人事のホンネ

博報堂

2018シーズン【第4回 博報堂】
「アイデアの前には平等」の自由な会社 個々の「芸風」が重要

人事局人事部部長 秋澤靖(あきさわ・おさむ)さん

2017年01月27日

 企業の採用担当者に直撃インタビューする人気企画「人事のホンネ」。2018シーズンの第4回は、広告大手の博報堂です。
 広告を取り巻く環境が様変わりするなか、どんな人材を求めているのか。ちょっと変わったエントリーシートの狙いや面接のポイントなどを聞きました。(編集長・木之本敬介)

■採用実績
 ──2016年度入社の採用実績を教えてください。
 博報堂と博報堂DYメディアパートナーズ(博報堂DYMP)で一緒に新卒採用していて、内定時にどちらに入社するか決まります。2016年度は、博報堂に98名、博報堂DYMPに20名が入社しました。そのうち、女性は3割強です。大学院修了者は、理系を中心に20人ぐらいいます。

 ──両社で選考基準は違うんですか。
 違いはありません。もちろん一人ひとりの適性を見ながら「彼は博報堂DYMPのこの部署が良いかな」「彼女は博報堂のこの職種が合うかな」という想定はしていますが、選考基準としては設けていません。
 両社の間では入社後も人事交流が盛んです。とくに若い間は複数の部署を経験するジョブローテーションがあり、両社間の異動もあります。「どちらの会社でも働ける」という観点で採用しています。

 ──2017年春の入社予定数は?
 内定者は博報堂108名、博報堂DYMP20名です。

 ──採用数を増やしている?
 収益の状態などにかかわらず、一定数の新人を採用するスタンスなので、ここ十数年は大きな変化はありません。2017年入社は少し多い数ですが、「良い学生がいるから採用した」ということです。現場の各部署に新人のニーズはたくさんありますから。

■「博報堂」と「博報堂DYMP」の違い

 ──両社の仕事の違いを教えてください。
 博報堂は、主に広告ビジネスを通して得意先である広告主企業(クライアント)に向き合います。得意先の企業にうかがって、一緒に課題を解決していく仕事です。職種としては営業が一番多い。
 博報堂DYMPは、営業と連携しながら放送局、ラジオ局、新聞社、出版社、ウェブサイト運営企業などの媒体社と向き合い、得意先の課題解決にはどういったメディアのプランニングができるかを考えていきます。
 学生の皆さんが志望する領域や職種はまちまちだと思いますが、両社とも、クライアントや媒体社との強いパートナーシップをつくっていく基礎能力が必要なのは同じです。ですから選考基準もそれほど変わりません。

 ──博報堂DYMPは、博報堂が広告大手の大広、読売広告社と経営統合し、持株会社「博報堂DYホールディングス」を設立したときに生まれた会社ですね。
 持株会社ができた2003年に、3社のメディアビジネスを行う組織が各社からそれぞれ独立し、一緒につくりました。社員は媒体社とやりとりしながら、それぞれ博報堂、大広、読売広告社の営業と一緒に仕事をします。

 ──博報堂DYMPでは、大広や読売広告社との人事交流もありますか。
 なくはありませんが、一番多いのは博報堂との交流ですね。もともと博報堂から移った人数が多いこともありますし、博報堂とメディアパートナーズは人事制度や評価が同じ仕組みなんです。そのため、人の行き来がしやすい面があります。
 新卒採用は、「博報堂+博報堂DYMP」と大広、読売広告社は別に行っています。

説明会でいきいき働く社員見て 面接は「部下なら」「上司なら」の観点で見る

■エントリー数と自社説明会
 ――エントリー数を教えてください。
 プレエントリーが4万人弱。本エントリーが1万人弱ぐらいです。プレエントリーは前年と比べるとやや減りました。本エントリーは例年並みです。

 ──2017年卒は就活スケジュールの短期化で志望企業を絞り込んだ学生が多く、多くの企業でエントリー数が減ったようです。
 採用広報に力を入れたこともあり、人数は維持できました。6月の選考解禁より前に他社に決まっている学生も結構いました。それを考えると、本エントリーがもっと減ってもおかしくないところでしたが、維持できたと思います。

 ──何か工夫した点は?
 博報堂と博報堂DYMPは2014年に「未来を発明する会社へ。Inventing the future with sei-katsu-sha」というビジョンを発表しました。そのビジョンを採用広報の中にも徐々に入れています。
 ポイントは、ITやデジタルの進化で生活者や企業を取り巻く環境が変わる中、今までのビジネスからもう一歩広げたり、まったく新しい領域に踏み出したりする発想が必要だと打ち出していることです。もともと私たちは、「新しいことをどんどんやろう」と言い続けている会社ですが、ここ2年ぐらいは特に、新しい発想やビジネスができる素養のある人材に対してメッセージを強めに出しています。
 他には「自社説明会」に力を入れています。学生を弊社に招き、いろいろなプレゼンテーションをして共有しました。一昨年、昨年と少しずつ回数を増やしています。

