ソフトバンク株式会社
2019シーズン【第9回 ソフトバンク】
採用直結インターンなど「攻め」の選考!変化を楽しめる人が合う
人事本部 採用・人材開発統括部統括部長 源田泰之(げんだ・やすゆき)さん
2018年03月06日
企業の採用担当者に直撃インタビューする人気企画「人事のホンネ」。2019シーズン第9回は、日本を代表するIT企業ソフトバンクです。採用直結のインターンシップやナンバーワン採用など多彩な「攻めの採用」を実施。いつでも応募を受け付ける「通年採用」や、人工知能(AI)によるエントリーシート評価も導入しています。従来の常識を覆す採用選考はどんな内容なのか、根掘り葉掘り聞いてきました。(編集長・木之本敬介)
(写真は、孫正義会長が尊敬する坂本龍馬の像と握手する源田さん=東京・港区のソフトバンク本社)
■採用実績
――2018年卒生の採用人数を教えてください。
4月に入社するのは、計390人程度で、男性280人、女性110人ほどの予定です。エンジニアの比率を少し増やしたので、女子の割合は若干下がりました。もともと理系に女子の割合が少ないので。文系・理系はだいたい半々です。
――「総合コース」「営業コース」「エンジニアコース」に分かれていますね。
3コースとも総合職です。いろんな部署に配属される「総合コース」が約140人。エンジニア職にしか配属されない「エンジニアコース」は約150人、営業部門に確定している「営業コース」は約50人です。
――採用ホームページ(HP)を見ると「アソシエイト職」「販売職」もありますね。
「アソシエイト職」は一般事務職で転勤がありません。「販売職」はショップ店員。ともに採用数は25人くらいです。性別を限定しているわけではありませんが、アソシエイト職は女性の応募が多く2018年卒生は全員女性です。販売職は逆に男性が多く9割を占めます。
■インターンからの採用
――エントリーした大勢の学生から選抜する「母集団型選考」から、新たな「攻めの選考」を掲げていますね。どういうことですか。
今まではプレエントリーしてくれる3万人の学生の母集団から、ソフトバンクに合う人を探してきました。しかし、就活生にこちらからアプローチするほうが、合う人を見つけやすいのではないかというのが僕たちの仮説です。
――具体的にはどんな選考を。
いくつもありますが、まずは採用直結のインターンシップです。2週間から4週間、実際に現場で働くインターンを実施し、興味のある人はそのまま選考に進んでもらいます。インターン経由で入社した学生は離職率が低く評価が高い。リアルに働いたうえでソフトバンクに合うかどうか考えて入るので、ミスマッチが少ないのだと思います。
近年各社のインターンに参加する学生が増えているので、「インターンシップ」という言葉をフックにしてソフトバンクのインターンに気付いてくれる人が増えています。2年前は2000人ほどだった採用直結型のインターンの応募数が、2016年は3000人、2017年は4500人と1.5倍ずつ増えています。
(写真は、孫正義会長が尊敬する坂本龍馬の像と握手する源田さん=東京・港区のソフトバンク本社)
■採用実績
――2018年卒生の採用人数を教えてください。
4月に入社するのは、計390人程度で、男性280人、女性110人ほどの予定です。エンジニアの比率を少し増やしたので、女子の割合は若干下がりました。もともと理系に女子の割合が少ないので。文系・理系はだいたい半々です。
――「総合コース」「営業コース」「エンジニアコース」に分かれていますね。
3コースとも総合職です。いろんな部署に配属される「総合コース」が約140人。エンジニア職にしか配属されない「エンジニアコース」は約150人、営業部門に確定している「営業コース」は約50人です。
――採用ホームページ(HP)を見ると「アソシエイト職」「販売職」もありますね。
「アソシエイト職」は一般事務職で転勤がありません。「販売職」はショップ店員。ともに採用数は25人くらいです。性別を限定しているわけではありませんが、アソシエイト職は女性の応募が多く2018年卒生は全員女性です。販売職は逆に男性が多く9割を占めます。
■インターンからの採用
――エントリーした大勢の学生から選抜する「母集団型選考」から、新たな「攻めの選考」を掲げていますね。どういうことですか。
今まではプレエントリーしてくれる3万人の学生の母集団から、ソフトバンクに合う人を探してきました。しかし、就活生にこちらからアプローチするほうが、合う人を見つけやすいのではないかというのが僕たちの仮説です。
――具体的にはどんな選考を。
いくつもありますが、まずは採用直結のインターンシップです。2週間から4週間、実際に現場で働くインターンを実施し、興味のある人はそのまま選考に進んでもらいます。インターン経由で入社した学生は離職率が低く評価が高い。リアルに働いたうえでソフトバンクに合うかどうか考えて入るので、ミスマッチが少ないのだと思います。
近年各社のインターンに参加する学生が増えているので、「インターンシップ」という言葉をフックにしてソフトバンクのインターンに気付いてくれる人が増えています。2年前は2000人ほどだった採用直結型のインターンの応募数が、2016年は3000人、2017年は4500人と1.5倍ずつ増えています。
地方創生インターン「TURE-TECH」に「ナンバーワン採用」も
■もう一つのインターン
――他には?
