JR西日本(西日本旅客鉄道)
2021シーズン④ JR西日本(西日本旅客鉄道)《後編》
「安全第一」が経営の根幹 人々の人生に関わる仕事
人事部(労務・厚生・健康) 蒲 拓郎(がま・たくろう)さん 伊地知 平(いぢち・たいら)さん
2019年10月09日
(前編はこちら)
■面接
──総合職の面接について教えてください。
伊地知(写真右) 個人面接で、学生が自らの強みや当社に対する思いを伝えることができるような面接を心がけています。
──面接で重視するポイントは?
伊地知 情熱とロジカルの二つを合わせ持っていることが大事だと思います。各自治体や事業者の方と仕事をするとき、当社の魅力ややるべきことを分かりやすく伝える論理力も必要です。また、「人々が出会い、笑顔が生まれる、安全で豊かな社会を目指す」という当社の価値観に共感してもらったうえで、しっかり熱意を持って働いてもらいたい。価値観への共感を知るため、志望理由や当社で取り組みたいことを深掘りします。当社が目指す将来像と、本人が目指す方向性が一致しているかを確認できればと思います。
──面接でニュースや時事問題については聞きますか。
蒲(写真左) 世の中への関心は必要ですね。「鉄道会社だから、インフラ企業だから安定している」ということは決してありません。これからの社会状況を見極めたうえで、鉄道会社がどうあるべきかを考える必要があります。
■社風
──JR西日本はどんな会社ですか。
伊地知 まずは何よりも安全を最優先に取り組んでいる企業です。安全は鉄道を基幹事業とする当社にとって、あらゆるサービス、商品の根幹です。そして、鉄道の安全を事業運営の根幹としたうえで、鉄道だけでなく、不動産やショッピングなど、みなさんが思っている以上にいろんなビジネスを営んでいます。中期経営計画には「挑戦し続ける企業」を掲げています。人口が減少していく中で、新しい創造事業や不動産事業、ショッピングなどいろんなことに挑戦していく必要があります。私が学生のときに思っていたより、ずっと挑戦意識がある会社です。入社7年目の若い年次で採用活動を担わせてもらえているのも、その一つの表れですね。
蒲 私たちは山陽新幹線、北陸新幹線と近畿圏の在来線、そして西日本各地の在来線とさまざまな鉄道輸送を担っています。お客様の多い近畿のアーバンエリアだけでなく、ローカルも一体的に含めた地域づくり、街づくり、あるいは全く新しいビジネスに取り組んでいます。そういう意味で、私たちは常に「良質な危機感」をもってチャレンジしています。
──採用で競合する会社は?
伊地知 学生の就職活動の軸の切り口によってさまざまです。鉄道各社をはじめとするインフラ企業はもちろんですが、昔に比べて競合企業が多種多様になってきました。
──関西出身者が多いのでしょうね。
伊地知 多いのは事実ですが、もともと関西出身で関東の大学に行った学生も、反対に関東出身で関西の大学に来た学生も、関西に縁もゆかりもなかった人もいます。
蒲 出身地に関わらず、先ほど言った「人々が出会い、笑顔が生まれる、安全で豊かな社会を目指す」という価値観に共感できる人を採用します。
──採用ホームページの社長メッセージで、冒頭で福知山線事故に触れていますね。
蒲 福知山線列車事故は現在の私たちの取組みの原点です。事故を決して忘れることなく、他の何よりも「安全第一」を会社経営の根幹に据えています。我々にとってはすべての安全性に対する取り組み、会社経営のスタートなんだと伝えたい。説明会でも話しています。
地域の魅力を世の中に発信し活性化
──仕事のやりがいと厳しさは?
伊地知 多くのステークホルダー(利害関係者)がいる分、社会的な影響が大きいところがやりがいです。私が金沢にいた2015年に北陸新幹線が開通。北陸の経済が活性化し社会が大きく変わりました。
逆にいうと、視野を広く、視座を高く持ち、多方面に影響があるということを鑑みたうえで判断や意思決定をしなければならない厳しさがあります。
お客様に「電車は動いていて当たり前」「正確で当たり前」と思っていただいているのは、信頼の証しだと思います。その信頼を裏切ってはいけないという使命感を持ちながら日々の業務に取り組まねばなりません。もちろん、「安全」という根幹の部分を忘れてはいけません。
■二人の就活
──ご自身の就活について教えてください。
蒲 2013年入社です。就活をした2012年は東日本大震災の翌年で企業が採用を絞った時期でした。大阪出身で大学は九州に行き、インフラと不動産を志望しESは30社ほど出しました。
インフラの中でも鉄道会社に魅力を感じました。鉄道会社は電気、水道など他のライフラインとは違って、なくても人の生命に関わるわけではありません。でも、鉄道には他のライフラインにはない、人の楽しみ、人と人をつなげる喜びといったプラスアルファがあります。
――JR西日本にした決め手は?
