についても現在は様々な選択肢がありますから、多様なバックグラウンドがある方にご入社いただいています。
──採用は全て一括採用ですか。
総合職といった括りはなく、新卒については、入社後にイメージするキャリア別にコースを設けています。星野リゾートは組織構造上もフラットな状態に近く、少ない階層の中に様々なキャリアの選択肢があります。入社前の段階でサービスを究める「Service Meister(サービスマイスター)コース」とマネジメントを目指す「Management Meister(マネジメントマイスター)コース」、また、施設運営をハード面から支える「Technical Meister(テクニカルマイスター)コース(ファシリティマネジメント)」、調理を究める「Chef Meister(シェフマイスター)コース」のいずれかを選択いただきます。どのようなキャリアを目指すにしても、基本となる運営スキル、魅力開発のスキルを身に着けることは重要ですので、調理を除いてサービスチームの業務を習得することを基本としています。また、入社後は「Warm-Up Camp」という新入社員研修があり、コースに関係なく新入社員が集まり、3,4泊かけて、入社に向けての準備(Warm-Up)をしていただいています。
──マネジメントマイスターコースを選択するのは282名のうち何名ぐらいですか。
80名ぐらいですね。
──Meisterコースは選考エントリー時に選べるのですか。
年によって違いますが、基本的には採用エントリーのタイミングで選んでいただいています。 ただ、 選考前に得られる情報には限りがあるので、選考を通じてコースとご本人のマッチングを確かめ、一緒にコースを決めていくプロセスを大切にしています。
──Service Meisterコース でエントリーして、入社するときは別のコースを選ぶということ も可能ですか。
可能です。また、どのコースを選んだかによって、入社後のキャリアが制限されることはない、というのも特徴です。各コースの分かりやすい特徴としては、 Management Meister コースの皆さん にはなるべく早くマネジメントに必要なスキルを習得していただきたいため 、2年間で3施設での勤務を経験 いただきます。その他のコースは、最初に配属となった施設でじっくりとスキルを高めつつ、本人のキャリアプランに応じて、異動する方もいます。
──コース別の給与形態の違いは。
ないです。星野リゾートでは「Pay for performance」に基づくフェアな評価報酬制度を採用しており、半期に一度、社員各々が自己評価をつけたあと、上長からのフィードバックを受け、評価点が決まり、給与額が算出されます。入社年次、選択したコースによって、基準が変わるということはありません。
──2023年卒、2024年卒の採用を振り返ってください。
星野リゾートは通年採用を実施しているため、2024年卒の採用については2024年3月のギリギリまで採用活動をしています。また、入社月が年に4回(4月、6月、10月、2月)あり、2023年卒の方が最後に入社されるのは2024年2月となります。2023年卒の内定者数は282人です 。
──応募条件はありますか。
学卒、学部の条件や年齢、新卒既卒の区別などは特に設けておりません。学生時代の過ごし方についても現在は様々な選択肢がありますから、多様なバックグラウンドがある方にご入社いただいています。
──採用は全て一括採用ですか。
総合職といった括りはなく、新卒については、入社後にイメージするキャリア別にコースを設けています。星野リゾートは組織構造上もフラットな状態に近く、少ない階層の中に様々なキャリアの選択肢があります。入社前の段階でサービスを究める「Service Meister(サービスマイスター)コース」とマネジメントを目指す「Management Meister(マネジメントマイスター)コース」、また、施設運営をハード面から支える「Technical Meister(テクニカルマイスター)コース(ファシリティマネジメント)」、調理を究める「Chef Meister(シェフマイスター)コース」のいずれかを選択いただきます。どのようなキャリアを目指すにしても、基本となる運営スキル、魅力開発のスキルを身に着けることは重要ですので、調理を除いてサービスチームの業務を習得することを基本としています。また、入社後は「Warm-Up Camp」という新入社員研修があり、コースに関係なく新入社員が集まり、3,4泊かけて、入社に向けての準備(Warm-Up)をしていただいています。
──マネジメントマイスターコースを選択するのは282名のうち何名ぐらいですか。
80名ぐらいですね。
──Meisterコースは選考エントリー時に選べるのですか。
年によって違いますが、基本的には採用エントリーのタイミングで選んでいただいています。 ただ、 選考前に得られる情報には限りがあるので、選考を通じてコースとご本人のマッチングを確かめ、一緒にコースを決めていくプロセスを大切にしています。
