第一三共
2023シーズン③ 第一三共《前編》
健康に貢献する「生命関連企業」 倫理観や誠実性が重要【人事のホンネ】
人事部 人材開発グループ 主査 野口哲司(のぐち・てつじ)さん、主任 森近裕加(もりちか・ゆか)さん
2021年09月22日
■新型コロナ
──新型コロナウイルスの影響で製薬会社への注目度が高まりましたね。
野口さん(写真左) 製薬会社としてきちんと取り組んでいかなければと責任を感じます。ワクチン開発などを通じて社会に貢献していきたいと思います。
――学生の関心も高まっているのでは?
森近さん(写真右) 「生命関連企業」で働く意味を考える学生が増えたようです。「生命に関わる企業」を私たちはそう呼ぶのですが、このキーワードがCOVID-19以前より強く響いていると感じます。学生には「豊かな生活のために利便性を提供する企業と、健康な人生のために生命に直接貢献する企業がある」と伝えています。COVID-19を通じて「豊かな生活の根底には健康な人生がある」と再認識した学生が増えたと感じています。
野口 「COVID-19の経験から命の重要さを痛感した」「生命関連企業で世界に貢献したい」と志望動機に力強く書く学生が増えました。
──英国のフィナンシャル・タイムズが発表した「パンデミック下でも繁栄する世界トップ100社」の68位に入りましたね。日本からは3社だけです。
森近 世界でプレゼンスを出せているのだと思います。国内の売上は好調ですし、世界的にも「オンコロジー領域の治療薬」に注力しており、注目されています。オンコロジーとはがんのことで、直訳すると腫瘍(しゅよう)学です。オンコロジー領域の患者は世界に多数いるので、世界中から期待されていることの表れだと思います。
■WEB面接
──2022年卒採用を振り返ってください。
野口 「新型コロナウイルス感染症元年」だった2021年新卒採用は、企業説明会や面接選考などを急きょ対面からオンラインに切り替えなければならず、試行錯誤しながらの取り組みでした。2022年新卒採用では、学生もWEB授業などでWEB面接に比較的慣れていて、一昨年より円滑に進められました。
──対面の面接はできましたか。
野口 一部、研究職の博士課程の学生は2020年秋に対面での面接選考ができましたが、それ以外は企業説明会も面接もすべてWEBのみで行わざるを得ませんでした。
──「最終面接だけ対面で」という会社もありました。
森近 研究職・開発職は専門的能力面で確認する部分が大きい一方、営業職のMR(Medical Representative=医薬情報担当者)は対面の面接でこそ対人能力の適性が分かることがあるため、直前までかなり悩みました。しかし、生命関連企業として「感染拡大につながる行為を学生に強いることはできない」と姿勢を示す意味でも対面面接はあきらめざるを得ないと決断しました。
野口 応募者の中には遠方の学生もいて、たとえば面接のために九州の学生を東京に移動させれば、感染拡大につながる可能性は否めませんから。
──ではMRの適性はWEB面接でどう確認しましたか。
森近 対面では何気ない仕草も含めた印象や学生が話す熱量を肌で感じることができます。WEBでは肌で感じられないので、さまざまな角度からあらゆる質問を投げかけ、臨機応変な対応力を注意して確認します。多様な質問によって思考・判断・言動を見ることが相手の正確な理解につながると考えています。
──どんな質問を?
森近 基本的には「学生時代に最も力を入れたこと」(ガクチカ)を、より広く深く詳細に探る面接です。MRは知識・スキル・ステータスの圧倒的に高い医師が相手なので、ハイレベルな回答を求められたり複雑な対応を迫られたりもします。「こういう状況になったら、あなたならどう対応する?」といった思考・判断・言動を探る質問も投げかけました。また、「あなたが一番困った瞬間は?」など、困難に直面した際にどう乗り越えたかといった質問をすることで、学生の対応能力の幅や深さを確認しました。
計り知れないWEBのメリット 深まった企業研究
──WEB説明会では何か工夫しましたか。
森近 録画のオンデマンド動画とライブの2種類のツールを使い分けました。録画のオンデマンド動画をあらかじめ確認してもらうことで、ライブでは企業・業務にある程度疑問を抱いた状況で参加し、積極的に質疑応答ができるようにしました。参加学生が多い企業説明会ではチャットで質問してもらい、少人数の場合は可能な限り顔を出して対面のように直接質問してもらうなど、状況に応じて適切な方法を選択しました。
──対面とWEBのメリット・デメリットは?
野口 WEBは学生にとって非常にメリットが大きいと思います。遠方からの参加でも交通費がかからず、忙しい学業の合間を縫って短い空き時間でも参加できます。また、チャットだと手を挙げて口頭で質問するより比較的質問しやすいようです。企業にとっても、会社や仕事について出張せずに伝えられます。デメリットはお互いに熱量を肌で感じられないところです。学生は会社の雰囲気やロケーション、社風を感じ取れません。WEBでこういった空気感を伝えるのは非常に難しいですね。
森近 WEBのお陰で、学生の居住エリアによる情報量・質の格差はなくなりました。対面の会社説明会に参加できる学生は1回あたり100人程度で、数回繰り返して多くの学生に情報を提供していましたが、WEBでは1回で1000~2000人もの学生に質も量も同じ情報を一律に伝えられます。効果・効率の面でWEBのメリットは計り知れません。
■採用実績
──2022年卒の内定者数を教えてください。
野口 全体で100人ほどで、研究職とデータサイエンスが全体の約半数を占めます。その他、開発職、安全性情報管理職、営業職、本社スタッフがほぼ同数です。
──文理、男女の割合は?
