就活体験レポート

大手製薬会社 内定者の就活体験

面接は毎回録音し、帰りの電車内で反省

H.Y.先輩

大手製薬会社 内定 社会科学部 男性

2014年10月23日

不安から始まった就職活動

 就職に向けての活動を始めたのは2年生の秋ごろ。「朝日学生キャリア塾」への参加、そこから始めた新聞スクラップ、SPIとTOEICの勉強、企業研究をしていました。早めの時期にセミナー(キャリア塾)に参加したことで、今後の流れを掴み、早めに準備を開始できました。
 自分は高校時代に毎日野球に打ち込み、必死だったのに対し、大学に入学してからは人に誇れるほど必死に取り組んだ経験がありませんでした。「このままでは就職活動も目的を持たずに終えてしまうのではないか」と不安を抱えていました。そのため、2年生の秋に「就職活動の全体像だけでも掴みたい」と考え、朝日新聞の紙面で見つけた朝日キャリア塾に参加しました。

 自己分析などもしたことがなかったため、エントリーシートの書き方や模擬面接においては何を学ぶべきか理解できず、全てを吸収することはできませんでした。それでも何かを始めたいと思い、「新聞記事のスクラップ」を始めました。これが毎朝、新聞を読むきっかけとなり、キャリア塾後から就職活動が終わるまで続けました。気になる記事をスクラップし続け、就職活動が終わるまでには10冊程度になったと思います。実際に就職活動中、面接で「特定秘密保護法案について1分間で考えをまとめ、3分間プレゼンテーションしなさい」(損保ジャパン)、「2020年以降の日本の経済動向を予測しなさい」(関西テレビ・清水建設)と出題されたこともあり、新聞記事のスクラップはとても役に立ちました。

 SPI対策に関しては塾講師のアルバイトで中学受験の理系教科を担当していたことが功を奏し、思い出す程度の勉強しかしませんでした。ただ、英語が苦手だったため、TOEICの勉強はしていました。初めてTOEICを受験した時は300点台でしたが、3か月で600点台まであげることができました。

 3年生の秋にはキャリア塾で知り合ったつてをたどって出会った社会人の方にアドバイスを頂き、業界分析に取り組んでいました。「他にもいい会社はたくさんあるよ」と言われたことをきっかけに業界分析にも熱が入りました。業界分析は各業界について付箋を使い、どんな仕事があるか、なぜこの業界を志望するのか(志望しないのか)を書き込みました。「金融業界は採用人数が多いから受けよう」、「商社や広告は華やかでかっこいいな」など勝手なイメージだけで志望業界を決めていた私はこの作業を通じて、各業界にどのような仕事があるのか、仕事内容、業界全体の今後、業界の特徴についてなどを学びました。この作業を経て、全く興味のなかった業界にも「この業界には私のやりたいことがあるかもしれない」、「この業界は志望動機を書きやすい」と感じ、視野を広げ、200社弱の説明会に参加するきっかけとなりました。

身近な人が面接で落ちる恐怖

 3年生の春には当時の彼女が年上だったこともあり、就職活動を間近で見ていました。とても頭のきれる尊敬できる人だったため、「この人でも落ちるのに私が通用するわけがない」と焦り、「とにかくインターンに参加しよう」と考え、インターンへの参加を決めました。最初は「新聞社がダメならば採用人数の多い金融業界」と安易な考えを持っており、インターンも他の業界はほとんど受けませんでした。

「とにかくやってみよう」というスタイルの私はインターンで多くの企業に落ち、面接の度にアドバイスをお願いすることで少しずつ成長できたと思います。今考えると小さな小さな進歩でしたが。その後、就職活動解禁の直前にキャリア塾で知り合ったつてをたどって出会った社会人の方に「他にもいい会社はたくさんあるよ」とアドバイスを頂いたことをきっかけに業界分析にも熱が入り、視野が広がりました。この方と出会わなければ今の内定先とも出会わなかったと思います。

プレエントリー期は無料で業界の仕組みや企業について学べるお得期間

 12月1日、2日にプレエントリーを行いました。プレエントリーは実はサークルや高校時代の後輩たちにも協力を頼みました。人気の企業にはなかなか繋がらず、説明会の枠が埋まってしまうと聞いていたからです。ここでしか言えませんが。200社ほどプレエントリーしたと思います。その後はひたすら説明会に参加しながら選考の早い外資やブライダル、テレビ業界のエントリーシートを書いていました。説明会は少なくても1日3社、多い日には5社回りました。「無料で業界の仕組みや企業について学ぶことができる」とポジティブに捉え、説明会を楽しんでいました。説明会中はあまり話を聞いていませんでした。11月に業界分析を行った際に見たWEBに書いてある話が多かったので。しかし、何もしていなかったわけではなく、人事の方の口癖(例えば三菱東京UFJ銀行ならば「銀行はお金を動かす仕事ではない。モノを動かす仕事であり、お金はその責任をとる覚悟だ」、みずほ銀行なら「Oneみずほ」、武田薬品なら「誠実、タケダイズム」など)や仕草、説明会に参加している人の雰囲気などから会社の雰囲気を感じることを心がけました。説明会の後には必ず人事の方に質問しました。商社に関してはその際にOB訪問を申し込むこともありました。