 ──以前は自社説明会をしていなかったのでしょうか?
 合同説明会では話していましたが、自社説明会を増やしたのは最近です。うちの会社に来てもらって、どんな社員がいるのか見て、生の声を聞いてもらうのが目的です。内定者からも好評で、今後も力を入れていきます。やはり、実際に来てもらえばじっくり話ができますから。
 かつてOB・OG訪問が就職活動の主流だった時代は、会社に来て社員と話して、どんな仕事か直接聞いてもらっていました。その後、WEBエントリーが普通になると、OB訪問しなくても就活はできるし、情報もネットで見られるようになりました。便利にはなりましたが、「生の仕事感」「生の会社の雰囲気」を学生に伝えにくくなったのではないか、という反省がありました。実際にいきいきと働いている社員を見て、話してもらう機会を再び増やしていこうとしています。

 ──自社説明会はどんな内容ですか。
 まず、若手社員が「どんな仕事をしているか」「就職活動のときはどうだったか」という話をします。それから社員数人のパネルディスカッションをします。Q&Aも含め計2時間弱ぐらいですね。
 参加者は昨年が2500人くらい。今年は約3000人に増やしましたが、応募が1万1000人ほどあり、参加できない人も多かったので、さらに増やす予定です。

■インターンシップ
 ──夏に実施したインターンシップについて教えてください。
 2種類あって、一つは職種を限定しない普通のインターンシップ。博報堂が考える「生活者発想」という概念を仕事に落とし込む体験をしてもらう「生活者発想合宿」です。長野県の軽井沢で2泊3日、30人×2回開きました。形式を変化させて、これまで14~15年間やっています。
 もう一つは、クリエイティブ職向けの「クリエイティブ・サマーキャンプ」です。デザイン、コピーライターなど職種ごとに10人ほど募集し、通い形式で1週間くらい。こちらは始めてから3~4年です。
 冬インターンの予定は今のところありません。

 ──インターンに参加した学生には、その後も接触していますか。
 クリエイティブの講義や相談会をしています。「博報堂に来てほしい」というよりは「大学生のキャリアを一緒に考えよう」という取り組みですね。もちろん、高い倍率のインターン選考を通過した学生で、かつインターンで様子も見ていますから、「このまま来てくれればいいな」と思う学生はいますが。

 ──インターン参加者から内定はいますか。
年によって違いますが、10人~20人くらいです。

■面接
 ──2018年卒の選考スケジュールは?
 2017卒と同じで、3月WEBエントリー開始、6月から選考の予定です。

 ──WEB適性検査や書類選考でかなり落とす?
 SPI試験をテストセンターで行いますが、できるだけ実際に会います。1次面接は4500人ぐらいの方とします。

 ──2人に1人は面接に進める……意外に多いですね。1次面接はどんな形式ですか。
 2017卒では、1対1の面接を2回しました。1回あたり5分から10分。職種が多彩なので、社員によって「この学生は営業に向いていそう」「クリエイティブの面から見ると、すごく良い」など、違う見方があります。そこで、複数の職種の社員が見たうえで次のステップに上がってもらうようにしています。

 ──2次選考は?
 2017卒では、7~8人のグループディスカッションを2時間半から3時間ほどしました。ディベートをしたり、チームで一つ提案をつくってもらったり。さらに社員との座談会の時間も設けているので、半日がかりです。社員との座談会は選考ではなくOB訪問の一環のような形です。

 ──どんなワークをするんですか。
 抽象的なテーマで話し合ってもらい、「正しい答え」がない課題にどう取り組むのかを見ます。テーマは毎年変えて基本的に公表していませんが、たとえば過去には「紙の本と電子書籍はこれからどうなっていくか」「これからの出版業界や本を読む人の生活シーンはどうなっていくか」というようなテーマを出したことがあります。

 ──どこを見るんですか。
 各グループに社員が2人ほどついて、どんなことを話しているかや、チーム運営の様子を見ています。「この人はリーダーのタイプだな」「この人はアイデアを出す人だな」といったところも見ますね。
 ただ、ビジネスの特性上、一定のコミュニケーション能力は必要です。クライアントや媒体社と一緒にパートナーシップを築いていくときに、「いや、私は全部一人でやります」というスタイルだと厳しい。基本的なことですが、チームでうまくやっていけるか、人の意見をきちんと聞けるかは重視します。