──Service Meisterコース でエントリーして、入社するときは別のコースを選ぶということ も可能ですか。
可能です。また、どのコースを選んだかによって、入社後のキャリアが制限されることはない、というのも特徴です。各コースの分かりやすい特徴としては、 Management Meister コースの皆さん にはなるべく早くマネジメントに必要なスキルを習得していただきたいため 、2年間で3施設での勤務を経験 いただきます。その他のコースは、最初に配属となった施設でじっくりとスキルを高めつつ、本人のキャリアプランに応じて、異動する方もいます。
──コース別の給与形態の違いは。
ないです。星野リゾートでは「Pay for performance」に基づくフェアな評価報酬制度を採用しており、半期に一度、社員各々が自己評価をつけたあと、上長からのフィードバックを受け、評価点が決まり、給与額が算出されます。入社年次、選択したコースによって、基準が変わるということはありません。
採用は通年 自分が納得いくタイミングでエントリーを
■選考ではなくマッチング
──内定はいつ出すのですか。
通年採用を実施しているため、特にいつということは決めておらず、参加した選考のタイミングに応じて決まります。就職活動に必要な自己理解や会社理解は、就職活動を通して深まることも多々あると思います。だから、自分がどのタイミングで会社を受けるかというのは自分で決めてもらう 。大切にしているのは相互に理解を深めた上でのマッチングで、「選考」をしたいとは思っていません。
──早く採用したいというより、就職活動を重ねて、準備ができたタイミングで出会いたいと。
タイミングは人それぞれだと思っています。「星野リゾートが第1志望です」という方も、もちろんウェルカムですが、たとえば他社から内定をもらってホッとしたときに、「あれ、なんかちょっと違和感がある」「自分は親を喜ばせるために就活をしてないかな」 「私が本当に実現したいことは何だろう」と落ち着いて考えることもあると思います。自分が納得いくタイミングで、エントリーいただければと思います。
■選考フロー
──選考フローはどんな流れですか。
エントリーシート(ES)とオリジナルWEBテストが最初の基本ステップです。オリジナルWEBテストは「Web deインターンシップ 」といいまして、星野リゾートでの仕事を想像できるような構成です。
──SPIよりは、職場体験みたいなイメージですか。
四則計算もあります。私たちが日常的に行うことですので。「あなたは旅館にいます。こういう場面ではどういう受け答えをしますか」「あなたはこの朝食でこういうことを担当していますが、何をどれぐらい発注しますか」と いうように、求められるスキルを確かめながら、自分が運営を担当するイメージを深めていただきたいと考えています。
──内定はいつ出すのですか。
通年採用を実施しているため、特にいつということは決めておらず、参加した選考のタイミングに応じて決まります。就職活動に必要な自己理解や会社理解は、就職活動を通して深まることも多々あると思います。だから、自分がどのタイミングで会社を受けるかというのは自分で決めてもらう 。大切にしているのは相互に理解を深めた上でのマッチングで、「選考」をしたいとは思っていません。
──早く採用したいというより、就職活動を重ねて、準備ができたタイミングで出会いたいと。
タイミングは人それぞれだと思っています。「星野リゾートが第1志望です」という方も、もちろんウェルカムですが、たとえば他社から内定をもらってホッとしたときに、「あれ、なんかちょっと違和感がある」「自分は親を喜ばせるために就活をしてないかな」 「私が本当に実現したいことは何だろう」と落ち着いて考えることもあると思います。自分が納得いくタイミングで、エントリーいただければと思います。
■選考フロー
──選考フローはどんな流れですか。
エントリーシート(ES)とオリジナルWEBテストが最初の基本ステップです。オリジナルWEBテストは「Web deインターンシップ 」といいまして、星野リゾートでの仕事を想像できるような構成です。
──SPIよりは、職場体験みたいなイメージですか。
四則計算もあります。私たちが日常的に行うことですので。「あなたは旅館にいます。こういう場面ではどういう受け答えをしますか」「あなたはこの朝食でこういうことを担当していますが、何をどれぐらい発注しますか」と いうように、求められるスキルを確かめながら、自分が運営を担当するイメージを深めていただきたいと考えています。
チームで働けるかを見る 自分軸強すぎる人はNG
■面接
──面接の回数と形式を教えてください。
2023年卒は 2回で、両方とも1対1です 。1次面接は若手社員が中心で、採用担当のユニットだけではなく全国の施設で働く社員も担当しています。 面接は希望に応じてオンラインと対面を選べるようにしていますが、思ったより対面の希望は伸びず、8~9割がオンラインでした。夏には地方在住の学生に向けて、1次選考と施設見学を兼ねた選考会も実施しました。
──1次面接はどれぐらい時間をかけるのですか。
