就活体験レポート

新聞社(全国紙)ビジネス部門 内定者の就活体験

夏インターン全滅も冬に挽回! 社員の考え盗み、面接トーク向上

E.Y.先輩

新聞社(全国紙)ビジネス部門 内定 教育学部 男性

2019年04月16日

小中高の教員免許取得 高校では水泳で関東大会出場

 大学では教職課程に属し、小学校・中学校(社会科)・高等学校(地歴公民)の教員免許を取得。大学受験予備校にて4年間アルバイトを続け、大学生スタッフを統括するリーダーや担当生徒の学習管理、保護者との契約面談など、多岐にわたる業務を経験。2歳から高校卒業までは水泳に打ち込み、埼玉県代表として関東大会にも出場した。

2年冬の企業セミナーでマスコミ志望に

 目指す業界を広告業界・マスコミ業界に決めたのは大学2年の冬。アルバイト先の先輩の一言がきっかけで広告会社の企業セミナーに参加した。広告業界の仕事内容を具体的な事例をもとに学んだ上で、実際に広告企画を作成しプレゼンを行った。広告会社での一連の仕事を体験したことで、広告が世の中に与える影響力の強さや、「答えのないものを創り上げる」面白さを実感し、マスコミ業界を志望するようになった。

 本格的に就活を意識し始めたのは大学3年の夏頃。周りの友人が夏インターンシップに向けた準備を始めた様子を見て、自分もそろそろ始めようと思った。合同説明会に参加し、マスコミ業界を中心にインターンシップに応募したが、全て落選。ESに書いた内容が抽象的すぎたことや、会社ごとの理解が全く進んでいなかったことが原因であると思い、就活を終えたばかりの先輩を頼り様々なアドバイスを頂いた。

 大学3年の10月には、大学で必修の小学校教育実習に参加した。授業実践や、子どもたちとの関わりを通じ、一時は教員になることを考えたが、やはり広告業界・マスコミ業界で働くことへの憧れがまさった。

インターンで企業の「色」を知る 先輩には模擬面接までお願い

 大学3年の冬に本格的に就職活動を開始し、説明会やインターンシップに参加した。
 インターンシップは3社参加した。2社は大手新聞社のビジネス部門。業界最大手の2社であったため、業界の最前線における事業内容を知ることができると思い、参加した。広告会社への営業同行などを体験した。もう1社はレジャー業界の会社。「好きなことを仕事にできる」ことに魅力を感じ、事業内容を細かく知りたいと思い、参加した。

 マスコミ業界の2社に参加し、企業ごとの「色」が大きく違うことに気づいた。私自身、新しい事業にどんどん挑戦する社風に憧れていたため、そうではない会社も含め取捨選択できるようになった。また、インターンに関わった社員の考え方に触れることができ、その考え方を「盗む」ことで、面接でのトークの質が向上した。
 例えば、ある社員がこんな話をしていた。
 「今後の新聞社には『やってみなはれ精神』のようなものが求められる。かつて新聞購読は当たり前だったが、現在は媒体の多様化によって『競合』が生じ、購読しない世帯も増えている。しかし、他業界も含めたビジネスの現場で、『競合』となる商品が存在するのは当たり前だ。こうした中、新聞社にも既存の商品ブランドの再構築や新規事業への挑戦など、新しいビジネスチャンスがまだまだ隠れているのではないか。この隠れたビジネスチャンスにどんどん足を踏み入れていく精神が、新聞社に必要になると思う」
 面接で同じようなことを語った。

 3月になり、説明会やESの記入が本格化する中、希望就職先の社員の方から直接お話を聞いたり、先輩からアドバイスを頂いたりする機会を多く取るようにした。お会いしたときにはESを見て頂いたり、模擬面接をして頂いたりした。

自己分析はバイト先で「社員目線で私はどんな存在?」聞く

 個人的な考えだが、自己分析はしようと思ってできるものではないと思う。一人で自分自身のことを分析してしまうと、どこかでバイアスがかかり、本当の自分を知ることはできないと考えていた。そこで、私はアルバイト先の社員の方から、社員目線で見ると「私はどのような存在か」を聞いた。良い点も悪い点も細かく聞いた上で、「自分」というアイデンティティーを言語化した。

 私は大学4年間予備校に勤務し、2年時には学生スタッフを統括するリーダー、3~4年の2年間はスタッフをより俯瞰(ふかん)的に見る立場となり、研修の企画などに取り組んでいた。スタッフ全体の課題について感情を込めて伝達したり、時には1~2年生のスタッフに個別指導をしていたりしていた。社員の方は、このように組織の課題に対してすぐに行動し、解決しようとする姿勢を評価してくださった。一方で、俯瞰的に見すぎていたため、生徒一人ひとりに時間をかけた指導ができておらず、予備校として最も大事にすべき視点が薄れてしまっていることが課題だと指摘された。

 仕事選びの軸としては、「新しい文化を創造するチャンスがある会社」に就職したいと思っていた。私は生活者が日々触れるモノや、新たに生み出されたモノを通じ、生活者の中に新しい文化を創り出すような、大きな仕事がしたいと考えている。こうした軸から、世の中に広く貢献でき、生活と密着しているマスコミ業界を第一に志望していた。

大学OBいなくてもアプリで本命社員2人に会えた!