もう一つ、2016年から地方創生のインターン「TURE-TECH(ツレテク)」を実施しています。学生時代に働く体験をしてから就職先を決めるという選択肢を作りたいという思いから始めたものです。ソフトバンクに興味がない人にも仕事体験をしてもらいたくて考えました。
地方自治体が抱えている課題を解決するプログラムで、2016年は長野県塩尻市で、2017年は塩尻と兵庫県丹波市の2カ所で行いました。2016年は応募者が約1300人、2017年は約1500人あり、それぞれ30人、60人を地方に連れて行きました。
――どんなことをするのですか。
まずソフトバンク本社で2日間の事前研修です。6人のチームで、「廃校校舎の利活用」「インバウンド人口の増加策」「移住促進」といった地方のリアルな課題について、机上で考え、ネットで調べて解決法を考えます。3日目から現地に4日間滞在し、ヒアリングやフィールドワークを通して、仮説が正しいかどうか検証します。現場に行くと、考えてきたものが木っ端みじんに砕かれ、真のニーズが見えてくる。リアルな声をもとに解決方法を考え、市長に提案します。良い内容なら政策として採用される「リアルプログラム」です。
――実際に市の政策につながったものも?
2016年は2件採用され、予算が付いて動いています。一つはワインのブランディングです。塩尻市にはワイナリーが八つほどあって、おいしいのに広がっていない。調べると、卸値が安く農家がブドウを作らないのが原因とわかりました。ヨーロッパで使われているブドウやワインの味の測定器を塩尻市が導入し、おいしさをアピールしてブランド価値を上げる。ブドウの価格に転嫁して農家がちゃんと収益を上げられるようにしよう、というプランです。
もう1件は、昔ながらの宿場町「奈良井宿」を訪れる観光客が少ないという課題の解決です。観光客のデータを数値化することにし、観光客の年齢や出身地、訪問先などをソフトバンクのヒト型ロボット「ペッパー」がアンケート形式で情報収集するという取り組みを始めました。英語・韓国語・中国語・日本語のパンフレットも作りました。
とにかく実践にこだわり、2017年は計3件採用されました。夏に東京に2カ月以上滞在して23社のインターンを受けた東北大学の学生が、「一番良かったのはツレテクだった」と言ってくれました。
――社員も大変ですね。
インターン自体が僕らのリーダー開発の研修にもなっています。6人のチームごとに市職員1人と社員2人がつきます。社員の1人は課長クラスでリーダー役、もう1人は人事や総務系の若手です。リーダーは個性的な学生たちをうまくまとめて市長提案まで持っていかなければならない。自分がやるんじゃなくて人を巻き込む、リアルなリーダーシップトレーニングです。総務系の若手にとっても、オピニオンリーダー的な学生の中で「どんな価値を発揮して何に貢献できるのだろう」と自分の価値を見つめ直す機会になります。参加した社員は「ものすごくよかった」と言っています。
――学生、ソフトバンク、自治体の「三方よし」ですね。
自治体は課題解決のための提案を受けられる。学生はリアルに働く経験ができる。社員はリーダーシップや自己開発のトレーニングになります。
「ツレテク」では就活的な要素は一切出していませんが、結果的にソフトバンクの強力なプロモーションになり、就活生に向けたイメージ向上にもつながりました。みんなにとってウィンウィンです。2016年に参加した30人中、もともとソフトバンクに興味があったのは1人でしたが、翌春には10人が入社しました。
――インターンの内容がよほど魅力的だったのでしょうか。
就職する会社を決める要素が二つあります。「どんな仕事ができるか」と「誰と働けるか」。インターンでソフトバンクの社員と1週間みっちり一緒にいたことで、「こんな人と働きたい」という魅力が生まれたのだと思います。
――仕事への理解も深まった?
ソフトバンクにはありとあらゆる職種がありますが、学生はビジネス面では「ショップで携帯をめちゃくちゃ売らされる」という印象があるかもしれません。エンジニア職も、ネットワークエンジニア、人工知能(AI)、データサイエンティスト、システムエンジニア、ソフトウェア開発など多様ですが、イメージがわかず「ソフトバンクのエンジニアは何をするのかさっぱりわからない」ということが多いです。
でも、ツレテク参加者は「ソフトバンクってこんな働き方があるんだ」「職種も想像していたのと違った」と理解したうえで入社します。彼らはすごく行動的で、内定者の中でもリーダー的な立ち位置で、みんなを引っ張ってくれています。
■ナンバーワン採用
――他にも「攻めの採用」が?