 ──最終面接の形式は?
 2017卒では、学生1人に対し、役員や部門長、局長クラスの3~4人で面接しました。時間は30分ほどです。

 ──それぞれの面接ごとに見るポイントはありますか。
 一貫して「特になし」ですね(笑)。学生からは「そこが難しい」とよく言われますが、「こういう人材がほしい」という決まった方針はないんですよ。よく言われることですが、博報堂の人材は「『粒ぞろい』より『粒違い』」。つまり、「いろんな人がいて良い」という考え方なので、それぞれの芸風がしっかりあるかどうかが重要ですね。

 ──「芸風」とは広告会社らしい表現ですね。「個性が強い人」ですか。
 うーん、「あまり個性が強くないのが個性」という人もいますしね。派手で、よくしゃべって、イケイケで、という人ばかりではないですよ。

 ──それがまさに広告業界のイメージですが(笑)。
 そうですね。でも、おとなしい学者肌のような人でも、話すとすごく面白いことがあります。とつとつとしゃべる人もいれば、早口でペラペラしゃべる人もいますから。
 いずれにしても、面接やグループワークのなかで、「一緒に働きたいかどうか」は見ています。私も面接をしますが、「自分の部下に入ってきたらどうか」「自分の上司にこの人がいたらどうか」という観点で見ます。「ちゃんと下が育つかどうか」「リーダーになれそうか」は考えますね。

 ──印象に残っている学生は?
 「大学時代、○○をしていました」という話のバリエーションが多いタイプですね。「水産学科でイルカの研究をしています」とか、一見「それ全然、広告に関係ないでしょ」という学生もいました。うちの部署にも宇宙工学を専攻していた社員がいます。
 よくいるタイプはイベント系のサークルで活動していた学生ですね。そういう学生はとても多いので、よほど面白くないと、それだけでは目立ちませんが。

ESで懸命に取り組む姿勢見る メディアに接して考えるのは基本的スキル

■エントリーシート
 ──エントリーシート(ES)に「私は○○です」というキャッチコピーを書き、キーワードを三つあげてエピソードを交えながら紹介する、という広告会社らしい設問があります。これは例年聞いていますか?
 だいたい、そうですね。

 ──最後の設問はAコースとBコースに分かれていますね。Aコースは「未来をつくるプランを考える」。「5年後、10年後にこうなったら良いと思うプランを書いてください」。Bコースは「超○×クイズ」? ユニークですね。
 Aコースを選んだ人は、自分の企画を手書きで書いて、持参してもらいます。それを面接で見ながら、「なぜこう思ったの?」などと聞きます。
 Bコースを選んだ人は、特設サイトを見て統計学や数理解析を使ったゲームに挑戦してもらいます。ゲームを自分のデバイスを使って解き、エントリーする仕組みです。マニアックな内容なので、簡単に説明しづらいんですが。

 ──○か×答えていくだけですか。
 サイトに入ると○×で答える質問が並んでいて、まず自分で○か×かを答えます。あるタイミングで他の人がどう考えているかの情報が一部公開されます。そのデータをもとに回答傾向を分析し、他の人の答えを予測するという内容です。その予測がどの程度正しいかの結果が表示され、それをもとにさらに正確な予測をするべく再チャレンジもできます。
 いま広告ビジネスでもビッグデータの解析が重要になっていて、こういう課題に面白がって取り組む人材が採用できれば、と考えて作りました。学生の皆さんに、「広告会社にこういう仕事があるんだ」「生活者のビッグデータを使って新しいマーケティングをしていこうとしているんだ」と感じてもらえればいいな、という思いもあります。最近はエントリー時にこういう独自の課題を出していて、ちょっと有名になってきました。

 ――課題は毎年変えるんですか。
 はい。社内の研究チームを巻き込んで、どうすれば面白いか考えています。「昨年の課題は既に知られているから、今年はこういうふうにしよう」と。2016年卒のお題は「じゃんけん」でした。じゃんけんに勝てるアルゴリズムを考えて、プログラムを作る課題です。

 ──AとB、どちらを選ぶ学生が多い?
 圧倒的にAで、Bを選ぶ人は1割もいません。一度Bをはじめて、「やっぱり無理だ、Aで」というパターンが多いようです。

 ──Aの評価ポイントは?
 「面白がって取り組めるかどうか」ですね。もちろん、書いてある内容のレベルが高いに越したことはありません。「これはすごく面白い発想だな」という評価をする時もありますから。ただ、内容そのものより、懸命に取り組む姿勢を見ます。自分のアイデアがあるときに、それに関する情報を集めたり、手を動かしたり、多くの人に話を聞いたりしているか。やりたいことに対して、どんな努力をしているのかが大事です。
 何をやってもいいスペースにしているので、写真を貼ったり、絵を描いたり、工夫しているものが多いですね。