 業界・企業研究は、説明会やインターネットで調べることはもちろん、アルバイト先の先輩やその友人などからお話を聞くことを中心に、業界ごとの特色を理解するようにしていた。

 OB・OG訪問に関しては、大学が教員養成大学のため、直接のOB・OGを見つけることができなかった。そこで、希望就職先の社員を検索できるOB・OG訪問アプリを利用し、第1志望の社員の方2名からお話をお伺いすることができた。

 会社説明会では、説明会中にメモを取ることはもちろんだが、説明会前にその会社の印象や調べたこと、社員の方に聞いてみたいことをノートにまとめていた。これにより、事前のイメージとの「ギャップ」を確認することができ、その「ギャップ」の度合いによって実際に選考を受けるかどうか判断していた。また、説明会後すぐに思ったことノートにまとめていた。

ESは「事業企画書」 入社して取り組みたいこと書く

 ESは「事業企画書」を書くイメージで記入するようにしていた。企業の理念に共感していることやその業界で働きたいことを伝えるのはもちろんだが、その会社に入社して実際に取り組んでみたいことを、具体的な「企画」として記入することで、熱意があると評価されるように心がけた。

面接準備はESの深掘り 「なぜこう考えるか」を言語化

 面接の事前準備は、ESで書いたことの深掘りをしていた。一つひとつの言葉に対して「なぜこのように考えているのか」を言語化し、ノートに記入した。こうすることで、どのような質問をされても軸から大きく外れてしまうことはなかった。
 新聞社の面接は3次まであり、全て個人面接だった。1次は社員2名、2次は3名、最終は役員6名の面接だった。
 聞かれたことは全て単純な質問であり、「学生時代に頑張ったこと」や「志望動機」の深掘りだった。最終面接では、年齢が離れた社員や取引先の方と対等に会話ができるかどうかが問われるような質問もされた。
 この会社から4月末に内定をもらい、就活を終えた。

就職先は「人の良さ」「挑戦心」が決め手

 就職先に選んだ企業は、「人の良さ」が一番の決め手になった。インターンシップや選考で出会った社員の方全員が、現在のマスコミ業界の課題に対して実直な思いを抱いており、同じ志を持っているように感じた。また、その課題に対して新しい企画を次々と生み出しながら解決しようとする「挑戦心」も感じ、この会社で働きたいと思った。
 自分の軸と大きく外れていなければどの会社に勤めても間違いはないと思うが、私はその会社に入社して「使命感」を持って働けるかどうかも考えていた。入社する以上、退職するまではその会社を自分の手で守り抜くという意識を持たなければいけないと思う。こういった「使命感」を内定後に感じることができるかどうかも、最後に就職先を選ぶポイントになると思う。

効率的だった先輩からのノウハウ吸収

 就活を振り返って、やっておいてよかったのは、就活を終えたばかりの先輩を頼りにしたことだ。もちろん、OB・OG訪問を通じ、会社に対する理解を深めることも大切ではあるが、就職活動そのものを乗り切るためには、先輩から直接そのノウハウを吸収することが一番効率的である。
 主に面接のテクニックのようなものを吸収した。例えば、面接ではとにかく「会話」する意識を持つという点だ。必要以上に一方的に語りすぎず、会話をしながら面接を進める意識が重要だと学んた。また、飲料系メーカーに勤めている社会人1年目の先輩から聞いた自社商品の課題を、志望する新聞社やグループメディアを使った広告で解決できないかと考え、「広告企画書」を作成して面接に持参したりもした。

 一方で、OB・OG訪問をもっと増やすべきだったと思う。第1志望の企業は2名の社員の方からお話を聞くことができ、その後の選考にも生きたが、それ以外の企業の社員の方からお話を聞いていれば、より視野を広げることができたと思う。

志望業界は最初は幅広く、本格化するまでに絞って!

 後輩のみなさんには、業界の幅を広げすぎないこともお勧めしたい。就職活動を始めたばかりの段階では、世の中にどのような業界があるのかを知るために多くの業界の説明会に参加することをお勧めするが、選考が本格化するまでには絞り、できれば一つの業界を最後まで目指し続けて欲しい。私の友人で多くの業界に手を出しすぎてしまったがために、準備が間に合わず、ほぼ全落ちしてしまった学生がいた。こういったことにならないよう、業界を絞ることを強くお勧めしたい。