大学の研究室や学生団体を訪ねたり、「逆求人」のイベントを回ったり、地道な活動もしていますが、「ナンバーワン採用」という採用手法も取り入れています。ジャンルを問わずナンバーワンの実績を持つ人を対象とするもので、2010年から続けています。書類選考のあとプレゼンテーションをしてもらいます。採用数は年によって異なりますが、2018年卒は6人でした。
――どんな「ナンバーワン」が来ますか。
水球や陸上、ラクロスの日本代表、囲碁の学生チャンピオン、学術発表やビジコンの受賞者、衛星の設計をした人もいました。変わり種はマジシャン系ですね。ルービックキューブ日本一の人は、キューブを一度見ただけで頭の上でカチャカチャ動かして数十秒でそろえられる。普通じゃない(笑)。
――マジックの能力が仕事とどう結びつくのか、想像がつきません。
マジックの能力で入社した社員の上司が「彼の法人営業、最高ですよ」と。営業先でフォークを曲げたりするので、バカウケだそうです(笑)。多くのマジシャンは心理学を勉強していて、目線や手の動きでお客さまの購買心理がわかるらしい。「ここに興味を持ってる、ポイントだな」と気づけば、それだけ早く提案の軌道修正ができます。法人のお客さまの課題もわかるのではないでしょうか。
――他には?
もう一つ、2016年から地方創生のインターン「TURE-TECH(ツレテク)」を実施しています。学生時代に働く体験をしてから就職先を決めるという選択肢を作りたいという思いから始めたものです。ソフトバンクに興味がない人にも仕事体験をしてもらいたくて考えました。
地方自治体が抱えている課題を解決するプログラムで、2016年は長野県塩尻市で、2017年は塩尻と兵庫県丹波市の2カ所で行いました。2016年は応募者が約1300人、2017年は約1500人あり、それぞれ30人、60人を地方に連れて行きました。
――どんなことをするのですか。
まずソフトバンク本社で2日間の事前研修です。6人のチームで、「廃校校舎の利活用」「インバウンド人口の増加策」「移住促進」といった地方のリアルな課題について、机上で考え、ネットで調べて解決法を考えます。3日目から現地に4日間滞在し、ヒアリングやフィールドワークを通して、仮説が正しいかどうか検証します。現場に行くと、考えてきたものが木っ端みじんに砕かれ、真のニーズが見えてくる。リアルな声をもとに解決方法を考え、市長に提案します。良い内容なら政策として採用される「リアルプログラム」です。
――実際に市の政策につながったものも?
2016年は2件採用され、予算が付いて動いています。一つはワインのブランディングです。塩尻市にはワイナリーが八つほどあって、おいしいのに広がっていない。調べると、卸値が安く農家がブドウを作らないのが原因とわかりました。ヨーロッパで使われているブドウやワインの味の測定器を塩尻市が導入し、おいしさをアピールしてブランド価値を上げる。ブドウの価格に転嫁して農家がちゃんと収益を上げられるようにしよう、というプランです。
もう1件は、昔ながらの宿場町「奈良井宿」を訪れる観光客が少ないという課題の解決です。観光客のデータを数値化することにし、観光客の年齢や出身地、訪問先などをソフトバンクのヒト型ロボット「ペッパー」がアンケート形式で情報収集するという取り組みを始めました。英語・韓国語・中国語・日本語のパンフレットも作りました。
とにかく実践にこだわり、2017年は計3件採用されました。夏に東京に2カ月以上滞在して23社のインターンを受けた東北大学の学生が、「一番良かったのはツレテクだった」と言ってくれました。
――社員も大変ですね。
インターン自体が僕らのリーダー開発の研修にもなっています。6人のチームごとに市職員1人と社員2人がつきます。社員の1人は課長クラスでリーダー役、もう1人は人事や総務系の若手です。リーダーは個性的な学生たちをうまくまとめて市長提案まで持っていかなければならない。自分がやるんじゃなくて人を巻き込む、リアルなリーダーシップトレーニングです。総務系の若手にとっても、オピニオンリーダー的な学生の中で「どんな価値を発揮して何に貢献できるのだろう」と自分の価値を見つめ直す機会になります。参加した社員は「ものすごくよかった」と言っています。
――学生、ソフトバンク、自治体の「三方よし」ですね。
自治体は課題解決のための提案を受けられる。学生はリアルに働く経験ができる。社員はリーダーシップや自己開発のトレーニングになります。
「ツレテク」では就活的な要素は一切出していませんが、結果的にソフトバンクの強力なプロモーションになり、就活生に向けたイメージ向上にもつながりました。みんなにとってウィンウィンです。2016年に参加した30人中、もともとソフトバンクに興味があったのは1人でしたが、翌春には10人が入社しました。
――インターンの内容がよほど魅力的だったのでしょうか。
就職する会社を決める要素が二つあります。「どんな仕事ができるか」と「誰と働けるか」。インターンでソフトバンクの社員と1週間みっちり一緒にいたことで、「こんな人と働きたい」という魅力が生まれたのだと思います。
――仕事への理解も深まった?