■ニュースへの関心、競合他社
 ──選考の中でニュースや時事問題への関心は重視しますか。
 ええ、大事なので僕は面接で聞きますね。日々の情報はどこから入手しているか、そのメディアは何なのかはよく聞きます。
 われわれはメディアを扱うビジネスなので、メディアの価値を高めるのも仕事の一つです。普段からメディアにきちんと接触して考えることは、基本的なスキルです。
 たとえば、「これから新聞というメディアは、どういう展開を見せるでしょう?」と聞くことがあります。学生の答えが「正しい回答」かどうかはもちろん分かりません。ただ、その答えの中に自分なりの課題意識とか、業界を俯瞰(ふかん)する視点があるかは気にします。
 一方で時事の話題について幅広く精通しているかどうかは、あまり気にしません。学生の段階では、一定の領域にすごく興味がある、という状態でいいと思います。

 ──広告会社には派手なイメージもありますが、博報堂志望者の就活スーツは?
 わりとコンサバですね。今年はグループディスカッションで少しカジュアルな普段着の学生もいました。ディスカッションは長丁場で、「あなたらしい格好で来てください」と言っているので、スーツでなくてもかまいません。最終面接にはスーツを着てくる学生が多いですね。

 ──「もっと個性を出して来いよ」と思うことは?
 いや、そこで判断することはないですね。時計やカバンなど、その人なりのこだわりが分かるときはありますが、それぐらいです。

 ──採用で競合する会社は?
 昔からよく競合するのは、同業他社と商社ですね。意外なところでは建築系の会社もあります。
 たとえば、都市工学を学んで「建物や道路で人の動線をつくることと、人の行動をデザインするマーケティングは近いと思う」という学生がわりと多いんです。

企業とメディアを結び生活を豊かに 「生活者主導社会」へのアイデアに期待

■社風
 ──博報堂ってどんな会社でしょう?
 社内にいろんな人がいて飽きないですね。多様な発想の人間がいますし自由です。「こうあるべきだ」という規律めいた話は会社も言わないし、言われるのを嫌がる社員が多い。全体的に自由で多様な会社だと思います。

 ──ライバルの電通と比較されて、一般的には「電通=武士」と「博報堂=公家」、「政治力、営業力の電通」と「クリエイティブ、マーケティングの博報堂」などと言われますが、実際には?
 どちらにも「武士」も「公家」もいると思いますよ(笑)。競合関係にある中で僕らは業界2位です。「電通にないものを出さないと勝てない」という発想で、クリエイティブ力、マーケティング力で勝負しているケースは多いと思います。

 ──博報堂は業界1位を狙っていますか。それとも「個性のある2位」を目指しているのでしょうか。
 「広告業界1位」というのは、経営方針として打ち出していないし、会社が「トップを目ざす」と社員に言ったことは、少なくとも私が入社してからは一度もありません。ただ、一つひとつの現場は競争なので、「ここでは絶対に負けるな」というのはあって、「ここは負けてもいいよ」ということはありません。

■働き方
 ──電通の過労自殺が問題になり、「働き方改革」も議論されています。広告業界は激務といわれますが、実際は?
 時期によって繁閑はあり、忙しいときは忙しい。クライアントへのプレゼン前などには「最後の1秒まで考えろ」と言われることもあります。だからこそ、社員の健康、労働時間の管理や、健康を損なわないための対策には相当なエネルギーを割いています。オーバーワークになった人が相談できる窓口などにも力を入れています。

 ──女性社員の活躍は?
 「男女雇用機会均等法」(1986年施行)の前は女性社員があまり多くなかったので、女性の管理職はそれほど多くありません。しかし最近は、採用人数の3割以上が女性です。

 ──社内運動会があるとか?
 会社と労働組合が毎年共催しています。同じ部署内の先輩・後輩の「縦の関係」や同期同士の「横の関係」は強いんですが、「斜めの関係」、例えば「隣の部の先輩」とか「隣の局の後輩」という関係が昔より作りづらくなっています。インナーコミュニケーションの場として運動会を開いています。平日の夜に東京体育館で開くんですが、約3500人の社員のうち1000人くらい参加して、事業部ごとのチームで対抗リレーなどをして盛り上がります。