蒲 関西の私鉄とJRの違いを感じたからです。私鉄は自社のブランドを立ち上げ、沿線地域を自社のカラーに染め上げている印象がありました。たとえば、沿線地域に自社ブランドのデパートやエンタメ施設、マンションなどを展開。さらに駅の発車メロディーや外観などを共有のブランドイメージで統一している印象があります。関西でよく言われる「○○沿線は高級」「○○沿線は下町っぽい」といったイメージもそうですね。一方で、JR西日本の大阪環状線は駅の発車メロディーが全駅違って、その地に縁のあるアーティストの方々の曲を使用しています。また、新駅開発でも地域の文化や歴史風土を反映するような駅舎デザインを取り入れています。長い歴史の中で培ってきた地域性を世の中に発信している。JR西日本という会社を通して地域が持つ魅力を発信していると感じました。さまざまな沿線を抱えていて、それぞれの街の良さを高めている。そうした地域との付き合い方が魅力で、決め手になりました。
──伊地知さんは?
伊地知 私も2013年の同期入社です。いろんな企業を見たかったので、50社くらいESを出しました。「将来、どんなやりがいを持って何がしたいのか」を考えると、自分は滋賀の田舎の出身で、地元の衰退、商店街がシャッター街になるのを目の当たりにして、さびしい思いをしていました。そんな街を活性化するのが自分の喜びだと感じ、それが「就活の軸」になりました。自分の田舎でも駅の周りは賑やかで、駅が地域に与える影響は大きい。駅を持っている鉄道会社がいいと思うように。その中でもJRは、都会にも田舎にも路線が張り巡らされているので、地域の活性化という私のやりたいことが実現できると思いました。
北陸新幹線開業や大雪で感じた公共性と影響力の大きさ
──入社後の経歴と印象に残っている仕事を教えてください。
蒲 鳥取県の米子駅で働き、岡山県(山陽)と鳥取・島根(山陰)とを結ぶ伯備線で運転士をしました。その後は人事の仕事です。運転士は資格がいるので、9カ月間は免許を取るための勉強をしました。
運転士は、時間の正確さ、機器の取り扱いなど非常に高いレベルで仕事をしなくてはいけません。たとえば、自分が運転する列車には、故郷から帰る人や一世一代の受験に挑む人が乗っています。人々の人生の1ページに非常に深く関わっている、それだけ責任の大きい仕事なんだと強く感じました。今の人事の仕事は、社員のやりがいや仕事のパフォーマンスの向上につながります。巡り巡って、当社を利用されるお客様に関わっているんです。
──伊地知さんは?
伊地知 私は最初の1年間、福井駅に勤務していました。その後は金沢で人事の仕事をしていました。印象に残っているのは、やはり北陸新幹線の開業ですね。多くのお客様から「JRのおかげ」「新幹線が通ることで街が一気に活性化した」と言われてやりがいを感じました。
もう一つはトラブルに関わることですが、昨年、北陸が大雪に見舞われました。北陸本線が2~3日止まるほどで、私も各駅へ行って夜通し除雪作業をしました。鉄道が止まると社会活動に大きな影響が出ることを痛感しましたし、復旧後にお客様に「元通りの生活になってホッとしている」と言っていただき、当社の公共性の高さや影響力の大きさを再確認しました。
(写真・MIKIKO)
みなさんに一言!
大事なのは「自分らしさ」です。いろんなものを見て、いろんな情報を集めて、惑わされることもあるかと思います。でも、大事なのは自分が何をしたいか、それを就職で実現できるか。それを実現できる会社と出会うことです。自分を会社に合わせる必要性はありません。会社の規模でも収益でもなく、自分の本当の姿と合う会社に出会って就職するのが、間違いなく一番幸せな就活です。「就活は入り口」だと、働き始めて実感しています。(蒲さん)
就活生は忙しいと思いますが、目標や目的意識を持って進んでもらいたいと思います。周りに言われてセミナーに出ることもあるかもしれませんが、その繰り返しでは日々が過ぎていくだけ。「明日のセミナーでは隣に座った学生の就活状況を聞いて自分の位置を確認してみよう」とか、「次は就活セミナーに参加している社員と話して自分の就活の軸を聞いてもらおう」とか、何か目的意識をもって臨まないと、就活は意外とすぐに終わってしまいます。日々の目標を持って、1日1日を充実した就活にしてもらえればと思います。(伊地知さん)
JR西日本(西日本旅客鉄道)
【鉄道】
JR西日本は鉄道を中心とした事業を展開しており、安全を第一に、お客様から安心、信頼していただける企業となることをめざした事業運営を進めています。また、毎日約500万人ものお客様にご利用いただいている鉄道ネットワークや約1200もの「駅」という拠点を活かし、さまざまなビジネス(物販・飲食、ホテル、ショッピングセンター、不動産など)を展開することで、地域の発展や活性化に貢献しています。
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