野口 コーポレートスタッフ以外は全員理系で、6年制学士卒見込みもしくは大学院修士課程・博士課程修了見込みの学生です。男女比はおおよそ6対4です。
森近 MRは、薬学生に特化した採用を推進しています。
■エントリー
──選考スケジュールを教えてください。
野口 3月初めにエントリーを始めて中下旬に締め切り、すぐに適性検査を受けてもらい書類選考を実施します。面接選考、内々定連絡は基本的に6月1日以降です。
──プレエントリーの数は?
野口 全職種合計で5000人ほどです。COVID-19の影響により2021年新卒採用でプレエントリー数は激減し、2022年卒は2021年とほぼ同等でした。COVID-19以前の学生は多種多様な業界にエントリーしていた様子ですが、現在は志望業界を絞ってエントリーしているように感じます。
森近 私が就活していた10年前は、3月に幅広い業界にエントリーしましたが、今は異なります。本当に興味のある業界の企業を5~10社ほど志望しているようです。
──その分、学生の興味や企業研究が深まっているのですか。
野口 そう感じますね。興味ある会社の説明会にしっかり参加して、職種についても詳しく調べたうえでエントリーしてくれています。WEB説明会に参加しやすいことが要因だと思います。
周り巻き込んで創意工夫した人を評価 「困っている人を助けたい」信念も
──「求める人物像」を教えてください。
野口 第一三共は「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」を存在意義として掲げています。そんな私たちと一緒に働きたいと考え、世界の医療に貢献したい気持ちを強く持っている人に来てほしい。そのために自分に足りないスキルや知識は何かを把握し、明確な目標を持って行動できる人に来てもらいたいと思います。
森近 さらに、第一三共の三つの強みである「サイエンス&テクノロジー」「グローバル組織&人材」、そして「日本でのプレゼンス」の視点から自身の強みをいかしてくれる人ですね。
──新しい技術に対応できる専門性が高い人ということでしょうか。
野口 サイエンスとテクノロジーは日進月歩です。その変化についていけることが大事で、研究内容が優れているのはポイントの一つです。ただ、開発職、安全性情報管理職、MRは研究内容が業務内容に直結するわけではなく、学業以外でも良いので「目標を達成するために、どれだけ周りの人を巻き込んで創意工夫してきたか」で人物像を評価します。困難を乗り越えた経験を積んできた学生にぜひ会いたいですね。
──「生命関連企業」志望者に必要なことは?
野口 「世界の医療に貢献したい」という真っ直ぐな気持ちです。医薬品をつくって、売って、利益を上げることだけを考えている人は向きません。「困っている人を助けたい」という強い信念を持っている人が長く活躍できると思います。
森近 生命関連企業では、倫理観や誠実性が重要です。専門的能力が高ければ良いということではありません。
──倫理観や誠実性はどうやって見ますか。
野口 「これまでどのような経験を通じて倫理観を養い、誠実性を貫いてきたか」を広く深く探ります。個人の優れた資質だけでなく、他者への思いやり、チームワークも重要です。部活、研究、アルバイトなどで、自分の役割を果たして成果を出しただけでなく、周囲の状況を理解し他者と協力しながら、より大きな成果を達成した経験を重視しています。
(後編に続く)
(写真・大嶋千尋)
みなさんに一言!
就活は自分自身と一番向き合う時期です。「自分は何なのか。どういう存在で何をやりたいのか」を突き詰めて、いろいろな情報、親や友達、さらに は周囲の話もしっかり聞いて、本当にやりたい仕事を見つけてください。その先に第一三共があったら我々はとても嬉しいです。身体には気をつけて、研究を精一杯頑張ってください。(野口さん)
人生を捧げてやりたい仕事に出会ってほしいと思います。今は「省エネ就活」とも言われていますが、一生懸命就活して、「何をしたいのか。何に貢献したいのか。どんな人と働きたいのか」を考え抜いた末に、自分が納得いく形で就活を終えてほしいです。もしかしたら人生で最も悩み、最も頑張り、最も成長する時期かもしれません。一歩一歩楽しみながら前進して、自分の未来を創っていってください。(森近さん)
第一三共
【医薬品】
第一三共は革新的医薬品の創製に注力する研究開発型製薬企業です。拠点展開国は24カ国、販売実績は100カ国以上にのぼり、現在、世界中でアンメットメディカルニーズ(未充足な医療ニーズ)の高いがん領域を中心としてグローバルに事業展開を行っています。がん領域においてはADC(抗体薬物複合体)技術を応用したグローバル製品候補などを複数持ち、標準治療を変革する先進的な医薬品やパイプラインが充実しています。
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