■広告会社の将来
 ──博報堂DYメディアパートナーズは「『メディア効果』をデザインする」とうたっていますね。SNSの普及などメディアの環境が激変していますが、これからの広告会社はどうなっていくと思いますか。
 数々のメディアが出てくる中、あらゆる方法で生活者に伝えるパワーを最大にすることを考えています。今あるメディアありきで考えるのではなく、メディア自体を変えていこう、という狙いも込めて「デザイン」という言葉を使っています。
 SNSやブログ、口コミサイトなど、生活者が発信するメディアが大きくなり、生活者が主導して消費する時代になりつつある。生活者を一番良く知る存在として何ができるのか。そこに、企業とメディアを結びながら、生活者の消費や生活を豊かにする博報堂の存在意義があると感じます。

 ──最近はあまり「広告代理店」と呼ばなくなりましたね。
 博報堂では使わないようにしています。これから入社する人には、「デジタルネイティブ」世代ならではのチャンスを生かし、「生活者主導社会」に向けたアイデアを実現していくことを期待します。さきほど、「未来を発明する会社へ。Inventing the future with sei-katsu-sha」というビジョンの話をしましたが、今までと同じビジネスを上手に回すだけではなく、新しいことをしてほしい。

 ──グローバル展開や海外赴任は?
 海外駐在は100人程度で、今はそれほど多くはありません。ただ、中期計画ではグローバルな営業成績の向上が目標なので積極的に取り組んでいます。

■秋澤さんの就活と仕事
 ──秋澤さんはどんな就職活動を?
 最初は「どんな会社だったら働けるか」と考え、「好きなものをつくっている、売っている会社じゃないと長続きしない」と思いました。それで飲料会社とスポーツ用品のメーカーを受けました。お酒と野球が好きだったので(笑)。そんな話を、博報堂に勤めていたゼミの先輩にしたら、「秋澤、それだったらウチに来たら飲料も野球も両方できるぞ」と言うわけです。「なるほど」と受けてみて、お世話になることになりました。

 ──どんな仕事をしてきましたか。
 1993年入社で、初めての配属が人事でした。ローテーションがあるので、4年で営業部に異動し、4年くらいでまた人事に戻りました。以来ずっと人事です。人事の中での担当はいろいろと変わりましたが。

 ──入社してどうでしたか。
 僕は博報堂しか知りませんが、社外の友人の話を聞いてみると「自分は他の会社だったらもたなかった」と思います。自由だし、刺激的な仲間が多い。組織の風通しもよくて、懸命に考えている人間の言うことには、必ず耳を傾けます。逆に、あまり考えていないことが分かると仕事に入れてもらえない、という厳しい面もありますが。基本的には「年齢と関係なく、アイデアの前にはみな平等」という考え方があって、すごくやりやすいですね。僕にとっては生きやすい会社です。

 ──若手のアイデアがどんどん通るんですか。
 1人だけでは難しいですが、アイデアを聞いた先輩が「こうしてみよう」「あのメンバーと一緒にやってみよう」などとアドバイスします。若手のアイデアが発展し、採用されて物事が動くケースは多いですね。

 ──一見華やかですが、地道なところもあると思います。
 実のところ、世の中から派手に見える仕事は、1割もないと思います。当事者の感覚からいうと、5%もあれば結構充実しているでしょう。でも「その5%のために頑張れる」面はありますよね。

みなさんに一言!

 就職活動は人生の岐路なので、しっかり考えて、納得のいく選択をすると、その後の人生が幸せになると思います。頑張ってください。というと、かなり無責任に聞こえますが、「俺に聞いても、無責任にならざるをえんだろうが」と学生にはよく言います。
 やはり、自分のことを考えるのは自分なわけです。他人はアドバイスはできるけれども、自分のことは自分が一番良く知っています。だから自分でよく考えよう、と言います。先輩の話をよく聞くのはいいですが、最後に決めたり、判断したりするときは自分でしっかり考えてくださいね。

博報堂

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 博報堂は、新しいアイデアを生み出し、それを形にすることで、社会や企業、生活者の幸せにつながる新たな価値を創造し続けている会社です。「生活者発想」と「パートナー主義」という2つのフィロソフィーのもとで、日々革新を続けています。  高いクリエイティビティを持つプロフェッショナルがチームを編成し、広告領域のみならず、戦略構築から社会的なムーブメントの創出まで、あらゆる領域においてクライアントの皆様の課題解決をお手伝いしています。マーケティング環境の変化を先取りし、統合マーケティング・マネジメント力でクライアントの事業価値を向上させる世界一級のマーケティング・カンパニーを目指していきます。