30分です。学業や学生生活で学んだことや、志望動機、大事にしていることなど、その方に合わせてご質問します。
──2次面接はどなたが対応されますか。
年次は様々ですが、現場の運営をよく知っている社員が担当します。
──どのくらい内定を出すのですか。
年によりますが、私どもの視点でマッチングを確かめられたと感じられる方にはオファーをしています。
──2次面接の内容を教えてください。
2次面接も30分間で、よりマッチングを確かめる時間だと考えています。1次面接のタイミングで、私たちはやっと学生ひとりひとりの顔、声、表情などいろんなことを知ることができます 。そこで 1次面接の記録を見て気になっている部分や、地方で仕事をすることに対して懸念はないか、活躍できるイメージが持てるか を確かめる質問をした上で、最後の10分程度は学生からの質問に答える時間にしています。
──マッチングの判断をするため、学生のどういうところを見ていますか。
一つは、チームで仕事をすることができそうかです。お客様への対応は、予期できないことの連続です。お客様がどう動かれるか、何を求められるかは、その日にいらっしゃるお客様にお会いしてみない と分からない。臨機応変な対応は個人だけができても、十分な対応にはなりません。 臨機応変な対応をチームで行えるかどうかというところが、お客様に満足していただく要になりますので、チーム視点で、顧客志向で行動できるかどうかを見ています。
── どういった場合に、「これはイメージできないな 」と思うのですか。
例えば、話を聞く中で自分軸が強いといいますか、「自分がこうなりたいからこうしてきました」「自分がこう評価されたいからこうしました」という部分がある場合ですね。また、想像力が欠けている場合もチームで働くことをイメージしづらいです。チームに関わるメンバーが多ければ多いほど、想像力がないと行動できません 。想像力のなさというのは、思考の範囲の狭さや、発言内容に出てきますので、何を聞いても視野が狭く、聞いている問いに対して答えをくれない方はチーム活動ができないだろうな、という印象になります。
──ガクチカはどれぐらい見られますか。
何をしたかよりも、その出来事によって何に気づいてどう変わったかという、内省性の高さが成長のポテンシャルにつながると思っています。経験したことの大きさは重要ではなく、経験を通して自分は何を得たと考えているかが大事なポイントです。達成したことだけをひたすら話すような方は、自分軸が強く、お客様やチームメンバーに向き合えない傾向にあります。軸が自分に向いてしまうのだと思いますね。
──面接の回数と形式を教えてください。
2023年卒は 2回で、両方とも1対1です 。1次面接は若手社員が中心で、採用担当のユニットだけではなく全国の施設で働く社員も担当しています。 面接は希望に応じてオンラインと対面を選べるようにしていますが、思ったより対面の希望は伸びず、8~9割がオンラインでした。夏には地方在住の学生に向けて、1次選考と施設見学を兼ねた選考会も実施しました。
──1次面接はどれぐらい時間をかけるのですか。
30分です。学業や学生生活で学んだことや、志望動機、大事にしていることなど、その方に合わせてご質問します。
──2次面接はどなたが対応されますか。
年次は様々ですが、現場の運営をよく知っている社員が担当します。
──どのくらい内定を出すのですか。
年によりますが、私どもの視点でマッチングを確かめられたと感じられる方にはオファーをしています。
──2次面接の内容を教えてください。
2次面接も30分間で、よりマッチングを確かめる時間だと考えています。1次面接のタイミングで、私たちはやっと学生ひとりひとりの顔、声、表情などいろんなことを知ることができます 。そこで 1次面接の記録を見て気になっている部分や、地方で仕事をすることに対して懸念はないか、活躍できるイメージが持てるか を確かめる質問をした上で、最後の10分程度は学生からの質問に答える時間にしています。
──マッチングの判断をするため、学生のどういうところを見ていますか。
一つは、チームで仕事をすることができそうかです。お客様への対応は、予期できないことの連続です。お客様がどう動かれるか、何を求められるかは、その日にいらっしゃるお客様にお会いしてみない と分からない。臨機応変な対応は個人だけができても、十分な対応にはなりません。 臨機応変な対応をチームで行えるかどうかというところが、お客様に満足していただく要になりますので、チーム視点で、顧客志向で行動できるかどうかを見ています。
── どういった場合に、「これはイメージできないな 」と思うのですか。
例えば、話を聞く中で自分軸が強いといいますか、「自分がこうなりたいからこうしてきました」「自分がこう評価されたいからこうしました」という部分がある場合ですね。また、想像力が欠けている場合もチームで働くことをイメージしづらいです。チームに関わるメンバーが多ければ多いほど、想像力がないと行動できません 。想像力のなさというのは、思考の範囲の狭さや、発言内容に出てきますので、何を聞いても視野が狭く、聞いている問いに対して答えをくれない方はチーム活動ができないだろうな、という印象になります。