ソフトバンクにはありとあらゆる職種がありますが、学生はビジネス面では「ショップで携帯をめちゃくちゃ売らされる」という印象があるかもしれません。エンジニア職も、ネットワークエンジニア、人工知能(AI)、データサイエンティスト、システムエンジニア、ソフトウェア開発など多様ですが、イメージがわかず「ソフトバンクのエンジニアは何をするのかさっぱりわからない」ということが多いです。
でも、ツレテク参加者は「ソフトバンクってこんな働き方があるんだ」「職種も想像していたのと違った」と理解したうえで入社します。彼らはすごく行動的で、内定者の中でもリーダー的な立ち位置で、みんなを引っ張ってくれています。
■ナンバーワン採用
――他にも「攻めの採用」が?
大学の研究室や学生団体を訪ねたり、「逆求人」のイベントを回ったり、地道な活動もしていますが、「ナンバーワン採用」という採用手法も取り入れています。ジャンルを問わずナンバーワンの実績を持つ人を対象とするもので、2010年から続けています。書類選考のあとプレゼンテーションをしてもらいます。採用数は年によって異なりますが、2018年卒は6人でした。
――どんな「ナンバーワン」が来ますか。
水球や陸上、ラクロスの日本代表、囲碁の学生チャンピオン、学術発表やビジコンの受賞者、衛星の設計をした人もいました。変わり種はマジシャン系ですね。ルービックキューブ日本一の人は、キューブを一度見ただけで頭の上でカチャカチャ動かして数十秒でそろえられる。普通じゃない(笑)。
――マジックの能力が仕事とどう結びつくのか、想像がつきません。
マジックの能力で入社した社員の上司が「彼の法人営業、最高ですよ」と。営業先でフォークを曲げたりするので、バカウケだそうです(笑)。多くのマジシャンは心理学を勉強していて、目線や手の動きでお客さまの購買心理がわかるらしい。「ここに興味を持ってる、ポイントだな」と気づけば、それだけ早く提案の軌道修正ができます。法人のお客さまの課題もわかるのではないでしょうか。
大学3年以降いつでも応募OK、締め切りなしの通年採用
■ハッカソン採用、海外採用
――ほかにもありますか。
「ハッカソン採用」もあります。内定した学生に「どんな採用をしてほしかったか」のアイデアを出してもらったら1位がこれでした。ペッパーを使ったハッカソン(「ペッパソン」)を3日間で実施し、その後「面接に進める方を発表します」となります。優勝しても面接に進めるとは限りません。
通常の面接は30分から1時間くらいですが、3日間見ていると、どんなリーダーシップを取るのか、困ったときや時間がないときにどんな行動を取るか、どんな風に計画を立てチームを引っ張るか、広い視野があるのか、などがわかります。それらを人事がチェックしているんです。
――面接に進む学生をその場で発表するというのは、かなり露骨ですねえ。
僕は「ちょっとやりすぎでは」と言ったのですが、学生は「これでいいんです」と。「ハッカソン」という手法より、学生に採用手法を考えてもらったところが画期的だと思っています。初めて実施した2017年度の参加者は15人程度でした。
――「攻めの採用」、まだありますか。
最後は「海外採用」で、年間20~30人採用しています。アメリカやイギリスなどでは日本人留学生を、アジアなどでは現地の人を主なターゲットにしています。アメリカ、イギリス、韓国、台湾、シンガポール、インド、ベトナム、インドネシアなどでアプローチをかけています。
――390人中、「攻めの採用」はどのくらい?
2018年卒の実績は、採用直結型インターンで約100人、「ツレテク」が10人くらい、「ナンバーワン採用」6人、海外採用が30人。ペッパソン(ハッカソン)採用は若干名です。
ほかにも大学の研究室、学生団体、逆求人、高専の推薦枠など個別にアプローチしたり、こちらから会いに行ったりしているので、計200人ほどが「攻めの採用」です。
――母集団からの採用はいずれなくすのですか。
例年、採用直結型インターン参加者の3割くらいが入社するので、インターン参加者を500人程度にすれば、それだけで150人くらい入ってくるでしょう。他の「攻めの採用」で100人近く、それでもう250人。ですが、母集団からの採用においてもソフトバンクがほしい人材を採用できているので、現時点でこちらをなくすことは考えていません。
■通年採用
――採用HPにある「ユニバーサル採用」とは?
