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■職種選択
――募集要項には、研究開発、生産技術、システムエンジニア(SE)、営業、人事総務、生産管理など様々な職種が書かれていますが、応募の段階で細かく分けるのですか。
技術系と事務系では採用の仕方が大きく違います。まず事務系は一括採用で、内定後に配属先を決めます。秋ごろに配属面談などをやり、3月ぐらいに決めるスケジュールです。
一方で技術系は「ジョブマッチング」というシステムをとっています。最初から100職種以上のジョブリストを学生に提示して、その中から、何番を受けますという形で採用試験を受けてもらいます。リストの中から三つ受けることが可能です。もっとも、この採用方法は、来年少し変わるかもしれませんが。
――三つの職種は、どう選んでもいいのですか。
日立は事業範囲が広いため、ひとつの事業が一会社のような大きさになっています。「ヘルスケア」「電力システム」「インフラシステム」など七つの「カンパニー」を社内に設けているのですが、技術系に関してはざっくり言えば、学生はカンパニーごとに1職種、全部で三つのカンパニーを受けていい、という形です。SE職などには別のルールもありますが大きくは三つです。
――このカンパニーは研究開発、このカンパニーは生産技術など、違う職種との併願もできるのですか。
研究所が一番人気なので、自分の研究分野と比較的近い研究所を受けて、あとはそれに関連するカンパニーで近い分野の職種を、という受け方も多いですね。
――たくさんのグループ会社がありますが、採用選考は別ですか。
技術系については、もともと日立製作所本体から分離した会社を中心にグループ会社6社(日立アプライアンス、日立ハイテクノロジーズ、日立産機システム、日立オートモーティブシステムズ、日立オムロンターミナルソリューションズ、日立パワーデバイス)と一緒に採用しています。例えば3職種を選ぶときに、日立製作所で2カ所、残り1カ所はグループ会社を受けるという学生もいます。
ほかのグループ会社は個別に採用していますが、情報を共有するなど人事部門間で交流をしています。さきほどの6社も含めたグループ約25社でかなり大規模な就職フェア「Hitachi Square」も開催しています。日立グループの社員はとにかく数が多いので、社内で名刺交換をする文化があるんですよ。
■推薦と自由応募
――かつては理系の就職といえば大学の研究室ごとに各社の推薦枠が決まっていて、その推薦で入るのが当たり前でしたが、現状は?
今は「後付け推薦」という形が増えています。こちらが内定を出してから学生が大学に推薦状の発行を依頼して我が社に提出するケースです。推薦状を出した学生は確実に入社してくれるので、こちらとしてはありがたいことです。
――技術系の自由応募と推薦の割合は?
後付け推薦も含めれば、ほとんどが学校推薦ですね。そもそも技術系で日立を受ける学生は、ほとんどが推薦です。今は全国約200大学に求人票を出していて、そこからの推薦で受ける学生が多い。求人票は各事業に直結する専攻のところに出しています。求人対象外の学生については、自由応募でぜひ受けてくださいということです。
――今年、自由応募から入った技術系の新入社員はどのくらいいますか。
数パーセントですね。ただ、割合を来年以降どうするか考えていきたい。農学系など求人対象外でも優秀な学生がとても多いし、たとえばSEの仕事に専攻分野はあまり関係ない。自由応募からの採用も増やしていきたいと思っています。
――技術系は学校推薦ですから特定の大学の内定者が多いと思いますが、事務系はどうですか。
いろいろな大学から採りたいので、特に地方の国公立大や海外に留学している日本人学生を積極的に採用しています。地方の国公立の学生向けのイベントもやっています。
――総エントリー数は?
自由応募もあるので6000くらいです。実は、3年ほど前から少し募集人数を減らしています。グローバルカンパニーになっていくために、日本人を今までより増やさない方針をとっており、その分現地法人で外国籍の方を採用するようになりました。本社採用の600人の中にも外国人が10%くらいいます。外国人の応募者が増えているので、採用数も増やしていきたいと考えています。
■ダイバーシティー
――外国人採用はどこの国の人が多いのですか。
今は中国ですね。ダイバーシティーの観点からは様々な国籍の人がいた方がいいので、外国人留学生イベントを開いたり、外国籍の日立社員との座談会で仕事のやりがいや大変さなどを率直にお話しする機会を設けたりして、出身国のバラエティーも増えてきています。
――日本の学生と、外国人の学生の違いは?
私が直接会う事務系の学生の印象ですが、日本語、英語、母国語のトリリンガルは当たり前という感じですし、チャレンジ精神というかバイタリティーが全然違います。日本の大学に留学していたアジア系の女子学生が「私はいつも一番前に座って全部ノートをとっているのに、日本の学生は後ろに座って、寝たり携帯をいじったりしているのが本当に不思議。私はこの与えられた時間を集中して勉強している」と言っていて、私でさえ負けそうだと思うほどでした。とはいえ、国内にもお客様がいますし、外国人の方は将来的に母国に帰りたいという人もいるので、もちろん日本人も安定的に採用していきます。
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