
■緑化への取り組み
──緑化に対する取り組みについて教えてください。
種田 緑化については、10年以上前から注力をしています。例えば、東京・大手町にある「大手町タワー」の敷地内には、約3600平方メートルの「大手町の森」を設置しました。ビジネス街に「本物の森」をつくり維持するというのは当社にとっても初めての挑戦であったため、ここでは千葉県君津の山林で森を育てて検証を重ねてから大手町に移植する「プレフォレスト」という手法を用いています。竣工から10年以上経っていますが、森の中にいて、深呼吸したくなるような空間になっています。
──プレフォレストは御社独自の技術ですか。
種田 当社独自というわけではありませんが、当社としては大手町タワーで初めてこの手法を用いたので、かなり画期的な取り組みでした。大手町の森は生物多様性にも貢献していて、皇居が近いせいかタヌキが遊びに来たり、渡り鳥の中継点になっていたりしています
緑があると生物多様性やヒートアイランド現象の緩和など環境に貢献するのはもちろん、ご利用者のコミュニケーションや快適さにつながるなど、緑の創出はサステナビリティの観点でも重要な取り組みとなります。
──そこには創業からの思いがあるのですか。
種田 そうですね。当社は来年創業130周年を迎えますが、原点には「進取の精神」という考え方があります。新しい取り組みをしていくという観点では、緑化に対しても当社ならではの発想で挑戦しようという精神があると思います。
■官民連携の取り組み
──官民連携の事業に対しては、もともと積極的だったのですか。
黒田 もともとビルやマンション事業では事例がありましたが、それ以外は多くはありませんでした。新規事業部のもとのプロジェクトが立ち上がったのは2017年、新規事業部になったのは2021年です。いくつか公募に対して提案をしていく中で都立明治公園の整備事業者に選んでいただき、そのタイミングで新規事業開発部という名前に変わって、今に至ります。
──都立明治公園以前にも、官民連携の案件はありましたか。
黒田 近年では先ほどお話した豊島区庁舎跡地の再開発プロジェクトHareza池袋のほか、中野セントラルパーク(東京都中野区)も当社のプロジェクトです。グリーンインフラがある素晴らしい公園に隣接したオフィスビルで、公園部分の管理に関しても当社を含む共同事業体で担っています。
ほかにも東京・青山の北青山3丁目の民活事業という、都営住宅跡地にオフィスビルと賃貸住宅と商業施設を整備している事業があります。近年コロナ禍を経てその傾向が顕著になってきていますが、気兼ねなく集えるオープンフィールドの価値が高まってきたということもあり、事業機会としては面白いと参画した背景があります。