従来の新卒一括採用とは違って、広く門戸を開き、自由な時期に自分の意思で就活できるようにするというものです。新卒採用の募集対象は「入社時30歳未満の新卒/既卒/就業者」としているので、一度他社に就職した人も再挑戦できます。
学生にもいろんな事情があって、「好きな時期に好きなように就活したい」人がいます。たとえば「学会のため3~6月は論文発表の準備をしなきゃいけない」「実家の家業が忙しい」「ビジコンの国際大会がある」とか。海外で6月に卒業して日本に帰ったら、日本の就活スケジュールに出遅れるということもあります。就職せずに卒業して「第二新卒」になると就職先が極端に限られます。
僕らはいつでも門を開けているので、「6月は論文発表があったけど9月には落ち着いた」人、「家業を継ごうと思ったけれど、やはり一度就職しようとしたらもう10月だった」人もOKです。いい人材を青田買いしようという嫌らしい考えは全くありません。
――いわゆる「通年採用」ですね。
はい、応募は年中できます。入社時30歳未満なら誰でもできます。ただし、現役の学生の場合、今は「大学3年生以上」にしています。
――「3年生になったら、いつでも応募可能」ということですね。
そうですね。いつでも受け入れています。通年採用なので締め切りはありません。
――ある程度応募者が集まった段階で選考を始めるのですか。
1人でもある程度進めます。ただ、現実には3月に集中します。僕らの動きというよりは、世の中の学生側の動きなので。
■ESと面接
――選考の流れを教えてください。
まずはプレエントリー、エントリーシート(ES)提出。書類選考通過者はSPI(適性検査)を受けてもらい、面接に進みます。
――ESの評価にAIを導入したことが大きなニュースになりました。
ESの課題二つのうちの一つ、「ソフトバンクバリューの中で、あなたの強みと合致する項目を教えてください。また、その強みを発揮して成し遂げたエピソードを教えてください」をAIに評価させました。200字以上書いてもらいます。
――学生から不安や不満の声は?
非常に好評でした。「ソフトバンクはESをちゃんと見ていないじゃないか」という学生からの批判の可能性を懸念していましたが、なかったですね。人が過去に採点した「教師データ」をベースに、IBMのAI「ワトソン」がジャッジします。人の判断との誤差は非常に小さい。導入前の検証では、ワトソンでの合否を知らせずに同じESを採用担当者にチェックさせたら、合否判断は人とほぼ同じでした。体調にも左右されないし、ワトソンのほうが精度が高く公平かもしれません。
――AIにはどう教えているのですか。
実は、過去に合格したESと不合格だったESを「教師データ」として読み込ませているだけで、どこをどう判断しているかはわかりません。工夫したのは、しっかり判断ができる採用担当者のものを「教師データ」としたことと教師データの件数で、何パターンか検証して一番精度が高いものにしました。
――面接のポイントを教えてください。
面接は複数回。1次は集団面接で、その後は個人面接です。
1次の集団面接は社員1人対学生3~5人程度。学生同士のグループディスカッションに近い形でやります。
面接の一つの役割は「ソフトバンクという会社を学生に対してきちんと伝えられるか」だと思います。「ソフトバンクはこういう会社」と伝えれば伝えるほど、学生の志望度が上がる傾向があります。
――面接で、時事的な知識や世の中への関心、業界ニュースに対する感度は重視しますか。
データは簡単に集められる時代になりましたが、自分なりの考察を持っているかどうかは大事なポイントです。自分の世界にしか興味がない人より、世の中のいろいろなことに関心があり、広く俯瞰(ふかん)的に見られる人の方が楽しいですよね。
面接では、技術分野の人に「こういうことについてどう思う?」と時事的なことを聞くケースはあります。ソフトバンクに関するニュースについては「なぜソフトバンクを希望したの?」と聞くと、自然と学生の話の中に出てくることもあります。ただ、ソフトバンクについて詳しく知っているほどいいというわけでもありません。知っていることとソフトバンクで活躍できるか、会社にフィットするかは別。「ソフトバンクを知らない=ダメ」ということはありません。
――ほかにもありますか。
「ハッカソン採用」もあります。内定した学生に「どんな採用をしてほしかったか」のアイデアを出してもらったら1位がこれでした。ペッパーを使ったハッカソン(「ペッパソン」)を3日間で実施し、その後「面接に進める方を発表します」となります。優勝しても面接に進めるとは限りません。
通常の面接は30分から1時間くらいですが、3日間見ていると、どんなリーダーシップを取るのか、困ったときや時間がないときにどんな行動を取るか、どんな風に計画を立てチームを引っ張るか、広い視野があるのか、などがわかります。それらを人事がチェックしているんです。
――面接に進む学生をその場で発表するというのは、かなり露骨ですねえ。
僕は「ちょっとやりすぎでは」と言ったのですが、学生は「これでいいんです」と。「ハッカソン」という手法より、学生に採用手法を考えてもらったところが画期的だと思っています。初めて実施した2017年度の参加者は15人程度でした。
――「攻めの採用」、まだありますか。
最後は「海外採用」で、年間20~30人採用しています。アメリカやイギリスなどでは日本人留学生を、アジアなどでは現地の人を主なターゲットにしています。アメリカ、イギリス、韓国、台湾、シンガポール、インド、ベトナム、インドネシアなどでアプローチをかけています。
――390人中、「攻めの採用」はどのくらい?
