人事のホンネ

DMG森精機

2021シーズン⑨ DMG森精機《後編》
日独融合で世界シェアトップ! 働き方改革でインターバル制度も

管理本部 人事部 新卒採用グループ 鶴岡由莉子(つるおか・ゆりこ)さん

2019年12月18日

 人気企業の採用担当者インタビュー「人事のホンネ」2021シーズン第9弾、DMG森精機の後編です。ドイツ大手との提携から10年。工作機械の世界シェアナンバー1のグローバル企業は、「インターバル制度」「社内保育園」など、働き方でも先進的な取り組みをしています。(編集長・木之本敬介)
(前編はこちら

■語学力
 ──ドイツの企業と統合し海外拠点も多いと思いますが、語学力は重視しますか。
 できるに越したことはありません。学生には「一番時間がある学生時代に勉強しておいたほうがいいよ」と伝えています。英語で仕事がしたい、駐在経験がしたいのであれば勉強しておいたほうがいいと思います。

 ──海外駐在に出る確率は?
 国内の社員約3000人のうち150人くらいが海外駐在しています。若くして駐在する社員もいます。自分から声を発していけば、チャンスがごろごろ転がっている会社です。
 グローバル志向の学生は増えていて、外国語を専攻している学生からは「英語を使った仕事がしたいのですが」「海外での仕事はありますか」と聞かれます。私も英語を専攻していたので、使う機会があるかなと思って入社しました。語学はアピールポイントになると思います。

■OB・OG
 ──採用HPに「OB・OGに限らず、社員を紹介します」と書かれていますね。
 学生の中にはOB・OGではなく、「営業職の社員の話が聞きたい」「○○の業務をしている社員に会いたい」という人もいるので、選考が進んだ段階で 「職種で迷っている」というリクエストがあればかなえるようにしています。選考中の学生を優先して案内をしています。

 ──社員を積極的に紹介する会社多くありません。
 各大学のOB・OGにリクルーターをしてもらっています。学生にとっては、人事より先輩のほうが話しやすいでしょうし、聞きたいことも聞けると思うのでリクルーターを紹介することあります。

■働き方
 ──「働き方改革」で特徴的な取り組みは?
 2018年12月から「インターバル制度」を導入しました。退社後12時間経たないと出社でないという制度です。在社時間も最大12時間に制限されるようになりました。もともとドイツにあったルールで労働者を守るための制度ですが、業務時間をすごく意識して、効率や優先順位を考え仕事に取り掛からなければなりません。仕事をこなしていくのは大変ですが、1日の半分は自分のために使うことができるので、趣味や自己研鑽に時間を有意義に使う社員もいます。

 ──「在社12時間まで」は珍しいし、インターバル制度も導入企業はまだわずかです。
 ワークライフバランスに積極的に取り組んでいく姿勢の現れと、社員の意識を改革していくための取り組みです。
 
 ──働き方改革としては先進的ですね。
 働く側としては忙しい時期はヒヤヒヤします(笑)。パソコンの持ち出しも厳しくなったのでもちろん家で仕事はできません。仕事は優先度の高いものからこなし、時間を意識して働くようになりました。
1日24時間のうち、少なくとも12時間は自分の時間です。「家に帰ったら何をしようかな」「TOEICを受験しよう」などと計画的に過ごすようになりました。

 ──社内に保育園があるそうですね。
 名古屋本社の10階に保育園があります。時短勤務のお母さんがお迎えに行ったり、朝、お父さんが預けに行ったりするのをよく見かけます。伊賀事業所、奈良事業所、東京グローバルヘッドクォータの各事業所にもあります。

豊かな生活支える工作機械 日本のモノづくりの根底担う

■社風
 ──どんな会社ですか。
 チャレンジ精神が旺盛な会社です。やりたいことがあれば声を上げるチャンスがあります。海外に出たいなら「行きたい」と声を上げることができます。若くして役職に就くケースも多く、若手でも裁量が大きいので、チャレンジ精神のある学生にはぴったりです。

 ──ドイツのギルデマイスター社との資本業務提携から10年。どんな変化がありましたか。
 日本人社員とドイツ人社員のやり取りや、行き来が増えました。また、展示会でドイツ製の「5軸加工機」が展示されたり、ドイツ人社員が出張へ来たりします。設計開発部では日独一緒に設計開発をすることもあるので、WEB会議のほか実際にドイツに行ってディスカッションしながら話を詰めることもあります。

 ──統合のメリット、デメリットは?
 日本人とドイツ人では性格が違うし、どちらも英語で会話をするのでニュアンスがうまく伝わらないこともあり、意思疎通が難しいようです。そこをディスカッションで詰めるには時間もかかります。時差もあるので予定を合わせるのも大変ですね。
 一方で世界シェアが1位になったのは大きい。お客様の元でのアフターサービスを全世界で提供できるようになったり、日本の技術とドイツの技術を融合させてより良い工作機械を開発できるようになったりしたのも大きな強みです。