──ガクチカはどれぐらい見られますか。
何をしたかよりも、その出来事によって何に気づいてどう変わったかという、内省性の高さが成長のポテンシャルにつながると思っています。経験したことの大きさは重要ではなく、経験を通して自分は何を得たと考えているかが大事なポイントです。達成したことだけをひたすら話すような方は、自分軸が強く、お客様やチームメンバーに向き合えない傾向にあります。軸が自分に向いてしまうのだと思いますね。
内定してから初めてフラットに話ができる
■志望動機
──志望動機は見ますか。
志望動機は大事です。多くの新入社員は親元や 地元を離れて仕事をすることになるので 、環境の変化があるときに働く動機がないと折れてしまい、耐えられなくなります。環境が大きく変化しても頑張れる理由を伺いたいと思っているため 、志望動機は大事にしています。
一方で、志望度の高さを重視しているかというと、そういうわけではありません 。というのも、やはり選考の段階で、学生が得られる情報には限りがあります。かつ私たちはB to Cで販売している事業なので、どうしてもプロダクトのイメージの方が強くなってしまいます。お客様向けの情報をもとに志望動機を深めていただいても、働く際にはミスマッチになってしまいます。私たちとしては、 内定を出してからが初めてフラットに、お互い対等な立場でコミュニケーションを取れるスタートラインだと捉えています。 内定後は、学生の皆さんも安心して、本音を見せてくれるようになるのですよ 。面接で言うことと、本当に本人が思っていることの間には、かなり乖離がある、というのがお恥ずかしながら私たちの実情です 。
私たちが「マッチングを確かめたい」と言っているにもかかわらず、選考中は学生が本音を言ってくれるという関係性にはなれていない、というのは私たちの採用活動の課題でもあります 。ただ、 入社後はフラットに対話ができる関係を作っていきたいので 、内定から入社までの間に様々な 機会を設け、ひたすら相互理解を深められるように努めています。そのうえで、最終的には本人が決めること、と捉えています。
(後編はこちらから)
(インタビュー写真・植田真紗美)
──志望動機は見ますか。
志望動機は大事です。多くの新入社員は親元や 地元を離れて仕事をすることになるので 、環境の変化があるときに働く動機がないと折れてしまい、耐えられなくなります。環境が大きく変化しても頑張れる理由を伺いたいと思っているため 、志望動機は大事にしています。
一方で、志望度の高さを重視しているかというと、そういうわけではありません 。というのも、やはり選考の段階で、学生が得られる情報には限りがあります。かつ私たちはB to Cで販売している事業なので、どうしてもプロダクトのイメージの方が強くなってしまいます。お客様向けの情報をもとに志望動機を深めていただいても、働く際にはミスマッチになってしまいます。私たちとしては、 内定を出してからが初めてフラットに、お互い対等な立場でコミュニケーションを取れるスタートラインだと捉えています。 内定後は、学生の皆さんも安心して、本音を見せてくれるようになるのですよ 。面接で言うことと、本当に本人が思っていることの間には、かなり乖離がある、というのがお恥ずかしながら私たちの実情です 。
私たちが「マッチングを確かめたい」と言っているにもかかわらず、選考中は学生が本音を言ってくれるという関係性にはなれていない、というのは私たちの採用活動の課題でもあります 。ただ、 入社後はフラットに対話ができる関係を作っていきたいので 、内定から入社までの間に様々な 機会を設け、ひたすら相互理解を深められるように努めています。そのうえで、最終的には本人が決めること、と捉えています。
(後編はこちらから)
(インタビュー写真・植田真紗美)
みなさんに一言!
日本全国にはまだまだ知られてないその土地ならではの魅力がたくさんあります。この魅力をチーム一丸となってお客様に伝える。そんな観光のお仕事を一緒に盛り上げていく仲間お待ちしています。
星野リゾート
【ホテル・観光】
星野リゾートは、1914年、長野県軽井沢町の温泉旅館からスタートし、国内外に約70の施設を運営しているホテル運営会社です。 「旅は魔法」をMissionに掲げ、世界中に旅の楽しさを発信していきながら、世界で通用するホテル運営会社を目指しています。 そして、地域の方々と協働してその土地の魅力を発掘し、お客様に旅の楽しさを感じていただけるよう、サービスを提供していくことが私たちの使命だと考えています。
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2024/11/05 更新
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※就活割に申し込むと、月額2000円(通常3800円)で朝日新聞デジタルが読めます。