2018年卒の実績は、採用直結型インターンで約100人、「ツレテク」が10人くらい、「ナンバーワン採用」6人、海外採用が30人。ペッパソン(ハッカソン)採用は若干名です。
ほかにも大学の研究室、学生団体、逆求人、高専の推薦枠など個別にアプローチしたり、こちらから会いに行ったりしているので、計200人ほどが「攻めの採用」です。
――母集団からの採用はいずれなくすのですか。
例年、採用直結型インターン参加者の3割くらいが入社するので、インターン参加者を500人程度にすれば、それだけで150人くらい入ってくるでしょう。他の「攻めの採用」で100人近く、それでもう250人。ですが、母集団からの採用においてもソフトバンクがほしい人材を採用できているので、現時点でこちらをなくすことは考えていません。
■通年採用
――採用HPにある「ユニバーサル採用」とは?
従来の新卒一括採用とは違って、広く門戸を開き、自由な時期に自分の意思で就活できるようにするというものです。新卒採用の募集対象は「入社時30歳未満の新卒/既卒/就業者」としているので、一度他社に就職した人も再挑戦できます。
学生にもいろんな事情があって、「好きな時期に好きなように就活したい」人がいます。たとえば「学会のため3~6月は論文発表の準備をしなきゃいけない」「実家の家業が忙しい」「ビジコンの国際大会がある」とか。海外で6月に卒業して日本に帰ったら、日本の就活スケジュールに出遅れるということもあります。就職せずに卒業して「第二新卒」になると就職先が極端に限られます。
僕らはいつでも門を開けているので、「6月は論文発表があったけど9月には落ち着いた」人、「家業を継ごうと思ったけれど、やはり一度就職しようとしたらもう10月だった」人もOKです。いい人材を青田買いしようという嫌らしい考えは全くありません。
――いわゆる「通年採用」ですね。
はい、応募は年中できます。入社時30歳未満なら誰でもできます。ただし、現役の学生の場合、今は「大学3年生以上」にしています。
――「3年生になったら、いつでも応募可能」ということですね。
そうですね。いつでも受け入れています。通年採用なので締め切りはありません。
――ある程度応募者が集まった段階で選考を始めるのですか。
1人でもある程度進めます。ただ、現実には3月に集中します。僕らの動きというよりは、世の中の学生側の動きなので。
■ESと面接
――選考の流れを教えてください。
まずはプレエントリー、エントリーシート(ES)提出。書類選考通過者はSPI(適性検査)を受けてもらい、面接に進みます。
――ESの評価にAIを導入したことが大きなニュースになりました。
ESの課題二つのうちの一つ、「ソフトバンクバリューの中で、あなたの強みと合致する項目を教えてください。また、その強みを発揮して成し遂げたエピソードを教えてください」をAIに評価させました。200字以上書いてもらいます。
――学生から不安や不満の声は?
