就活体験レポート

テレビ番組制作会社 内定者の就活体験

「どうしてもテレビの仕事がしたい」… 局がダメでも制作会社がある!

T.M.先輩

テレビ番組制作会社 内定 社会学部社会学科 女性

2020年03月04日

テレビ局で毎日アルバイト

 高校時代にテレビ業界に興味を持ったことをきっかけに、大学時代は大阪の準キー局で早朝番組のアルバイトをしていた。出演者やスタッフの原稿のコピーや配布、放送で使う新聞の準備やケータリングの用意……。ロケに連れていっていただけることもあった。大学生活はアルバイトばかりの毎日だったが、3回生になってから新しいことに挑戦したいと強く思うようになり、人生初の富士登山やフルマラソンに挑戦した。何か大きな目標をもって一生懸命取り組むこと、また、どんなに困難なことでも諦めないことの大切さや面白さを学んだ1年となった。

インターンで知り合った学生と情報交換

 就活を意識し始めたのは、大学3回生の8月ごろ。やる気はあまりなかったが、周囲が始めているのを見て、「やったほうが良いのかな」くらいの気持ちで取り組みだした。まずは、就活のアプリから、インターンシップを行っている企業を探した。

 インターンは5社ほど参加。まだ自分が何をやりたいのかはっきりわからなかったので、判断材料になりそうな内容を行っていることを基準に選んだ。その企業の方との距離が近くなり、社会に出た後のリアルな話を聞く機会が増えた。また、学生同士がとても仲良くなるので、情報交換する場も得ることができた。

説明会ではひたすらメモ、積極的に質問

 会社説明会では、ひたすらメモを取り、気になることがあれば積極的に質問をするようにした。
 大学での説明会は、大きな企業からあまり知られていない企業まで、たくさんの企業が来てくださったので、必ず参加するべきだと思った。また、「名前は知っているから」という理由で大きな企業ばかりに目を向けるのは、すごくもったいないこと。先輩等に話を聞いて、知られていない優良企業を事前に把握しておくべきだと思った。

自己分析はESたくさん書くうちに自然とできた

 自己分析は、特にそのための本は購入しなかった。エントリーシート(ES)をたくさん書き続けていたら自然と自己分析はできると感じた。普段から、自分とはどんな人間か考えながら過ごした。

 業界・企業研究では、会社説明会に早めに予約して、たくさん参加した。先輩や、他の説明会に参加した友人と情報共有をした。一人で頑張ろうとせずに、他人の協力が必要だと感じた。

 「仕事選びの軸」は、やりたい仕事であること、仕事をしていて楽しいこと、人の役に立てること。社員の人柄、会社の雰囲気等はもちろん大事だが、実際に働くときにその会社の誰と働くかはわからないので、「自分がやりたいこと」を一番重要視した。

「コネ」に頼って失敗!

 3年生の2月までは、第1志望の関西のテレビ局のESや面接に取り組んだ。ただ、インターンに参加すると選考で有利との情報を知るのが遅かったため、インターンの選考をややおろそかにしてしまったことが反省点。

 テレビ局でアルバイトを2年半ほど続けていたので、担当していた番組のプロデューサーの方とも仲が良く、その局の本選考の推薦状を書いていただけた。そのつながりで他の幹部の方とお話しさせていただく機会もあり、「これがいわゆるコネか」と思った。しかし、結果は不合格。「コネ」で心に少し余裕が生まれてしまい、面接で十分に熱意を伝えることができていなかったことに終わってから気付いた。どんなに会社の偉い方が有利な話を持ち掛けてくれたとしても、それに頼り過ぎないこと、いかなるときも貪欲に取り組むことの大切さを知った。もちろん、人の助けを得ることも大事だとは思うが、最後は自分の力を最大限に発揮することが何よりも重要だった。(コネをそこまで信用してはいけなかった。)

「ウソをつきに面接に行く」のがつらく…

 ほとんどテレビ局一本で考えていたので、関西のテレビ局の選考が終わると、これからどうしようか、とても悩んだ。3月になって、いざ他の業界に目を向けてみると「面白そうかも」と興味がわき、受けてみようと思えた。そこから、人並みに説明会に参加しESもたくさん書いた。

 とにかく人と話すことが好きな性格なので、色んな企業の説明会や選考会で多様な人に会うことがとても楽しかった。特に面接は、自分の話を聞いてもらい、その話に次々と質問されるという状況が楽しかった。しかし、新たな企業の選考を受けるうちに、就活をするうえでの自分の一番の欠点に気付いた。それは、「全く嘘をつけない」ことだった。もちろん、それぞれの企業の事業内容や社員の話を聞くと自然と興味は沸くし、「こういうことをやってみたい」と思うことが多々あった。ただ、それは一時の感情で、選考を重ねるうちに、本当にやりたい仕事なのかわからなくなっていった。「ウソをつきに面接に行く」ような気持ちになってしまい、毎日がとてもつらくなった。