■やりがいと厳しさ
 ──仕事のやりがいは?
 やりがいは、目に映る製品、商品のすべてに工作機械が関わっていることです。私たちの豊かな生活は工作機械によって支えられています。日本のモノづくりの根底を担っているところが、工作機械メーカーとしてのやりがいです。

 ――厳しさは?
 反対に、モノづくりの精度を保ち続けること、精度の高い工作機械を世に出し続けなければならないことが厳しさです。工作機械は肉眼で確認することの難しいμm(マイクロメートル)以下の単位での加工をしなければなりません。工作機械の精度は製品の品質に大きく影響します。社会生活の原点として、日々高まる精度への要求に高い技術で答えるために社員全員で奮闘しています。

たまたまブースで見た工作機械の映像がスタイリッシュで…

■就活
 ──鶴岡さんはどんな就活をしたのですか。
 私は動き出しが遅かったんです。2018年入社ですが、学内セミナーに行き始めたのが3年生の秋。周囲は夏のインターンを終えている状態でしたが、会社がいっぱいありすぎて、どれを選べばいいのか分からなくて。実はインターンにも参加したことがありません(笑)。3年生の12月にようやくキャリアセンターに行き、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)と自己PRの作文を書いて添削してもらいました。企業研究も怠っていたので、1月、2月は合同企業説明会に参加して、いろんな会社を一気に見ました。そのとき、たまたま人だかりができていたのが当社のブースでした。動画が流れていたのですが、機械で削っている映像がスタイリッシュでカッコ良かったんです。YouTubeにもアップされているので、ぜひ見てください。
 私は愛知県出身です。県内にメーカーはたくさんありますが、工作機械はいろんな業界に関われる点が魅力だと思いました。

 ──メーカー志望だったのですか。
 はい。英語専攻だったので、本格的に就活をはじめる前は、旅行会社やエアライン、ホテルなどにも興味をもっていました。メーカーのほうが働き方が安定していると思い、メーカーも見るようになりました。

 ──DMG森精機にした決め手は?
 「人」ですね。当時は1次試験が筆記試験と1分半の自己紹介でした。一般的な自己PRではなく、「自己紹介してください」と言われたんです。実家がパン屋なので「パンを食べて大きくなりました」「お笑いが好きです」という話をしました(笑)。まさか受かると思わなかったので1次通過の電話がかかってきて驚きました。選考の時に関わった社員がとてもよくしてくれて、こんな人たちと一緒に働きたいと思いましたし、英語を使う機会があると思って決めました。

■仕事
 ──入社後の配属が人事部だったんですね。
 2週間の新入社員研修の後、配属されました。採用活動で多忙な時期だったので、初日から「伊賀事業所に来て」と言われて伊賀の工場見学に同行して勉強しました。
 先輩の指導のもと説明会デビューしたのが6月中旬。文系出身だし工場勤務もしていないし、「理系学生から機械について質問されたらどうしよう……」とビクビクでしたが、学生から見れば私は会社の一員で、新人かベテランかは関係ありません。独り立ちして、今は1人で説明会で話しています。工作機械についても勉強し、自分の言葉で説明できるようにしています。さらに知識を増やすべく現在も勉強中です。

 ──志望して人事に?
 いいえ。人事というわけではありませんが、事務の仕事を志望していました。でも、人事はずっとデスクワークというわけではなく、出張や工場見学が多いので、フットワークが軽くなりました。人前でプレゼンをたくさんするので肝も据わってきました(笑)。

(写真・谷本結利)

みなさんに一言!

 私自身、誰からも就活のやり方を教えてもらわず、試行錯誤しながらの就活でした。みなさんも手探りで始めることになると思いますが、就活は人生の大きな転機になるので、早とちりせず、慎重に動いてもらえればと思います。また、時には頼れる人を頼って相談したりすることも大切です。「この企業に入るべき」「この業種に就くべき」という正解はないので、自分の価値観を信じて、いろんな会社の研究をして、いろんな人に会って、自分に合った企業を選んでほしいと思います。

DMG森精機

【機械】

 DMG森精機は工作機械のリーディングカンパニーです。工作機械とはあらゆる製品を生み出す原点であり、現代社会に不可欠な機械です。ドイツ企業との統合を果たし42カ国157拠点で活躍する当社は、さらに強化を図りながら工作機械業界を牽引します。さらなる成長のため人材育成には特に注力し多種・多様な研修を実施しやる気のある社員をサポートする最高の環境を提供しています。