非常に好評でした。「ソフトバンクはESをちゃんと見ていないじゃないか」という学生からの批判の可能性を懸念していましたが、なかったですね。人が過去に採点した「教師データ」をベースに、IBMのAI「ワトソン」がジャッジします。人の判断との誤差は非常に小さい。導入前の検証では、ワトソンでの合否を知らせずに同じESを採用担当者にチェックさせたら、合否判断は人とほぼ同じでした。体調にも左右されないし、ワトソンのほうが精度が高く公平かもしれません。
――AIにはどう教えているのですか。
実は、過去に合格したESと不合格だったESを「教師データ」として読み込ませているだけで、どこをどう判断しているかはわかりません。工夫したのは、しっかり判断ができる採用担当者のものを「教師データ」としたことと教師データの件数で、何パターンか検証して一番精度が高いものにしました。
――面接のポイントを教えてください。
面接は複数回。1次は集団面接で、その後は個人面接です。
1次の集団面接は社員1人対学生3~5人程度。学生同士のグループディスカッションに近い形でやります。
面接の一つの役割は「ソフトバンクという会社を学生に対してきちんと伝えられるか」だと思います。「ソフトバンクはこういう会社」と伝えれば伝えるほど、学生の志望度が上がる傾向があります。
――面接で、時事的な知識や世の中への関心、業界ニュースに対する感度は重視しますか。
データは簡単に集められる時代になりましたが、自分なりの考察を持っているかどうかは大事なポイントです。自分の世界にしか興味がない人より、世の中のいろいろなことに関心があり、広く俯瞰(ふかん)的に見られる人の方が楽しいですよね。
面接では、技術分野の人に「こういうことについてどう思う?」と時事的なことを聞くケースはあります。ソフトバンクに関するニュースについては「なぜソフトバンクを希望したの?」と聞くと、自然と学生の話の中に出てくることもあります。ただ、ソフトバンクについて詳しく知っているほどいいというわけでもありません。知っていることとソフトバンクで活躍できるか、会社にフィットするかは別。「ソフトバンクを知らない=ダメ」ということはありません。
「世の中に成功例がないことでも提案して実行に移せる」
■社風
――ソフトバンクってどんな会社ですか?
学生から見たら事業内容がわかりづらい会社かもしれません。携帯事業をやりながらいろいろな新規事業を展開しているし、子会社がいっぱいあるし、ニュースでは投資の話が多いし……。ですから、学生には「どんな働き方をしたいか」といった学生の興味や質問をベースに、リアルな働き方を伝えるようにしています。
職種も働き方も多様化が進んでいるので、「こういうタイプじゃないとソフトバンクでは難しい」ということはありません。ベンチャーとしてのソフトバンクに入ってきた人もいれば、別の会社に入って買収で一緒の会社になった人もいます。日本テレコムを買収したときもボーダフォン買収のときも、自分たちより社員数が多い会社と一緒になったので、ものすごく多様化が進みました。キャラはいろいろで、その多様性が強みだと思います。
――とはいえ、「これだけは絶対ないとダメ」という素養はありますか。
絶対ということはありませんが、変化が激しい会社なので「変化を楽しめるかどうか」ですね。「変化が激しいのはイヤ」という完全に安定志向の人は合いません。変化を楽しみ、当事者意識を味わい、いかに「自分ごと」にできるか。「自分がこうしたい、こうなりたい」というキャリアを描ける人が合うと思います。
■源田さんの就活と仕事
――源田さんはどんな就活を?
私は買収された側で、もともと携帯電話のJ-フォン(ジェイフォン)という会社に20年前に営業職で入りました。まだ携帯の普及率が低い時代でしたが、今後は安定したインフラを供給して利益を生み出すだろうと考えて就職しました。J-フォンはわりと年功序列的な会社でしたが、その後、イギリスのボーダフォンに買収されて外資系になり、仕事の進め方が急に変わりました。商品発表会や会合がパーティーっぽく派手になったり。そしてソフトバンクに買収され、一度も転職していないのに社名がころころ変わりました。
ソフトバンクでは営業推進の担当で、ショップ販売員向けの研修をやりました。やがてショップ販売員向けの研修部隊が社員研修の部署と一緒になり、その流れで人事に来ました。私は「流され系」なんですよね(笑)。もう10年近く人事です。
――今までのキャリアの中で、印象的な仕事は?
ソフトバンクの仕事では「社内認定講師制度」をつくったことです。「この会社って自由に提案していいんだ」と実感しました。「ソフトバンクユニバーシティ」というソフトバンクグループ社員向けの研修機関では、社員が社員を教えています。ロジカルシンキング、プレゼンテーション、コーチング、アプリ開発なども社員が社員に教えています。リーダーシップは現場でリーダーシップをばりばり発揮している人が教える、ファイナンスなら経営企画でばんばんやっている人が教えればいい。現在は120人ほど講師がいます。内製のほうが満足度が高く、コースのバリエーションも増えています。
自分が疑問に思ったことをまずやってみよう、世の中に成功例がないことでも提案して実行に移せるんだ、と気づいたのが印象に残っている理由です。
――孫正義会長によるトップダウンが強いイメージがあります。
でも、ボトムアップで変えられることもたくさんある。そういう意識を持つと仕事がすごく楽しくなります。そういう人が増えればいい。人事制度でも自主性や当事者意識を重視しています。異動も普通のローテーションよりFA(フリーエージェント)やジョブポスティング(社内公募)をしっかりやっています。「ソフトバンクユニバーシティ」も入社何年目でこの研修を受講すると決まっているわけではなく、手挙げ制です。自分が学びたいと思ったら、いつでも応募できます。やりたい人に対してチャンスを与えていくのがポリシーですね。
――ソフトバンクってどんな会社ですか?