 改めて「自分が本当にやりたいことは何だろう」と考え直してみた。関西のテレビ局の選考が終わってからは、もうテレビ制作の夢はかなわないと思い込んでいたが、かつて「テレビ制作に携わるには関西なら局、関東なら制作会社だ」と考えていたことを思い出した。そこで、高校時代の友人がたまたま紹介してくれた関東の制作会社の説明会に参加。「自分がやりたいことはやっぱりこれだ」と実感した。

偽りない思い伝えたら、最終面接免除で内定!

 そこから、ESを提出し、1次面接を受けた。制作会社の選考は初めてだったので少し緊張したが、自分の思いを正直に伝えようと決めて臨んだ。高校時代からの夢であること、そのためにテレビ局のアルバイトをしていること、実際に生放送の番組に携わっているからこそわかる制作の大変さと面白さ、自分の将来設計などを、詳しくそして偽りなく話した。

 結果、その面接で評価をもらい、最終面接は免除という形でその会社の内定をいただくことができた。もちろん、その会社の社員一人ひとりを大切にする姿勢や、楽しく働こうとする環境づくりにもひかれたが、何よりありのままの自分を受け入れてもらえたことが嬉しく、縁を感じた。

大手広告会社に落ち就活終える

 4月末に制作会社の内定をいただき自分的には満足していたので、新たに企業にエントリーしようとは思わなかった。選考に残っていた企業で興味をもてるところは続けたが、他の企業は辞退した。テレビ制作以外で一番興味を持っていたのは大手広告会社だった。

 この会社に興味を持ったきっかけは、大学1回生の頃、その社員の講義を大学で受けたことだった。2次選考の前日、大学に行き、同じ講義を久しぶりに受けた。講義終了後、興味を持つきっかけを与えていただいた講師に直接、感謝の気持ちを伝えると、選考に向けてのアドバイスをしてくださった。結局、選考には落ちてしまったが、力は尽くしたので後悔はなかった。後日、その社員の方に会うと、制作会社で働く私の将来にとても期待してくださった。多くの人の期待に応えられるようにこれから頑張ろうと思えたし、自分の決断は間違っていなかったと改めて思うことができた。この日をもって、私は就職活動を終えた。

規模は小さいが、しっかり向き合ってくれる雰囲気にひかれる

 内定した企業に決めたのは、とにかく自分のやりたい仕事だったことだ。会社の規模は小さいが、その分一人ひとりとしっかり向き合ってくれる雰囲気があり、支えてもらえる安心もあった。また、制作業界の中では珍しい離職率の低さも決め手だった。この人たちと一緒に会社を成長させたいとも思った。

 また、他の業界に移っても通用する社会人の育成に重きを置いている点にもひかれた。今一番やりたい仕事はテレビ制作だが、もしかすると、仕事をしていくうちに視野が広がり、新たなことに挑戦してみたいと思うかもしれない。その環境が整っていることも、「決め手」のひとつとなった。

自信もてる経験とやりたいことへのぶれない思いが大事

 就活を振り返ると、3回生はインターンに参加することもとても大事だが、色んなことに挑戦し、楽しむことが大切だと思う。面接のときに話すネタはもちろん多いほうがいいし、その内容に自信を持っていればなおさら良い。自分に自信を持つことの重要さを知った。

 反省点は、幅広く企業を見すぎて、何をしたいのかわからなくなってしまったことだ。大きな企業ばかりに目を向け、全部落ちたらどうしようと不安に感じることも多かった。視野を広げることも大事だが、自分がやりたいことに対する思いは、ぶれずに持ち続けることが大切だと思う。

 親との関わりでは、正直、自分よりも父の方が就活に熱心だった。ESの添削、知人の紹介などもたくさんしてもらったが、その父の行動にプレッシャーも感じていた。父の期待に応えなければという思いがあるのに、その気持ちについていけないことが多かった。このため衝突することもあったが、ふだん親に本音を言えない自分にとって、今となっては良い経験だったと思う。

■目指した志望業界 マスコミ(テレビ、広告)、食品メーカー
■説明会に行った企業数 50社
■プレエントリーした企業数 60社
■ESを提出した企業数 25社
■面接を受けた企業数 10社
■内定(内々定)した企業数 1社