 この時期にはOB訪問も行いました。OB訪問では高校の部活の先輩方を頼りました。有名高校の野球部だったこともあり、多くの先輩達が時間をつくり、会ってくださいました。改めて偉大な先輩方だと感じ、感謝してもしきれません。OB訪問で意識したことは「わからないことはとことん聞く」ことです。時にはその業界の最新の情報紙を頂き、エントリーシートの添削を行っていただくこともありました。それでも7人程しかお会いしなかったので、もっとOB訪問をすればよかったなと後悔しています。

ひたすら書いたエントリーシート

 面接が始まる時期までは主にエントリーシートを書いていました。自分は1月から3月までの合計で100枚近く書いたと思います。説明会や選考の早い業界の面接、生命保険会社・銀行のリクルーター面談に1日4件程度参加し、夜にエントリーシートを書きました。夜、感情的に書いてから朝、冷静に見直す形が基本でした。大切なことは自分をあまり知らない他人に見て貰うこと。幸い、キャリア塾で知り合ったつてをたどって出会った方や読売新聞社のインターンを通じて出会った方、エン・ジャパンの知り合いなど社会人に多くのつてがあったため、様々な方に添削して頂きました。社会人の方から見ると私の文章はかなり伝わりにくく、感情を表現できていなかったようで……途中からは電車の中でもエントリーシートを書いていました。

 エントリーシートを書いていた際、どの方も共通しておっしゃっていたのは「自分にしか書けないエントリーシートを書くこと」でした。今、私のエントリーシートは後輩達から「あまり参考にならない」と言われますが……。様々な先輩のエントリーシートの良い点を吸収し、最終的には「私はこういう人間です」と伝わる自分自身にしかないエピソードを詰め込んだエントリーシートを書き上げるべきだと思います。また、一つ一つの項目も大切ですが、エントリーシート全体を見た時に自分の像が完成することも大切だと思います。感覚でしか伝えられず申し訳ないのですが、自分の絵を描くイメージです。私は野球、ボランティア、アルバイト、珠算など、アピールポイントになると考えた点を全て盛り込むことを意識しました。

 面接では毎回録音し、帰りの電車で反省会。ここが悪かったなと思った部分を付箋にメモし、貼っていくことで「この部分はよく聞かれるな」と分析し、対策を講じることもできました。最終的には付箋でエントリーシートが見えなくなりました。

面接ラッシュ!

 面接が始まる時期までにかなりの数のエントリーシートを書いたため、1日4、5件の面接がありました。自分は最初は帰りの電車で面接の反省をしていましたが、そのうち移動中の電車になりました。面接の反省が生き、「なにか面白い話をしてください」という無茶苦茶な質問にもすんなり答えることができました。第一志望の業界には採用していただけませんでしたが、第二志望の業界に内定をいただいたため、ある程度他の面接には落ち着いて取り組むことができました。第一志望の業界の最終面接で落ちることもあり、かなり悔しい思い出が残っています。

第一志望が全てではない。長い人生遠回りもいいじゃないか!

 「就職活動は怖い」という話をよく聞きますが、私はとても楽しんでいました。勉強やスポーツと同じで予習復習、準備と反省が大事。しっかり準備し、終わったら反省することさえできていれば、新しい友人ができ、普段話すことができない社会人と話す機会がある就職活動を怖いとは感じないと思います。今でも就活仲間とは連絡をとり、かなりの頻度で飲みに行っています。

「意識が高い人だから…」という話もよく耳にしますが、40年以上働く可能性のある会社を決めるわけですから意識が高いのは当然だと思います。ただ、気負わず、未来の自分にわくわくしながら就職活動を行うとより良い結果に繋がると思います。私は面接の際、緊張もしましたが、「今日はどんな面接官と出会えるのかな」とわくわくしていました。

 また、秋採用でも第一志望の業界に内定を頂くことができず、「就職浪人」も考えました。しかし、先の長い人生、多少遠回りをして、成長してから再挑戦しようと考え、今の内定先に決めました。今まで目標に対し、一直線に進み、運良く全ての目標を達成してきた私にとっては新たな試みですが、これも挑戦と考えています。

 就職活動を終えた今だから感じることですが、内定を頂いた企業は全て自分にマッチしているなと思います。実際に内定式も終え、居心地が良い企業だなと感じています。今の会社の懇親会では気が合う人も多く、「ここで自分の力を試してみたい」と感じることもできました。誰もが第一志望に行けるわけではありません。転職も十分にあり得る時代なので、第一志望に拘らず、様々な業界にチャレンジしてみると新しく見えてくる世界もあると思います。