学生から見たら事業内容がわかりづらい会社かもしれません。携帯事業をやりながらいろいろな新規事業を展開しているし、子会社がいっぱいあるし、ニュースでは投資の話が多いし……。ですから、学生には「どんな働き方をしたいか」といった学生の興味や質問をベースに、リアルな働き方を伝えるようにしています。
職種も働き方も多様化が進んでいるので、「こういうタイプじゃないとソフトバンクでは難しい」ということはありません。ベンチャーとしてのソフトバンクに入ってきた人もいれば、別の会社に入って買収で一緒の会社になった人もいます。日本テレコムを買収したときもボーダフォン買収のときも、自分たちより社員数が多い会社と一緒になったので、ものすごく多様化が進みました。キャラはいろいろで、その多様性が強みだと思います。
――とはいえ、「これだけは絶対ないとダメ」という素養はありますか。
絶対ということはありませんが、変化が激しい会社なので「変化を楽しめるかどうか」ですね。「変化が激しいのはイヤ」という完全に安定志向の人は合いません。変化を楽しみ、当事者意識を味わい、いかに「自分ごと」にできるか。「自分がこうしたい、こうなりたい」というキャリアを描ける人が合うと思います。
■源田さんの就活と仕事
――源田さんはどんな就活を?
私は買収された側で、もともと携帯電話のJ-フォン(ジェイフォン)という会社に20年前に営業職で入りました。まだ携帯の普及率が低い時代でしたが、今後は安定したインフラを供給して利益を生み出すだろうと考えて就職しました。J-フォンはわりと年功序列的な会社でしたが、その後、イギリスのボーダフォンに買収されて外資系になり、仕事の進め方が急に変わりました。商品発表会や会合がパーティーっぽく派手になったり。そしてソフトバンクに買収され、一度も転職していないのに社名がころころ変わりました。
ソフトバンクでは営業推進の担当で、ショップ販売員向けの研修をやりました。やがてショップ販売員向けの研修部隊が社員研修の部署と一緒になり、その流れで人事に来ました。私は「流され系」なんですよね(笑)。もう10年近く人事です。
――今までのキャリアの中で、印象的な仕事は?
ソフトバンクの仕事では「社内認定講師制度」をつくったことです。「この会社って自由に提案していいんだ」と実感しました。「ソフトバンクユニバーシティ」というソフトバンクグループ社員向けの研修機関では、社員が社員を教えています。ロジカルシンキング、プレゼンテーション、コーチング、アプリ開発なども社員が社員に教えています。リーダーシップは現場でリーダーシップをばりばり発揮している人が教える、ファイナンスなら経営企画でばんばんやっている人が教えればいい。現在は120人ほど講師がいます。内製のほうが満足度が高く、コースのバリエーションも増えています。
自分が疑問に思ったことをまずやってみよう、世の中に成功例がないことでも提案して実行に移せるんだ、と気づいたのが印象に残っている理由です。
――孫正義会長によるトップダウンが強いイメージがあります。
でも、ボトムアップで変えられることもたくさんある。そういう意識を持つと仕事がすごく楽しくなります。そういう人が増えればいい。人事制度でも自主性や当事者意識を重視しています。異動も普通のローテーションよりFA(フリーエージェント)やジョブポスティング(社内公募)をしっかりやっています。「ソフトバンクユニバーシティ」も入社何年目でこの研修を受講すると決まっているわけではなく、手挙げ制です。自分が学びたいと思ったら、いつでも応募できます。やりたい人に対してチャンスを与えていくのがポリシーですね。
みなさんに一言!
日本は人材の流動性が低いので、本当に自分自身に合う企業に就職することが大事だと思います。世間体や会社の格や先輩がどうかではなく、「ここで働きたい」という自分自身の思いを大切にしたほうがいいし、本当に合う会社を探したほうがいい。会社側もお化粧して立派なことを言うのではなく、リアルな働き方や求めている人物像を伝えるべきです。学生側も自分を飾ったり盛ったりするのではなく、素直に自分を出したほうが絶対いい。100%ピュアな自分を素直に出すことがとても大事だと思います。
ソフトバンク株式会社
【通信・インターネット関連】
ソフトバンクは、インターネット企業グループであるソフトバンクグループで、移動通信サービス、固定通信サービス、インターネット接続サービスを提供しています。グループ企業とのシナジーを発揮し、ITを通じて人々のライフスタイルを革新することを目指して事業を展開するとともに、IoTやロボット、エネルギー等の分野でも事業を拡大しています。
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2024/10/14 更新
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